チャーチの靴
2016 DEC 22 1:01:42 am by 東 賢太郎
今日出がけに玄関で「これ履いたら?」と出されたのがブラウンのチャーチだった。正確にはチャーチズ(Church’s)である。スーツで茶は出番がないからあることも忘れていたが、7、8年前に出張の時にロンドンで作ってきた気がする。
さて駅まで歩いてみるとこれがしみじみといい靴なのだ。何がいいかというと、重厚な見かけにかかわらず重くもなく出しゃばった自己主張がない。手作業で250工程という工芸品だ、足に完璧に合うとはこういうことなのである。
ロンドン赴任でまず履いたチャーチは、だからもう33年のつきあいだ。ジェームズ・ボンドご愛用で有名だが、我々シティのバンカーだってイタ靴なんてとんがってチャラいもんは似合わないのである。僕に英国靴はこれしかない。
英国人にいわすと、トラディショナリズムという一種の美学がある。伝統主義じゃわけわからない。好適な日本語はないが、おじいちゃんの古着のコートを直して着てるのがカッコいいみたいな感覚と思えばいい。日本人はわかるが米国人に説明するのは難しいんだろうなあという感じだ。
チャーチは靴底を直せば10年は軽くもつ。僕の場合は戦闘靴であったゆえ大事に履いてないから替えが必要で、数えたら8足あった。家内が処分したかもしれないが僕自身は履きつぶしたという記憶がない。プラダに買収されて今風のデザイン重視になり個性が失せたが僕の趣味であるチェットウインドはクラシカルの味を残す。
6年住んだロンドンは欧州の贅沢が集結したみたいなところがあって、市民革命と産業革命の恩恵が大きいと痛感したものだが、要はカネと権力のあるところいいものが集まる、これは世界的な法則といえる。いいものを持つといいものの味がわかり、もっといいものを欲しくなる。そのためにはもっと知恵を磨いて働かなくてはいけないと思うようになる。好循環なのだ。
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Tom Ichihara
12/22/2016 | 6:55 PM Permalink
おっしゃれ〜、
と、言っても今時の若い人には判らないでしょうけど、昔の男は身につける物は一流でなければ成らない時代がありましたね。
祖父は明治男で真夏でも背広、ソフトと決まっていました。
父親はコートはカシミヤ、靴はコードバンで三田の代々の靴屋に自分の型を持っていました。
そういう小生は何でもかまわずで、ここへ来てからは帰国する方から譲り受けた古着だけです。
なんせ「1年にパンツが2枚、Tシャツが2枚有れば過ごせる国」ですから。
地元の若者には「その反対でも過ごせるよ」と、のたまう奴もいます。
Tom Ichihara
12/22/2016 | 7:04 PM Permalink
おっしゃれ〜、
と、言っても今時の若い人には判らないでしょうけど、昔の男は身につける物は一流でなければ成らない時代がありましたね。
東さまもそうなんですね。
小生の祖父は明治男で真夏でも背広、ソフトと決まっていました。
父親はコートはカシミヤ、靴はコードバンでとうきょ三田の代々の靴屋に自分の型を持っていました。
小生も昔はコートはハロッズで買った物、上着は父親の形見の本場イギリスの杉綾を完全に裏返して貰ったのを大事にしていました。
今では何でもかまわずで、ここへ来てからは帰国する方から譲り受けた古着だけです。
なんせ「1年にパンツが2枚、Tシャツが2枚有れば過ごせる国」ですから。
地元の若者には「その反対でも過ごせるよ」と、のたまう奴もいます。
かめ
12/22/2016 | 8:51 PM Permalink
チャーチ!!出ました出ました!
この話題に乗った人は人生で東さんが二人目です。嬉しくなってしまいましたよ。
なんといってもレディーメイドで最高の品質かつ最高のお値段。
私のいま履いているShannon、ロンドンで入手して20年来の付き合いですがさすがにアッパーがくたびれて今年でお役御免に。靴とは何かを教えてくれたのがこれでした。お金がいくらあっても足りないロンドン、でもポンド安、年末は買い出しにでも・・行きたいなあ。