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楽しかった「かむゐ」の20周年記念公演

2018 AUG 20 0:00:40 am by 東 賢太郎

先だって島口哲朗さんにディナーにの席でお招きにあずかったかむゐの20周年記念公演に行ってきました。

サムライとアニメは日本の宝である

そもそも20年続くものは何であれ本物でしょう。まがいものは時の波に飲まれて消えます。本公演に梅沢富美男さん、中村玉緒さんが届けていた熱い祝賀メッセージもお義理でなく本物でした。日本を愛する人は、一度ご覧になれば好きになると思います。ちなみに、かむゐが外国でどれだけ注目されているかはこちらのHPをご覧になればわかります。

http://www.k-kamui.jp/jp/homepage.php

多くのみなさん和牛は日本のブランド牛肉と思っておられるでしょう。しかしWAGYUと横文字で綴られるとそうとも限らないのです。「オーストラリアWAGYU協会」が1990年にでき、今は米国WAGYU協会(本部アイダホ州)まであるのをご存知ですか?WAGYUの高級ブランドイメージだけは日本が作ってあげて、それのナンチャッテ版である米国産、オーストラリア産が世界を席巻してしまうかもしれません。

同じように、は今のところ日本人だということで世界にブームが広がりつつありますが、SAMURAIと横文字になるとだんだん国籍不明になるのは和牛と同じではないかと危惧するのです。ただ刀を振り回せば格好いいという若者が欧米に増えてます。それが独り歩きすると、そのうち中国や韓国がルーツだぐらいの法螺吹きが平気で始まるだろうし、そのスピリットである武士道とかけ離れたものになるかもしれません。

百歩譲って食べ物は構わないのです。しかし侍は武士道と関わり、武士道は決して殺戮のための教えではなく、武士階級の倫理・道徳規範であって支配階級である武士に文武両道の鍛錬と徹底責任を取るべきことを求めたもの、いわばノブレス・オブリージュに相当するものです。昨今のわが国の政治家、官僚、経営者、指導者においていかにそれが希薄化してしまったかは皆さんお感じになっているでしょう。

経済大国になることで一流国の地位を得たわが国が、金満国家としての下衆な扱いではなく一定の敬意も得ていたことを僕は16年の海外生活でどんなにありがたいと思ったことか。それはなぜか?日本人が心の底流に持っている和の精神への敬意があったからです。

住んだ5か国どこでも外国人の部下たちが仕事の中で「日本人はわからない」「どうしてそうするのか」といろいろなことで言ってきました。良い方にも悪い方にも言われましたが、僕はいつもこう答えたのです。「それは英語になりません。日本にしかないものは日本語で覚えてください」。そうして「WA」と「BUSHIDO」を教えました。

僕は日本人の奥ゆかしい精神の底流にある武士道だけはナンチャッテは勘弁してほしいと思っています。だからかむゐに出会った時も、実はやや疑いの目で見ていたのです。しかし彼らはそうではなかった。僕が消えないで欲しいと願っている、まさにその精神を殺陣という見栄えのするパフォーマンスで万人に分かり易く体感させるものだと知り、応援しようと決めました。KAMUIとしてあえて横文字で、チャンバラ劇ではなく武士道というスピリットとセットで日本文化を体感していただく場として世界に広まればいいなと思います。

10月31日にイタリアのフィレンツェでかむゐリーダーの島口哲朗氏の日本人初の「文化芸術賞」授賞式があります。式場は現存する世界最古の薬局であるサンタ・マリア・ノヴェッラ本店です。これは欧州文化に深く根差す「クラシックなもの」とサムライ・アートの融和の起点となるでしょう。個人的なことを言えば、伊賀の影丸で字を覚え、三匹の侍やクロサワ映画で育った僕としても自然な感じをいだいております。

本日の公演でも第1部は邦楽(尺八、横笛、太鼓・鐘、胡弓)が背景の音作りをして、素晴らしい幽玄で静寂な空間を演出。音楽的にも見事でした。これは完全にクラシック音楽と言ってよく、殺陣は命のやり取りをイメージしたものですからシリアスな題材でありそれがよく似合います。第2部の背景は小林未郁さんのオリジナル曲のピアノ弾き語り、和太鼓、津軽三味線と、これがまた大変な水準の演奏であり、音だけでも十分に僕を満足させるものでした。

殺陣は演劇やダンスの要素もありますが、音楽が必ず背景にある演出はKAMUIの強みですね。オペラにもミュージカルにもなる。これが西洋人にアピールするのは僕の経験から思うに必然です。そうなるとナンチャッテ・サムライの跋扈が心配でなりません。ぜひ日本人の皆様が一度ご覧になって、灯台下暗しにだけはなりませんよう願っております。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

Categories:______日々のこと, 若者に教えたいこと

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