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高度成長期はカンブリア紀であった

2019 JAN 20 0:00:07 am by 東 賢太郎

最近のヒザ痛は精神的にもよくないですね、何はなくとも足腰だけは自信あったですから。今日はニューオータニのゴールデンスパに入会し、ジムでトレーナーの小山さんについて鍛えなおそうと奮起いたしました。

体幹のストレッチをやっていて、何か運動されてました?と聞かれ野球と答えましたが、いかんいかんと思ったのです。そんなのいつの話だよ?そうね、それ、今はショーワって呼ぶんだよね。意味ないんですね、だって平成すら終わろうとしてるのに・・・。子供のころ、おばあちゃんってメージ生まれなんだねと言いながら江戸時代みたいに遠い気がしてた、あの立場になっちゃったんですね。

去年は経営上の大きな危機がありました。そのときはそう思ってなかったけど、いまになって振り返るとそうだ。それは外的な変化によるもので、未曽有のストレス要因でもありました。おかげで心身とも弱りましたが、なんとかそれを乗り越えつつあるいま、逆に会社としては一皮むけて強くなった実感があるから不思議ですね。

このことは、地球の歴史と生物進化の関係を独創的な視点で説いた東工大 丸山 茂徳特命教授の主張を思い出させます。

非常に刺激的な仮説である

教授の著書「地球史を読み解く」によると地球には原生代に銀河系の星雲衝突によるスターバースト放射線によって雲に覆われ、太陽光線が遮断されて赤道まで完全に凍りつくという「全球凍結」が2回(22-24億年前と5.5-7.7億年前)おこりました。その極寒環境で既存の生物は絶滅し、火山帯の熱で生き残った生命が突然変異を伴って次世代に繁殖したのですが、この環境変化において細胞は別生物だったミトコンドリアを取り込み、後に哺乳類と腸内細菌のがしているような「共生関係」になるという新しい適応方法も生まれて新しい生物が生存したそうです。

そのように、生命というものが外的環境の変化、特に危機的な激変によってダイナミック(動的)に急速に変化するということ、それも、その変化が後世に生き残るという鍵であるという点は歴史(結果論的視点)からは「いつも正しい」わけです。変化して死んだのもいるでしょうが、変化しなかったのは確実に絶滅したわけですから、「適応力のあること」こそが進化、成長、繁栄への一里塚(必要条件)であることは間違いないと思います。この「外的環境の、しかもとりわけシビアで危機的な変化こそが生物を強くして進化させる」というテーゼがどういうメカニズムで発生するのかは丸山教授の本でも他の書籍でもわかりませんでした。

しかし、そうではあっても、ということは、重要な結論を導くのです。結果論的視点ではない「現在(now)」においてAかBかを選択しなくてはいけない場合、「適応力のないほうは捨てろ」という結論です。どんなにいま現在、盤石で強く、永続的、魅力的に見えようとです。人、会社、大学、役所、国、経営戦略、すべてにおいてと考えたほうがよい。僕は若者に「若いときの苦労は買ってでもしろ」「選択肢があれば嫌な方を選べ」と教えるのはそのためです。適応力はそうやって訓練できるからです。国だってそうだ。三方敵であるスイスに住んでその強さを知ったし、日本国の歴史だって中国、韓半島の情勢変化に揺動されておきた事件がたくさんある。両国とも事態に適応する力で征服されずに生き延びた歴史をもっています。

しかしもっと身近な例で、皆さんが学校、就職先、恋人、結婚相手、社員を選ぶとき、投資する株、人事評価、経営者にとって経営戦略を策定するとき、もっというなら皆さんは毎日何らかの小さな選択をしていますが、そこでもです。人生はその積み重ねだからこのテーゼを常に頭の片隅に置いた方が良いと僕は思っています。

第一世代のルンバ

企業に当てはめてみましょう。企業というのは生物と似ていて、ダイナミックな外的環境変化に適応し変化していかないと死を迎えます。倒産するか吸収合併されるということです。後者の場合、社名やブランド名は残ってもそれは外部に見せるだけの抜け殻で、内臓は捕食者に食い尽くされています。日本のお家芸だった半導体や家電産業は好例でしょう。気づかぬうちにスターバースト放射線が放射され、全球凍結があったのです。その極寒の環境のなかで、死滅したと思われた英国の家電業界からサイクロン式掃除機のダイソン社が、アメリカからは「ルンバ」のiRobot社が出現しました。日本の家電メーカーが思いもよらぬ新生物の登場です。僕はルンバを初めて見たとき、カンブリア紀に我が世を謳歌した古生物さながらに見えました。しかし、仮に100年後にルンバやサイクロンしか残らなかったとするならば、後世人類の目には、我々の使ってきた日立や東芝の「電気掃除機」が奇態なカンブリア紀の生物に写るでしょう。

ルンバはロボット、AIという進化した脳が掃除機という旧世代生物に寄生してできた新生物です。これが「細胞は別生物だったミトコンドリアを取り込み、哺乳類は腸内細菌と共生関係になる」という適応です。我々の脳と腸はもともと別生物だったそうで、企業でいうとM&Aで合併した会社として適応・進化して地球の支配者になったということです。このことは、「既得権益を守ってぬるま湯に安住」し「武士は食わねど高楊枝」を決め込み、「人材の多様化を図らず純血主義に固執」する企業は、やがて全滅すると考えるに足る理由です。僕がそう思うからではなく、結果論として、生物進化と企業盛衰は似た現象であり、メカニズムはどちらもわからないが、結果論的視点に拘泥するのは科学的姿勢でないと批判するよりもそれを信じてしまって行動したほうが、学者ではない僕たちには実利的な生き方ではないか、ということです。

僕ら昭和世代は高度成長期の誇りをもって生きてきましたが、世界の産業界のダイナミックな変化と新生物のたびかさなる出現を見るにつけ、あの繁栄はカンブリア大爆発の類だったのかもしれないと思うのです。

アノマロカリス、ハルキゲニア、オパビニア・・・

まずいまずい、これって意外に俺なのかもしれない・・・・

始祖ではあるけれど、自分は生き残らないんだろうな・・・・

昭和の成功体験にすがればすがるほど、企業も国もつぶれるでしょう。そう確信してます。僕はサラリーマン時代の(昭和の)成功体験は全部捨てました。それがソナーの真骨頂で、そう考えると去年の苦労もストレスも我が社を適応させて生存能力を高めたのかなと手前味噌に考えております。

 

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Categories:______歴史に思う, ______科学書, 若者に教えたいこと

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