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廣津留すみれさんとお会いする

2020 JAN 11 17:17:23 pm by 東 賢太郎

人というのは会ってみないとわからない。ニューヨーク在住の畏友安岡氏の紹介で、話題の廣津留すみれさんが弊社を訪問してくださることになった。相変わらず凄い人脈だ。しかし、

ハーバードとジュリアードを首席卒業?ウソだろ?

それが話を聞いた時の僕の、ある意味当然といえば当然のイニシャル・リアクションであった。どっかの芸人とかエセ科学者の「なんちゃってハーバード留学」が浮かんだ。でも本当みたいだ。東大・芸大首席でもあり得ないのに間違いなく史上初の日本人だろう。しかも帰国でなく大分の県立高校の純粋ジャパニーズときた。気が遠くなる。

ということでご来訪を心待ちにはしていたが、正直のところ、こちとら超高学歴のスーパーレディは基本的に苦手としている人間である。大門未知子先生みたいだったらだめだすぐ終わろうと思っていた。

杞憂であった。会議室でご対面して3秒でそう思った。「ぜんぜん普通の女の子だね」「はい、よくそういわれます(笑)」。会話はなごやかに始まった。

そこからは普通でなかった。26才でこの理性、咀嚼力、吸収力はすばらしい。しかし僕も世界でいろんな秀才、異才に会ってる、それだけならどうということもない。その何倍も素晴らしいことに気づいた。好奇心と遊び心も備わってること。時に目が輝く。これだ!秀才というのは実につまんない、超優秀な総務課長みたいなタイプの人が多い。こんな若者がいたのかと触発されて立て板に水ラリーとなり、伝わったという手ごたえは快感すら残るレベルであった。

感想。人間の進化に語学(ことば)は大事である。痛感。英単語を1万5千知ってる方だが、appreciate・・・と言って一瞬どうかなと立ち止まって「アプリーシエイト、いい言葉だね~、日本語ないし」と加えると当然ながら「はい」が返ってくるわけだが、尋ねた意味を完璧にアプリーシエイトしてる顔を僕がアプリーシエイトするという塩梅で結果としてお話は3時間になった。

こちらのほうがはるかにたくさん勉強させていただいて恐縮だ。よくわかった。大事なんだ、言葉を正確にカーブアウト(carve out)するミリ単位での能力こそが。それで入ってくる情報量が天と地だ。それもクズの情報じゃない、先人のインテリジェンスを簡単に受け取れるのだから圧倒的な差になるのは自明なのだ。ちなみにインフォメーションと何が違う?ご存じないのは仕方ないから正確にお教えした。これがインテリジェンス。carve out力倍増で鬼に金棒だろう。

ブログにあるベートーベンV協の「a#がみんな低い。なぜ?」を尋ねた。すぐロジカルな答えが返ってきた(秀逸)。その音符に至るまで僕がへたくそに歌うとティンパニを入れて下さる(日本のおもてなし)。チャイコフスキーV協はつまんない(反論される)が、第1楽章に1か所だけいい所がある。ここ(歌う)、この3連符、大家も裏の木管にひっぱられる、ちゃんと弾いた?「弾きました」(あたりまえ、決然)。「いいね」であった。

歌舞伎の「型破り」「型なし」の話。「ピアニストはピアノ曲しか知らない。型なしね、そんなの何やってもだめね」「はいヴァイオリニストもそうなんです」「きみクロイツェル・ソナタ、1週間で弾いたんでしょ」「はい」「なら覚えたら?モーツァルトやるのにオペラ知らない?ベトコン弾きますが田園交響曲知りませんみたいなもんだよ、そりゃないでしょ、僕みたいに魔笛暗記してるオヤジには型なしだよ。型作ってそこから羽ばたいて、自由に思いっきり遊んでね」。

これは「東大王の芸人みたいになんないでね」と心配したゆえの苦言だったが、すみれさんは根底からものが違うんでまったくの杞憂だったろう。素敵なご縁ができました。

ソナー・アドバイザーズにて撮影(2020年1月10日)

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

Categories:______日々のこと, 若者に教えたいこと

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