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ワクチン接種をどう考えたらいいか?

2021 FEB 14 1:01:19 am by 東 賢太郎

「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」 (東京大・2003年)

う~む、美しい問題だ。20字だ。数字が一つしかない。昔どおりなら文系は100分で4問だからこれを25分で解かなくてはならず、けっこう大変だ。

それにしても実に刺激的だ。ならば僕ならこういう出題をしてみたい。

「太陽が地球を回っていないことを証明せよ」

数字はない。アンチョコを見ない限り、おそらく人類の99%は25分どころか1年かけても解けないだろう。かくいう僕も1%に入る自信はない。数学のような積み上げの学問で円周率が3.05より大きいことを証明できない人がこれを解くことは考え難く、2003年の問題は科学の素養のふるい分け機能を果たす良問と思う。クイズ王になるのとこういう問題を解くのとはぜんぜん別の話である。

僕の問題を解いた人がいる。「コメンタリオルス」を著したドイツ系ポーランド人のニコラウス・コペルニクス氏だ。時は1510年あたりとされている(そのころ日本では織田信長が生まれている)。

それから500年。地球の方が回っていることになって今に至る。でも、宇宙飛行士にならないとそのシーンを目視することはできないし、宇宙から撮った写真だってヤラセかCGでない保証はない。

つまり、それを信じるよりどころは数学(天文学)しか存在しないが、99%の人は数学がわからないのだから、地動説というものは、

「そういうことになってる」

だけなのである。皆さん、お正月は神社に詣でて願掛けをされるだろう。「こうなりますように」と。本当に「こう」なる証明はないが、国民的にみんなやってるんだから効果はきっとある。そう信じるから初詣に行く。なぜなら、

「そういうことになってる」

からだ。これが宗教というものだ。

従って、有意に高い確率でもってこういうことが言えるだろう。

「99%の人にとって科学は宗教である」

回るのが太陽だろうが地球だろうが我々の渡世には何の関係もない。それより酉の市で去年より大き目の熊手を買うかどうかの方が、99%にとってはよっぽど大事なのである。

縄文時代の日本は今より2度暑かったし、1300~1850年の地球は下のグラフのLittle Ice Age(小さな氷河期)にあった。現在はその極寒期から脱して3千年の平均気温に戻りつつある回復過程であって、「温暖化」の正体は自然現象であるというのが科学的な視点だ。

少女を使ってポリコレと化した「地球温暖化説」は過去100年だけのチャートを都合よく切り取って「危機だ」「原因はCO2だ」とする。では百歩譲ってその100年だけを見てみよう(下のチャート)。ご覧のとおり、原因はむしろ太陽活動である(Tが地球気温、Sが太陽活動、CがCO2排出量)。

化石燃料から代替エネルギーに転換させると都合のいい人がいるのであり、世界の学者を巻き込んで99%の人には科学に見える「宗教」を作っているのだから裏で巨額のカネが蠢いていることは論じるまでもない。既存の大手メディアはその教義を巧妙に真実にまぶして世界を洗脳し、異端の教徒の声は抹殺する。最近は「地球温暖化」を「脱炭素」と言い換える風潮が顕著だが、なぜならウソがバレたからであり、科学でないことを人類をあげて頑張っても何も起きない。

職業投資家として僕はポリコレだろうがディープステートだろうが脱炭素だろうが、そういうものは単なる商材と見做して勝つ方に投資するだけだ。しかし人間としては別である。許せないのは、カネで科学をねじ曲げる腐敗した精神である。そんなことを許していればやがて科学も退廃するし、一部の勝ち組が人類の命運を狂わせてしまうのだから言語道断だ。このスタンスを読者はSTAP細胞事件でご存じであり、僕の中で常に一貫している。

さて、だいぶ回り道したが本題に入る。東京五輪だ。実のところ、ロゴでもめて国立競技場の設計で多額のキャンセル料がどぶに捨てられ、緊縮のふれこみだった総予算が予定されていたかの如く膨れあがり、福島の復興は隅に追いやられ、そして夏の東京は暑いとわけのわからん理由でIOCがマラソンを札幌に持って行った、あのあたりから気分は冷めてしまっていた。

首相曰く「人類がコロナに打ち勝った大会にする」らしいがどうやって打ち勝つつもりなのだろう。常識的にはワクチンに頼るしかないが、そもそも見込んだ本数がちゃんと日本に来るのか?最も危険にさらされる都民全員に7月までに接種は間に合うのか?重症化は抑えるが感染抑止はしないのだから病床数は足りるのか?医療関係者は?東洋人が射っても安全なのか?そもそも効くのか?未知数だらけだ。

この点については、科学者である医療ガバナンス研究所理事長・上 昌広先生のブログ(2021/02/08付)から引用させていただく。

「ノルウェーでワクチンを接種した高齢者23人が死亡した。接種したのはアメリカ・ファイザー、ドイツ・ビオンテックのワクチンで死者13人は剖検されており、ワクチン接種との関連が示唆される。私は、現状では高齢者に一律にコロナワクチンは推奨できないと考えている。それぞれの状況に合わせた個別対応が必要だ。少しでも不安をお感じの方は、是非、主治医に相談してほしい」

上先生の説明

まったくその通りと思う。僕が昨年今ごろから厳戒態勢に入ったのはまさに無症状感染者が出たからだ。上先生にお会いしたことはないが、わかる、この方は素晴らしく頭がいい。コロナは科学でしか解明できないし、科学は頭が良い人しかできない。ならば素人の僕は最高の頭脳の先生の言うことをきくしかない。それでも保証はないが他に手はない。彼が指摘している厚労大臣は精一杯頑張っているとは思うが、頭の問題はどうしようもない。そういう人が語る宗教の信者になってワクチンを射つことは僕にはあり得ない。

高齢者の感染数は増えていて優先してくれるのは有難くはあるが、約半分は若者が持ち帰った家庭内感染と聞く。僕はそれはなさそうだし外へは出ないし、むしろ若者優先で射っていただいて迅速に集団免疫を作ってもらったほうが安心だ。厚労省はファイザー社のワクチンの「承認を了承した」と発表している。治験で日本人への効能と安全性を確認したのではない。問題があれば省として責任をとることを認めましたという意味だ。ノルウェーのようなことがあれば誰かの首ぐらいは飛ぶのかもしれないが、だからといって、その程度のことで安心して摂取しようという気がおきるわけでもない。

もしワクチンによる免疫バリア作りが思ったほどワークしないならば、ここから五輪開催を決定するだろう3-4月までのコロナの感染動向は当のウィルス様にお伺いをたてるしかないことになるというのが本稿の趣旨だ。要するに、御意のままということだ。これは、地球温暖化は実は太陽活動という自然現象のせいであって、人間がCO2削減をいくら頑張ろうがおてんとうさまの御意のままにしかならないのとよく似た現象ということになるかもしれないことを意味している。にもかかわらず、最後の命綱であるはずのワクチン供給契約の時期と本数の詰めが甘かったという、政府は何を考えているのか(ひょっとして何も考えてないんじゃないか)と見える事態が発覚した。民間企業なら担当役員の首が飛んでいる。

ではそもそも、科学的知見からして、政府が五輪開催に向けてやるべきことは何か?上先生曰くPCR検査をやりまくるしか手はない。彼以外にもそう主張する科学者はたくさんいる。しかし、政府と厚労省は当初からずっと真逆の策をとっており、37.5度の発熱がなければ検査しないというお触れで岡江久美子さんを含む何人もの方が自宅で様子見を強いられ命を落とされたのは記憶に新しい。政治の暴走とも言い切れないのは、尾身氏の率いる専門家会議もPCRを増やすと医療崩壊を招くからやらないほうがいいとの見解を出したからだ。無症状感染者は気にしませんという世界でも希少な戦略であるが、この科学的根拠は何だったのだろう?それは去年の今頃に僕が感じた恐怖が何だったのか、なぜそれが政府に共有されなかったのかという疑問でもあり、いまだに理解できない。その恐怖を救うのが上先生の策だったから心から納得した。しかし政府には都合が悪かったのだろう、彼のような学者ではなく、忖度してくれる御用学者が登用される。是々非々である台湾の蔡英文とは政治力が雲泥の差と言うしかない。

コロナウィルスである風邪もインフルエンザも感染力には季節性があって統計的に2月にピークアウトするが、新型も同じであり、ここから4月にかけて感染者は自然に減り、6,7月にやはり季節要因で増えると上先生は言っている。だから目下の数字が減少しているのは緊急事態宣言の効果ばかりではない。さらに、今年に入り、知人の親族が勤務する保健所は事務職でも帰宅が午後9時という激務ぶりだそうで、保健所ルートという日本固有の仕組みのもたらす物理的な制約から検査数が減っているという原因もある。検査しなければ感染者が減るのは当然だ。それで安心して都内各所の人出が大きく増えているからいずれまた感染者は増え、検査しないから無症状者はカウントされず、結局は陽性者が増えるだろう。つまりウィルス様と「いたちごっこ」しているだけなわけだが、何も今に始まったわけではない、去年の今ごろから一貫してそうだったのだ。

緊急事態宣言発出の効果を高める法改正をしたではないかという声もあろう。それは政治のイニシアチブで策を施したように見える唯一の手だ。ステイホーム、三密回避を促すという意味で科学的根拠もあるから有効であることは確かである。しかし、宣言にプロパガンダ効果を期待する政治的側面においては、温暖化におけるCO2削減が経済減速を招くのと同様の副作用がある。すなわち、”緊急事態” が長引けば、そんな危ない国に五輪の選手団は自動的に来なくなるのである。従って、宣言を撤回するしかなく、残る手はPCR検査をやりまくるしかない。ところが、それをすれば無症状感染者を拾って新規感染者数が激増してしまい、やはりそんな危ない国に五輪の選手団は自動的に来なくなるのである。

すなわち、昨年のコロナ対策の初動において何度も書いたことだが、五輪は意識するが科学は無視していいだろうという「PCR検査回避大作戦」の結果、なんのことないその五輪が大手飛車取りに追い込まれて国中がてんやわんやという大ヘボ将棋だったことが発覚したわけだ。しかしそんな失態はなんのその、季節性要因で4月ごろ感染者数が自然にもっと減り、緊急事態宣言は補償と経済への目配せで早々に打ち切られGoToまで復活してしまうのではないか。しかし6月から数は自然に増える。従って、ワクチン接種は政治的に不可避な唯一の神頼みとなり、世界の趨勢だからを免罪符に、あれほど新薬許認可に腰の重かった厚労省がぎりぎりになって、世界で誰も投与されたことのない未知のワクチンの「承認を了承」した(させられた)のである。そこは神の国だ。ええい、何とかなるだろうと。

しかしよく考えて欲しい。そのワクチンだって我が国は自国で開発したわけじゃない。他国さんの努力でたまたま「神風」の如く現れただけだ。去年の今頃、ダイヤモンド・プリンセス号騒動で我が国はコロナで注目をあびた世界最初の国になった。そこから今に至るまで頑健に「神の国」でありつづけたその一途さ?を世界が日本らしいと見るか日本も墜ちたと見るかは様ざまだろうが、そこでワクチン供給契約の問題で神風すら逃げかける失策を演じているのだ。外国はそれを知らないし、いまだに科学的解明がない「死者数の少なさ」も外国人にはミステリアスだ。よって日本はうまくやっているように見えているだろうが、単なる結果オーライである。日本が未来永劫「神の国」で存続していける確率は低い。国民が政治を直視して選挙で理性を働かせないと、国は危険水域に来ている。

そんなさなかに発生した森会長辞任騒動は、日本は「神の国」を自認される元総理で自身もスポーツ界の神と仰がれる教祖様がお倒れになったということだから五輪宗教界がてんやわんやなのは道理だろう。しかし、科学とはいささかの縁もないどうでもいいことである。なぜなら、それがなかりせば開催がうまくいったわけでも何でもないからであり、もはやワクチンが集団免疫をつくるしか五輪開催の芽はないことに寸分の変わりもない事態に追い込まれていたからである。僕は東京都民であるので、ワクチン投与ばかりが関心事ではない。1万人の外国人が大挙して同時期に押し寄せ、東京にバラエティに富んだ変異種をお持ち込みになるのが非常に怖い。選手は隔離しますというが、そういいつつ英国、南ア、ブラジルのウィルス様がすでに空港検疫をすり抜けて遠い地方にまで達している。誰が信用するのだろう?

そのリスクを負わされ、高い都税を払わされて、しかも無観客だからテレビで見てくれって何の意味があるんだ?こう思う都民は増えているのではないか。

ドナルドもシンゾーも、コロナなかりせば政権が続いていたと思う。「賭けてもいいが、政治としてのコロナ戦争にアクセルのふかし勝ちはまずない」とだいぶ前のブログに書いたが、やっぱりそうなった。さてここからどうなる?小池百合子はいじめを逆手にとってうまい立ち位置で国にアクセルをふかさせ、「都民はステイホームを」と呼びかけるにとどめた。コロナ様には極めて都合が悪い、すなわち科学に基づいたメッセージの発信だから素晴らしい。彼女が科学を理解しているとはまったく思わないが、ズレを感じさせないセンスは感じる。僕はもともと女性積極登用派であるし、パフォーマンスが過ぎるというが政治家はどうせ全員そうなのだから下手よりうまい方がましだ。プーチンはワクチンを射たないが小池さんはどうかな。

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Categories:健康, 政治に思うこと, 新型コロナ・ウィルス, 若者に教えたいこと

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