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いまでも夢に現れる東大受験のトラウマ

2021 DEC 30 1:01:04 am by 東 賢太郎

毎年この時期に思い出すのは背水の陣で迎えた昭和50年の正月だ。以前に書いたが私立はぜんぶ現役で受かったが浪人を決め、2度目は自信があって東大文Ⅰしか受けなかった。そうしたら落ちてオートマチックにまた浪人という間抜けな顛末だ。お屠蘇気分はかけらもなし。もちろん家族で新年を祝ったが、3月7,8日の東大の2次試験に向けてどう追い込むかで頭はいっぱいだった。のちに何件か家庭教師をさせてもらったが、決まって「1日何時間勉強しましたか」とご両親にきかれた。いつも「24時間です」と答えた。風呂でもトイレでも英単語を覚えてましたし、寝ていても頭は数学を解いてましたよと。それ本当なのだ。

先日、夢を見た。なぜか2年で東大を中退しており、また受験する羽目になっている。文Ⅰは自信ないので回避。六法全書は捨てるのか、なぜ辞めたんだ、おまえ馬鹿じゃないかと激しく後悔している。模試を受ける。数学がさっぱりできない。時間ないぞと焦る。試験当日、本郷の校内で迷子になってあと15分で試験が始まる。歩いてきた女性に場所を聞くと「こっちです、ついてきて」と走り出した。よかった!ところが彼女は短距離ランナーみたいに足が速く、エスカレーターを一気に駆け上っていく。ふーふーいって登りきると、そこはなんとデパートの売り場なのだ???

ここで目が覚めた。

似たようなのはウォートンの2年めの期末試験というバージョンもあり、これも何度か見て冷や汗をかいて夜中に起きてしまう。こっちも恐ろしかった。論述する量が半端でなく、下手な英語で死に物狂いで答案を書きまくるが、それでも時間切れで終わってしまうのである。ひとつでも落とせばMBAはアウトだ、まずいと思って目が覚める。仕事もきつかったがこういう夢は見たことがないから、あんなのは受験の比ではないのだろう、やっぱり東大とウォートンは入るのも出るのもめちゃくちゃ難しい学校だったということになる。

テレビでよく「何々大学は偏差値70だから難関だ」というがそれは「その大学を志望する集団の中」での話だ。東大の2次試験の倍率は2倍ぐらいだったし、昨今話題のニューヨークの司法試験も合格率63%だから簡単だという結論にはならない。「志望する集団」の平均学力があればまず受かるというだけで、そのレベル以下なら何度受けてもしっかり落ちる。卒業も同じことで、仮に何らかの推薦で入学できても同級生の水準になければ仲間うちで偏差値30の存在になってしまい、あとで思い出したくない何年かになるだろう。

多感な10代、どんな集団でどんな気分で毎日過ごすかは人生をけっこう決める。学校というのは身の丈に合うのが良くて、ちなみに野球命だった僕はたまたま試合に出られる高校に入ったのが幸運だった。それまで何事も偏差値40の子だったのが試合に出してもらえて世界が変わった。体が小さく、もし野球偏差値の高い学校を選んだらきっと40のままだったろう。野球で成功したわけではないが、抜擢されたというだけで勇気千人力であり、俺もやれると自信がついて、3年生になって遅れていた勉強もやれば絶対にできるという気になった。若い時はその気になれば怖いものはない。

夢は大事なことを教えてくれる。「おまえ勉強できないんだよ、だって試験たくさん落ちてるし最後もひやひやだったじゃないか」と言ってる。まさにそうなのだ。たまたま学歴は立派になったが、今でもアタマは良くないと思ってるから仕事の要所で手を抜かず、受験の時のように24時間考えぬいて慎重に進めてきた。それだけだ。受験生の皆さん、コロナで入試はいろいろ心配事もあろうが、結果はどうあれ学校は偏差値で決めるもんじゃない。どこであれ「そこで何をするか」さえしっかり見据えていれば、そこはあなたにとって良い学校だ。

Categories:______体験録, 若者に教えたいこと

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