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野球の神様はいる(Field of Dreams)

2022 AUG 19 8:08:28 am by 東 賢太郎

先日の中日・広島戦、5位6位対決だけど見ごたえがあった。11回まで0-0できて広島がサヨナラ勝ちしたが、勝ち負けのことではない。サドンデスの甲子園みたいなゲームをプロの選手がやる、これはありそうでなかなかお目にかかれるものではなく、このゲームはそういうものになったからである。

中日の先発、高橋は150キロごえの速球とスプリットが切れ、7回で2安打10三振に封じ込める。対する広島先発の九里は走者を許しながらも持ち前の変化球で厳しくコーナーを攻めた。0-0といっても貧打戦だってある。しかしこの投げ合いはちがった。プロの本気はとてつもないオーラが出ているのだ。

広島には事情があった。コロナで佐々岡監督ふくむ13人が陽性で欠場。2軍から上げた選手で間に合わせた打線に、九里は点数を期待できない。高橋はというと、前回の対決で8回1死まで広島打線をノーノーに抑えこんでいる。彼は彼でそこから駒落ちした相手に負けるわけにいかないだろう。

そんな中での延長11回、0-0がどんなものかは野球ファンならご覧になっていなくても想像がつくだろう。2死2塁で立浪監督が賭けた根尾の登板。初球を打ち砕いた代打の松山。最後の最後までプロの真剣勝負で広島は辛勝したが、僕は高卒2年目、弱冠20才の高橋にあっぱれの拍手を送っていた。

広島の勝敗に一喜一憂するカープファンの僕と、相手選手に拍手喝采する野球ファンの僕は別な人だ。これをマネージするのはけっこう難しい。こういう試合を見るとそれが葛藤をみせるが、しかし、必ず勝つのは野球ファンなのだ。フィールドでの良いプレーに、カープかどうかは重要ではない。

おそらく皆さんも習い事など子供時代にたくさん時間をかけたものをお持ちだろう。それが職業になった幸運な人もおられようし、趣味になった人も、すっかり関りがなくなってしまった人もおられよう。僕にとって野球は3番目で、少年野球のコーチでもしたいがそうもいかず、27才ですっかり縁が切れてしまっている。

人生一度だけアメリカ人の元野球小僧たちと野球をやった。ささやかな奇跡を起こして抱き合ってはしゃいだ。自分が生まれるほんの10年前まで、こんないい奴らと殺し合いをしてたのか。言葉が出ない葛藤だ。準決勝で負けて天を仰ぎ、フィールドで彼らと共にした悲喜こもごもを感謝した。野球の神様にだ。

先日、こういうことがあった。

カープの鈴木誠也がここにいる。アメリカの野球小僧たちと夢をかなえてる。楽しそうだ。ベースボールは苦しい物でも金の成る木でもあって欲しくない、楽しいもんだ。思いっきり暴れて楽しんでくれ。

あのとき最後になった試合、コロンビア大学ベーカーフィールドもこんなだった。立ってみるとグラウンドでなくフィールドで、草野球をやってそうな、なにも大仰でない、まさにそういう所だ。9回投げた。これで終わりかと思うと最後のアウトを取りたくなかった。それが我が人生最後のマウンドだった。

息子ができて、小さいころずいぶんキャッチボールをした。これで満足だ。野球の神様はいる。

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Categories:野球

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