『黒猫フクの人生観』 (第六話)
2026 JAN 10 19:19:53 pm by 東 賢太郎
第五話を書いてから少し経っちゃったけど僕は元気だよ。主人のブログを検索してたら僕の写真が出て来たんでせっかくだからそれを盗んじゃうことにしたんだ。どう?凛々しくてイケメンでしょ?いま自分で眺めてみると何だか不思議な気がするよ。だってこの頃はただの猫だったからね、撮られたのも覚えてないし、そもそも自分の顔だって知らないしなんにも分かってなかったんだからね、でも人間も赤ちゃんの時の自分の写真を見たらこんな気持ちがするのかな。別にお正月で忙しかったってわけじゃないんだ、猫界に正月はないからね。ちょっと心配だから主人をのぞいたり、いろいろ世の中のことを勉強するのが忙しかったかな。主人といったら元旦は相も変わらずだ。僕が東家に来た時に「もう10年ぐらいになるかな」とか言ってた心斎橋の割烹「鶴林 よしだ」のお節料理がでんとテーブルの真ん中にある。僕らは毎日同じものだって気にしないけどさ、人間が15年も同じもんってどうなんかね。たしか僕も田作りを一匹もらって食ったけど、味が濃くってあんまりおいしくなかったね。でも主人は「うまい、これは何度食ってもうまい、勝るものはない」とうなりながら新潟の大吟醸をちびちびやって早々に酔っ払ってる。だんだん羽目が外れてきて「インバウンド結構。でもこういう奥の院の楽しみは外人にはわかんねえよなあ」「**国なんて行ってみな、みんなうまそうに食ってるけどありゃ犬のメシだよ」なんて犬にまで侮辱的な発言しちゃったりしてる。主人はテスラXを真っ先に買ったり新しいもん好きのくせに妙に保守的なとこがあるんで許してやってほしいね。さて食べ終わったら奥さんとおなじみの神社へ初詣だ。ここは主人自慢の源氏の神様で、八幡太郎・義家、新羅三郎・義光の父親である源頼義が前九年の役で東北に向かうときに陣を張って戦勝祈願をし、帰路で神に勝利を報告し感謝して建てた八幡様というから相場を張ってる主人には守り神なんだね。ところがまずいことに、ここ数年おみくじは一度も大吉なしだったんだよ。それでお寺にハシゴしてそこでもおみくじを引いてね、それでも出なかったんだ。「いいのいいの、小吉中吉はアップサイドがあって夢がある、大吉は一見いいけどピークアウトなんだよ」なんて苦し紛れの言い訳してたくせに今年は一発で大吉を引き当てて「よーしいい事あるぞ」で、はしごはなしだ。理屈っぽいくせに身勝手でいい加減、僕達猫のほうがずっとまっすぐに生きてるよ。まあ人間って動物を見下して偉そうなこと言ってるけど所詮はそんなもんだよね。
そういえば、覚えてるかな、第五話に人間界の話として高市さんのことを書いたよね、あれっていま調べたら12月の23日のことだったよ。
僕は元猫であるが彼女の応援団なんだ。なぜかって?自分が生まれた日本が大好きだからさ。そんなの当たり前でしょ、猫だってドイツに生まれりゃドイツが、ギリシャに生まれりゃギリシャが大好きなのさ、そこに理屈なんかないよね。それなのに日本は不思議な国でね、日本を貶めてダメにしたい日本人がそこいらじゅうにウヨウヨいるんだ、 なぜなんだ?僕には全然分からない。天国から見てるけどね、そんな国は世界に日本しかないよ。異常なことだよ。子どもの教育に良くないよ。猫にもわかるように説明してよ。だから僕は第五話に思いっきりこう書いたんだ。
「高市さん自民党の中の変な連中もついでに思いっきり蹴り出して、もう1月に解散しちゃったほうがいいね」
そうしたらビックリしたね、きのう、高市総理が1月23日召集予定の通常国会冒頭で衆議院を解散する検討に入ったと読売が報道したんだよ。永田町に激震が走り、天地がひっくり返ったみたいな大騒ぎ。野党どころか自民党の内部まで寝耳に水だとあわてまくってるじゃないか!他の新聞もスッパ抜かれて寝耳に水だったんだろうね、カッコ悪いね、ますます部数が減るね。ユーチューブの実力ある評論家さんたちも誰も何も報道してないんだからいかに極秘で動いてたかってことだよ。第五話に書いてるんだけどね、立憲民主・岡田議員が誘導した高市さんの発言で日中関係がおかしくなって「高市が悪い」と騒ぐ馬鹿がわんさか出てきてね、僕はめちゃくちゃ怒ってんだ。高市さんが言ったことはすでに決まってる当たり前のことで猫でもわかる。それを言わせておいて「あっ、言った言~った、いけないんだい~けないんだ、セ~ンセイにいってやろ」って騒ぎまくったクソ野郎ども、あれは高市事件じゃない、岡田事件だよ。僕が怒るの当然でしょ、だってそれがおきたのって何があろう11月7日のことでね、その日に僕は天国に旅立ったんだ、人生(猫生か)を汚された気がしてるんだ!ふざけんじゃねーぞ、この人倫にもとる卑怯で薄汚いマッチポンプ野郎めってことなんだ。だから高市さんには即刻解散してこいつらをぶち切って国会から締め出してほしかったのさ。実はね、天国で魂になると人間に強烈なテレパシーを送れるようになるんだよ。ホントさ、だから感受性の高い若い人はビビッドに反応してくれてね、なんてったって「立憲民主党の支持率ゼロ%」だよ。ゼロは1兆倍してもゼロだからね、こいつは日本政治史に刻まれる大事件だね。もちろん高市さん本人にも強いテレパシーを送ってたさ。届いてたんだね嬉しいよ。
さて、この2週間で僕が何をしてたかも説明しなくちゃいけないね。天国に来てかれこれ2か月になったけど、こっちは年末から大異変で大わらわだったんだ。何かって?日本から真っ黒ででっかいヒグマが大挙して天国に押し寄せて来ちゃったことさ。いくら神様の建物っていったってあんなでかい奴らが一気に来て受付に列ができちゃうと、そんなにスペースがあるわけじゃないんだ。間に挟まれて並んでるウサギやキツネなんて踏み潰されやしないかってビクビクもんだよ。ヒグマの大将は与作って名前の、そのイメージがぴったりの間抜け面で体も顔も態度もでかい奴でね、しかも北海道の山奥の密林しか知らない超田舎もんときてる。シティボーイたった僕たちからすればなるべく近づきたくないって言うかな、とても同じルールで暮らしている連中とは思えないんだ。ところが仲間がどんどん増えるんで尊大になってきてね、勢力拡大の野心がでてきちゃったんだろうね、周囲の動物たちにやたらと威張り散らして評判が悪いなんてもんじゃない。
もともと天国では熊の最大勢力はシロクマなんだ。ボスがトラゾーっていってね、こっちも負けないぐらい体もデカきゃ顔もヤバそうな奴さ。ヒグマは数が少なくて弱小だったんだ。それがいい勝負になってきて問題が起きた。僕たち猫が長年にわたって鳥やネズミを捕って餌場にしてきた山に目をつけたんだ。「おい、ここはもともと熊の山だ、俺らヒグマの先祖の領地だったんだ、お前らは出て行け」なんて根も葉もない言いがかりをつけだしやがったんだ。焦ったのは猫界でボスヅラしてるゴンベエだよ。真っ先に俺が話しつけるって与作んところへ乗り込んでいったらガオーって吼えられてしっぽ巻いて帰ってきちまった。次に乗り込んだのはちょっとは弁がたって猫界の弁護士と言われるシャムだ。ところがこいつは、何がどうなったんだか、シャケを一尾くわえて帰ってきちまったんだ。どうもあれは賄賂らしいぞってもっぱらのうわさだ。
そこで猫族の緊急会議が開かれたんだ。喧々諤々の議論?そんなのなくってね、あっさりと僕に「お前行って来い」っておハチが回ってくることになったんだよ。「なんで新米の僕なんだよ」って反論したんだけど、「フクよ、お前クロネコだろ、あいつらと色がおんなじだ。うまくやれよ」っておいおい理屈も何もないじゃないか、こいつら自分が行きたくないから屁理屈こねて新人に行かせようって魂胆なんだ、どこもかしこも宇宙までズルい奴に満ちあふれてる。だからふざけんな!ってね、大声で怒鳴る寸前さ、みよ子がささっと近寄ってきて「フクちゃん頑張ってね」ってウインクされちゃったんだ。それでビビッときてカッコつけて引き受けちまったんだよ。ああ男ってなんて情けないんだ。考えたら相手は300キロもあるでかいクマだよ、無理だよそんなの。夜遅くまで後悔したんだ。でもね、悩んでもしょうがねえやって寝ちまったんだ。そうしたらびっくりしたよ、みよ子がシロクマのトラゾーに言い寄られてる夢を見たんだ、「色がおんなじじゃないか」ってね。その瞬間、「クソッこの野郎」って叫んで目が覚めたんだ。なぜって、すごい名案がひらめいたんだよ。すぐにみよ子のところへ飛んで行って「トラゾーがきみに会いたがってる。でも1人じゃ危ないから僕がボディーガードでついてくよ」って言ったんだ。もちろんウソさ。でもそれが作戦なんだ。ドンピシャだったね。僕らを見るなりトラゾーくん、真っ白できれいなみよ子に鼻の下伸ばしてガードが甘くなった。そこで間髪入れずに奴の耳元でこうささやいたのさ。
「トラゾー兄貴、ここだけの話だけどね、ヒグマの与作が軍を作って君たちを襲撃しようと狙ってるぞ」
トラゾーは鼻で笑った。「知ってるだろ、俺らの食料はアザラシと魚だ。ヒグマはそんなもん興味ねえぞ」。「いやいや食い物の話じゃない。僕たち動物はみんな次は人間に生まれ変わりたいだろ、でもそんなに枠がないんだ。だから数が多くなった動物から先に人間になる権利がもらえる法律ができたんだよ」「そうか、じゃあ熊では俺達が1番多いから枠はたくさんもらえるな」「そこが甘いんだよ、いまヒグマは天国で激増中だ、日本で人間を襲って片っ端から銃で撃ち殺されてる」「俺達の方が先に来てるぜ」「後か先かより数が優先だ。だから奴らは君らの数をどんどん減らして一番になり、君らをさしおいて人間になろうって寸法さ」。トラゾーは僕のとなりで色目を駆使するみよ子の魔力で頭が混乱してる。しめしめ、うまくいった。「そうか、与作の野郎許せねえ!挨拶だって一度っきりでそれから何もねえ。どうも静かだと思ってたらそういうことだったんだな」「トラゾー兄貴、僕たち猫族はシロクマの味方だってことが分かってくれたかな」「オウ、合点がいったぜ」「それはよかった、じゃあ僕たちが時々あんたらの領地の水辺で魚捕ったりするけど大目に見てくれるよね」「そりゃもちろんだ。これからお前達の安全は俺が保証するぜ!」。
領地をヒグマにぶん取られたら猫族全員が生きるか死ぬかの瀬戸際に追い込まれるところだった。ゴンベエもシャムも泣いて喜んだ。「フク、お前すごいな、どうやってあのこわもてのトラゾーを丸め込んだんだ?」「いやいや僕じゃない、みよ子のお手柄だよ」。そう言ってみよ子に目をやると、大あくびをしながらひとりまったりと日向ぼっこしてる。そうか、こいつ、ずっととなりにいたけど何もわかってなかったんだ。なんともはや、天国の猫はお花畑ばっかりだ、僕がしっかりしないとやばいことになっちゃうぞ。ヒグマは手ごわいシロクマなんか襲うわけがない。ウソがバレたら今度はトラゾーが怒って僕らを襲うだろう。であれば打つ手はひとつしかない。トラゾーをそそのかしてヒグマを襲撃させるのである。
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