Sonar Members Club No.1

since September 2012

3iアトラスの置き土産(赤は人の数だけある)

2026 APR 8 6:06:49 am by 東 賢太郎

思いおこせば、観測史上3つめである恒星間天体「3iアトラス」につき拙文を上梓したのは去年の11月5日未明だった。それがWOWシグナルの発信源ならば、大学生だった1977年から隠居も近い2026年まで半世紀のご縁があったことになる。 100億年前に生まれた天体にとって50年は0.0000005%と、まさしく天文学的に微細な数字であってなにやら光栄な心持ちすらある。そうした気分から万感の思いを込めて文章を綴ったものだが、その2日後に愛猫フクが天に旅立って全ての気力が失せるほど動転する羽目となり、そして天体は二度と戻ることない虚空の彼方に去っていった。

3iアトラスの正体は誰も知らないことになっている。最も観測情報を持っているアメリカ航空宇宙局(NASA)が公式見解として「普通の彗星でした」で幕引きしたからだ。それはないだろうと情報を追い、特に、ハーバード大学宇宙物理学教授アヴィ・ローブ氏のユーチューブ発信は全部チェックした。そして確信した。

NASAは嘘をついている

証拠はない、直感だ。僕は「3iアトラスは宇宙の果てでも成り立っているはずの物理法則を破って学者に衝撃を与えた」と理解している物理学の素人のひとりである。そのことに対し、「ブラックスワン(黒い白鳥)を見た」とリアクトできるほど物理学の絶対普遍性を信奉している人間は地球全人口の1%もいないのではなかろうかと孤独感を覚える程度には、僕はその一員であると自負している。

アヴィ・ローブ教授はブラックスワン、インターセプト(迎撃)なる異例な言葉を含む論文を発表した(迎撃ドローンをinterceptor droneという)。そして、トランプ大統領が99%の側の米国民に向けて事実上のイラン撤退を宣言するや、1%の側から「アルテミス計画」が発表される。 1972年に休止した月への有人飛行の再開だ。これを報道するとこの様にユルいお花畑チックになってしまう我が国において、1%側が何%いるのかはとてもおぼつかない。

目的はNASA職員の女性が語っている。宇宙の通信管理(その真相は冒頭動画から推察できる)および火星有人飛行への中継基地設営だ(冒頭動画は2026/02/18付で、その時点でアルテミス計画に付言している点で価値がある)。

2025/11/5に書いた稿はこれだ。

「3I アトラス」に懐いてしまう親近感の正体

そしてアヴィ・ローブ教授も2025年の論考やインタビューで、次のように述べている。

・1977年のWOWシグナルの方向と3iアトラスの位置が近かった可能性がある

・この一致は偶然としては「確率0.6%程度」と計算される

・つまり「3iアトラスがシグナルの発信源だった可能性」を検討すべき

しかしローブの見解は学界で主流でなく、

 ・「刺激的な仮説の一つ」ではあるが

 ・検証されておらず、かなり推測的(speculative)

とされる。これには違和感しかない。検証されていないから仮説を立てるのであり、それをスペキュレーションと批判する者は17世紀にフランシス・ベーコンが説いた「正しい知識を獲得する方法としての帰納法」を勉強すべきだ。

この一致は偶然としては「確率0.6%程度」

これは恣意でなく計算で導かれた数字であり、「確率0.6%」とは「167回に1回」であり、自然現象なら「人が1年のうちに雷に打たれる確率」ほどだ。社会通念として低い値ではあるが、といって絶対起きないということはなく、たまたま今回起きたのだと言われれば反論はできない。しかし、コップ半分の水を「まだ」か「もう」か論争してもそこから科学は発生しない。色彩は電磁波である光の周波数で決まる。「赤色」に見えるのは約400〜480テラヘルツと幅があり、 400の人と480の人の赤は異なることを意味する。「そのゾーンが赤である」と決めれば「まだ」か「もう」か問題が発生するのは400、480のしきい値(閾値)の2ケースのみであり、確率0.6%がぴったり閾値でないならば、ローブの「かなり低い」という意図を含んだ例示に対し、他の学者が「0.6もある」と言ったに等しい拒絶を見せることは科学的な態度ではないという批判は許されるだろう。

これに対し、帰納法の利用に自由度の高いローブ教授が「ブラックスワン」に言及した点は興味深い。

出版時に話題となったこの書を読まれた方は多いだろう。人間が予期せぬ出来事を理解しようとする方法を分析し、社会で何が起きるかを説く(①予測不能②インパクト甚大③後付けの既知感の発現)。ローブ教授にとって3iアトラスは①②を満たす黒い白鳥であり、③が「普通の彗星でした」であり、偶然としては低確率で出現した太陽系外天体への対応に防衛上の危機感を覚え、著者ナシーム・ニコラス・タレブの「アンチフラジャイル」の哲学を用いて人類に警鐘を鳴らしたのではないか。レバノン人のタレブはウォートンMBA、数学・統計学者で、ウォールストリートのデリバティブトレーダーでもある。確率、ランダム性、複雑性、不確実性の観点から現象を検証し、ここが多くの日本の学者と決定的に違う点だが、 自身がヘッジファンド運用で億万長者になることで自説の正しさを証明している。ちなみに、これは偶然だが、ソナーも彼と同類の哲学による運用によって16年に渡って定常的な利益を積み上げている。現実世界へのアプリケーションが可能な哲学や理論の場合は、結果を数字で証明することが社会へのインパクトを最も明らかにする方法である。

タレブを気に入ったのはそれを行ったからで、一部に異論もあるが、批判者が何万人現れようが我関せずで数字による証明を果たした勇猛果敢ぶりが誠に清々しいからだ。彼が金を儲けたということは、その分、損したした人がいるわけで、では何が大きく損させたかというと黒い白鳥への対応なのだ。株価は波動であるがスーパーコンピューターで分析しても規則性は見つかっていない。あるのは売買によってそれを動かす人間の脳が産む波動である。ブラックスワンに驚いてパニック売りする人が勝つ可能性は低い。ではその逆張りをすれば儲かるかというと実はそれもないから脳を研究しても答えは出ないだろう。発想を逆転した解決法が2つある。 1つはアルゴリズム取引。もう1つは答えは出ないことを正答とし、あるのは確率、ランダム性、複雑性、不確実性だけであると仮定することだ。僕は後者に属する。それでも絶対的な勝利の方程式は存在しないが、勝敗は確率であり、無防備ゆえに負ける愚を減らして相対的に勝率を上げることはできる。アルゴリズム取引は装置産業で膨大なコストがかかるが、そちらは紙と鉛筆だけでできる。

そう考えるようになった理由は独特だろう。僕は自分の色覚の特性から「赤色」は十人十色であって、絶対的な赤は存在しないという考えを持つに至った。「赤く見える」というのは主観であり議論の余地がある(debatable)。赤かどうかは既述のように絶対普遍である数字(周波数帯約400〜480テラヘルツ)によってのみ定義され、そこに属する証明がなければ科学者が言おうがピカソが言おうが僕は赤とみなさない。自分の感覚の上に築かれているという点において他者に影響されず、前提は「数字のみが絶対」の宇宙観であり、既存の類型に当てはめるならば自分は唯物論者、実証主義者であって、リスクをミニマイズしたい演繹的な人間である。これがまずワタクシの第1の特色だ。

ところが第2に、自分の中には別人がおり、時に真逆の主張をする。数字も論理もない仮説を前ぶれもなく思いつき、証拠を出せと否定する自分を説き伏せてしまう。例えば、直感でこの株が上がると思うようなケースだ。もちろん証明は不可能だ。そこで業績が伸びるという仮説を立てられるかどうか検証する。できなければそのアイデアは捨てる。できるなら業績と株価は演繹的な相関性が証明できるので三段論法が成立し、第1のワタクシは納得するのだ。演繹で株価が予測できる場合を業界用語で「おり込み済み」と呼び、誰でも同じ予測が可能だから利益は出ない。帰納的推論は必ずしも同じ予測を導かない。だから先回りして買う機会がそこそこの確率で期待でき、万人がそれを知って買いに来た時に売れば高い確率で利益が出るのである。

ニコラ・テスラが交流電力を発見した発端は既存の電磁気の知識から得た直感(帰納法的推論)であった。コペルニクスの地動説もニュートンのリンゴもそうであり、ケプラーは火星の逆行運動を円の組み合わせで演繹的に解こうとして行き詰まり、「万物は神の意志で円運動する」という当時絶対であった神学的前提を捨てるという帰納法により楕円運動という真相にたどり着いた。思えばシャーロック・ホームズもエラリー・クイーンもコロンボも古畑任三郎も推理(帰納)と捜査(演繹)の両方を用いている。数学の難問を解くのもまた同様であり、機械的な計算問題で演繹力を鍛えるのは誰でもすることだが、ベクトルを使った方が速いのでは?のごとき直感力(帰納)を訓練すれば有益だ。両方を高度なレベルで用いることができる人は世界人口の1%はおろかほとんどいないと思われる。だからそれをインテリジェンスと称し、戦争で知的な武器として使う有用性が担保されるのだ(CIAのIだ)。

アヴィ・ローブ教授

僕がアヴィ・ローブ教授の指摘した可能性(帰納法)に大いなる共感を抱いたことを共感いただけただろうか。とはいえ、地動説も万有引力も交流電力も楕円軌道もそうであったからローブ説も正しいとは言えないのは『「a1はPを満たす」かつ「a2もPを満たす」から「全てのaはPを満たす」という結論の正しさは保証されない』という命題は真だからだ。真なる命題は『データをすべて持っているNASAが「検証したが普通の彗星であった」と反証を提示したのでローブの帰納法は “論理的に” 破綻した』でなくてはいけない。

いまや「科学の進歩や国威発揚のため人類を月に」のような目的はインテリジェンスの進化に貢献するどころか無意味な贅沢でしかなく、AI時代に本社社屋の巨大さや従業員の多さを誇る愚かな経営者のようである。約930億ドル(約14兆円)もそれに予算をつけられるほどアメリカの財政は健全でもない。史上最大のIPOを発表したイーロン・マスクのSpaceX社が共同事業者になったとはいえ、国家予算を議会が承認したアルテミス計画はれっきとした公共事業であることを考えると、 その目的が3iアトラスの素性に対するNASAの平平凡凡たる見解によって論理的に破綻したはずのローブ仮説へのNASAの対応であるなら、それこそが国家運営の論理破綻と痛烈に批判されうるだろう。今のところそれは耳にしていないので、アメリカ国民はまじめに火星へ行きたがっているのか、ことの次第をきちんと理解できるインテリジェンスのある者は人口の1%の、そのまた1%しかいない証左なのかもしれない。

では、アルテミス計画の真の目的とは何だろう?

100億年前に3iアトラスを発射した地球外生命体が実在し、彗星を装って太陽系に宇宙船を送り込み何らかの計略を試みた。これがアヴィ・ローブの仮説の本筋である。科学者としての慎重さを担保するため彼はそうは言わないし、言えば国民を不安に陥れるためNASAは政治的意図を持って否定するだろう。1977年に地球に膨大なエネルギーを要する電波(WOWシグナル)をピンポイントで浴びせたのがローブの主張するように3iアトラスであったなら、冒頭動画が開示しているように人類の宇宙空間通信網にサイバー攻撃を仕掛け、ブラックアウトを起こして人類の脅威になる可能性を100%は否定できない。つまり「地球外からの地球防衛」が月面基地建設の本来の目的なら理が通るのである。

100億年前に作られた物体ということは46億年前に誕生した太陽の2倍以上の年齢で、 138億年前にできた宇宙の創世記にほど近い。金属の無い場所で生まれたのにニッケルで表面ができており、自らの作用で軌道も色も変え、太陽と反対方向に出る尾っぽが太陽に向き、微量の有機化合物を撒き散らし、作為でないならあまりに確率の低いフライバイを木星で行った(太陽系への入射角も低確率)。以上は複数のソースで確認されるので事実と思われ、物理学が覆り、未だ仮説であったことが以上の「反証」で証明された。眠れぬ夜を過ごした物理学者が続出したと想像する。そこまで奇妙な、マンハッタン島とほぼ同じという巨大さの、二度と出会うことのない物体がすぐそこを通っているのに血眼で観測しないような人間が天文学者になるとは思えない。世界中のアマチュア天文家までが夜を徹して望遠鏡を向けあらゆる角度からデータをとり、全てをNASAは入手し、真っ赤なウソをついた。ローブは証明できぬ自説を強弁せず、それを暗に指摘する戦略を選択した。

3iアトラスという物体は明らかに異様であり、僕はそのことを多くの人に語った。そして発見した。自分ほど興味を持つ人は周囲にはいないことを。

僕が異様と反応するのは数学、物理学の普遍性、頑強性を信じる強度(レジリアンス)が高く、だから「数字のみが絶対の宇宙観」に起因する哲学で世の中の諸事情を眺めている証拠なのだ。したがって、僕の中でそれが変わることは1+1が2でなくなるぐらいにない。その宇宙観で生きたと思われる人々の中で最も優秀な人はアインシュタインだろう。だからその人が「不気味な遠隔作用」と疑念を呈し、隠れた変数があるとして否定した「量子もつれ」がベルの不等式によって正しいと証明されたことは、僕は宇宙観の転換を迫られていることを意味する。アインシュタインにとって「量子もつれ」はブラックスワンであり、僕にとってはそのことがブラックスワンであった。

つまり、赤色が人の数だけ存在するように、数学、物理学の普遍性、頑強性を信じる強度(レジリアンス)も十人十色なのだ。ない人は強度がほぼゼロであり、黒い白鳥に出会っても黒猫が出たぐらいの反応しかなく、僕の観察によれば、こと天文現象に関する限りそういう人は日本人の大多数と断言してもいい。これも観察からして、西洋人の方が日本人よりレジリアンスが高いように思われるが、彼らは一神教の神を信じ、聖書に書かれた通りに世の中は動くはずだと教育されるからだろう。神の意志は1つしかなく、万物はそれで動き、それを記述したのが数学・物理学であるという信念にこそレジリアンスの源があるということだ。多神教の日本にはそれが育つ余地がなく、実は一神教の理屈という背景がある西欧型の学校教育はストレスであり、「世の中、理屈じゃないよね」といえば「そうだそうだ」と宴席が盛り上がる。子供に宴席はなかったが、群れると漂う同種の空気がどれほど少年時代の僕を孤独にしたことか。

ブラックスワンの著者はレジリアンスが非常に高い人で、予想を裏切る株価の動きは普通の白鳥にすぎないことをランダム性、複雑性、不確実性の理論をもって俯瞰し、自説を大胆に断言しきっているところに小気味の良い面白みがある。驚くのでなく征服する。戦いに勝ち相場でお金を失わないためには戦略からフラジャイルなもの(脆弱性)を消すこと。全く同感である。アヴィ・ローブも多分そうだろう。

Categories:______サイエンス, ______科学書, 若者に教えたいこと

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊