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僕はスナイパーしか使わない

2013 JUN 5 18:18:59 pm by 東 賢太郎

昨日のオーストラリア戦、本田圭佑は英雄になった。あのど真ん中を割ったPKが技術的にどうだとかは全然わからない。しかしあれが、窮地に落ちた日本を救った。

ああいう場面で決める人は本当にすごい。男の中の男だ。サッカーがうまいかどうかという次元の話ではない。うまくても決まらない人はいくらでもいるだろう。ゴルフでも、ここぞという時にロングパットを沈める人。敵に回すと実に手ごわい。僕はそういう人たちをスナイパーと呼んでいる。一発必中の狙撃手という意味だが、やれと命じれば地の果てまで追って確実に相手を倒す、まあちょっと古いが007やゴルゴ13のイメージだ。ジェームズ・ボンドが「すいません、ダメでした」と頭を掻いてるシーンはないのだ。

そして僕のイメージする野球の4番打者とは、まさにそのスナイパーだ。1回の攻撃で1~3番が1人でも出塁すれば4番に回る。そこで相手投手を確実に仕留めて先取点を取る。これが4番だ。投手から見ると、そこで4番を三振にでも取ればものすごく気分が楽になる。今日は行ける!と思って調子にのってしまう。だから4番は絶対にスナイパーでなくてはいけない、と僕は思う。3,5番だとそれができても4番に座ると重圧を感じてダメという人がプロにもたくさんいる。そういう人は何本ホームランを打っても強打者でも、生まれつきスナイパーではない。

僕は人生で4番を打たせてもらったことがない。これが悔しい。4番というよりスナイパーが憧れだから。高校時代は1年の秋からどういうわけかずっと6番だった。投手は野手と別メニューの練習になる。だから野手の連中が毎日何をやっていたか知らないが、投手は打撃練習はしても時間はずっと少ない。それでも打率はチームで1、2位だった。これスナイパーじゃないの?3安打完封を食らった試合でも1本は俺の3塁打だ、ちくしょーなどと思っていた。4番だったN君は左ででっかい。日大三高からホームランも打った。あれは非力な僕には無理だ。でも4番はホームランだけなんだろうか?

でっかい人が4番というのは、僕なりに理屈がある。ホームランが打てるからではない。スイングスピードだ。これが速いと速球に振り負けない。これが高校野球レベルの分かりやすい理由。プロはたぶん違う。ボールになる変化球を引きつけられるのが理由じゃないか。フォークをストンと落とされてもバットが止まる。たとえば広島の打者は実にボールになるスライダーの選球眼が悪い。非力な打者は引きつける余裕がないから早めに振り出す必要があり、腕の振りに騙される度合が大きい。メジャーは全員がでかい。だから速球に振り負けしないので投手はきれいな速球(4シーム)はあまり投げない。手元で曲げて芯をはずすのが主流だ。それを打つには引きつけるしかない。だからスイングスピードが必要であり、チャンスで打たなくてはいけない4番はでかい奴になるのだ。

しかし最近日本のプロではつなぎの4番というのが出てきた。ロッテは以前のサブロー、彼は冷徹なスナイパーだ。阪神だと鳥谷。彼もスナイパー能力がある(WBC台湾戦の起死回生の2盗がそれだ)。カープの広瀬、これは人材がいないからだが14打席連続出塁はスナイパー能力を垣間見せる。もちろん松井や阿部やおかわりクンの4番に文句はないが、投手目線ではスナイパーの4番もいやだと思う。今のプロで最もスナイパー能力があると僕が思うのは巨人の坂本だ。いいとこで打たれる。しかも大きいのを。坂本4番、阿部5番の方が荷の重いキャッチャーをやる阿部が楽なのにと思う。

最後に、ビジネスにおいてもスナイパーは存在する。やれ、はいと言ったら必ずやる。言った以上、雨が降ろうが槍が降ろうが四の五の言わない。出来ないことは出来ないと言う。必ずやることにこそ、その人間の価値観がある。こういう人。若い人は是非これを目指すといい。必ず組織で頼られる人材になり、たぶん、いや余程ほかがひどくなければ出世する。なぜなら上司は成果が欲しい。だから成果を出す部下がのどから手が出るほど欲しい。やれば必ず信頼される。だからいい仕事を任される。すると部下ができる。部下は上からの信頼が厚くていい仕事を自分にくれる上司が好きなのだ。すべて好循環になるから出世しないはずがない。

しかしこういう人はあまりいない、いやほとんどいない。なぜ「走れメロス」が教科書に載っているか考えればいい。あんな人はいないからだ。ダメな人。簡単だ。やりますと言っておいて中途半端に済ます人、それでやったと思っている人、できない人。できなかった理由を四の五の言うのがうまい人。問い詰められると逃げる人。若い人たち、偉くなりたくなかったら是非そうしたらいい。ビジネスでは絶対に上司からも部下からも顧客からも信用されない。やり遂げることに価値観のない人は、要は何をやってもダメだ。忠誠心や協調性も大事とされるが、それは安定成長のバランス型組織においての日本的、20世紀的価値観だ。21世紀の日本経済にそんな和やかな予定調和はないと覚悟した方がいい。ビジネスにおいても、本田圭佑と4番打者は永遠にスターなのだ。

 

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