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株式道場-未来を原理思考しない日本人-

2014 NOV 20 17:17:27 pm by 東 賢太郎

皆様どのぐらい僕の経済記事をまじめに読んで下さっているか知りませんが、これが去年の12月25日時点にご披露した2014年の日本の株式市場と円ドルレートの予想です。

  来年の日本株を予想する (My thoughts on Equity Market in 2014)

この予測の結果、来年は弊社が運用アドバイスする資産を倍増していただけることになりました。我々は口先だけの評論家ではなく結果の成否でメシを食っているのでそれはビジネスとしてよかったということではありますが、僕の気持としては弊社の「アドバイスという商品」の価値を認めて下さったことが何よりもうれしいです。こういうお客様のために仕事をしたいと思うのです。ちなみに我々の運用の助言契約先に日本人、日本居住者はいません。

日本人は未来をまじめに思考して議論する人が先進国としては驚嘆に値するほど少数派の民族です。欧米人と決定的に違うのはそこだといってまったく過言ではありません。今日のことだけ一生懸命やりなさい、明日のことなんかわかるはずがないでしょという(本人が意識しているかどうかに関わらず)頑強な文化的刷り込みがあって、これが一般庶民ならともかくインテリ層までそうであるというのは何かどうしようもなく抗しがたい屈強な根拠でもあるに違いないと絶望的な気持ちになるばかりです。

確かにそうです。わかるはずがないんです未来のことは。でも多少はわかるかもしれないし、わかれば徹底的に有利でしょ、だから原理というものを解明すればいいじゃないか。そう考えるのが西洋人であり、僕個人も根っからそういう人です。もちろん日本人が未来を考えないというわけじゃありません、正確にいいますと、原理、ロジックというもので未来を見通す可能性というものを信奉していない、かたや西洋人はその信奉者である、だからこれはやはり宗教に起因する違いと思います(僕は仏教徒ですが)。

例えば月にロケットを飛ばす、それはロケットを月に命中させるということであり、2つの物体の位置を正確に「未来予測」することにほかなりません。それは物理と呼ばれている西洋人の考えた「原理」で知るわけです。日本人だって小惑星イトカワに探査機を命中させましたし、それを帰還させた応用技術力に世界は拍手を送りましたが、それは物理学という西洋の原理解明の学問をひも解いてのことです。教科書で習った方程式を解けば出る答えを「未来を予知した」という捉え方はしていないのではないでしょうか。

投資の世界での原理解明はまだ明確な結論がありませんが西洋人は真剣にその予測モデル開発競争をしています。これは科学に近く、僕の株式への関心もひとえにそこにあります。一般に日本では株というものは上がったり下がったりするわけのわからないもので予測はできず、景気とか業績とか屁理屈ぐらいはあるんだろうがしょせん台風の進路予想みたいなものだ、どうせわからないのだから競馬と同じばくちだろうという認識でしょう。したがって、ここが重要なのですが、投資信託を買って利益が出ても、それはラッキーだっただけであって、それを生み出した運用者に原理を介して未来を見通す能力があるかもしれないと思う人はほとんどいないのです。

スイスにいた頃、ある大手運用会社の会長に「どうして日本では成績のいい投資信託ほど残高が減るのですか?」と質問されました。そうなんです。西洋では逆が常識ですからびっくりするわけです。これは証券会社が加担していて、もう上がりましたからまだ上がっていないのに乗り換えましょうなんていう手数料商売が背景にあります。上がってないのは運用者が未来を見通すことに失敗した、つまり無能の証明なのであり、わざわざ手数料まで払って有能な方から乗り換えさせるなどナンセンスの極みです。

良い運用成績を出し続けるのは能力であり、たまたまアベノミクスで今年はもうかりましたというのではない。そう考えるかどうかは一つの主義であり、それを信じない主義もあります。僕らは前者であり、その能力があるかないかは僕ら自身もわからないのですが、もちろんあると信じているから会社をやっています。その結論が僕らの運用アドバイスの内容なのであり、お客さんから見れば(能力というのは結果でしか見えませんから)その方法論が正しいのだろう、だからそれに従ってみよう、というので資金を増やしていただける。だから僕らに求められるのは方法論を絶対に変えないことなのです。

それが他人に運用の判断をしてもらう側の原理であります。投資信託を買うというのは運用者の能力を買って手数料を払うわけですからその原理に則って行うべき行為なのです。成績の良い人から悪い人に乗り換えるのは、能力的にたくさん打てる三割打者に一割打者の代打を送るみたいなものです。だから投資信託を買われるなら「誰がどうやって運用してるの?」という質問をしなくてはいけません。証券会社のセールスマンでまともに答えられるのはあまりいないでしょう。「一流会社の一流ファンドマネージャーです」のような回答が来たら、即刻お断りした方が賢明でしょう。

さらに言うなら、そういうセールストークにのってしまう人に投資勧誘などすべきでないのです。むかし伝説があって、ある証券会社の地方支店の店頭にお客さんが大量の現金を持って現れ、「必ずもうかるわらんこを下さい」と言ったというのです。よくきいてみたらワラントだった。通じないのでウチは「わらんこ」はおいてませんとお引き取り頂いたそうですが、ばくちだと思うのはまだましだという話です。「必ずもうかる」と詐欺まがいのセールスにでもいわれたんでしょうが、そんなものが世の中にあると信じていること自体とても危険であり、我が国の投資教育は発展途上国なみの水準です。

それはおそらく帝国大学の経済学部がマル経だったことに遠因が求められるでしょうが、ではマルクスの資本論という書がどうかというと、少なくとも立派な未来予知の書であり、僕の印象では素晴らしく原理解明にこだわった書であると思います(その予想は当面は当たってませんが)。その原理を学んで信奉している大学の先生が教えると、その帰結として原理思考とはほど遠い国民が生まれる。このメカニズムはどういう原理に基づいているのかぜひ解明してみたいほどです。

ということで我々は当面のところ外国人の顧客しかもたないというポリシーでやっています。わらんこが下がったと文句を言われてもかなわないからです。

 

「未来」と呼ばれているものの正体

 

 

 

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