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札幌交響楽団のシベリウスを聴く

2015 FEB 18 2:02:00 am by 東 賢太郎

サントリーホールにて尾高忠明指揮で交響曲5,6,7番。この3曲を一度にやってくれるとなると聴くしかない。札響というよりも日本の地方オケは大フィル以外は初めてでありそれも楽しみだった。尾高さんは2007年6月2日にN響でブルックナーの8番を聴き、それがとても良かったものだからずっと気になっている指揮者のひとりである。

席はあんまりよくなくて正面向かって右上のブロックだが、どこで聴いてもそう変わらないのがこのホールだ。このプログラムだと聴衆はどんなだろうと思って見たが、ほぼ満員に近く男性が6-7割だろうか。若い人もそこそこいてシベリウスのファン層はけっこう厚いのかもしれない。

まず5番だがホルンが響き木管が鳴るともう一気に気分は北欧である。ただどこかオケが固く、音が伸びていない。これはサントリーホール・トーンなのだが、高弦はトゥッティで耳につくし16-14-12-10-8なのにボディがない(本当にこのホールはだめだ)。第1楽章の弦がごわごわやりながらファゴットがつぶやく部分、あそこはなかなか間が持たなくて急に光がさすブラスの不思議な和音が生きない。終楽章全奏のフォルテもやや濁り気味である。正直のところこれを聴いてやや気持ちが萎えてしまった。

オーケストラというのは生き物だと思ったのは休憩後の6番だ。入りの第2ヴァイオリンから美しい。楽器が暖まった?のか(外は小雪で寒い)管もだんだん良い音になっている。まとめるのが難しい第1楽章だが納得の力演。速いパッセージの第3楽章poco vivaceあたりからエンジンがさらにかかり、アンサンブルも闊達にきまってくる。第4楽章はとにかく音楽が雄弁であるが、オケが自分の言葉で主張できているからラストの静寂が見事に印象的であった。

そして7番。これはさらに音が熟してヨーロッパのオケのような響きになる。いやな音が消えている。同じオケが誠に不思議なものだ。音楽の集中度がぐんぐん増し、最高に感動的なトロンボーンが頂点を築く。なんて素晴らしい曲だろうとただ聞き惚れるばかりで、何も派手なことは起こらないのに心が徐々に暖まって滋養に満ちてくる。大変な名演であり、ここまで弾きこんだ札響に敬意を表したい。尾高さんは現在わが国を代表する名指揮者であると確信した。アンコールのアンダンテ・フェスティーボの弦も大変美しく、今日は大好きなシベリウスを堪能させていただいた。

ひとつだけ、極めて残念なのはフライング拍手が起きてしまうことだ。何でこの曲でそんなことが起きるの?これだけの名演を成し遂げている演奏家がお気の毒でならないし、他の聴衆の感動もぶちこわしにしてしまう。こんなことは11年いたヨーロッパで一度も経験がない。ファンの熱意はわからないでもないが、クラシック音楽というのはロックやポップスとは違う、余韻まで楽譜の一部だ。

 

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Categories:______シベリウス, ______演奏会の感想, クラシック音楽

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