モーツァルトに関わると妙なことが起きる
2017 MAY 14 1:01:53 am by 東 賢太郎
仕事柄スピーチというのは何十回もやりましたし、二十ぐらいの大学で金融・証券の90分講義もしています。僕はいかなる場合も原稿は書かない主義なので、今回も、音楽のレクチャーは初めてでしたがやっぱり流儀は変えずアドリブでした。同じのをもう一度やれと言われても無理ですし、話した中身も順番もすでにけっこう忘れてます。
ではどうやって話を進めるかというと、忘れてもいいようにテーマに添った話題を多めに用意しておいて、あとはその場でお客さんの反応を感じながらの即興です。客席のレスポンスというのは如実に肌で感じるのですが今回はお陰様でポジティブで素晴らしく、あれなら2時間でも3時間でも本当にいけたでしょう。
実はこれをお引き受けするにあたってはホールのピアノがファツィオリというのも効きました。されど本番で大ホールで自分で弾くなどという蛮勇は当初はなく、楽譜だけ用意してピアニストの吉田さんにお願いしようと思っていたのです。そうは問屋が卸さず自助努力でとなってしまい、やめときゃ良かったと後悔しましたがもう遅かったのです。
僕はモーツァルトに関わるとどうも妙なことが起きており、2005年のウィーンでの奇異な体験はコンサートの打ち上げディナーでオケの皆さんにはご披露しましたが、誰も信じない本当の話です(まだブログにはしてません)。今回も嫌な予感がしたのですが、やはり本番でハプニングが起きてしまいました。
ジュピターを弾いている最中です。譜面台にあったハイドンの楽譜が空調?の風で吹き飛んで、鍵盤の上に1枚だけはらはらと落ちてきました。それがなんと、弾いている両手の上に風圧でピタッと貼り付いてしまったのです。手が見えない!下に落ちる気配もない! パニックでした。
右手で振り払って床に落っことし、ジュピターは暗譜してたのでなんとかなりましたがもう完全に動揺してました。次のPC25番は暗譜しておらず、譜面が飛んだらアウトです。飛ぶなよ飛ぶなよと祈って弾いたら間違えました。子供の頃モーツァルトはハンカチで両手を隠して弾くのが十八番でした。どうも僕はモーツァルトに関わると妙なことが起きるのです。
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西村 淳
5/15/2017 | 9:31 PM Permalink
大活躍のレクチャーでした。改めまして心からお礼を申し上げます。
ウィーンの出来事は確かにあまりにも嵌りすぎていて俄かに信じがたいことでしたが、事実。そして、ここ豊洲にもアマデウスの影がありました。なにしろ「ジュピター」の鼻息で楽譜が飛んでしまう。奇妙なことに・・次は騎士長の石像が・・いえいえ、このあたりで止めておきましょう。(笑)