のい隊長の事件簿
2017 SEP 6 19:19:50 pm by 東 賢太郎
僕は苦手が三つある。高所、閉所は書いたが、もう一つが蜘蛛(クモ)だ。いや、高所、閉所は気の持っていきようの訓練の甲斐あって多少はなんとかなる部分もあるが、クモはない。どうしようもない。大きさや形状や習性は関係ない、体長1ミリであろうが巣にいようが地上にいようが、断固としてだめである。
小学生のころ、テレビ番組で「素浪人・月影兵庫」という勧善懲悪もの時代劇があって、呑兵衛で正義の味方の剣豪・月影兵庫の相棒に焼津の半次というお調子者の旅烏がいた。この男が大のクモ嫌いの設定で、クモを見ると叫んで逃げる。みんな面白がってたが、僕は仲間がいたと安心したものだった。
食べ物で体が反応してしまうアレルギーと似て、クモを見ただけで思考停止となり、他のことは一切手につかなくなる。もちろん寝るなどあり得ないから寝室で運悪く発見してしまうと最悪は殺すしかなく、益虫だしそれは気の毒という理性はあるので捕獲して外へ逃がすという難しい作業になってしまう。
2メートル以内に寄るのも困難な僕にそれは無理で、家内か娘にお願いすることになる。まるで焼津の半次であるが恥ずかしいとか言ってる場合ではない、先日も我が家ではJアラート発動なみの事件となったのである。
ところが、我が家には有能な味方がいる。「のい」である。防犯カメラ、警備会社の鉄壁のアラームセンサー網には一定の信頼を置きつつも、のいの見廻りパトロール(右)は平素より我が家の専守防衛に関して不可欠の役割を果たしてくれており、職務中は「隊長」と役職名で呼ばれるほどの高い評価がある。それは接近する外敵の看視に限らず、内部に侵入した敵の発見と排除にまで及んでいるのである。
思えば僕とクモの関係も因果なものだ。べつに噛まれたわけでもないし何の恨みもないのに「生まれつき嫌いなんだ、おれの視界から消えろ」というのは理不尽な話である。そんなことしている自分が嫌になる。
そして、その真逆が猫なのだ。「生まれつき好きだからいつもそばにいてほしい」ということであって、これも猫にすれば迷惑なものなんだろう、のい隊長は僕とは必ず一定の距離を置いている。こっちの愛情は関係ない。悲しいものだが、そこが猫なのだろう。そういえば素浪人・月影兵庫の苦手こそ、猫であった。
ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。
Categories:(=‘x‘=) ねこ。