Sonar Members Club No.1

since September 2012

10連敗の巨人に広島が肉薄

2021 OCT 18 15:15:59 pm by 東 賢太郎

チームスポーツには闘将が必要だ。みんなで仲良く民主的になんてのはないのである。その男の覇気と活躍でチームに勇気がみなぎって勝ってしまう、たとえば、V9の巨人には長嶋茂雄、黄金時代の西武には秋山幸二がいたし、カープ黄金時代は山本浩二がそれだった。単なる4番やエースとはちょっとちがう。王、江川、イチロー、松井、松坂、マエケンはそれではない。大谷翔平もそうかどうかチームが弱くてわからない。喧嘩が強い清原や近鉄のデービスも違う。甲子園制覇した時の斎藤佑樹、楽天で全勝した年の田中将大、昨年までのホークス柳田はそれだ。

いまヤクルトの闘将は、終身名誉キャプテンの青木でも、キャプテンの山田でも、選手会長の中村でもない。21才の村上だ。そう思ったのは、例の近本のサイン盗み疑惑で両チームに一触即発の緊張が走った阪神戦である。動作でコースを教えてると文句をつけた村上に矢野監督が「やっとるわけないやろ、このボケがぁ」とえげつない口調で罵声を浴びせると、村上は何だこの野郎とばかりに三塁から阪神ベンチに向かってつかつかと歩いていった。大人しいヤクルトにああいう選手はいない。

阪神にもいない。でもチームは元気がいいのは、あそこで強烈な大阪弁をかます矢野監督こそが闘将だからである。中日は森監督は怖かったが、今はいないから投手はいいのに打線が弱い。DeNAはラミレス闘将だったが英語だから通じず、三浦番長はリーゼントに闘魂は感じるもののまだ未知数である。巨人はどうか。阿部、坂本、菅野、岡本、丸。ぜんぜん無理である。原監督が闘将なのだ。罵声は不要だ。読売が全権委任する隠然たる球界政治力・人事力は絶大で、日ハムで出場停止処分になった中田翔が移籍するや試合に出てしまう。公文書改竄だろうが公職選挙法違反だろうがものともせず無視できる安倍元首相並みの絶対君主であり、怖くて誰も逆らえないのである。

では我が広島カープはどうか。いたのだ。黒田である。ビーンボールで藤浪を恫喝したらイップスになってしまった。同じのを投げられて転倒した大瀬良は笑顔で気にするなだ、なんていい奴だろう。黒田がパワハラなのではない、闘将とはそういうものであり、野球は格闘技なのだ。カープの3連覇は闘将・黒田、副将・新井、戦闘員タナキクマルがいたからできた。去年今年の負けは佐々岡監督の力量のせいではない。彼は優しいし、闘将がいなくなったから自動的に弱くなったのである。

いまカープが登り調子である。鈴木誠也という新たな闘将が現れたからだ。彼は元からいたが、若手の躍動がそうさせたと思う。小園の怖いものなしの不敵な面構え、初球からガンガンいく強靭なバットスイング、身体能力を尽くした遊撃守備は相手が嫌がるレベルにある。ツボに来たらスタンドだねという不気味な雰囲気が濃厚に漂う林も嫌だろう。2人とも高卒3年目の21才だが、かようなことに年齢など関係ない。23才の坂倉はその刺激か打率3割を打って首位打者争いに加わっている。副将が菊池と西川で若頭が坂倉、戦闘員の先鋒が小園・林といい形にはまってきた。投手も高卒2年目でハタチの玉村がローテに入った。ベテランも守備では上本が外野で凄い球際処理を見せてくれ感動ものだ。いずれも、監督やコーチの説教で出るものではない、闘将の覇気と活躍のなせる業だ。

それはケガの功名であった。昨年からのカープ低迷の原因はフロントの外人獲得戦略の失敗にある。去年のスコットはジョンソンの代わりだろうがストライクも入らない欠陥品だ。今年のクロンはエルドレッドの推薦で彼同様に市民には愛されそうだが彼以上に変化球は打てそうもない。メヒアは万年2軍の帝王だ。だから序盤から弱かったわけだが、ということは投打とも和製になるから若手にチャンスがあった。さらにそこを交流戦前のコロナ感染が襲った。西武戦が延期になるほど一軍がスカスカになり、小園、林、羽月、大森、宇草、玉村、高橋らが穴埋めに昇格して出番が与えられたのだった。五輪ブレークで主力5人が抜けたのも彼らには良かった。練習試合で坂倉、小園、林はクリーンアップを打って躍動し、いつの間にかレギュラーに収まり、松山、田中、安部、堂林、長野は完全に控えに追いやられていた。

その若手の急激な台頭で五輪まで眠っていた獅子が目覚めた。おとといの東京ドームでの巨人戦、試合前の「君が代」でふがいなかった五輪の記憶のスイッチでも入ったんだろうか、目を閉じた鈴木誠也の鬼気迫る集中ぶりは画面で見ていて半端でなかった。これは打つなと思っていたら戸根の簡単でない内角をノーステップで軽く振ってライナーで左翼上段に叩き込んだ。強烈なスイングスピードは巨人ベンチの度肝を抜いたろう。あれだ。あれこそが、正調の闘将の姿である。不安は8回の投手だけだ。島内は四球を出して失点が続いたがきのうは良かった。球は速い。コントロールと気の持ちようだけだ。これは佐々岡がやらなくては誰もできない。締めれば誠也はもっと打つだろう。

9連敗の巨人は変だった。試合前、ベンチが映った。右端に原と阿部。3メートルぐらい無人で、左の方にぎっしりと三密状態の選手たち。コーチの姿はひとりもない。原続投の報道にファンがブーイングらしいが、読売の野球本部長なのだからクビはないだろう。だからコーチは「やばい、俺が切られるか」と逃げるのだ。そしてそのカープ戦、追い上げはしたが8-7で負けて10連敗。あれだけ盛大に他球団の4番とエースを札束で獲りまくったのに全員ドボンしてそれだ。9月以降は8勝24敗7分の大失速だったが、トドメは10月14日の阪神戦で髙橋遥人、岩崎、スアレスに食らった血も凍る1安打完封14奪三振だろう。坂本、丸、岡本で7三振。この3人が闘将もへったくれもないのである。

きのう4位のカープは阪神にも4-2で勝って3位巨人と2.5ゲーム差になった。ヤクルト・阪神はCS確定だ。弱い巨人に3位になって欲しいからカープ戦は死力を尽くして潰しにくるだろう。今年は最後の最後に面白いことになった。受けて立って欲しい。残り7試合を全部勝てばCSだって制するかもしれない。

 

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

Categories:______広島カープ

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

たむらあやこ
久保大樹
深田崇敬