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オリックス「うっちゃり」で日本シリーズへ

2021 NOV 13 12:12:26 pm by 東 賢太郎

近ごろ大相撲の決まり手で「うっちゃり」が少ない。もとより然う然う出るものではないが、大勢が決したと見た瞬間に予想を覆す技は満場をどよめかす。目撃すると忘れられるものでないが、僕が覚えてるのは千代の富士が北の湖に決めた一番だ。いつだったのかまったく記憶はないが、今は便利なものでyoutubeで検索していたら見つかった。昭和55年の秋場所だった。

「うっちゃり」に思いが往ったきっかけは、きのう疲れて帰宅して、いったん仮眠してから眠気まなこで観ていたオリックス対ロッテ戦だ。CSファイナル第3戦である。

この試合を勝たないとロッテは敗退。同点でも負けという背水の陣である。

7回に足を痛めたマーティンがヒットで出塁、気合の二盗(!)を決め、代打佐藤が執念のタイムリー(同点)。8回は中村が左翼席にホームラン(逆転)。ロッテの怒涛の寄りにあい、オリックスは土俵際に詰め寄られた。

そして9回裏。ロッテのマウンドには絶対の守護神・益田があがり必勝の構えである。

打席はT-岡田。初球、外角のシュート(シンカーか)はどう見てもボールだったがなぜかストライク・コール。

バッターは外角が広くなって嫌だ。バッテリーは儲けた感があるだろう。

2球目も同じ球。ファウル。最後はもっとはずして打ち取る布石だ。

3球勝負で低めに落とす(フォークか)。平然と見逃してボール。

布石を岡田が逆に読んだかどうか・・・やっぱりシンカーが来て、拾われてライト前に・・・この勝負は結果的に天下分け目だった。

次の安達はこの日3タコである。そりゃそうだろうなというバントの構え。それを失敗。2球目はバスターだったと思っていたが、ビデオを見ると普通に構えているからそうではない。しかし、当然またバントに違いないとサードが猛然と突っ込んでいるのだ。

益田もそう思ったのだろう、力の入ってない球が高めに行く。安達は難なく芯でとらえてガラ空きの三遊間を抜き、事実上、バスターみたいな結果になった。このシーン、新庄が敬遠球を三遊間に打ったあのサヨナラ打を思い出した。

無死一二塁である。1点取られたらCS敗退だ。ロッテ内野陣がマウンドへ。いちど散って、また集まる。投手コーチも来る。

次の小田は守備要員で途中レフトに入っていた。今シーズンわずか1安打で打率6分7厘である。こりゃもうバントしかない。ロッテは腹をくくったのだろう。

ファースト、サードが突っこむ。小田は初球から迷いなくバスター。ひっぱってファーストの右を抜け、打球はゴロでライト線へ。一瞬にして勝負がついた。

一気に目が醒めてしまった。これぞ「うっちゃり」だ。

中島監督おそるべし!秋田県出身。そういえば今シーズンは2ランスクイズも決めていたっけ。まるで3年前に金足農業が近江にサヨナラ勝ちした試合だ。

僕はキャッチャー中島を思い出している。何をするかわからない。あの「星野のカーブ、素手で捕球事件」だ。

星野は「あの日は調子悪くて、逆玉ばっかりで怒ってたんでしょう」と別のチャンネルで語っている。「おまえ、ええかげんにせ~よ、こんな蠅がとまるクソボールでストライクも入らんのか」という無言の鉄拳だと僕は思う。星野に返した中島の球の方が速かったという伝説もある(注)。

いや、素晴らしい。野球に思いがこもっている。やることなすことに人柄が出ているから憎めない。

こういう熱いものが無言で伝わって、オリックスの若手の元気の良さになってる気がする。付け焼刃ではないだろう。

ロッテにとってオリックスは去年の開幕から6連勝したお客さんだ。それが今や別のチームである。中島は名将になってきたと思う。来年はやっぱり何をするかわからない新庄監督との対戦が楽しみだ。

ロッテの井口監督も今年は良いシーズンだった。佐々木朗希が育ったし、打線も破壊力はないが勝負強さが際立った。安田、藤原を育てて、ぜひ来年は優勝して欲しい。

 

(注)そんなことはない。星野の130キロ少しのストレートは速かった。

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Categories:______プロ野球

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