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クラシック徒然草《ハイティンクのベートーベン交響曲全集》

2021 DEC 6 8:08:12 am by 東 賢太郎

 

前稿のタワレコで買ったCDのひとつ(韓国盤もあるが、これは「タワーレコード限定盤」である)。3種類あるハイティンクのベートーベン交響曲全集の最初のセットである。大学の頃に出たのは知っていたが、コンセルトヘボウでなくロンドン・フィルというのがひっかかって買わなかった。レコ芸の批評も記憶になく、すぐ忘れられたように思う。

 

番号順に一気に第九まで聴いてしまった。

結論。おすすめしたい。

お断りしておくと、僕はベートーベン交響曲全集についてピリオドは好まない。べーレンライターも、それが真実かもしれないが好まない。慣れ親しんだピリオド演奏出現前のスタイルで必要十分で、一言一句それで記憶してしまっているので無用の違和感に惑わされずに堪能したい。

9曲通して、6番のオーボエの1か所(これは要録り直し)、7番の第3楽章のテンポ(僕の趣味からして)、9番のソロ・カルテット部分のソプラノの3つしかあれっという処はなく(稀なことだ)、満足度は極めて高い(ソプラノは2回目全集でルチア・ポップにしている。彼の趣味からして納得のキャストだ)。

LPOはたぎる様なモチベーションがあり、弦がなみなみとしたボリュームでうねり、木管はピッチが良くあでやか、金管(特にホルン)は要所で見事な効果をあげ、ティンパニは雄弁だが品格を保つ。誠に素晴らしい。どこをどうつっついても文句なし、正攻法の立派なベートーベンとしか評しようがない。

さらに、録音だ。大音量で聴いたが、アナログをLPでベストの再生をしたに近く、これはひょっとしてかつて僕の部屋で鳴った最高のオーケストラ音響ではないか。

近ごろは時間が惜しいので読書しながらきくが、無意識に一緒にバスを歌い、Vnとフルートは口笛でなぞって「オケの一員」になっている。頭は本に没頭しているが耳は完全に音楽に入って合奏しており、こう書いても信じていただけないから目撃してもらうしかない(これができないから最近ライブは敬遠というのもある)。この録音は声も口笛もリッチな倍音に埋まってきこえない(こういうのは滅多にない)。口笛は他人が吹いてるように聞こえるが、このCDでなぜかかなりうまくなっているのに気がついた。ぴったり合わないとと思わせる見事な音でオケが鳴ってるからだろうが、点滴のNMNが効いたかと思うぐらい自分で驚いた。

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Categories:______クラシック徒然草

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