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今年後半の為替、株式、暗号資産の見通し

2022 JUL 25 2:02:05 am by 東 賢太郎

この2年間、コロナは僕の頭の中の相当の部分を占めたが、ちょうど半年前のこの記事で終わった。以後は何も書いていない。東京で3万人出たがこの範疇だ。

コロナは年3回流行る風邪になる

いま頭の半分は経済と金利が占める。去年9月、コンサル先からある金融商品の投資是非について尋ねられ、非であり、ドル資産は是と回答した。以来変更していないそれが変わる可能性について考えている。

市場環境を変えたのは米国の金融政策変更(テーパリング加速)で世界の過剰流動性がドルに吸引されたことだ。専門的になるので簡略化するが、それは予想投資収益率縮小よって応分のリスク許容度減殺を招き、現象として金融商品はリスク性の高さに応じて値が動く。ドルは相対的減殺率が低いため流動性の移転により上がる。円安と騒がれているのはこのコインの裏側である。

問題はここからだ。市場は予測で動く(予測を売買する場が市場)。パウエルFRB議長の懸念対象は市場がインフレ率と認識する名目予測値(長期債利回り3%)と思われる。そこで短期(FFレート)3.5%を許容する(イールドカーブが逆転する)。実質予測値が下がり名目予測値も下降すると経済は減速する可能性がある(正確には、そうなる予測にドライブされる)。FRBはそれも辞さぬというポジションのようだ。

期待インフレ率3%は➀コロナ要因➁ウクライナ要因③経済要因に分解される。➀の減産、物流停滞、人件費、②のエネルギー、原材料、食品という有事のコストプッシュ要因(CPIに反映、物価連動債金利)は平時の③とは分別すべきだが、➀➁が一時的でない前提が③を形成する可能性もあるため数値化は困難だ。そこでFRBが③の過熱を懸念し、対症的インフレ鎮静効果を見込む利上げ幅(0.75-1%)を目論まざるを得ない事情をほぼ市場は織り込んだと思われる(26・27日に判明)。

➀➁が読めない以上対症療法は必要だが効きすぎは市場を乱すため逆イールドがあれば後続の利上げペースは鈍化するだろう。経済減速を危惧しての利下げとなれば政策の不連続性(失敗)を問われる。前任議長イエレン女史はこの問題を「経済好調ゆえテーパはあるよ」と示唆しながら好調の定義をぼかした巧みな言説で任期を全うしたがパウエル氏は➀➁という不測の事態による期待インフレ率3%で逃げられなくなっている。日銀黒田総裁は逆の立場にある。つまり円安ドル高に決まっている。昨年来の当社のドル強気の投資根拠は同2点がシンクロすることにあったが、そのリスクシナリオは➀➁のさらなる不測の上振れによるパウエルの失敗だ。

私見だが、FFレートの上昇ペースは年末にかけて低下し、「3%」が2-2.5%に収束することで来年にFFレートがソフトに低下する見通しとなれば円ドルは130-135でリスク資産(株式、暗号資産)は絶好の買い場がくる。このシナリオの確率は6,7割あると考えている。

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Categories:______グローバル経済

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