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トランプの新兵器がもたらす防衛の革命

2026 JAN 28 12:12:17 pm by 東 賢太郎

1月3日に起きたアメリカによるあっという間のベネズエラ制圧は世界の度肝を抜いたが、わずか20人で事を成し遂げられたのはどうしてだろうという疑問は残っていた。それがトランプのインタビューで一部明らかにされた。

ディスコムボビュレーターだ。詳しくは不明だが高出力マイクロ波兵器(HPM)らしい。ベネズエラ軍のレーダー網や迎撃ロケットはくぐり抜け、20人ほどで数百人の護衛部隊をあっという間に制圧したことは主要国の首脳には衝撃だ。最も安全なはずである自国の宮殿で精鋭に守られていても斬首されるということは、アメリカに逆らえば地球上どこにいても危ないということであり、あっさりと少人数の敵兵に大将の首を取られれば全軍が号令一下で動くキューも出ず、したがってその危険は核武装していても防げず、技術が漏洩しない限りアメリカの独占がしばらく続くと思われるからである。素人が軽々に論じられる話ではないが、僕の関心はやられる可能性が現実的にあると思えば抑止力になる点だけにある。核保有は現にそう機能している。人殺しを容認する気は毛頭ないが、第3次世界大戦を起こさせないために本件はリアリズムの側面から考察されても良いと思う。

根拠のない憶測だが、ディスコムボビュレーターはイスラエルの技術ではないかという気がする。あの国にはそのぐらいは易々と造るとてつもない理系人材と技術がある。トランプはバイデンみたいにネタニヤフのイエスマンにはならない大統領だが、義理の息子のクシュナーを通じて気を配っている。本音ではパレスチナ問題は永遠に片付かないと考えていようが、ガザ地区とヨルダン川西岸の落としどころは見つけて火種は消したい。そのためどうしてもイランを抑え込みたい。そしてそれはイスラエルの国益にもなるのだ。今やEUはもとよりプーチンも習近平も金正恩をも心底寒からしめることに成功した。そこでデンマークを懐柔してEUの合意も取ってグリーンランドに米軍基地を築き、来たる中国との交渉で優位に立ちたい。となればディスコムボビュレーター様々ではないか。同盟国の日本はこの技術と人材を共有させてもらって核保有の代替にしたいものだが、仮にトランプがよしとしてもペンタゴンは絶対に動かない。なぜならスパイ天国の日本にしゃべれば極秘の技術が敵国にダダ漏れになるからだ。つまり世界最高の技術で日本を防衛するためにはスパイ防止法が必要である。

トランプの目線はクリアだ。戦後レジームは国益にならないという明白な理由を掲げて無視だ。国連機関からは次々と手を引き、意に沿わない相手には関税爆弾を容赦なく撃ち込む。MAGAとはマクロ的にはアメリカのヘゲモニーを保つことだから経済政策も軍事力の化体として強面に行使し、各国に恐怖心を与える意図も多分にある。外交と経済金融政策でヘゲモニーをキープする常道はこの20年でワークしなくなり、無法者の腕力行使と言われようが何だろうが国民との約束を果たす選択肢を彼は選んだ。見せかけだけでコストが高く役にも立たない国際秩序よりアメリカの民主主義を優先するという建前を強力にアピールして中間選挙を迎えるためだろう。事後的であろうとなんだろうとそれが民意を得て信任されれば建前は真実になるからだ。これがお決まりのアメリカにとっての正義だ。独善的ドクトリンに過ぎないが、それはすでに、原爆投下で民間人を30万人も殺し国際法違反を犯しても、悪党を倒してアメリカを守るためであれば国内で正当化されてしまうという事実をもって我々は目撃させられている。同じことで今回も地球上のどこの誰が関税攻撃に反論しようとアメリカ国内では大きな問題にはならない。共和党だろうが民主党だろうが自国防衛に関する限り日本の左翼のごとき「何でも反対」の国家横断的シュプレヒコールは起きにくく、ひとたび有利な方向に舵を切ってしまえば中間選挙にはポジティブに働くからだ。民主主義のためというよりアメリカはそういうドクトリンでまとまっている特殊な国であり、大国であり続けるためのあがきとしてロシア、中国と共通した原理に従って動くと考えるしかない(中等国は物質的、物量的にそれを共有できないのだから別リーグを作るべきだと訴えたダボス会議でのカナダのカーニーの演説は鋭い)。チャイナは最大の仮想敵国ではあるが、したがって全くの矛盾なのであるが、この大国原理を共有してもらうことがポストWWⅡ(第2次世界大戦)の新たなパワーバランスを正当化するレジームとして必要なため、トランプの口からは習近平に向けて、まだ決然とした意味合いではないにせよ、それでも我々には不気味に響く「G2」なる言葉が発せられるのだ。それはアメリカ合衆国の凋落が引き起こしている病状以外の何物でもないのだが、中等国である日本との安全保障条約の国際法的効力が必要性においてそれを上回るのだとトランプが思ってくれていると希望的観測で考えるのは、本稿のここまでの論旨と矛盾する。

大衆レベルでのアメリカ的感性からすれば、トランプは保安官ワイアットアープになったまでだとでも言えば当たらずとも遠からずだろう。遠い昔、この西部劇をテレビにかじりついて見ていたような気がする(のちに「荒野の決闘」も見たからそっちかもしれないが)。西部劇はゴールド目当ての無法者、荒くれ者の集まる田舎町が舞台だ。法は連邦と州にあって絶対でなく、どっちが勝とうがどっちも無法者であることに変わりはなく、最後に相手を撃ち殺した方が法よりも道理によって正義になる。だからOK牧場の銃撃戦を制して最後まで生き残り事の次第を自己流に語る場を得たアープが英雄になったのである。

思うに日本人もアメリカ人も勧善懲悪ものが大好きだ。ただ大きな違いがあって、日本の悪玉は高率の年貢を搾り取ったり、袖の下で賄賂をくすねたりする権力者が多い(例、財務省解体デモ、裏金議員騒動)のに対し、アメリカでは共同体(アメリカ合衆国)の平和と発展を脅かすものは二項対立的に徹底的に排除されるべき対象として描かれ、悪玉は巨大なゴリラでもマフィアでもマッド・サイエンティストでもいい。私見ではあるがパール・ハーバーはこのアメリカ特有のステレオタイプにはめ込むため日本を悪玉に仕立てるおぞましい計略であって英米のみならず背後にはソ連も蒋介石もおり、日本側もまっさらであったかどうかは甚だ疑わしい。そのボタンの掛け違いからしてキングコングがエンパイアステートビルディングの頂上から落下して命を落とすが如きエンディングに至ったのは核爆弾の試験的行使を含めてシナリオ通りともいえ、その多くが無用な殺人など支持しないキリスト教徒であるアメリカの大衆はその衝撃的な最期に目を覆い幾分なりともの悲しみを覚えただろうが、コングを追い詰め死に至らしめた戦闘機部隊を責めることはないのである。

トランプは不動産、株式市場という荒々しい戦場で勝ち抜いた男だ(3回大敗してるが)。自分が勝つ事が人生であり、大統領職とはその自分がアメリカ合衆国に変わっただけであるという視点から見ないと理解はできない。戦後レジームの国連安保理、国際法による枠組みと協調は利益になるなら尊重はするが、是非の判定は無機的にそれだけであって、皆で作った以上は大事にしましょうなんていう連中は屁とも思ってない。想像ではあるが、邪魔であるという以前にそのテの男は(女もだが)完璧に見下していて生理的に嫌いなのだ。その筆頭がフランスのマクロンだろう。ENA出の秀才づらこいてこのクソ野郎1発ケツに蹴りでも入れてやろうかぐらいが本音と思われる。カナダのカーニー、これもオックスフォード・ハーバード臭がぷんぷんただよう。あのダボス発言以前にユーアーファイアード!だ(僕はプレゼンを支持するが)。FRBのパウエルはプリンストン出の見るからに気まじめなバンカーだが、イエレンを切って任命はしたもののタイプ的に水と油でありこれは時間の問題だった。あのポストは誰であれそのタイプしかできないから仕方ないのだが、刑事訴追まで行くともう凄まじいというか、分かりやす過ぎて笑えるレベルである。人生の辞書に刑事罰などという言葉は載っていないパウエル氏は写真を見るにあまりの憔悴ぶりに人相が変わっており気の毒でしかない。

トランプがインテリ嫌いかというとそうではなかろう。これはおそらく持って生まれた人間性というか肌合いの違いというものであってどっちがいい悪いというものでもない。僕は彼が表舞台に登場した2016年から全く同じことを書き続けてきたわけだが、彼が全面的に好きというわけではないが政治家にしては共感できるところがある(政治家にしてはというのは、なりたいと思わなかった職業の再右翼だからである)。そのためか、好き嫌いは直感的に想像がつき、大体が当たってるから何かと心理が読みやすく支持してきた。なぜなら相場を読むのが僕の仕事だからだ。世間には「彼はビジネスマンであり何でもディールと考えるからこうだ」と論じる学者や評論家が多い。見ているとそういう人のほとんどはディールなどできないタイプであり、珍しくそう断言したディールはほとんどを外している。彼のような人間をaだからbと割り切るのは株価をROEとPERだけで予想できると論じるほど理が通っておらず、そういう人が大勢いるから我々は利益をあげられると僕は考えている。

声を大にしたいことは、今我々の直面している世界のパワーゲームはトランプというファクターが影響の大きな変数になっているということだ。これは日本にとってリスクが大きい。トランプが間違うリスクもあるが、より大きなリスクはトランプをよくわかっていない世界の有力政治家が彼の判断を読み間違うことだ。防衛という面で目立ったことはできない日本自身が撹乱要因になることはまずないが、どういうポジショニングを選択するかは自国の将来を決する重大な判断になる、そういう局面だったねと2、3年後に語ることになる1年である事は間違いないだろう。「殿中でござる」と江戸城内で刀を抜く行為が天地を揺るがす大問題であった日本国に、やがて黒船の大砲が鳴り響いた。今それが起きたら、上野のパンダがいなくなって悲しいと騒いでる日本はどうなるんだろう。我々はほどなくいなくなるからもう構わないが、いま10代20代30代の方々はそうはいかない。日本という国のステータス、これは伝統も文化も経済力もプライドも全てを包括したものだが、それが10年後20年後にどうなっているかによって皆さんやご家族のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)は大きく左右されるのである。このままではまずいと思う方々はぜひ政治家になっていただきたいと切に願う。しかし悲観する必要はない。幸いにも皆さんが生まれた日本国は先人が築き上げてくれた分厚い伝統と知恵と遺産がふんだんにある。 16年海外で暮らした僕が断言するがこんな国は他に1つもない。それを自分たちのために使うも、外国に取られるも、ここからは皆さん次第なのだ。政治家の道を選ばれない方々は、自分たちの未来を託すに足る人を選ぶために必ず選挙に行って頂きたいと思う。

Categories:政治に思うこと, 若者に教えたいこと

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