WBCで日本を席巻したネトフリという黒船
2026 MAR 10 13:13:32 pm by 東 賢太郎
野球の面白い所というか、怖いところでもあるが、WBCの日本対オーストラリア戦のことだ。吉田が7回裏に2ランホームランを打ってひっくり返して勝ったが、 天覧試合で1-0で負けるんじゃないかとはらはらしていた。やっている方はプレッシャーがあっただろう。
1~7番に大谷、鈴木、近藤、吉田、岡本、村上、牧とメジャー5人が並ぶ打線。オーストラリア先発投手のマクドナルドは2m近い長身だが、30歳で3年前に投手転向した地元球団の人で、投球練習を見てもスピードもコントロールもたいしたことないように見えた。すぐ5点取れると思った。ところが蓋を開けると3回1安打、しかも9アウト中6つがフライと詰まらされたのだ。
発端は1回裏、先頭の大谷翔平が2、3回バットを振ったが前へ飛ばず、最後はインコースやや高めを詰まったセカンドゴロだったことだ。あれ、意外にタマ来てるのかなと思った。鈴木は歩くが、近藤が低めのスプリットを空振り三振。ふだん三振しない人だ。これもあれっとなる。吉田は歩くが、岡本が中飛でチェンジ。おかしいな、なんとなく大谷のアレが伝染しちゃったかなという感じがした。
よく言われることだが、知らないピッチャーとの出会い頭で味方の強打者があっけなく三振とかすると空気が「伝染」する。すると次の人も力が入って打てない。それだったのかどうか、結局いやな予感があたってしまい、 2、3回は村上、牧、大谷、鈴木、近藤の5人がフライアウトでヒットは若月の1本だけということになった。おそらく「差し込まれる」というやつで、振ったら球が「来ちゃってた」感じの凡打だろう。フライということは、遅く見えるが振りだしたら手元にピュッと伸びてきて遅れ目に押され気味にボールの下を叩いてるという理屈だ。日本戦に先発させるだけあって実はいいピッチャーだったんだ、おみそれしました。
吉田が打ったケネディというピッチャーは 2mぐらいとでかいのに左のサイドでテークバックがほぼなし。少なくとも僕はこんな投げ方は見た試しがない。だからインローのストレートを振り抜いたホームランは、そんなのが出てきてもびっくりしないほど条件反射化された技術の賜物としか考えられない。オールスターのホームラン競争で、スイングしたら全部ライトスタンドに打ち込んでた、あれの再現を見たようだった。
それにしても大谷さんが出るWBCは日本人なら誰でも見たい。ところが、東京ドームでやってるのに日本のテレビでやってない。テレビ局は何をやってるんだ!天皇陛下が来ているのに日本人が見られないなんて陛下を国民と分断してるじゃないか!なんだこれは?どうなってるんだ!
そんな感じで全国の高齢者家庭はてんやわんやだろう。長嶋茂雄は天覧試合のホームランで歴史に名を残したが、「全日本人がアメリカのストリーミングサービス会社を通してしか天覧試合が観られない」この事態も空前の出来事として歴史に残るだろう。テレビも新聞も放映できない赤恥は認めたくない。みっともない汚点だから事実の背景は絶対に報道しない。試合のハイライトを報道番組やワイドショーネタっぽく仕立ててお茶を濁し、なかったことにする作戦をとるだろう。しかし、そんな茶番には関わりなく、水面下では静かに冷徹に事は進行している。大谷さんが見たい多くの高齢者が、聞いたこともないネットフリックス(ネトフリ)という ”チャネル” なら自宅のテレビ受像機で見られることを知ってしまい、料金なんか二の次で子供や孫に頼んでアカウントを作ったに違いないのである。
なんでこんな事態になったか。NPBイベントは読売新聞が仕切っていたが、今回はニューヨークにある主催団体であるWBCIが読売をすっとばして米国-米国で(すなわちオフショア・ディールで)直接ネトフリと契約した。値段は5倍の150億円である。ワーナーブラザースを11兆円で買収しようとしたネトフリにとってはピーナッツ(はしたがね)であり、「これからドル箱になる日本市場でネトフリのアカウント数を激増させる投資として、『大谷翔平主演の映画』のつもりでWBCの興行権を買う。プライスは大谷個人の年間広告収入(やはり150億円だ)と同じ額だ」だとでも株主総会で説明すれば全然オッケーだろう。
しかしネット媒体による広告料収入が全体の1/ 2を超え、マイナーリーグに転落した日本のメディア業界ではそうは問屋がおろさない。150億も払ったらテレビ広告でペイなどしない(広告主がそんな効果をもう認めない)。WBC単体の広告料が150億なければという財務省お得意の「単年度プライマリーバランス主義」が国中に蔓延してるからであり、サラリーマン社長にそれを覆すリスクを取れる者などいない。高市総理の掲げる「投資」という概念が企業にも国にも成長にとっていかに大事かという、いわば資本主義の憲法第1条に当たるコモンセンスがアッパークラスに欠落している国は実は国民を豊かにしてあげる事もできないと僕は考えている。そこで社会主義やら共産主義やらにしようというもっと大きく間違った声がここぞとばかりに出てくる日本なのである。国ごとそれに毒された発想になって、ダイエットし過ぎで骨粗しょう症になってしまい、「骨を折らないことこそが国家的な一大事でござる」みたいにトンチンカンな政治をしてきたのが高市前の日本だったのだ。
「イーロンマスクの報酬が最大で150兆円」というニュースは、そういう縮み思考の空気の中で暮らしている日本人には火星の話にしか聞こえない。報酬が高いといってもせいぜい何億円かである日本のサラリーマン経営者にもわからない。江戸時代のかわら版感覚でやってる日本のメディアもわからない。それを使ってる政治家もわかってない。学者も先生もわかってないから大学で教えてもくれない。かろうじて一部の歴史学者が「歴史の真相はフォローザマネーでわかる」という言葉を吐いておられ、それは正しいのだが、現代の真相の方が生活には大事でしょ、じゃあそれも読み解いてよと言いたい。とても卑近な言い方にはなるが、そのことはマネーをフォローして株で儲けるということにとても近い。いや儲ける必要はないが、それに興味はないという人は現代の真相を読み解くことにも興味を持たないのである。
ドジャースとチェルシーを持ってる連中、ディズニーとネトフリに近い連中である我々の相方だって黒船の有力候補だ。その昔は黒船と呼んでいたアメリカ合衆国の唯一の同盟国として生きて行く運命にある日本国が、しかし、ではこの点においてどうすれば国民が幸せになれるのかは奴らと付き合ってる僕にもわからない。たぶん全員は船に乗れないし、共産主義でないから全員が平等ということは政治も追求しない、だからその問いに解はない。だったらお年寄りはともかく、若い人は徹底的にインテリジェンスを磨いて、まずはいち船員でもいいから黒船に乗っけてもらうしかない。それにはどういう勉強をすればいいか?それは2700本ある僕のブログのあちこちに散りばめて書いてはあるが、そういう気持ちで読まない人には何を言ってるかはわからないだろう。投票所に行く政治参加は大事だが、参加してもあなたが食べられるような政治にはならないかもしれないし、政治家はその責任は取らない。やっぱり答えは自助努力しかない。
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