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カテゴリー: 徒然に

ジョージ・フロイド事件

2020 JUN 2 13:13:36 pm by 東 賢太郎

ドイツにいたころ、チャイコフスキーの音楽というとどうもあんまり上等と思われてない気がした。部下の通にきいてみるとやっぱりそのようだ。もっと言えば、ショパンやグリーグもだめなのだ。彼はバイエルン人で年上だ。「そうかなあ、R・シュトラウスよりいいと思うよ」などというと真っ向から否定されてしまう。彼とはミュンヘンに出張してバイエルン放送響でベートーベンのコンチェルトをきいた(チョン・キョン・ファだ)。素晴らしい演奏だった。「韓国人はいいのか?」と聞いたら、「なに、彼女、日本人じゃないの?」ときた。演奏家はいいよと取ってつけたが、そのころ、博士号を持って日本企業に勤めるインテリでも東洋人の認識はそんなものだった。

ドイツ人が音楽で覇権主義なのは仕方ないと思う。自分もそうだし。イタリア、フランスは別種であり存在ぐらいは認めるがスペイン、ポルトガルは未開地、東欧は格下の親類と思ってる。ロシアや北欧は辺境であって英米などは最果ての地で無きに等しい。クラシックに浸かっていたからこういう差別的世界観は元からあったが、ドイツで彼と意気投合してさらに鉄壁となってしまったから後でずいぶん困った。というのは米国でMBAでを取ったインベストメント・バンカーにとって、世界はその真逆であって英米以外は辺境の未開国だ。ユニバーサル・バンク方式という銀行支配型のドイツの田舎くさい金融など前世紀の遺物であった。野村のなかでドイツ人の言うことなど通る風土はかけらもない。文化と言えばきこえはいいし、根はたしかに文化にあることはあるのだが、人種差別とはこうやって知らず知らず心に巣食ってくるものなのだ。

アメリカにいたときは、通りにたむろしてる黒人の下衆で薄汚い奴らがあからさまに東洋人を差別してしきた。体格は立派で運動能力もありそうでそれを誇るのは一理あるのだが、字も読めないどうしようもない、目があえば恐喝の危険を感じるようなグレた連中だ。イギリスもロンドンのソーホーやピカデリーあたりに怪しげな黒人はいたが、ニューヨークやフィラデルフィアで見慣れてるものだから顔が温和に見えた。僕は白人の大学に行き、ウォール街やシティの仕事をしたから目だけでなく頭も白人に感化されているに違いない。だから香港に着任した時にえも言えぬ都落ち感があった。そのフィーリングは誰にも説明できないし言葉にもならない。ドイツやスイスの何倍も大きい現法のトップで一応は出世なのに心に巣食ってしまったものが剥がれるには2年ほどかかった。

アフリカ系米国人のジョージ・フロイド氏がミネアポリスの路上で警官に殺害された動画は、僕の中にある様々なものをえぐり出した。まだ「あれ」があるのか・・・オバマの8年は何だったのか?「あれ」とは40年ほど前にマンハッタンで目撃した黒人青年の射殺死体だ。まだ息があったが救急車が来たときはもう遅く、あとに血の海が残った。映画で見るマフィアの銃撃戦がアメリカでそうそうあるわけではないが、気持ち的には日本人に理解できないほど身近で、シリコンバレーで会った男など「俺はガードが固い、金庫に銃が40丁ある」が自慢だった。それが丸腰で夜の街に出てロスでホールドアップを食らった話が仲間のジョークのネタになっていた。刑事コロンボで犯人の女が計略を練っていとも簡単に浮気者の亭主を撃ち殺したりするが、それがお茶の間のドラマだという点にアメリカを感じるようにならないとあの国のヤバさはわからない。

ジョージ・フロイド事件への抗議デモは各地の都市に凄まじいマグニチュードで飛び火して、5月30日のCNNを見ていたらアトランタのCNN本社が襲撃されているシーンが実況中継され、夜間外出禁止令が放送中に施行時刻となったが誰も帰宅せず無視して警官隊とにらみ合っている。ニューヨークで暴徒が発生し6月1日にはついにホワイトハウス前で火の手が上がった。大事件である。与党も野党も東部も西部もない。トランプは連邦軍を出すと言いだしたが、選挙がまずいと思っていることだけは確実だ。香港の国家安全法批判をプロパガンダの目玉にする予定がお膝元でおんなじことになってしまったからだ。中国はざまあみろ、してやったりの声明を出しているが敵のオウンゴールで香港弾圧が正当化されるわけでもない。

1997年、米国の資本原理主義にどっぷりつかった頭で香港に赴任して、その主義に「超」がつくことを発見した驚きは忘れない。要はどちらも拝金主義なのだが、金鐘(アドミラルティ)にそびえる48階建ての遠東金融中心ビルのてかてかの金色にニューヨークでおなじみのトランプタワーを思い出し憎めないものがあった。赴任は1997年12月でパッテン総督が香港を返還して船で去ってから5か月後だった。あれほどに、すがすがしいほどピュアな自由主義、資本主義の息吹を僕はアメリカですら感じたことはない。低福祉、低課税。自己責任で生きろ、能力あるものは好きなだけ稼げという国である。持てる者に過剰な嫉妬も感じない。米ドルのリザーブで発券される「HSBC」「スタンダード・チャータード銀行」「中国銀行」の3種類の同額紙幣の存在は日本人の感覚で言うなら軽い。英独スイスで感じたことのない軽さに匹敵するのはやはり米ドルだけだ。

香港人はエスニックには中国人だが、それを見ると日本人よりは遥かにアメリカ人に近い。巷の英語はヘタで語彙もないが、そこそこ通じるし誰も何の抵抗もなく臆面もなくしゃべる。そうしないと食えないからだ。会社では社員はフレッドだシンシアだと好き勝手な英語のファーストネームを名乗る。日本人は恥ずかしくてできない。社長が実は多くは中国の本名を知らない、なんともこの軽さもアメリカンっぽい。会食で使う店はみな一流だがサービス精神は誠に乏しく、給与も安いのだろうが、なにより料理が美味であればそれでいいではないかという割り切りだろう、華僑の大御所である顧客たちがもサービスに文句を言ったのを見たことがない。「江蘇省・浙江省同郷會」の50がらみの給仕長だけは例外でいつも愛想がよかったが、それはチップのせいというより僕がそこの剥き海老と上海蟹が好物で真剣に世界一であると褒めた美学的な理由からだろう。

かように、香港では老若男女、職業、貧富を問わず差別というものを明白には感じたことがない。入国管理の法務局と監督官庁であるFSA(金融庁)の役人だけは偉そうだったがそれは差別ではなく役所の世界的傾向だ。白人というと英国人が多いが本国でのように高飛車でない。というより当時は香港に来る階層というのはピカピカのエリートでなく、アジア好きか出稼ぎ感覚の連中だった。前者は結婚して土着する者も多くもとより差別感情はない。香港は阿片戦争で英国人が暴力と麻薬で強奪した租借地だが、借款で期限切れになると中国にすげなく追い出されたわけだ。一国二制度はその時の言葉だが、当時から嘘っぽく響いておりいずれ牙をむくぞと華僑は覚悟していた。

香港のエリート層は誇り高い。自由主義で能力を発揮して富豪に昇りつめた自負、自信にあふれた人ばかりで僕自身もああなりたいという気持をかきたてられたほどの熱量だ。中共のヘゲモニーに服する気など全くないだろうし、台湾の商人と同じく中国を利用して儲けられるなら服したふりぐらいはするだろう。ただ、一国一制度になった瞬間に香港は香港でなくなるから中国全体の利益にはならない。香港は全体の一部分にならないゆえの「軽さ」(フレキシビリティ)が発展の原動力で、それは米国の資本主義に近いがより軽やかで独特なものである。それが能力はあるが母国では上の階級に抑えられて開花できない層を魅了してきた。その点も、欧州からメイフラワー号で流れてきた移民の国アメリカと気質が共通する要因だろうと思う。

中共がかぶせる国家安全法なる網は権力による差別である。若者が反対するのは必然だ。中国に足場のない彼らの未来がなくなってしまうからだ。ジョージ・フロイド事件とは発端は異なるものの、国家権力による弱者の蹂躙、差別への反駁デモという結果は同じである。両国の暴動をひとくくりにしてコロナに結びつけるのは短絡的かもしれないが、それでも、世界中で社会に個人に鬱積したコロナ・ストレスが何かの形で爆発するのではないかという社会学者の予測は各国にある。デモ隊が三密を気にする様子はなく、正義を求めてそれに参加することはコロナの呪縛を解きはらってくれる精神的大義になっているかもしれない。貧困と飢えとストレス。コロナでたまったマグマがナショナリズム、ひいては人心に根深く燻っていた差別感情に火をつけ暴動、戦争につながるリスクは常に覚悟しなければいけない。

ブルーインパルス

2020 MAY 29 21:21:28 pm by 東 賢太郎

北から迫ってきてヘアピンカーブぐるっと旋回してまた北へ向かう。

速い。カッコよかった。

なぜか今日は母が亡くなって3年目、そういえばあの日もこんな雲がかかってたっけ。

夕方、元気をもらって川まで走って子供と何年ぶりかのキャッチボール。意外に伸び健在。70でもいけるか。

夜のニュース。医療従事者のみなさまの輝くような笑顔、笑顔。ありがとう、いい一日でした。

男にはそれをやっちゃあお終いの一線がある

2020 MAY 12 9:09:33 am by 東 賢太郎

どういうわけかイスラム圏らしき異国に赴任していて、家族と部下のために懸命にサバイバル・グッズを買い求めている夢を見ました。寝ても覚めてもビジネスを考えてるせいでしょうか、夢も突拍子もないことになっています。

こういうのをコロナ・ドリームと呼んでるそうですね。海外の店に社長として着任して社員に迎えられる夢は本当によく見るので、それのコロナ・バージョンでしょう。どれも現実でないのばかりなんですが、例外なくよしやるぞとなる。その高ぶりがあまりにリアルで、目覚めた瞬間に「あれはどこの店だったっけ?」と真剣に思い出そうとしてたこともあります。

平課長に降格でデスクヘッドで雇われてるシーンもけっこうあります。決まって成績悪くて追い込まれてます。ああ今日も商売できんな、そろそろクビかなと悩んで朝になります。さらに降格で梅田支店のいち営業マンというケースもあって冷や汗もの。ひとりリーフ(顧客取引簿)をめくって、やばい、今日も何もできない、これだ、この人に電話してみなくちゃとリアルに焦ってます。

僕の愛読書に「なにわ金融道」(青木雄二)があります。出た当時から何度も読んでるこの漫画、人生勉強になるなどとしたり顔で言ってる甘ちゃんインテリは多いですが、僕にとっては梅田支店の日々、飛び込み外交に出歩いて遭遇する大坂の商売人の人間模様。別に金貸ししてたわけじゃないが、株を売るのはもっとこわいですよ、朝の船場あたりの殺伐としたどやどやした商売人の街の空気がですね、「儲かってまっか?」というウソも虚飾もないストレート勝負のわかりやすい世界がですね、あるある(あったあった)の連続なんです。今も社会人として育てて頂いた大阪のお客様への感謝と愛情に涙が出ます。

似た路線では日本映画専門チャンネルでやってる「難波金融伝(ミナミの帝王)」ですね。竹内力のギンギン、コテコテの極道もん風情が最後は善玉というのが最高だ。カネの恐ろしさがわかるハードボイルドの極致でレイモンド・チャンドラーなんかより日本人にはずっとわかりやすい。情でなく理で悪を倒すエンディングは刑事コロンボに通じるグローバルな勧善懲悪ドラマですね。

もうひとつは「静かなるドン」(新田たつおの漫画が原作)。カタギとヤクザの間で揺れる後継ぎ組長の話。派手な撃ち合いは一見壮絶ですが時代劇のチャンバラみたいにリアル感は実はなく、人物名が新選組や歴史上の人物のパロディで「作り物」感を認めちゃって、主人公のキャラと奮闘を今風の遊び目線で楽しむスタンスですね。

かように、紳士淑女の皆さんには申しあげにくいのですが昔から任侠映画の大ファンです。高倉健、松方弘樹、北大路欣也、マーロン・ブランドが恰好いいと思って育ちましたんでどうにもなりません。だからやってるとついつい見てしまい、どんどんドラマに没入、俺、どうしてこんなにヤクザもんが好きなんだ大丈夫かと心配になったりするのです。

このルーツが少年サンデーの伊賀の影丸にあります。忍者集団の殺し合いドラマだから現代版がまさにそれ。戦争物はアノニマス(匿名)で個人技が見えずいまひとつ面白くない。ヤクザは忍者ほど個性はないですが顔が見えるんでOK。戦国武将も三国志も相撲の星取表もアニマルプラネットもそのノリで観てますんで、三つ子の魂でしょう。投手対打者も熱中して、それで自分でやりました。

いいわけですが、男子が強い者にあこがれる、これ自然と思います。でもやっちゃあいけないことがある。法律でなく世の中の掟を破ることです。破ったら自分に負けという掟でもある。これで生きてる男は格好いいです、信用できます。逆に、法律に書いてないからいいだろう?最低ですね。そういう奴は信用しちゃあいけません。そういう輩に忖度して精神的売春して生きてるのは男のクズです。

男の器量というものがある。本物は知りませんが、映画が暴対法問題にならないのはそれを描いているから、日本人の奥底にそれがあるからです。腕力でも学歴でもない素っ裸の男前ですね、それがないとボスにはなれない。部下が馬鹿にするんでね。ところが今はどうだ。器量のかけらもないチンケな男が権力をもって偉そうにしている。僕はそういう奴は恨みなくても本能的にぶん殴りたくなる。

そういうのはだいたい運動もだめで「男の勝負」という人間の修練の場を経てないから汚いことを平気でします。勝つためにはウソも裏切りもありというのが三国志であり孫氏ですが、それで生きるのは中国、朝鮮までの話であって、日本の男にはそれをやっちゃあお終いよという一線があります。それをわかってない奴というのは日本の男じゃない、僕など1秒で馬鹿にしておわりです。

そういえばビジネスの戦場で何人か同期、部下にいい男がいましたね。ゴルフしたり飲んだりのお友達関係が先に来るなんてのは、誤解を恐れず言えば女の世界です。女子会、ママ友です。奴らはあくまで仕事で男ぶりが良かった。それだけなんで会社辞めたらつき合いはありませんがね、プロ野球選手が選ぶオールスターなんてもので今でもずっと敬意をもってます。

政治家にそういう光を放つ男が少なくなりました。見事に劇貧ですね。私利私欲の前に掟なしのふぬけばっかり。男はそれをやっちゃあおしまいなんて微塵もなく、邪魔者は情け容赦なく消す曹操の凄みもなし。本性を見たからもう何を言っても無駄。何人かの特定の政治家に贈っときます。女性はよくわかりません僕の本能の範疇に入らないんで、でもあねさん組長ってのもありでしょうね今時。

 

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BCG有効説と感染研のメンツ仮説

2020 MAY 4 2:02:11 am by 東 賢太郎

GW後半ですが人出はかなり減っているイメージですね。強制もなく。これは「空気」が働きだしていると思います。従わない人もいますが世界のどこの国もいます(むしろ、圧倒的にいます)。カリフォルニアのビーチにはじけだした若者の群れはファウチが自由を奪ってると騒いでる。このひとたちはいったい誰と戦ってるかもわかってない。アメリカですらこんなものです。パチンコや江の島ぐらいでニュースになってる日本人はほんとうに真面目で、法律もないのにおカミの言うことをよく聞く国民という思いを新たにいたします。こんな景色は僕が住んだり訪問したりした約40か国、どこにもありません。

僕は「きれい好き文化」、「空気に従うこと」が爆発的感染拡大にはなっていない大きな要因と思ってますが、しかし、{人口、感染者数、死者数} でアメリカ {3億、100万、6万}、日本 {1億、1万5千、5百} という数字が本当に正しいならば、どう贔屓目に見ても初動対応も法的措置もお粗末だった日本がこんなに優等生である理由にはなり得ません。あれほどPCR検査をこなして医療対応もSARS、MARSの経験値のある医療機関がうまくやった韓国の死者数が250です。あれほど何もしなかった日本が人口比換算でほぼ同じ死者数というのは非常に不思議であります。

コロナ死亡数が肺炎死亡数に紛れてないかと言う声がありますが、その理由でアメリカより少ない数字になっていると仮定すると例えば年間約10万人の肺炎死者数の6分の1(3~4月)である1万7千が実は全部コロナでしたという計算(人口比換算)になり、実際にあったミス、PCR検査数の少なさ、検査精度の誤差を勘案したとしても無理があるように思います。国と国を比較する場合、ミス、検査精度は比較的無視でき検査数のバラつきは無視できないという立場から僕は死亡者数を注視しております。

すると3つ仮説が出ていることを知りました(もっとあるかもしれませんが)。

①「日本のBCGが有効」説

これは要検証です。日本株BCGを使用しているイラク、台湾、タイもコロナは抑えてます。暴発してしまったアメリカ、イタリアは接種を行っていません。スペイン、ドイツ、フランス、イラン、イギリス、オーストラリア、スウェーデンは過去はしていたが現在はしていません。大阪大学免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之招へい教授の作成された表をご覧ください。

100万人当たりの死亡者数が10以下の国が7カ国(赤字)あり、そのうちの6カ国が広範なBCG接種を現在行っており、その6カ国のうち3カ国がBCGワクチンの日本株、2カ国が旧ソ連株(筆者注:両者はほぼ同じ株と理解)を使っているという結果は、偶然でなければ説得力があります。韓国が3.7と日本より高いのは韓国のBCGが日本株でないための可能性とも考えられます。京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授が「BCGの接種と死亡者数に逆相関がみえるのは確か」と発言したそうです。

(ご参考記事、4月5日)

http://新型コロナとBCGの相関関係について免疫学の宮坂先生にお伺い …

 

「東洋人かかりにくい」説です。中国の数字は {14億、8万、5千} ですが、感染者、死者の人口比をアメリカ並みとすると460万、28万で、中国は60倍のウソをついていることになります。感染地図でインドを含むアジアの丸印の小ささは確かに目立ちます。民族の遺伝的要因(遺伝子配列の違い)による違いの可能性はあるとされますが、アメリカで黒人、ヒスパニックの死亡率が高いのはむしろ経済格差が主因と思われます。今のところこの説の科学的根拠からの説明は目にしておりません。地図の印象はむしろ①説の表で「赤字」(優等生)7か国中5か国がアジア・オセアニアあるためとも考えられます。

 

「ウィルス変異説」です。一応「仮説」として挙げますが、後述のように、そうではない可能性が高い。武漢型が欧米で変異して強毒化したために欧米では大量の死者が出たが、その時点で日本にはまだその変異株は上陸しておらず、1月に上陸させてしまった武漢型はすでに封じ込めに成功した、だから日本の死者数は欧米のようになっていないのだとする説です。

これは感染研、専門家会議の主張であり、欧米型変異株は3~4月に上陸して国内に拡散したと強く示唆されると強調しています。事実なら強い示唆などなくてもいいわけで、自ら「仮説」であることを暴露しています。即ち、③説は強毒化したことの疫学的証明、日本の医療が武漢型を消滅をさせたことの証明が必要です。「現在は欧米変異型が蔓延している」事実だけではそのどちらも証明されません。

その2点目、「武漢型を制圧するのに成功した」という言明に弊職の周囲の多くが違和感を感じています。「検査で陽性と判定された国内の約560人の検体」だけからどうしてそれが科学的に結論できるのでしょう?世界でビリから2番目のPCR検査数によって当初から無症状者は野放しだったわけですし、現在も引き続き国際比較で少ない検査数で無症状者の凡その数すら推定の域を出ないのだから、武漢型が国内で変異して欧米型と別個に大量に存続している可能性を排除できるはずがないという子供でも気がつくウソではないかということです。

「医療崩壊が危険」と検査を抑えて野放しになった無症状者が患者を激増させて医療崩壊させました。即ち、どう贔屓目に見ても、無症状者は無視のクラスター戦略が大失敗だったことは明白なのです。それを「再び無症状者を無視したデータ」で「成功だった」と「自認」し、その理由が「日本の死者数は欧米のようになっていない」(5月4日、尾身専門家会議副座長)なのです。そうではない、「大失敗したけどなぜかそうなってない」が真相であって、その疫学的理由を感染研がつきとめているなら自身の名誉のためにも即座に公表すべきだ。そうでないなら「私は正しかった。なぜなら神風が吹いたからだ」と言ってる単なる馬鹿です。

その程度の③説に基づいて「目の前の第2波を国民一丸で抑えないと今度は欧米なみの拡散になってしまう危険がある、よって、ステイホームは5月末まで続けるべきだ」という論旨が組み立てられ、それが専門家会議の結論となり、それを受けた形で政府が緊急事態宣言の5月31日までの延期を発表したのですから、説の正否は国家の命運をかけた決定的に重要なものであることは論を待ちません。このことはいずれ精緻に検証される時が来るでしょう。

①「日本のBCGが有効」説が正しいと仮定すると?

今後も宮坂先生の表のまま進むので、第2波封じ込めに関わらず100万人当たりの死亡者数は韓国(3.7)、台湾(0.2)、日本(0.6)の延長線上の数字が緊急事態宣言解除後も出てくる可能性があります。これは要注目です。防御しているのは政府でなくBCG抗体ではないかという可能性が確認され、それを検証すべきということになるからです。BCGは子供しか使えず大量確保できないので検証する意味がないという議論ではない、政府がしていることが正しいかどうかという有権者の眼として大事な観点からそう考えております。

政府の危機対応レベルが非常に高い台湾は5月3日でも0.2のままですから、政府対応の巧拙にはBCG抗体によるセーフティネットがかかっていると書けば台湾に失礼にならないでしょう。また、そうであったとしても、日本の医療現場の最前線で戦っている医療関係者の皆様のご努力をいささかも軽視するものではありません。あくまで「大本営」の戦略の話をしております。

表のデータは4月初め時点ですから、3月からであった日本への欧米型変異種もブロックできていたということになるでしょう。今後の第2波の防衛に政府が成功しようと失敗しようと、感染研の言うように変異種が強毒化していようといまいと、出てくるのは優等生の韓国、台湾と変わらない数字になり、すなわち、日本は今度は水際防衛に成功しましたという “輝かしい成果” を発表できるようになるでしょう。

つまり、官邸にとってベストで厚労省、感染研のメンツも立つシナリオは、

①が実は正しいかもしれないがあえて証明はせず、③の強毒化は仮説と言わずにそうなのだと主張し、国民に頑張ってもらって3週間たって予定通り優等生の数字が出てきて、「みなさんのおかげです、では少し緩めましょう」とほほ笑んで経済政策に舵を切って、よくやったと支持率があがる

ということでしょう。今回はここまでの指摘にとどめておきます。

最後に、実効再生産数をオンゴーイングの指標として時々示すのではなくドイツのように毎日公表していただきたい。岡田先生の言われるように計算根拠とデータも開示したほうが良いでしょう。

(ご参考)

5月3日のデータ

韓国(4.88)、台湾(0.25)、日本(3.89)

こちらで日々確認できます

http://人口あたりの新型コロナウイルス死者数の推移【国別】

 

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宇宙人の数学的帰納法

2020 APR 26 21:21:45 pm by 東 賢太郎

CS放送で「古代の宇宙人」(Ancient Aliens)という米国のシリーズ物を見てます。高校の頃、エーリッヒ・フォン・デニケンの『未来の記憶』を穴のあくほど熟読した者としてこの番組は垂涎です。地球外生命体の存在を確信しているしSETIプロジェクトは多大な関心をもってフォローしているのです。ただ、この話をすると、ほとんどの人に、えっ、まじめにそんなの信じてるんですか?という目で見られます。興味ぐらいはある人も怖いもの見たさです。SETIまでは科学と認める人もデニケンの古代宇宙飛行士説まで行くとオカルト扱いです。西洋でも疑似科学とされていてまともな学者がとりあうものではないとされているように思います。

影響を受けた本はもうひとつあって、中学か高校か忘れましたが、神話のトロイの遺跡は実在すると信じて掘り当てたシュリーマンの伝記です。彼は商才はあったが家柄も学問もなく、ほら吹きだ遺跡を台無しにしたと後世のエスタブリッシュメントからの毀誉褒貶もあります。でも、たしか雑貨屋だかの見習い店員だったころ、よっぱらいのおっさんが高吟していたホメロスの詩を聞いてトロイに興味を持った。それが世紀の大発見となったなんて素敵じゃないですか。彼は幕末の慶応元年に世界旅行で日本まで来て旅行記を書いています(右)。とても好奇心のある人だったのでしょう。

アレキサンダー大王、ガイウス・ユリウス・カエサル、マルコ・ポーロ、ヴァスコ・ダ・ガマ、クリストファー・コロンブス、みんな好奇心旺盛な男ですが人をたくさん殺したり略奪してますからワルですね、でも魅力あるんですね、なぜなら、やってみないとわからない未知なことにまったく怯んでないからです。みな仮説・検証型の人間だったのでしょう、演繹でなく帰納型で、自説に自信があって突き進んで自分で検証して見せて、どうだ見たかというタイプでしょう。想像力がたくましく政治家、軍人、冒険家でなくても、現代ならビジネスマンで大成功するタイプです。シュリーマンもそのタイプで、目的はカネだ功名心だなんて揶揄されますが、そんな批判は成果からすれば吹けば飛ぶほどのものです。

どうして日本人がいないかと不思議ですが、仮説・検証型、帰納型が少ないと思うのです。与えられたもので「うまくやる」人は多いのです。でも革命的創造、原理的発明、解析モデル構築、地球的ディファクト作りみたいなものは弱いですね、圧倒的に。信長がそれに近いですが彼も鉄砲作りの真似で成功してから中国、キリシタンのアイデアに「開明的」であっただけで、それすらしない者ばかりなので目立ったということです。仮説・検証型、帰納型の反対が既存モデル適用型、演繹型です。モデルは自分で一切作らず、成り行きをじっと見て事例が出そろうまで待ち、モデルと矛盾がないことを確認し、間違いないとなって満を持して結論を出す。調査、研究には向きますがビジネス、投資には最も失敗する方法で、世にいうエリート、役所、大企業病の会社の得意技であり、まさにそれを政府、厚労省は新型コロナでやって初動が大変に遅れたわけです。

デニケンは上掲書に旧約聖書エゼキエル伝の一節は古代宇宙飛行士に遭遇した筆記者エゼキエルによる目撃譚だと書いています。これをユダヤ教徒、キリスト教徒が真面目に請け合うとは考えられません。しかしデニケンにおける聖書はシュリーマンにおけるホメロスの『イーリアス』だと考えることにはむしろ異教徒の日本人の方が思考に自由度があるでしょう。100%否定できないものは否定も肯定もしないというのが科学的態度であります。僕は科学者ではないですが受験生のころ数学にハマって何でも解けるという全能感に近い所まで行って、まったくの勘違いでしたがそれでも自分の限界の淵は見ました。そこで、科学は神聖という犯し難い天界のルールみたいなものがあるかなと感じました。そこからは、論文の捏造とかガセネタとか似非科学には天罰を求めたい欲求すら懐くようになっています。

デニケンを読んだ時はガキだったし、今は彼の説を一刀両断しておかしくないのです。ところが、そうならないのは、ある決定的な経験をしたからです。僕が帰納法型人間であるのは「知は力なり」の英国経験論者フランシス・ベーコンの影響ですが、す。ということは、経験から仮説を作って生きてるわけですからどうしようもありません。その経験とはなにかというと、1990年にメキシコシティーに出張ついでにテオティワカン遺跡に行ったときの度肝を抜かれる「不思議感」がそれなのです。CSの番組でも取り上げてますが、巨大なピラミッドが3つと小型が複数あり、西暦紀元前後にできたのですが、誰が作ったかも用途も不明です。そもそもギザのピラミッド同様、これだけの巨石を積み上げるのは現代のクレーンでも困難のようです。

演繹的な思考だと、こういう従来のモデルで説明できない遺物は(日本の古墳の土偶、埴輪もそうですが)「祭祀用」ということになってしまう。なぜなら、未開人は科学を知らず呪術や祭祀を尊んでいた、という思考のルール(モデル、正統とされる学説)があって、テオティワカンは未開人の造ったものである、したがって祭祀用であるという三段論法で結論する。典型的な演繹法です。真面目で高い教育を受けた人ほどこの思考の鋳型にはまりがちです。ルールに従った処理だから何の祭祀か、神は誰かという余分な論考は無視します。要はわからんものは「その他」に入れて蓋をしてしまい、その事例がルールを覆すものかもしれないとは考えないし、考える者は異端として排除したりするのです。ところがテオティワカンでそれをすると99%が「その他」でしたとなって、ルールの意味すらなくなってしまいます。

僕は一切のルールは間違ってるかもしれないと考える疑り深い人間なので、初めて遭遇する物事を演繹法で考えることはほとんどないです。テオティワカンでも太陽と月のピラミッドは、上掲写真の目線までけっこう急な石段を登るのですが、高所恐怖症だから本当に怖く、それでも、あまりの不思議感と好奇心でみっともなかったですが這いつくばって必死に登ったのを覚えてます。番組はこれを、高度な文明を持つ地球外生命体が飛来して建築した宇宙船のエネルギーチャージャーとして、水銀を用いた超電導空中浮遊装置だろうと比定していましたね。確かにUFOは空を飛ぶのです。というと、空中浮遊?どっかの新興宗教か、アホかと大概の人はなるでしょう。でもこれをご覧ください。

現にリニアは空中浮遊してます。テオティワカンのピラミッドの最近の発掘調査で土中から超伝導体の水銀が検出されたそうだから、否定しづらい仮説であろうと思います。ここの大ピラミッドも、エジプトのクフ王のピラミッドも、どちらも三つあり、空中から見るとオリオン座の三ツ星の形に並んでいるというのも、二つの遠隔地で偶然そうなる確率はかなり低いと思います。よって、僕の中ではデニケン説を否定する科学的姿勢は取りづらく、ヒストリーチャンネルの「古代の宇宙人」をまじめに見るという行動が合理的という結論になっているのです。

最後に一つだけ。「宇宙人」は低レベルの訳ですね。英語もスペースマン、エイリアンとは言いますが漫画っぽい、オトナはエクストラテレストリアル・インテリジェンス(地球外生命体、extraterrestrial intelligence)というんです。映画ETもThe Extra-Terrestrialの頭文字です。その存在は正統派の天文学者、物理学者が認める帰納的推論だから米国でSETI(地球外知的生命体探査、Search for extraterrestrial intelligence)が行われている。ただ、空から宇宙人の電波が来るのを待つなんてアホだ無駄だという批判は世論としても哲学者からもあり予算はついたり打ち切りになったりしています。僕は税金も払っていない米国がそれをしてくれることに謝意と敬意を表明したいし、それは「西へ西へ」という金採掘者のアメリカンドリーム(シュリーマンも参加した)が「上へ上へ」になったものと理解します。

さらに言うなら、そのムーヴメントは、アレキサンダー大王からシュリーマンまで僕の思いついた6人の「仮説・検証型人間」、「帰納法的人間」、つまり、思うに日本は言うに及ばず、ひょっとしてコロナ禍で人類がより現実的、現世肯定的になって世界中で減っていくかもしれないタイプの人種に元気になってもらうプロジェクトでもあると考えるのです。日本はもっとダメになるんだろうか心配です。そもそも日本語で宇宙人と呼んでいること自体が思考停止ですね、お化けみたいなもんです、いるはずないけどいたら怖い、だからお化け屋敷行ってみようよという、この番組を見てる人たちは科学的思考とは無縁であり、TV会社もそういう客が入れば当りとならなければいいが。

ちなみに、GAFAのCEOは異口同音に「これからビジネスで必須な勉強は?」という質問に「数学と哲学」と答えています。

 

PS.

なんともいいタイミングで本稿の2日後にアメリカ国防総省からこんな発表が出た。

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(こちらもどうぞ)

宇宙人のいる星の画像(NASA)

パンデミックは必至

2020 FEB 27 23:23:41 pm by 東 賢太郎

昨日は一日、朝のタクシー運転士さんから社員からパートナーから全員にウィルス対策を教えて終わってしまった。それだけ皆の健康が気になるからで、パートナー若手諸氏がせっかく話をききに来てくれたが本題そっちのけになってしまい申し訳なかった。

父の入っている高齢者施設から「契約書にサインしに来てほしい」と電話があり驚いて「そんなの郵送でいい。社長に言って外部者の入館はすぐ禁止してくれ」と言ったら施設はびっくりして騒ぎになった。その時点で役所からは何の指示も来ていなかった。2月17日のことだ。遅い。遅すぎる。

火曜は舎弟Sと夕食のはずだったが、朝方に電話で「今日やめときましょう」といってきた。どうしたのときくと「ウチ担当のやつが出ちゃったんです、陽性反応」「えっ?会ったの?」「いえ今年はまだ」。だったらいいようなもんだが、ご時世がら、そうきいただけで気勢をそがれちまう。その担当者氏のD社が全員テレワークというニュースが世間を驚かせたのは午後だった。

経済ってどうですか、株はどこまで下がりますかとよく聞かれる。きみね、ウイルスの得体もしれないのに株価なんてわかるわけないだろ。そうなのだ。陽性なのに健康に見えてバラまいてしまう。かかっても初めは風邪ぐらいのふりをしてバラまかせて、急に両肺にくる。いったん陰性になった罹患者がまた陽転する。このウィルスの「なりすまし戦略」は凄い。正体を見せず、じわっと確実に広がっておいて、しかも宿主に居座る。生物兵器かどうかはともかく人工物ならまぎれもなく最高傑作だ。

ワクチンは1年はかかるらしい。全大陸に既に広がり、ひとりでも出たらどこの国だろうと止めようがない。よってパンデミックは必至。「イメージまだ世界は三合目、半年はいくよ。オリンピックはアウト」。クラスターをつぶす戦略は正しいというより唯一の対抗策である。イベントの中止、一斉休校は当然。今日の読響はブルックナー2番があるので悩ましかったが昨日やっと中止が出た。廣津留すみれさんの来日公演も中止の連絡あり。プロ野球はオープン戦無観客で済まないだろう、テレビの斉藤コミッショナーちょっとお疲れ気味で心配です、ご自愛ください。

弊社は2年先を売っているので社員の健康はともかく業務的には警戒する意味がない。パンデミックを想定して、全人類が死滅してない限りそれがどう織り込まれているか、「未来完了形の文法」で思考するだけのことである。3月までに仕上げるべき案件があって、去年までなら僕が自分でやっていたがこの1年で実力者がそろった。どこまで皆さんにお任せできるかお手並み拝見だ。このビジネスはマニュアルで教えられない。言葉は悪いが、虎の穴にぶちこんで苦労させるしかない。目の黒いうちに何人鍛えられるか。

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国家がリスクを取らないと東京オリンピックは危ない

2020 FEB 24 23:23:43 pm by 東 賢太郎

みんな総力をあげて必死に戦っている。どこかで聞き覚えた声明だ。

 

1942年(昭和17年)6月のミッドウェー海戦。霞が関の海軍省・軍令部では祝杯の準備をして戦勝報告を待っていたが、飛び込んできたのは空母4隻を失う予想外の知らせだった。開戦以来初めてとなる大敗に直面し、これをどう発表するかをめぐる調整は難航を極めたという。報道部は「空母2隻沈没、1隻大破、1隻小破」とする発表文を起案したが、作戦部が猛反対した。3日後に発表された味方の損害は「空母1隻喪失、1隻大破、巡洋艦1隻大破」に減らされた。一方で、敵の損害は「空母1隻の大破」が「2隻撃沈」に水増しされ、「沈めた空母の数で日本の勝ち」と発表された。

 

 

新型コロナウィルスに関する大本営発表が出ないことを願うが、そもそも英国籍で米国がオペレートし、イタリア人船長の指揮下にある大勢の船員は多数国籍という制御が困難な条件下で、船員の管轄権がどこまで日本にあり、ことばと文化の差を御してどこまで乗務員の指導と船内隔離ができていたのか?報道は乗客の検査情報ばかりで、船長や乗務員は石ころであるかのごとく顔も肉声も健康状態もほとんど知らせない。それは制御できないファクターの存在を、いずれ巻き起こる議論の俎上にあげたくなかったためではないか。僕は2度クルーズ船に乗ったが、乗客同士の感染よりも「かくれ陽性」の乗務員が懸命に職務を履行するあまりに「善意で」多数の乗客と濃厚接触してしまったことを大いに疑う。

乗務員の接触を防ごうとすれば乗客への食糧や薬の配布などライフラインが脅かされる。とすればである、防ぐのは病死か餓死かの究極の選択であり、国民の誰が見ても接触はやむなしの判断になったであろう。であれば、そう国民に情報開示すればよかったのだ。国民は「清潔、不潔ルート」写真でごまかせると思われたのかどうか、橋本副大臣閣下のご真意は不明だが、たぶん彼に限らず政治家はネット民を甘く見ているだろう。違う。稚拙な書き込みであろうと不特定多数の閲覧で精度が徐々に増し、炎上すればするほど「集合知」になってどんどん真相に接近していく。

政治家や御用マスコミが何を隠そうと集合知のフリーマーケットである株式市場は欺けないのはグローバルにわたって証券市場の歴史が証明済みだが、今やネットが情報のグローバルフリーマーケットになっていることが新たに証明されつつある。その認識に最も鈍感なのが政治家だというなら日本国は危機的だ。テレビはというと、「騒ぎすぎるのもどうか」などと根拠も責任もなく発言する意味不明の脳科学者や、間違いなく新型コロナウィルスについてまだ何もわかっていない「専門家」に御用発言させている。情報が汚染されてる。ネット社会では、大本営発表こそが最も人心を不安に陥れるのだ。国民は、このウィルスを体内で殺す薬はないし今後も現れないという事実を冷静に理解し、「とにかく罹患しない」以外に身を守る手立てはない自覚のもとにここから生活すべきである。

気の毒なことに命令で乗船した職員や配下の検疫官がすでに感染してしまっている厚労省は、この事実によって船上に水も漏らさぬ隔離も防御策も存在していなかったことを我が身をもって証明してしまった。現場が限界まで頑張っていることを国民は知って同情もしているし、では幹部は何をしているんだという気持ちがこのままだとどこかで破裂しかねない。そこでギブアップしてやおら水際対策は放棄し、パンデミック防御策に移行するのだろう。しかし、今ごろ宣言せずとも水際対策は僕が1月31日のブログに下記太字のように書いた時点で、1か月も前に、明らかに論理的に、もう終わっていたのであって、コネクティング不倫疑惑の女性幹部を船に乗せて仕事させてますとお茶を濁しているが、国民は「罰を与えてます」と聞き、「そうか不倫旅行は本当だったのか」と聞き、「そうか乗船させるのは罰なのか」、「幹部はそんなに乗船するのは嫌だ、危険だと認識してるのか」と理解するだけだ。

武漢からの最初の帰国便で2名の無発症キャリア(不顕性感染者)が見つかってしまった時点で、国境での検疫防御がワークしていなかったことが発覚したわけである。封鎖前の武漢市から脱出した中国人は500万人で脱出先のうち成田は3番目に多い9000人だそうだ。不顕性感染者はその2名の発覚以前に中国人旅行者としてたくさん入国してしまっていた高い可能性がある。実はもう騒いでも遅いのだ。

百歩譲って中国人の9000人は忘れても、「無発症キャリア(不顕性感染者=かくれ陽性)がいるウィルスなのだ」という事実は発覚していた。この時点では人・人感染の有無はわかっていなかったが、これほど潜伏期間も感染経路も未だに誰もわからない異例のウイルスがばら撒かれている、すなわち医療専門家すら敵が何者かわかっていない非常時の水際対策というのは最悪の事態を前提にしないと意味ない。ということは「人を見たらウィルスと思え」という事態が来ることは確実とすべきだったのだ。武漢帰国者の14日隔離のデータから疫学的エビデンスが得られたそうだが、ホテル三日月の日本人従業員とクルーズ船の日本国管轄下にない多国籍船員の接触条件が等価でなければエビデンスは無意味だ。その意味で、等価でないことを世界に証明した「不潔ルート」写真はお見事なオウンゴールであった。

中国は全人代を延期する。これはこのウィルスの正体を察知したかの如き決然たる厳戒態勢、非常事態宣言だ。呼応するように韓国も最高度のレベル4になった。潜伏期が24日、エアロゾル感染がある、ウィルスが尿と便にも出るという説も聞こえ始め、「人を見なくてもウィルスがいると思え」となる収拾不能な事態すらあり得る。日本の対応はあの程度で大丈夫かと武漢に閉鎖されている一般住民に心配されている。この期に及んで下に責任を振っておいて「不要不急の・・・」はないだろう。「何々と報告を受けている」「法に則って適切に対応できていると認識している」ではもう逃げられない。唯一立法権限を持つ国会議員がワイドショーのコメンテーターに見えてくる。

官邸に人事権を握られている厚労省は財務省や文科省の二の舞になりたくないだろう。国家のオーナーは誰か、誰が全責任をかけて国民を守るのか、即ち、日本国の真のガバナンスの存否を有権者は心して見守るべきだ。自民党、首相官邸は地公体、個人まかせでなく国家として毅然とした、リスクを取った、国民も外国も納得するような手を打たないと、仮にピークアウトが何処に来ようと東京オリンピックはおろか自身の政治生命すら危ないと思料する。全国民への喫緊の課題は検査試薬の導入、増量だろう。陽性と知った所で薬はなく自分で治すしかないのだが、特定して隔離することで拡散は抑えられ収拾不能な事態は回避できる。ぜひお願いしたい。

 

ps

イタリアはセリアA試合中止、スカラ座公演中止

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感染リスクがあることは万事「致しません」

2020 FEB 22 1:01:30 am by 東 賢太郎

去年、僕はインフルエンザにかかり1月某日に発症した。いつどこで誰に移されたんだろう?日記を調べると、心当たりがあった。その顛末でこういう目にあったのはまず間違いない(ウィルスは本当に恐ろしい)。

思えばあのころ疲れが極限に達していた。ビジネスチャンスがあったからで、そういうハイな時はインフルなど頭になくガードが甘くなる。好事多しとはこのことだ。

そこでウィルスのことを素人ながら徹底的に調べ、「体内に侵入されたら終わり」「治す薬はない」「国も医者も誰も助けてくれない」ことを学んだ。そこで1月30日に不顕性感染者2人の存在が発覚した時点で、

僕は終息宣言が出るまでは誰とも濃厚接触を避け、手すりつり革は触らず、エレベーターのボタンを押した指までもすぐアルコール消毒し、満員電車には一切乗らない

と決めた。それに限らず、ちょっとでも危ないと思ったらソンタクも非礼も何もない、問答無用で「致しません」だ。

同時に、官邸も厚労省も「致しません」だろうと予感した。1月31日に投稿したこれの後半である(不顕性感染者ありは非常に重要な情報)。書いているうちにだんだんそっちがメインになって、なんだかわかりにくいブログになってしまったが、わかる人はわかってくださっているようで安心した。

3週間たってまさにそこで心配した事態が発生しているが、自民党や厚労省を責めても仕方ないのだ、政治に関係ない現場は必死にやっておられると信じるが、もはや日本国の政治力学がそうなっているのだ。オーナーでない組織の通過体にはそんなリスクを取る気がないか、保身でできないか、したくても専門的理解がないか、それ以前に頭がないか、しない方がいい理由があるか、そのどれかだ。

 

 

 

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東大は「受験不可」

2020 FEB 20 0:00:00 am by 東 賢太郎

令和 2 年 2 月13日
                       
 
 
本学の入学試験を受験する皆さんへ
 
東  京  大  学
 
 
令和 2 年度東京大学入学試験における新型コロナウイルス等への 対応について,以下のとおりお知らせします。
 
 
・ 試験当日まで,新型コロナウイルス等への感染予防(手洗いやうがいの励行,外出 時のマスク着用等)に気を配り,体調管理に努めてください。
 
・ 試験日近くに発熱・咳等の症状のある受験生は,必ず医療機関で受診し,適切な治 療を受けてください。
 
・ 試験当日は,感染予防のためにできるだけマスクの持参・着用をお願いします。   また,試験会場では, 「手指消毒用アルコール液」を準備するので必要に応じて使用  してください。
 
・ 令和 2 年 2 月 1 日,新型コロナウイルス感染症は,政令により指定感染症及び検疫 感染症に指定され,学校保健安全法施行規則が規定する第一種の感染症と見なされる こととなりました。そのため,罹患者は本学の入学試験を受験できませんので,ご注 意ください。 なお,追試験等の特別措置は予定しておりません。

 

「罹患者の試験は致しません」「追試験も致しません」。この判断には複雑な思いがある。いろいろなファクターを検討した結果としての苦渋の決断だろうからその是非を問うことはしない。しかし、この「お触書」を見た表面的な解釈は、年1度しかない入学機会の提供よりも、全受験生をウィルスから守ることを東大は選択したということになろう。それが嫌なら罹患しないよう注意すればいいだろう、自己責任だと言っていることになる。その能力も本学生の資質の内とされるならやや疑問はある。

受験はオプションである。受かるかどうかはともかく、受験料というオプション代金を払えば誰でも権利は得られるという建前がある。それを剥奪する合理的な理由はなかなか思いつきにくい。そこで、追試験をすればそれでも構わないではないかという議論が起こるだろう。しかし、それもしないというのが結論なのだ。

追試験に本試験と同じ問題を出すわけにはいかない。とすると、本試験と追試験は別々なスクリーニング・カテゴリーで合格者を選別することになり、被選別者のクオリティーに誤差が発生することは避けられない。東大はそのリスクを回避して、歴史の連続性を担保すべきと結論したという結論になろう。大学院からの入学も本試験入学とは質的にまったく別であることも含め、妥当と思う。

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野村克也さんに感謝

2020 FEB 11 16:16:07 pm by 東 賢太郎

野村克也さんのプレー姿は実はあまり記憶にない。20も年上であり、当時は巨人戦しか放送がなかったからだろう、テレビの白黒録画のホームランシーンしか浮かんでこない。プロ野球史上初の捕手による三冠王でデータ野球の開祖でもあるから知将の印象があるが、現役時代は捕手として三味線(打席に入った打者にごちゃごちゃ話しかけて混乱させること)が有名であった。

ヤクルトの監督時代にオリックスとの日本シリーズで「首位打者のイチローを押さえることがカギだ。徹底マークして内角を攻める」と事前にマスコミで放言して意識させ、内角はボールばかり投げて外角勝負を仕掛け、2割ぐらいしか打たせずに勝った。それも「壮大な三味線」だったわけである。データ野球といってもチマチマした小技などでなく、武田信玄の啄木鳥戦法のごとき大技ができる大物監督であられた。

探すと野村さんの本は家に2冊あった。激務の中の乱読だったのでいつ読んだか覚えがなく、出版年を見てみると「負けに不思議の負けなし」は1987年だからロンドン時代、「野村の眼」(弱者の戦い)は2008年でみずほ時代だったらしい。

日本プロ野球で通算本塁打数歴代2位、通算安打数歴代2位、通算打点数歴代2位、通算打席数1位の人がテスト生で南海に入団したブルペン捕手だったのも信じられないが、しかも1年で解雇通知を受けた。そこで球団マネージャーに言い放った言葉が「もしクビなら帰りに南海電鉄に飛び込みます」だ。もちろんはったりとはいえ、そんな言葉はそうそう吐けるものではない。母子家庭でなんとか病身の母を助けたい、絶対金持ちになってやるとプロ野球に飛び込み、「野球への凄まじい執念を今日まで持ち続けたという自負」を「私が唯一誇れるもの」と書かれている。命を懸ける(懸命)とはこういうことだろう。

僕も長年懸命にビジネスマンをしてきた自負はあるし、何度かここぞという大勝負の場面はあった。たとえばロンドン時代にお客さんに「間違ったら首をやる」(I will eat my hat if I am wrong.)と何度か体を張った緊迫の場面があった。今流なら「わたし失敗しないので」であるが、英語では「だめなら帽子食います」というのだ。それが見事に失敗し、ついにお客さんに How many hats do you have? (君、帽子いくつあるの?)と失笑を買ってしまった。野村さんの身体を張ったプロフェッショナリズムに比べたらこんな懸命は甘ちゃんなものだが、英国のプロ相手に株を売る商売は日々がそれなりに勝負の場ではあって、野村さんの箴言がビシビシと体感できる6年を送れたのは有難かった。

だからだろう、いま2冊の目次を見返してみて驚いた。「エースと4番の条件は」「不真面目な優等生が大成する」「指揮官とは説得業である」「一流が一流を育てる」「天才は妥協しない」「主力に休日はない」「人の良さはプロではくせもの」「大投手の条件は打者を見下ろして投げること」「鈍感人間は最悪」「滅多に褒めない人に褒められたら嬉しい」など、何のことはない俺のポリシーだと職場で偉そうに言明していたのと同じ趣旨のことが書いてあるではないか。日々の業務の中で自然に血肉になってしまったようで、いま見返すと何やら師匠の言葉という感じがする。

引退後に住友金属で講演して1時間の予定が半分で終わってしまい冷や汗をかいたくだりがある。評論家の草柳大蔵氏に「君の経営の話なんか誰が聞きたい?なんで野球の話をしないんだ」と諭されて目がさめたそうだ。僕には野村さんの野球の話が即、人間学、心理学、経営学の話にきこえる。たいした実戦経験もない人の吹けば飛ぶような教訓話としてではなく、ドラッカーの経営学の本よりも身にこたえる。僕の野球歴は力不足と失敗のオンパレードだが、肌で感じることのできる道の頂点の方の言葉はどんな天才や偉人の言葉より重い。

「野村の眼」の最後にこうある。

自己コントロールとは、欲から入っていかに欲から離れるかにある。沈まないとジャンプできない―それが謙虚さであり、素直さである。それがなければ進歩がない。「感謝」というのは、人間形成の基本中の基本である。これが無形の力―すなわち考える力、感じる力、備える力に発展していく基である。傲慢な人間には、現状維持も伸び率もない。ただ下降線を辿っていくのみである。そしてどん底に落ちきって、気付くのである。人間の悲しい性である。

いま、僕はやっとこの言葉が理解できる年になっているようだ。

お会いしたことのない方が亡くなってこんなに涙したことはない。若い頃ぜんぜんぱっとしない人間だった僕にとって2冊のご著書は羅針盤であり、テスト生からあそこまで昇られた野村さんの言葉にそれほど頼っていたことにいま初めて気がついた。苦しい時に勇気づけていただき、心よりの感謝の気持ちしかございません。

天国で奥様とご一緒に、どうぞ安らかにお休みください。

 

雲ひとつない快晴の日

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