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ペーター・レーゼルのブラームスを聴く

2012 NOV 3 15:15:48 pm by 東 賢太郎

昨日、紀尾井ホールにて。前回、9月のピノックのモーツァルトが好きでなかったので、ぜんぜん期待せずに行った。あの弦でブラームス? 冗談だろう、という感じで。

(指揮) クリスティアン・エーヴァルト、(ピアノ) ペーター・レーゼル

ハイドン     交響曲第101番ニ長調 HobⅠ-101「時計」               ブラームス    ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.83

実にいいプログラム。まわりの聴衆もわかっている方々という雰囲気で安心する。

ハイドンの弦は8-6-6-4-2で前回と同じ。ところが今回は音が違う。弦に適当な潤いがある。第3楽章のオルガン的な厚みのあるTuttiなど前回のやせた音とは別物だった。木管の音程も弦のアーティキュレーションもすばらしい。ハイドンの交響曲は知的で創意工夫に富んでいるばかりかユーモアにあふれ、何よりゴシック建築のように形が美しい。こういういいハイドンを聴かせてもらうと一日の憂さが吹っ飛んで心が晴れる。エーヴァルトという人は知らないが、実力は高いということが分かった。

するとブラームスも期待が出てくる。結果は裏切られず。レーゼルが曲を完全に自分のものにしており盤石の安定感。素晴らしい調律がされていて暖かみのある音のピアノ。エーヴァルトとの息もあっている。弦は10-8-6-4-3とやや増強されただけだが低域の不足をほとんど感じなかった。今更ながらだが、なんていい曲だろう。明けても暮れてもブラームス漬けだったロンドン時代を思い出す。それ以後も毎年この季節になると決まってブラームスだったが、今年はなぜかまだそのモードに入っておらずこの名演も100% 没入できていない自分を逆に発見。もったいなかった。

アンコールはブラームスのインテルメッツォOp.117の第1番変ホ長調が美しく静かに弾かれ、こころより満足。

Categories:______ブラームス, ______演奏会の感想, ______演奏家について, クラシック音楽

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