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シューベルト 交響曲第2番変ロ長調 D.125

2016 JUL 31 0:00:03 am by 東 賢太郎

7月のように大凶で気が滅入ったときに明るくしてくれる音楽の一つがシューベルトの交響曲第2番です。僕はシューベルトの交響曲でこれを未完成とザ・グレートの次に愛しています。なにせ17才の作品だから習作と思われているかもしれませんが、与えてくれる愉悦感と生命力は大きなものです。

17才前後の作品というとモーツァルトは交響曲第29番、メンデルスゾーンは真夏の夜の夢序曲、ビゼーは交響曲ハ長調です。いずれ劣らぬ天才の作ですが、中でもシューベルト2番は旋律美にあふれ、形式美、管弦楽の色彩とのバランスにおいて秀逸と感じます。ハイドン、モーツァルト、ベートーベンの系譜のど真ん中に位置する立派な作品です。

シューマンは2番をザ・グレートに触発されて書いたとされますが、ブラームスはシューベルト2番に賛辞を残しており、年下の彼が知ることになったのだからシューマンがこれを知っていた可能性はあるでしょう。

2番の第3楽章はこうです。

これがシューマン4番の第3楽章です。

これをどう聴くかは皆様の主観ですが・・・。

第4楽章の展開部に不安定な短2度の緊張から転調に至る高揚があり、その頂点で弦のユニゾンで新しい動機が強い主張をする(ここ)、

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またはヘ長調から変ニ長調への唐突なものをはじめとする目まぐるしい転調など、ザ・グレートへの進化の種子を感じます。低弦のユニゾンが下がっていって転調するのは未完成の萌芽です。

 

ホルスト・シュタイン / バンベルグ交響楽団

51Ail1cpyyL._SX425_この曲の真価を教えてくれたばかりか、古典派におけるオーケストラ演奏の「究極」の美しさをさえ伝えてくれる最高の名演です。中欧系のオケの美質がどんなものか知りたい方は、この弦のスタッカートの入念でありながら生命力にあふれた音、管楽器の素晴らしいピッチと自発的なリズムの活力、出しゃばらないが見事な存在感でくすんだマストーンのインパクトを形成する金管と打楽器をお聴きになるといいでしょう。この2番は僕の宝物のひとつですが、オーケストラとは不思議な生き物で、この全集の未完成はまあまあ、ザ・グレートはかなり不満で終わっています。

 

ウォルフガング・サヴァリッシュ/ ドレスデン・シュターツカペレ

591古雅な味わいでバンベルグ響と双璧のDSKはこれとブロムシュテットがありますが僕の趣味はこちらです。第1楽章、ヴァイオリンが軽い弓で刻むスタッカートの合わせと見事なピッチ、第2楽章の室内楽的な沈静、第3楽章の活力(大変にシューマンを想起させる)、終楽章は無窮動的に走らず交響曲の威容と終結感を出しますが木管はチャーミングの極みです。総じて彼のシューマン全集に通じるものがあるので、それが好きな方はこちらも趣味に合うものを発見するでしょう。細かいことですが第2楽章第4変奏の4小節目でホルンのgとクラリネットのf#が短2度でぶつかる(おそらくシューベルトの意図せぬミス)のがはっきり聞こえています。

 

クラシック徒然草-僕が聴いた名演奏家たち-

 

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Categories:______シューベルト, ______シューマン

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