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出版かブログか?

2017 MAY 25 12:12:53 pm by 東 賢太郎

きのう某出版社のかたが来られました。2,3週まえに電話があって本を書きませんかという話だったのでおことわりしたのですが、それでも一度ということになったのです。それでお会いはしましたが、再度すいませんということで理由をご説明申し上げました。

僕にはSMCがあって万葉集みたいに残すのが目的だということです。

従来メディアは巨大な資本とコストを食うのでそれをまかなう収益が絶対に必要です。ネットはそれがいらないので、まったく異なった次元のメディアが作れるという仮説を僕は持っていてそれを実験したいのです。

作品を「残したい」という動機は心ある著述家やテレビ、新聞、出版関係者はきっとお持ちと思います。しかし収益を求められればそれは「売りたい」という現世的な動機に蹂躙されてしまう。それが今あるすべてのメディアの宿命であり実態で、我々は視聴者、読者として日々そのシャワーを浴びているのです。

そこでネットというタダの素材によるメディアをそれで稼がなくていい僕のような人間が作ったら何がおきるか?

が実験であり、何もおきなくても次世代が残していってくれれば最低限の目的は達成しますから僕には精神的な負けはありません。物質的な負けはあるでしょうが1億円損する覚悟をしていれば充分でしょう。子供を遊園地に連れて行って、子供は楽しんだが自分は退屈だった、お父さんも楽しめる遊園地があったらどんなにいいだろう、そう思う男がいたからディズニーランドがあるわけで、お金でない純粋な動機というのは強靭なのです。

メディアを作るのに自分が書く必要はありませんが、業界人ではないから経営者としてコンテンツを探す知恵はありません。だから自身がコンテンツにもなって、つまり実験者であって被験者であって実験材でもあるという方法に仕方なく行き着いてしまいましたが、意外にこれはいいぞという手ごたえを感じます。何の業界であれ新参ものが道を切り拓くには他力本願はありえないのです。

例えばブログを書いたことでいろんな方とご縁ができたし、その皆さんにありがとうと喜んでいただけるような嬉しい体験もできるようになりました。過去の人生であんまり世間のお役にたっていない僕には本当にびっくりすることがたて続けに起こっていて、たった4年でこれだから10年やったら何が起きるかわくわくしませんかというのが逆に出版社さんへのまっさらな問いかけなのです。

昨今の出版物はコンテンツが軽薄な情報提供型が増えています。インテリジェンス提供型が激減した。スマホ時代の潮流で売れないからと思われ、だからいきおい最も収益の読めるスクープものが主戦場になるのです。しかしネット時代に情報はタダで手に入るから、そういう本は出版された瞬間から値が下がっていく生鮮食品みたいなもんです。収益を上げねばならない、売らんかなになる、安易な情報提供型になる、という道筋で業界ごと自分の首を絞めていくのです。

そういう潮目のメディアに僕がコンテンツとして登場する意味は皆無であり、よっておことわりしたという極めてシンプルなことです。ただ、紙媒体はなくなることはないし、勝ち残るには強いコンテンツを探し出すことなのです。昨日の某社さんは、来られた方は少なくともそうしたことを危機意識としてお持ちのように思いました。お声かけくださったということは光栄であり、そのことはよく覚えておきます。

 

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