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でかい火星(スーパーマーズ)を家族で鑑賞

2018 AUG 2 0:00:35 am by 東 賢太郎

帰り道で火星がでっかいなと思っていたら7月31日に大接近ときいた。それだけでは特にどうでもなかったが、次回は17年後だからもう80才だと思うと見ておこうとなるから現金なものだ。8月いっぱいは「スーパーマーズ」が見られるらしいから自信のない方はぜひ。

そういえば前回に次の心配をしたのはハレー彗星だった。次は2061年だから僕は無理。1986年に見たのはロンドンから帰国するJALの機中で、シベリア上空を東方に向け夜中に飛行中だった。スチュワーデスのお姉さんが「ハレー彗星が綺麗に見えてますよ、ご覧になりますか?」と、なんとコックピットに入れてくれた(よかったのかな?)。

確かに綺麗だった。地平に緑色のオーロラが輝き、その上方の中空に「それ」はあった。左向きでイメージより尾が短くすそは広めで、テルテル坊主みたい。切り絵をぺたっと空に貼りつけた感じでくっきりと静止しており、漫画のようにユーモラスだった。昔の人はあれを見たらさぞかしびっくりしただろう。

いまの火星もインパクト絶大だ。テラスに集合して家族で(ノイも)感嘆、鑑賞。息子と天文の話になる。これだけでかいと、なるほど地球に近いんだ、移住計画もできるかなと思えてくるがその左には月があって、こんなに表面が肉眼で見える天体はほかにないという稀有の事実が火星のおかげでわかる。

最接近の火星までが5759万キロ、月までは35万~40万キロ、月の直径は水星よりやや小さく、冥王星よりは大きく、火星の約半分だ。月が衛星のわりに惑星並みに大きいということ、それが火星との距離の150分の1の所にあるというのは異常であって出会いの時はけっこう危険だったはずだ。巨大衝突説(ジャイアント・インパクト説)が出る所以だろう。

見た目の「でかさ」を視直径というが、最も大きい星が太陽と月だ。しかしそれは見かけであって、実際の直径はちがう。このビデオでよくわかる。

ここに出てくる太陽より大きい恒星たちは、地球からは視直径が目で認識できない点光源だ。よく知られた一等星のリゲルもアークトゥルスもアルデバランもアンタレスもベテルギウスも、みんな光る点にしか見えない。彼らの何十分の一の大きさしかない太陽はあんなにでかく見える。

オリオン座アルファ星リゲルの直径は太陽の78倍、ベータ星ベテルギウスは1180倍だ。それでもこんな風に点光源にしか見えない。

オリオン座。左上の赤い星がベテルギウス、右下の白がリゲル。

小学校低学年の頃、冬空を見上げてこのオリオンを眺め、そうか太陽も恒星なんだ、それがあんなにでっかく見えるってことはそんなにすぐ近くにあるのか!でも地球がリゲルの惑星だったら熱いだろうなあ、みんな青く見えるんだろうなあ、なんてことを考えていた。

だから最近にチリのアルマ望遠鏡がとらえたベテルギウスの写真は衝撃だった。視直径が「ある」ということと、形が「いびつ」ということにだ。

円は水金地火木土だ。この星が太陽だったら木星まで飲みこまれている。太陽も寿命の半分ほどが過ぎた中年の星だからやがてベテルギウスみたいに赤く膨張して、火星の軌道まで飲みこまれるらしい。もちろん、地球は消滅する。

テスラのイーロン・マスク氏の火星移住計画は素晴らしいが、それでは足りない。でも木星、土星はとうてい住めない。絶体絶命の我々の子孫はどうすればいいんだろう?

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