投資で勝つために必須の考え方とは
2024 JAN 19 18:18:54 pm by 東 賢太郎
基本的に政治にベットすることはないが、米国だけは無視できない。そこで2020年に書いたとおりトランプ・ロング(彼の勝利にかける)のポジションを組んだ。政治としての是非ではなく、何をするか読めなかったバイデンにかけて万一負けた場合にストレス漬けになるリスクを避けた。ストレスは判断を狂わせる投資の敵であり、迷ったら忌避するのは鉄則だ。要は自分がわからないものには手を出さないことである。
そこでトランプが負けた。それでこの3年僕も負けたかというとそうでもない。NYダウは5割、日経平均は7割も上がった。岸田政権になってからでも2割上がっている。彼の政治は知性も行動力も日本史上最低レベルであまりに耐えがたく、思わぬストレスとなったため納税者として大いに文句はつけたが、それでも日本株への投資ビジネスをやめたわけではなく大成功だ。バイデン民主党にもああだこうだ苦情を述べた。そんな米国だが、それでも動かせる資産は100%米ドルにして3割上がり、今もそのままだ。といって全面的に米国派でもなく中国の友人たちとは仲良くやっているが、中国株は一切触らなかった。
「君子危うきに近寄らず」といえば聞こえはいいが僕は君子になりたいわけではない。ピッチングでいうなら、「歩かしてもいいや」とボールにした球を相手が三振してくれたみたいなものだ。今の関心事は僕が積極的に仕込んで3年我慢してきた “トランプ・ロングポジション” が今年11月にワークするかどうかだ。実に楽しみなことだ。自分が儲かることもあるが、僕を信じてついてきてくれた人たちにいい目を見せてあげられることが大きい。
投資というのは何が難しいかというと、人間は感情の動物である点だ。以上のように、僕は政治的主張と投資行動になんの関係もない。「坊主憎けりゃ袈裟まで」というが、憎い坊主の袈裟でも良い物なら買う。これは理屈でない。それでさくさん墓穴を掘った失敗体験のおかげだが、社会人のかけだしの時期、そういう考えの人が東京より格段に多い大阪という街で実務の洗礼を受けたことも大きい。簡単にできるわけではないからできなくてもあきらめる必要はない、感情をコントロールする訓練を積むことだ。
日本は①「なんにも考えてない人」+➁「考えてるが行動できない人」+③「行動するが好き嫌いで動く人」=95%ぐらいという国だ。投資は経済成長の範囲で有限な富の奪い合いだから、95%が儲かって5%が損するなんてことは物理的におこりようがないことはどなたも理屈で理解できるだろう。したがって、皆さんが①②③のどれかに属する人なら、投資をしてビギナーズラックで儲けることはあっても大きな成功は難しいだろうとしか言えない。
では5%はどういう人か。是々非々で、すぐ動き、最後までやる人だ。皆さんの会社や周囲を見渡してほしい。是々非々でない(是も非もなく長いものに巻かれる)、すぐ動かない(慎重に検討して百も理由を見つけてやらないか、やらない前提で長々と慎重に検討する)、最後までやらない(やってはみるがうまくいかないと他人のせいにしたりできない理由を迅速に探しだして言い訳する)が100人中95人と僕は言っている。いかがだろうか。個々人はただの「羊」だが95人もいるとなんとなく羊の群れになり、弱い羊はそれを「長いもの」と錯覚してついてくる。これが現代日本社会であり、話題の自民党の「派閥」もこれだ。
ナポレオンは「一頭の羊に率いられた百頭の狼の群は、一頭の狼に率いられた百頭の羊の群に敗れる」と名言を残したが「一頭の羊が率いる百頭の羊の群」は出てこない。そんなものは弱いに決まってるからだ。まして、「率いる羊は五頭です」なんてバージョンは世界で思いつくのは日本人ぐらいしかなく、「三頭の怪獣・キングギドラ」もびっくりだ。岸田総理、これを退治したのはいいが自分の群れにもブーメランで火事がせまり、これまた凄い面々がそろい踏みの「政治刷新本部」が立ち上がり、五頭どころかその会合に150人が出てきた。とうとう群れより率いる羊の方が多くなった歴史的瞬間だ。
5%の人はこういうドタバタには無縁だ。基本、やるべきことは自分ひとりでやる、というか、それはできない人にはできないし説明してもわからないから、だから5%しかいないという性質のものだからである。江戸時代までは藩校が武士階級のそうした男児をたくさん育て、彼らが明治になって近代日本の礎をつくったが、敗戦でその資質の者を筆頭に300万人近くを戦地で失ってしまった。ドイツ人にもそれを言う人がいたが、この人材損失は甚大だ。その断絶を経てまた増えた現日本人だが、率いるより率いられる方が楽でいいという人が増えてる気がする。そうでない遺伝子を国は大きく逸失し、そうである方が世代を経て拡散されたからだというのが私見だ。ダイハツの不祥事はいよいよ世界のトヨタが謝罪する事態になっているが、まじめが取り柄だった日本人がいよいよそこまで来たかという劣化の象徴でもある。
ここで一つの仮説が導かれる。日本においては率いる人はもはや資質がどうのなんて以前にレアなのだ。だから、群れの羊より率いる羊の方が多い自民党という組織はさらにレアであり、カネかけて落選リスク取って苦労して率いるより率いられる方が楽でいいという考えが蔓延しつつある日本人という母集団の中で維持が困難になってきている。だからどんなに馬鹿でもお手軽な人材供給源として政治家ファミリーが歓迎・優遇され、二世三世ばかりになる。とすると、ビジネスなのだからカネというインセンティブを与えなくてはとなるのは資本主義のセオリーだ。だから地位をカネで買うのに裏金が横行し、それを地元で支えてやる見返りに地方議員は国会議員にたかり、国会議員は税金キックバックを巨大にしようと五輪や万博などの国民的巨大案件が大好きになり、政治は金がかかるんですなんて国民を洗脳して太鼓持ちする「たかり屋」のメディアや評論家がそれをかつぐ。野党も万年野党稼業の方が楽だから共闘して政権奪取なんて兆しもない。岸田総理の「派閥がなくなればこの図式が変わる」という摩訶不思議な理屈はどうやって出てくるんだろう?そんなことはどうでもいい、政治資金規正法はわけわからん「規正」じゃなくて「規制」だろう。
たかが投資だが、これも財産をかけた闘いであるという意味で戦争だと僕は思っている。株が上がってもトリクルダウンはないだのなんなのディバイドを騒ぐ人がたくさんいるようだが群れの一員ならそれも仕方ないだろう。是々非々で、すぐ動き、最後までやる人になるのに財力は不要だ。
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桜井 哲夫
1/19/2024 | 10:40 PM Permalink
投資を始めてから早四半世紀が経過したのですが、おかげさまで市場から撤退することなく過ごしております。
もちろん多くの失敗を経験しましたが、「自分の血(金)を流す」ことで「致命傷を負わない」術を自分なりに学ばせてもらいました。
「君主危うきに近寄らず」ということでは、信用取引・先物取引・FX・仮想通貨・不動産投資は、勉強した結果「自分には無理」と悟り手を出していません。
>投資というのは何が難しいかというと、人間は感情の動物である点だ。
「他人との勝負」ではなくて「自分の心との勝負」ですので、「勝つ見込みがあるフィールド」で戦えばよい・・・と思います。
東 賢太郎
1/21/2024 | 8:53 AM Permalink
それはご立派と存じます。ファンダメンタルズのない物体の取引はそれが何であれ分析のしようがないのでわかるはずがなく、したがってぜんぶ「投機」(バクチ)ですが、株式投資はそれがあるので唯一「投資」です。
東 賢太郎
1/21/2024 | 2:31 PM Permalink
自民支持率最低、党内に衝撃 「裏金」影響、下野直前下回る(時事通信)
史上最低らしい。僕は奈良時代から最低と思ってる。派閥なんて大事なのは自民党議員だけで国民はそんなものどうでもいいのだよ。それを潰したって「猫だまし」にもならんことをわかってない、そこからして大ズレ。しかし彼にはそんなものはどうでもいい。彼に残された唯一の役目は2月にウクライナ10兆円支援の予算を通すことだからである。
東 賢太郎
1/22/2024 | 1:06 AM Permalink
去年から何度も書いている通り、岸田内閣の支持率は堅実にゼロ%に向かっている。僕に予知能力があるわけではない、国益など完全に無視で米国の利益のためだけに動くのだからそうなるのが初めから当たり前、予定調和なのである。そのぐらいはシナリオを書いているバイデン政権には織り込み済であって、役目が終われば切ればいいと、これまた当たり前、予定調和でそうなっているのである。ところが、岸田の優柔不断で昨年内の解散の機を逸してしまった。そこで自民党(麻生ら派閥頭領)が岸田おろしに走るリスクが出てきた。これはバイデンにとってまずいのだ。大統領選挙でトランプに劣勢が判明し、最大のアキレス腱であるウクライナ終戦には大金で年初にゼレンスキー側を納得させないと、民族問題が絡むイスラエル(ハマス)戦争を収められない責任を問われバイデンは支持基盤だった若者を失って確実に負けるからである。米国は議会が金を出さない。だからお財布である日本に10兆円規模の「ウクライナ復興支援予算」を拠出させることはバイデンの選挙のために「絶対必要」なのである。ここで新総理になると失敗のリスクが出てくる。だから盤石なポチである「岸田・木原コンビ」の延命が3月まで不可欠になった(だから刷新会議の中心に木原が座り、ニックネーム付きの似た者同士で周囲を固めて目くらましした)。方法はLBGT法強行採決で見事に成功したアレだ。そのために検察を動員して安倍派を殴りまくって潰して国民の喝采を得ると同時に、全国会議員を震え上がらせて(これが目的だ)岸田の株を上げ、鶴の一声のアレで10兆円法案を通させる。こういう作戦だった。しかし検察の腰砕けぶりを見た国民に裏の意図を見抜かれ、喝采どころか大ブーイングになってしまった。それをチャンスと見て俺にやらせろと渡米した麻生を岸田が起死回生の派閥解散宣言で返り討ちにした。国民、支持率なんかもうどうでもいいという本音丸出しの無手勝流の構えだ。しかし、国民のほうも岸田が何をしようともはや疑念と不信しかなく、どうでもいい派閥なんかに起死回生になられてもなあとその「猫だまし」も国民に即座にバレた。それで史上最低の自民党支持率14%になったわけだ。彼が信用を回復できる唯一の有効な手は、全議員の反対を押し切って、得意のLGBT技を使って政治資金規正法に「議員も連座」と書き込むぐらいだろう。それも能登も無視し、「10兆円をウクライナさんに差し上げます」だともうアウトだ。「岸田総理ご苦労さん」の国賓待遇渡米と引き換えに自民党は終わる可能性がある。