クラシックで寝ついた0歳児が69になったこと
2024 FEB 4 21:21:09 pm by 東 賢太郎
家内からメールがあった。
大森のおばあちゃんがお手伝いに来てくれて冷たいお水でオムツを洗ってくれたと生前話していました。今日は、あなたを産んで上手に育ててくれたママを思いだして一日過ごして下さい。夜寝なくて抱っこして小さな音でレコードをかけて聴かせていた事は知ってましたか?
はい、知りませんでした。おばあちゃんのことも(ごめんなさい)。
レコード。親父のSP(78回転盤)に相違ない。鬼畜米英の時代になんでそんなものを持っていたのかよくわからないが、とにかく好きだったんだろう。それを2,3歳ぐらいからきいていた記憶はあり、だからこうして一生の宝物になってるとは思っていた。
0歳児がクラシックで寝ついた。俄かに信じ難いが、長じて思いあたることはあった。大学時代の下宿でのことだ。勉強に疲れるとコタツで横になってヘッドホンで音楽をきき、そのまま寝てしまった。はっと目が覚めると朝であり、カセットテープがループになっていてシューマンの交響曲が耳元でがんがん鳴りっ放しでびっくりする。「それで熟睡なんだ」といっても誰も信じない。今でもパソコンで音楽つけっぱなしがある。目覚めはすっきり、原因不明だ。レム睡眠、ノンレム睡眠の比率がどうのとは無関係に僕の脳味噌はできているらしい。
最期の床で、好きだったチャイコフスキーの4番をどうしてもと思い、ヘッドホンできかせた。すると眠っていた母はぱっちりと目をあけた。言葉は話せず僕が誰かもあやしくなってはいたが、「うんうん、これだね」と、あたかもわかっていた頃の合点かのようにじっと目を見てうなづいてくれた。僕は驚き、あっ、良くなってるぞと喜んだ。
母を悪くいう人はまったくいないし想像もできない。まさに慈母であった。こういう両親の家に生まれたことを神に感謝する。
69才
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