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小池都知事の刑事告発について(改定済み)

2024 JUN 20 20:20:38 pm by 東 賢太郎

「なぜこういうことが4年ごとに起きるのか」「いかがなものか」。小池都知事はおさまることのない学歴詐称疑惑に不快感を表明されているときく。しかしその主張は間違っている。「こういうこと」で刑事告発されたのは初めてだからである。この事実は極めて重い。「学歴なんか関係ない」「政治家はみなそんなもの」「8年よくやったじゃないか」などという次元の話ではぜんぜんない、これは犯罪捜査なのである。

疑いは公職選挙法違反(虚偽事項公表罪)である。告発者は弁護士の小島敏郎氏。この方は在学中に司法試験合格、上級公務員試験3位合格と、東大法学部首席卒業に近い人である。

小島氏によると、最高裁判例は同犯罪を目的犯としている。すなわち、虚偽の事項を公表することで自分を過大に評価させて選挙で票を得ようという目的でする行為で、社会状況を含めその効果を行為者が認識している場合に成立する。

小池氏は「何度も(卒業の)証明書を出している。どこにはんこが足りないとか言っておられるようでございますが、カイロ大そのものが(卒業を)認めている」「(卒業を)証明するのはどなたなんでしょうか。大学の証明は、大学がなさるものだ」と主張している。

本告訴は公職選挙法という日本国の法律によって裁かれる。カイロ大が卒業を認めているかどうかを含めて、判断するのは外国ではなく日本国である。カイロ大学関係者の方やエジプト大使館の方の言説やフェースブックへの投稿で右往左往する案件ではない。判断する根拠は「卒業証明書」である。なぜなら小池氏が自らそう述べ、「すでに何度もお見せしたもの」が「(私の)卒業を証明する書類だ」と4年前の都議会で答弁しているからだ。

小池氏の “卒業証明書”

したがって、もし “卒業証明書”(左の写真、誰にも触らせないというビニール袋に入った物体)が偽物であったなら、仮に『名誉卒業』が後付けで事実になっていようと、「虚偽の事項」で国民を欺こうとした厳然たる物的証拠となり(注)、その虚偽が「自分を過大に評価させ」る効果は現在も継続しており、小池氏がそれを「認識している」ことを示す言動はいくらもある。よって、公職選挙法235条1項の趣旨に違反した罪に問えると思料する。

首席卒業

(注)”卒業証明書” には〈文学部は1952年7月15日に日本で生まれたミスターコイケユリコに1976年12月に文学部社会学科の学位を成績「良」で与えている〉と書かれている。すなわち、「優・良上・良・可」の上から3番目の評価であったことから「首席卒業」は「虚偽の事項」に相当し、「自分を過大に評価させようという目的」がうかがえる。2018年6月19日の都議会で「担当教授の『良い成績だった』という言葉を鵜呑みにした」と弁解したが、鵜呑みであろうとなかろうと別物である『良い成績』を『首席』と記載して構わないと考えた理由は以下の3つが考えられる。①同著「3日でおぼえるアラビア語」が出版された昭和58年(1983年)に “卒業証明書” は発行されておらず「良」の記載を知らなかった ② “卒業証明書”のアラビア語を誰も読めないと考えた ③自分も読めなかった。ちなみに、小池氏の写真がピンで張り付けてあるが、これを見て署名した複数の人の全員が対象者を「ミスター」(男性)と誤認することは考え難い。よって、本証明書は写真なしの(あるいは男性の写真が貼ってある)状態で署名され、後に小池氏が自分の写真を張り付けた可能性を否定できない。

海外留学した方はお持ちだが、卒業証書とは写真のようなものだ。米国のペンシルベニア大学ウォートン・スクールの例で、学部は英語(上)、大学はラテン語(下)である。僕の姓名と卒業年月日 May21,1984 が明記されており、これが大学の卒業と学位(MBA、Master of Business Administration、経営学修士) を証明する。仮にこれを紛失して誰かに「学歴詐称ではないか」といわれても、ウォートン・スクールに「卒業証明書」を発行してもらえば事は瞬時に片付く。つまり、「なぜこういうことが4年ごとに起きるのか」などという奇々怪々な現象は、正規に留学して卒業した人には絶対に起こり得ないのである。小池氏もそうすれば、学歴詐称疑惑など一瞬で吹き飛ぶ。なぜしないのか?書簡、電話、メールでは依頼できないなら、2022年11月に都立高生を引き連れてカイロ大学に行って講演した際に大学当局に直接依頼すれば何の苦もなくもらえたではないか。なぜそうしなかったのか?

小池氏は自分で卒業証明書だと主張している上掲写真の紙(物体)を手元に置いているが、ちらりと見せるだけで誰にもさわらせなかったと元側近の小島氏は語っておられる。それがあるから再発行は不要と考えたか、あるいは紛失証明がなければ再発行手続きができない可能性はある。それなら、告発の受理後すみやかに東京地方検察庁にそれを提出し、国家としてカイロ大学に真偽を確認してもらい、同時に、物体の科学的分析による真贋判定を科捜研にしてもらえばよい。昨今は200年も前のモーツァルトの楽譜の紙質、インク、ペン種、筆跡などを解析して西暦何年に使用された紙かが判明し、そこに書かれた曲の作曲年代が修正までされている。その技術で日本国に本物と証明してもらえば学歴詐称疑惑など一瞬で吹き飛ぶ。

朝堂院大覚氏

小池氏がそうした「卒業生として普通のこと」をしないのは、普通ではない事情があり、2022年に現地で請願しても大学は出しようがなかったのではないかという声も周囲で聞こえる。かような憶測が積み重なって大きな疑惑となっているのである。前回の選挙前のカイロ大学宣言でいったん沈静化はしたが、石井妙子著「女帝 小池百合子」がネットで拡散し、小池家の過去をすべて知る朝堂院大覚氏の証言までyoutubeで放映されたため、それと矛盾する “卒業証明書” は怪しいと大多数の国民が思うに至ったのが現在だ。それを「何度もお見せしている」と逃げれば逃げるほど疑念はふくれあがる様相になっている。すなわち、学歴詐称疑惑の存在は小池氏自身に全責任があるのである。それをあたかも他人の責任のように「いかがなものか」と言うのはまさに「いかがなものか」である。

文芸春秋は本年4月9日に小島氏のこういう発言を掲載している。

「相談したいことがあるの」。その日、東京都知事の小池百合子さんから呼び出されました。(中略)彼女はうろたえていました。原因は、ノンフィクション作家の石井妙子さんの著書『女帝 小池百合子』です。5月下旬頃から書店に並び、瞬く間にベストセラーになっていた。小池さんの半生が描かれていますが、話題を集めていたのが彼女のカイロ大学卒業の経歴を「虚偽である」と指摘している点でした。(中略、以下会話のみ)「カイロ大学、卒業しているんでしょ?」「それはもちろんしてるわよ」「卒業証書とか卒業証明書はあるんでしょ?」「ああ、ここにあるわよ」「それで済むんじゃないですか」「いや、それで済まないのよ」・・・(このため「カイロ大学声明」発表の工作に進むことになる)

僕はこの発言(赤字)が犯行捜査の核心であると考える。小池氏は、手元にある “卒業証明書” に何らかの瑕疵(傷)があることを知っており、それの再発行を申請してもそれは修復できず(あるいは再発行自体が不可能であり)、だからそれを都議会に提出しても疑念の払拭は済まないと確信して小島氏を呼び寄せていたのである。そして、同じ理由から、2022年11月にカイロ大学を訪問しているのに「卒業生として普通のこと」ができなかったのである。検察は小島氏の告発を受理し、 “卒業証明書” を押収してそれを突き止め、起訴していただきたい。

このまま選挙戦に突入するなら国民(都民)は「偽物とバレるから出せないのだ」と結論する以外になくなってしまう。ウソつきに投票しようという有権者は減るだろう。自民党が応援していることも、不動産利権で報道機能が麻痺したメディアが守っている景色も氏にとってネガティブな情報になりつつある。政治もメディアも徹底的に腐敗しているこの事態を静観するわけにはいかない。ウソで権力が握れる国は滅ぶ。真剣に努力を重ねた多くの善良な日本人を愚弄し、社会の秩序を乱し、子供たちの夢を削ぎ勉学意欲に悪影響を及ぼす姦才の主と断じる。一時世を騒がせたショーンKと似た者同士とネットで断じられてもいる。彼は失脚で済んだが小池氏は公職にあるため公職選挙法違反という犯罪者になる可能性がある。それが日本国の法律である。

小池氏の “卒業証明書” が検察によって偽物と証明されてもされなくても裁判で有罪となる可能性はあり、その場合、仮に執行猶予がついたとしても、今回の選挙で当選していれば5年の公民権停止によって小池氏は在職中に失職する。すると都知事は改選となり、ふたたび選挙費用としておよそ50億円もの我々都民の税金が空費される事態を招く。来る7月7日は良識ある東京都民がそれでいいのかの審判を下す日でもある。

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Categories:政治に思うこと, 若者に教えたいこと

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