Sonar Members Club No.1

カテゴリー: ______箱根

箱根吟遊と旧吉田茂邸にて

2014 JUL 16 14:14:31 pm by 東 賢太郎

先日は会議がこちらで行われ、箱根吟遊さんに泊まらせていただきました。ネットの評判を見ると「日本で一番予約が取りにくい名旅館」といわれたことがあるそうで、予約は1年先までとリピーター率は高そうです。清算の時に「次のご予約はいつにされますか?」と尋ねられますが、それだけの値打ちありでしょう。

hakone1

 

1階の「風雅」という部屋は内風呂と露天風呂があり、総面積はざっと100㎡はあるでしょうか。庭先は樹木で見えませんが眼下に早川を望む峡谷で、その奥は深々とした国有林です。大浴場もありますがここだけで充分でした。

 

 

 

hakone2

 

朝日と鳥の声で5時半に目が覚め、湯船につかるとこうです。澄んだ空気と木漏れ日と熱い湯、日ごろの憂さを忘れさせていただきました。

 

hakone3

1時間ほど仕事のメールに目を通したりなどしてすごすと、光の具合がすっかり変わります。ちなみに松本清張の推理小説「蒼い描点」に登場するケーブルカーの線路はこの写真の垣根のすぐ下です。

 

 

台風が良い塩梅にそれてくれたので、関所を経てからバスで大磯の旧吉田茂邸、旧安田善次郎邸を訪問することに。

yosida

これが吉田邸の庭です。吉田茂はいうまでもなくサンフランシスコ講和条約、日米安保条約の締結、日本国憲法の可決をした首相で、また大平首相はここにカーター米大統領を招いて日米首脳会談を行いました。

 

邸宅は放火で焼失したのですが、『町民のみならず多くの人々に見学して頂く「博物館的機能をもった施設」が相応しいと考えます』という大磯町の再建プランを拝見しましたが、現代日本の起点を築いた要衝という歴史的意味合いを付加価値とされればさらによろしいかもしれません。このプランですと資金ファイナンスが寄付だけですから復興もその額に規定されてしまい、民間の視点ではありますが少々もったいない気も致します。例えば、海外の国賓宿泊用に復旧して、安保と現行憲法を持つに至った我が国の戦後史の理解者を増やす舞台として国に使ってもらったらどうでしょうか。敗戦の歴史は歴史として受容し、そういうポジティブな姿勢で情報発信してこそ、中韓のネガティブ・キャンペーンに世界が冷静な評価を下す素地ができると思います。そういう使い方が十分にできる史跡と思います。資金は寄付ではなくこれを法人化して民間企業に「限定的な社用迎賓館使用の特典」を条件に出資を募ればさらに充実した復興が可能でしょう。

旧安田善次郎邸は内部を見られませんでしたが、安田不動産(旧安田財閥)の所有です。調べてみると大正10年に安田はここで右翼に暗殺されています。日比谷公会堂、千代田区立麹町中学校校地は安田の寄贈であり、同じく匿名で寄贈した東京大学の講堂は死後に安田を偲び安田講堂と呼ばれるようになったそうですが、浅学にして知りませんでした。曾孫にジョン・レノンの妻ヨーコ・オノがいるのは有名ですね。「五十、六十は鼻たれ小僧 男盛りは八、九十」は彼の言葉とされているそうです。これを肝に銘じたいものです。

(こちらへどうぞ)

箱根のおすすめカフェ(Garden Railway Cafe in Hakone!)

 

 

 

 

お知らせ

Yahoo、Googleからお入りの皆様。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/
をクリックして下さい。

 

 

 

箱根駅伝よかった

2014 JAN 3 15:15:27 pm by 東 賢太郎

東洋大の圧勝でした。設樂兄弟が強かったですね。1区で3位、2区で2位、あとはずっと首位。駒沢は9区の大学界エース窪田までで2分以内ならという目算でしたが東洋大上村に23秒しか詰められませんでした。この上村がまだ2年生なのだから恐るべしです。

その東洋大のモットーが「その1秒を削り出せ」だそうです。いい言葉です。大事にしろでも稼げでもない「削り出せ」。勝負へのおそろしい執念を感じます。そのぐらいでないと世界へは出れません。

世界といえば花の2区で山梨学院大のケニア人オマンバが右足を負傷して無念のリタイアでした。個人技であれば自己責任で飛ばしまくればいいです。しかし襷をつなぐにはリスクは冒せずセーブも必要だからただの競争ではないというところが駅伝です。気の毒でした。6区の山下り、亡きお母さんへの思いを抱いた明大・広瀬は区間新にあと5秒。取らせてあげたかった。

見ていてここにハーバード大学や北京大学も出せば面白いと思いました。柔道と一緒で日本発のグローバル競技にしたらいい。アジアだけでも将来箱根なみに盛り上がれば仲良くなれるのでは。でも伝統のスポーツ、100年かかるかな。個人技でなくチームで記録を作るというのは和を持って貴しとなす日本ならではかもしれませんね。

ここで走る人たちは1万メートル30分前後です。どのぐらい速いのかなと思って自分と比べてみました。高校時代、ちゃんと計った時計は1500m5分15秒でした。これは時速で約17キロ、100mが21秒です。彼らは100m18秒だから、僕は100m走って14m28cm差を開けられる。1500mだと210mおいて行かれます。当時の実感として、差がよくわかります。

僕の全盛期だし二流だけど一応は体育会で毎日皇居1周7kmを走っていて、その5分15秒はクラスで1位でした。しかも1500mと20kmとは13倍も違う。100mだけでいいなら18秒の彼らを抜けますが、そこから距離を徐々に長くしていってどれだけ速度をキープできるかというのが長距離レースです。13倍長くして100mで14mおいて行かれるペースをキープできるというのは!う~ん、やっぱり人間ばなれしていますね。

ちなみに昨年のベルリン・マラソンで世界記録を更新したウィルソン・キプサング・キプロティチのタイムは2時間3分23秒でした。1kmを2分55秒で走っています。これは1万mを29分24秒だから、箱根を走っている上位の人たちとほぼ一緒。箱根は1区間20km程度だから、その2倍の距離を同じペースで走れればマラソン世界記録が見えてきます。それがきっと至難の業なんでしょうね。

今日走った子たちは6年後に脂ののりきった25-28歳。頑張れ。東京オリンピックで金メダルを取ってください!

 

わが温泉考 (Splendid hot springs in Japan !)

2013 DEC 24 17:17:50 pm by 東 賢太郎

温泉について書けるほど知識はありませんが、とにかく好きです。先輩に教えてもらった秘湯ということで2006-7年ごろ岩手、秋田の藤七温泉玉川温泉国見温泉をめぐったのは忘れません。

藤七温泉

藤七温泉は箱根の大涌谷のように地中から硫黄臭の白煙がたちのぼる広大な丘にあります(硫黄は本当は無臭であれは硫化水素臭なのですが、硫黄ということにしておきます)。野趣あふれる白濁湯でした。シャワーのたぐいはなし。なにかお湯というよりも粘土をお湯に溶いた濃厚なクリームスープとでもいう感じですね。病気など吹っ飛ばす大地のパワーを感じました。

 

 

玉川温泉玉川温泉は癌治療で有名ですが、これは強烈でした。源泉は酸性が強くてすぐは入れません。たしか30%、50%と薄めた湯から順番に入り、体を慣らしてから100%に入ったと記憶しています。足に小さい傷があったのですが、それに湯がしみて痛くてたまりません。何とか我慢しましたが、この湯が癌に効くのは酸性が強くて皮膚がやられ、白血球が増えるからだと聞きました。納得です。

国見温泉

 

国見温泉は車で舗装されていない山道をがたがたと延々と登ります。正に秘境の秘湯。こじんまりした湯治場の旅館があってそこの風呂に入れてもらいます。ここで1か月素食して湯治したら10㎏は痩せそうだ。一度是非泊まってみたい。これは鮮やかなグリーンで少々驚きますね。

 

ところでぜんぜん話は飛びますが、人間の血液内には鉄(Fe)があります。鉄という物質は宇宙空間に元々はなかったそうで、恒星の核融合の最終生成物である 56Feが超新星爆発で宇宙空間に飛散した物質です。あまり遠くない将来にオリオン座のベテルギウスでその超新星爆発が起こるといわれています。

宇宙空間には、こうして吹き飛ばされた星の残骸(星くず)が散らばっています。その中に鉄(Fe)が含まれていますし、宇宙の歴史の中でそこでしか鉄は生まれません。水素ガスが引力で固まる時にその星くずもまざった新たな星ができます。そうしてできたものの一つが地球です。そして我々の体は地球の物質だけでできています。だから我々の体内に鉄があり、それは我々の体が星くずでできているという証拠です。

あしのゆ

 

昨日松坂屋の芦の湯温泉(右)につかりながら息子とこんな話をしました。脱衣場の壁に温泉の成分表があります。温泉は熱いので地球の様々な元素が溶け出している。そこが井戸水と違うのです。

 

 

でもそのうちの硫黄は人体に有害な化学物質である。にごり湯の腐卵臭は硫化水素ガスであり、一定量を超えて吸引すると即死に至る。

 

どうして毒なのに人は温泉を好きなのか?

 

「それは科学と矛盾するよ、科学的に答えはないよ」というのが理系の息子の答え。

「そうだね。毒を好きな人はいないと仮定するのが科学だろう。でもお父さんみたいに好きだという人がたくさんいる。これも事実だ。科学には何か限界があるんじゃないか?」

「じゃあその仮説は?」

「例えばだ。人間も地球も元は星くずだ。温泉は「地球のスープ」だよ。人間には星だった頃からみんなおなじみのものであって、旧友同志が磁石みたいに引きあうんじゃないか?」

「確かにお湯につかりたいなら家の風呂や銭湯でいいし。なにかそれ以上の魅力はあるけどね。ただ効いたと思い込むと病気が治るプラセボ(偽薬)効果というのもあるよ。」

「そうだね。でも、自動車の排気ガスのにおいが好きな人がいる。だからこれも毒なのに芳香族というだろう。どうしてそれがいいニオイとプログラムされてるんだろう、人間の遺伝子に?」

答えは出ませんでしたが・・・

 

昨日の大涌谷です。

大涌谷

自分が星でできていて、星だった時代の物質同士が呼びあっていて、自分もスープの中に回帰したくなる。化学だと明らかに「毒」なんですがトータルだと薬になる不思議・・・。遺伝子の記憶、ケミストリー(合う人合わない人)、親と子、男と女、僕と猫、こういうものを科学で解明したら?

1個食べると7年長生きする?温泉卵をつくっています(下の写真)。僕の場合、つい、卵よりもここに裸になってつかった方が長生きできるんじゃないかと思えてくるのです。

温泉卵

 

空のおはなし (今月のテーマ そら)

箱根の休日(Holidays in Hakone)

2013 DEC 23 21:21:31 pm by 東 賢太郎

 

 

unnamed (13)                      箱根で休養して参りました。大の温泉好きなので軽井沢は魅力を感じません。昔から箱根ばかりです。我が家は東京も南なので空(す)いていれば車で1時間というのも最高です。連れは上の娘と息子の2人です。僕は温泉はにごり湯マニアなので強羅温泉芦の湯温泉ということになります。今回は芦の湯の松坂屋さんでした。

 

unnamed (8)                      まず行きがけに江戸時代からある甘酒茶屋で休憩。箱根新道を途中で畑宿の方へ下りて、つづら折りの旧街道を登ると茶屋はあります。ここまで登るともう雪がけっこうあり、午後4時でしたが気温は2-3度だったでしょうか。標高で7-800mはあると思いますから車でも急こう配で、もうこれは昔の人には登山だったでしょう。

unnamed (5)                                            ここの甘酒はほんとうにおいしいです。お土産に買って帰ります。みそおでんはコンニャクでこれも素朴でなかなか。おもちは3種類を注文。いや~江戸時代の旅人の気持ちが分かりました。

 

 

unnamed (2)                    松坂屋さんは箱根でも有数の旅館で皇室の別邸も奥にあります。明治には西郷隆盛と木戸 孝允( 桂 小五郎)が密談した場の石碑もあります。何がいいって、ここの湯質は箱根でも最高であります。硫黄泉でやや白濁ですがアルカリ性というのが珍しく、色は日によって青、緑、エメラルドに変わります。

 

unnamed (7)                                            3名で2室の部屋をとりました。この部屋は角で、すぐ隣に薬師堂があり、江戸時代の文化サロンだった「東光庵」といって加茂真淵や松尾芭蕉が句を作って遊んだ場所があります。こういう場所で寝るなんてのもオツなものです。

 

unnamed (9)                                                          右の写真の古道は東光庵に至る道ですが鎌倉時代からある重要文化財ということで、この旅館は本館から大浴場へ行く廊下をこの部分だけ階段で下げてわざわざトンネルにしています。浩宮様も泊まられるだけあって、こういうところへの気遣いが行き届いています。なお食事は旅館のレベルを超えています。おかみの挨拶もあり今回2泊しましたが飽きることはなく、体重が気になっております。

 

 

unnamed (10)                      疲れ果てていたので翌日は朝食後に風呂へ入るとまた寝てしまい、昼ごろから外出しました。ミシュランで1つ星という「たけやぶ」という蕎麦屋へ。天せいろを試しに注文(右)。せいろが1000円でこれが2400円というのは意味が納得できませんね。まあお味はこんなもんかという程度でした。和食のミシュランというのはだいたいこんなもんです。

 

 

そこから仙石原をまわって、娘にひっぱられてガラスの森美術館へ行きました。これは面白かった。ヴェネチアングラスはそこそこ収集されていて目の保養になります。ヴァイオリンとアコーデオンのミニコンサートも聴きました。

 

unnamed (11)

 

 

ガラスの森美術館のライトアップ前です。2時ぐらいです。後ろに大涌谷が見えています。

 

 

 

 

 

unnamed (4)

 

 

ライトアップ後です。箱根の冬は日暮れが早いです。5時半ぐらいでこれでした。

 

 

 

ここのクリスマスツリーは名物で、gooランキングの「一生に一度、必ず見ておきたい日本国内クリスマスツリーTOP10」の第2位だそうです。ちなみに1位はユニバーサル・スタジオ・ジャパン、3位は佐世保ハウステンボスです。

高さ10m、幅8mとかなり巨大であり、7万5千粒のクリスタルグラスが光り輝くさまは圧巻でした。

unnamed (14)

unnamed (12)

 

                       Merry Christmas!!

 

(こちらへどうぞ)

箱根の奥座敷にて

 

箱根駅伝に見た体育会精神なるもの

2013 JAN 4 1:01:51 am by 東 賢太郎

毎年、箱根駅伝を見ます。一度だけ温泉に泊まって箱根湯本の沿道で見ましたが、それがものすごく寒かったのと生来のものぐさなのとで、以来ずっとTV観戦ですが。

箱根はお正月というのもあり、陸上競技にあるまじき山登りなんていうスペクタクルもあり、箱根に行って大手町に帰ってきたらああ明日から仕事だと自然に心のスイッチを入れてくれるところもいいですね。白バイの警察官の郷里の紹介までしてくれてとてもNHK的なのに日テレ、というミスマッチ感も何ともいえません。

駅伝という競技はメード・イン・ジャパンのようです。学校の順位や個々人のタイムだけでなく、襷(たすき)を切らさないということに大きな価値観があるという点が日本的ですね。アナウンサーは「伝統の重圧」「汗のしみこんだ襷」「最後の箱根」「走れなかった仲間」など駅伝ならではのキーワードを連呼しますが、「途切れた襷」ほどエモーションのこもった言葉はないのではないでしょうか。

何であれ体育会でチームプレーというものを経験された方は、そのエモーションの根っこがよくわかるでしょう。野球では「痛恨のXX」というやつがそれに匹敵します。一球、落球、三振などいろいろですが、特にたいがいの投手は一球でサヨナラ負けという怖い経験があります。いまだに夢まで見ます。怖いのは負けることではなく、先輩同輩への自分の気持ちなのです。みんな仕方ないよと言ってくれる。だから逆に、自分を責めるしか逃げ場がなくなってしまうのです。

海外暮らしが長かったので高校のクラス会に30年ぶりに出ました。その時のこと、正二塁手だった岡崎氏が「東、あのゲッツーごめんな」などと突然真顔でいいだします。彼の落球でゲッツーが取れず、そこから僕が崩れて負けたんだそうです。本人は完全に忘れているのですが、ガックリした僕の後姿を彼はずっと覚えていて責任を感じていたらしく、30年たって謝ってくるのです。これが体育会なんです。

去年、襷が途切れた日体大の痛恨はいかばかりだったでしょう。外部の者の想像を超えるプレッシャーがあったと思います。それをはねのけて勝ち取った今年の優勝は称えてあげたいです。駅伝でタイムや区間順位を第1目標と言うものはいません。チームへの貢献がすべてです。とても非欧米的、非個人主義的いや全体主義的ですね。チームが勝つためには被災者であれキャプテンであれ非情に犠牲とします。それが好きか嫌いかはともかく、日本という国の精神構造にがっしりと組み込まれているものだと思います。そしてそれが強い日本というものを支えたバックボーンでもあったのです。

忠臣蔵は江戸時代から歌舞伎になるほど民衆に人気がありましたが、あの事件は元禄時代に起きています。武士道なるものが形骸化しつつあった江戸で起きた珍重すべき「武士らしい行為」として称えられた側面もあり、本物の武士を自認していた長州、薩摩藩士は小ばかにしていたそうです。箱根駅伝の人気というものを見ると、死語化しつつある日本的全体主義、たとえばお家の一大事とか滅私奉公などというものがやっぱり日本人の中に脈々と生きており、体育会以外の人たちに「体育会らしいスポーツ」として珍重されているような気もいたします。今年の日体大優勝は歌舞伎になるかもしれません。

 

 

 

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊