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カテゴリー: 若者に教えたいこと

テスラ(Model X)試乗記

2018 OCT 16 9:09:27 am by 東 賢太郎

 

台車部分のスケルトン(フリーモントのショップにて)

クルマの自動運転(オートパイロット)はかつてはドラえもんの世界でした。それが実現しているのだから、これは試してみるしかありません。昨年にシリコンバレーへ行ったおり、テスラがそこかしこに走っているのを見てこれだと思い、仕事の合間にフリーモントのショールームをのぞいてみたのです(写真)。

人類の英知の最先端に触れてみるのはいつも大事です。知識ではだめ。肌で知ることで感覚が「上書き」され、そこに乗せた知識が初めて考える土台となるのです。だから僕は古いもの(クラシックなもの)も好きですが、新しいものも目がありません。最先端のその先には神の領域があるからでいつも1ミリでもそれに近づきたいと思っています。高所恐怖症なので月に行きたいとは思いませんが。

シリコンバレーはアメリカのIT最先端基地ですが、住人はアメリカ人といってもエスニックにはインド人、中国人、イスラエル人などのごった煮で、テスラ創業者のイーロン・マスクは南アフリカ人です。内向きの日本人は影もないが別に寂しいこともない。curiosity(好奇心)なき者は進化が止まる、それだけです。それで日本国がどうなろうと僕にはどうもできないし。

オートパイロットはいずれ地球上の交通を席巻するでしょう。安全性に未解決の問題があるといわれ、それはおおむね事実ですが、では現状の人間による手動運転がそんなに安全かどうかを自問すればいい。「昔は人が運転してたんだ、80才こえたおじいちゃんでもできたんだよ」と子供に親が語る時代が来るに違いない。より安全な方法があるならそこに留まるべき理由はないのです。道路や交通規則の方をオートパイロットでも安全なように根本的に変えればいい。あとはAIの加速度的なラーニング能力が解決します。

オートパイロットという究極の移動手段においてCO2を出す動力に依存するという発想はまったくのmediocre(凡庸の愚鈍)です。せっかくの無限大にゼロをかけてゼロにするようなもの。EV(電気自動車)がベストの解決かどうかはともかくガソリン車より地球環境にやさしいのは自明です。そうなると困る業界人たちが時間稼ぎのためにあらゆる反論を垂れ流していますが、何をあがこうが10年ぐらいで世界は自動運転によるEVの世の中になるはずです。

そのレースで最先端の車を作って売っているのがテスラ社です。新奇なものに毀誉褒貶があるのは世の常で、イーロン・マスクの行状やら生産体制やら業績やらがあれこれ言われており、だから買わないという人もいる。しかし創業者がどうあろうが世界のトップノッチの技術者が集まって世界一のEVを作ろうとこだわりぬいた逸品であることに変わりはありません。クルマの良し悪しは評論家が何といおうが、自分で乗ってみないとわからないのです。

Model Xをプレゼン中のイーロン・マスク

そこで米国で2年前にローンチされたModel X(ファルコンウイングドアの多機能SUV)に青山のショップで試乗してきました。これはファミリーカーなのにスーパーカーである世界で唯一の車、世界一の安全性能、重さ130トンのジェット機を牽引してギネスブックに載った世界一のパワーと、世界一ずくめの車であり、どうしてもさわってみたかったわけであります。

加速は0-100km/hを2.7秒!ランボルギーニ、マクラーレンより速く、体感はジャンボ機の離陸時のGで、同乗者(7人乗り)は悲鳴をあげるでしょう。最も興味があるオートパイロットですが、これはまだ未完成ではあります。しかしこの車は走るコンピューターであって、プログラムはテスラ社によって時々刻々バージョンアップされオンラインで自動装備されていくのです。車が勝手に進化する!このコンセプトは素晴らしい。

未完成とはいえ、おそるおそるハンドルを手放してアクセルもブレーキも踏まずに「馬なり」にして走行してもすべてを完全装備のセンサーが感知して、見事に道なりに曲がり、周囲の車の流れに合わせての加速減速、停止、発進をしてくれます。車庫入れ、縦列駐車は完璧。不思議な感覚ですね。いずれバージョンアップされて道路状況を学習させれば、空港まで乗って行って自動運転で無人で帰宅させる、運転手なしで会社まで車内で寝たり仕事したりして往復できるなんていう最高の相棒になるのでしょう。

僕は43年間完全無事故ドライバーで技術は自信がありますが運転はあんまり好きでもなく(ゴルフとおんなじ)、いままで乗ったのがドイツでメルセデス・ベンツS500、スイスで同S600で、後者はアウトバーンで250キロ出しても微動だにせずガソリン自動車としてはほぼ最高峰の車でした(6000cc、2.5トン)。帰国後はジャガーXJ(2004年)レーシンググリーン一本で、こっちは英国首相官邸御用達車で、乗った感じは車高の低いこれが好きでした。自分で運転したいと思ったのはこの3つだけで、つまんないクルマは1分たりともやる気なし。日本車は万人受けする非の打ちどころないユーティリティ車ですが、どうも機械として、個性に欠け面白くない。これはハイエンド・オーディオの世界と通じるものがあるのです。その点テスラは全面的にユニークであって、自分の意識改革の触媒にはいいかなと思ってます。

 

安藤百福さんと特許

2018 OCT 13 12:12:31 pm by 東 賢太郎

インスタントラーメンを発明した安藤百福さんがドラマになったらしい。テレビは見ないからそっちは知らないが、こういうのが縁なのだろう、たまたまやっていた番組が彼の特集をしていて、食い入るように見いってしまった。

野村で大阪に赴任してすぐ、大営業マンとして著名な先輩の武勇伝を聞かされた。日清食品の社長室に押し入って?初対面の安藤さんに株を買ってもらった話だ。愉快、痛快。先輩もさることながら安藤さんは大物だと思った。

それが頭にあったのだろう、同じことをやってみたら名門企業のU社長がやっぱり株を買ってくれた。今になってみるとこんなことを二十歳そこそこの小僧にさせてしまう野村證券も凄いが社長も後に関西経団連のトップになった大物であられた。野村も社長も、これが大阪でなくて何だろう。やっぱり僕を育てて筋金を入れてくれたのはオモロい大阪なのだ。

日本統治時代の台湾出身で大阪人であった安藤百福さんは日清食品(株)創業者だが、傑出した発明家でもあった。失敗と困窮と苦難の末に製法を考案したインスタントラーメンが大当たりしたは良かったが、劣悪な模倣品がどっと市場に出てしまう。どこでもある話だ。そこで発明家は創業者利益を侵害されぬよう、特許という盾によって侵略者と戦うのである。

画期的な発明ほど魅力的であって、模倣品との戦いが熾烈になるのは道理だ。ナンチャッテだけで生きる人たちの総攻撃にあう。せっかく美味しいと認められつつあったチキンラーメンが劣悪品の風評被害で大ピンチになってしまった。番組がそこまで来たとき、僕は青色LEDの中村修二先生の発明特許が900もあるのを思い出していた。そういうものなのである。

ではそこで安藤社長は何をしたか?

「特許を開放してしまえ」と命令したのだ。これには驚いた。日本ラーメン工業協会を設立して製法特許権を譲ってしまう。経営の常識として全役員が反対したのは当然だがそれを押し切った。叩くのでなくやらせてしまえ、我が事になれば皆が品質や安全にも気を配るようになる、「野中の一本杉になってそびえるより、豊かな森にした方が実りが多い」。

これは凄い。涙が出てきて声にならず、いっしょにいた家内は驚いたろうがこの衝撃は文字にならない。このトシでよもや経営話ごときでガツンと後ろから殴られたようなショックを受けるなんて、自分に何が起きたんだろう?むしろそっちに驚いた。まだよくわかっていないが、想像で書いてみるしかない。

まず彼が規格外の人物ということだ。創業者、発明家は相応の苦労をしている。だからタダ乗りを締め出して利益を独占したくなってもそれは当然のご褒美であって、寛大でない、セコいとは言われない。これは世界の常識である。苦労なく幸福をばらまくことのできるのは神だけであり、人間は神でないことを知っているからだ。それを放棄することは、理由は何であれ、幾分かの他利の精神がなくてはできないことで、そうそう常人の及ぶものではない。

特許で囲えるという法律があるなら、囲わなければ模倣は合法だから許されるという妙な理屈が出てくる。だからこそ囲わざるを得ない。日清食品がいくら特許侵害訴訟を起こした事例があろうが必然以外の何物でもない。創業、発明はゼロから有を生む。止まっている物を動かすには静止摩擦を上回る巨大な力が必要なのが物理法則であって、それが創意とリスクテークの度量という一種の才能、才覚である。凡人にもできる物まねの「ゾロ品」を生む権利などで潰しては国益にまでかかわる大事なのである。

しかし、それだけだったら偉い人だねとは思っても涙までは出ない。そこで次に思うのはスイスにいたころの麻薬常習者の話だ。安藤さんのジャッジはそれに似ているのではないかと直感的に思ったのだ。事はこういうことだ。1995年ごろ、チューリヒ駅近くの公園で若者による注射の射ち回しが議会を巻き込んだ大問題となったが、そこで市は希望者に注射針を無料で配るというやはり想定外の手に出たのである。

背景には麻薬常習者の増加に加えてさらに喫緊の問題があった。注射針を介して当時流行っていたエイズが拡散することを恐れたのだ。取り締まれば奴らは地下に潜るだろう。するとエイズも地下に潜る。見えぬ病原体相手にはそのほうが市民生活には危険が及ぶと思ったのである。これは寛大でも他利でもない、国家は市民である君らに介入はしない、楽しみを奪ったりもしない、だから、俺たちを巻き込まずに好きに死んでくれという冷徹な政策だ。

商人でもあった安藤さんがどちらだったかはわからない。しかしどっちにしても涙は出そうにない。どうやらもっとずっと僕の個人的なことで、きっといま頭を占めているいろんなことで、チキンラーメン特許開放!は響いたに違いない。

証券屋というのは30年もやればいろんな経営者を見てくる。皆さんいろんな経営手法でいろんな英断をされている。しかし証券屋はそこで「社長、流石ですね」と持ち上げて商売をもらうのだ。何がどう流石かなどはぜんぜん二の次で。特許開放!いよっ、流石は大社長、ご英断ですなあ。

こういう馬鹿丸出しの太鼓持ちが反吐が出るほど嫌いで、長年の仕事柄そんなことをやる風に染まってしまっていた自分まで軽蔑していた。安藤氏の英断はまず僕を素朴に驚かせ、僕はそれに驚いた自分にはっと驚き、そうか、ついにあの馬鹿らしい世界から脱却できていたんだと気がついた。それだったんじゃないか?

返す返すも社長室に押しかけて安藤百福さんにお会いしなかったことが残念だ。

 

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オモロい人たち

2018 OCT 11 6:06:10 am by 東 賢太郎

大阪で仕事したころ、「あんたオモロいやっちゃ」といわれてそうかなあとけっこう戸惑った。これが「面白い人」ではないと知るにはしばらくかかる。それは関西弁でしか表せないニュアンスだからで、東京にはそういう表現がない。

面白いはfunnyである東京人はそういわれるのは面白くないが関西でオモロいはinterestingであって悪い意味とは限らない。東京ではしかしそれを訳すと「あなたは興味深い人ですね」みたいになって、これはこれで上から目線の感じで余計なお世話だとなるからややこしい。英国でWhat you said is interesting.なら言えるがYou are interesting.は失礼感があるように思え、言ったことも言われたこともない(アメリカは知らない、トランプは言いそうだ)。

つまり、You are interesting.を好意、親愛の表現で言ってしまう関西は特別な場所かもしれない。土足で踏み込む感はあるが人のぬくもりもある。いや、それをぬくもりと思うのが関西だと東京人の僕は思った。

しかし最近、東京にだって昔からオモロい人はたくさんいるのだけれども、その人たちをオモロい人と思う人があんまりいないだけなのではないかと思うようになった。つまり「オモロい」という概念は受容する側の問題だと。

僕はこの「オモロい」こそが人間の人間たるゆえんであって、ちょっと大げさに言えば人類を進化させる原動力ぐらいに思っている。オモロい人がいくら周囲にいても、彼らを受容するカルチャーがなければ宝の持ち腐れになってしまう。

中学に丸山鉄男というオモロい奴がいた。こいつのオモロさを凌駕する人間はいまだに現れていない。図抜けて天才の域にあり授業中に隣りで悪ふざけして笑いをこらえるのに死ぬほど苦労した。早稲田高等学院に入ったが馬鹿なことに大学でサーフィンであの世に行った。でもあれ僕の中で生きているからいい。

オモロい」は東京にいると、どうも錆びついて見えなくなってくる気がする。大阪やアメリカや香港にいたときは僕の「オモロいセンサー」はもっと感度が良かった。そう思いだしたので最近はつとめて知らない世界の人と会って話している、というか、話し込んでいる。思ったらすぐに何か手を打たないと鈍る一方で僕にはあらゆる意味でよくないからだ。

ネクサスの動画に出演してくれた90人の若者たちは宝庫だ。彼らはみんな熱中型人間で飯食うのも忘れて何かに没頭するタイプだ。それでその世界で凄いと言われハングリー精神に満ち満ちている。こういう人は強い「気」を発してる。動画でそのシャワーを日々浴びていると僕は元気をもらえる。

だがもらうだけじゃあいけない、発見がしたい。例えばそのひとりのサムライの島口氏は海外でひっぱりだこである。欧州ツアーで飛び回って帰国したから報告したいとほんの少しの時間なのにわざわざ来てくれる。そこまでウケるには、まだ僕の気づいてない才能がこの人にはある。あるはずだ。そう思ってそれを知りたくて興味津々だ。

会社を2つ作って50億円もってる38才にもきのうお会いした。初対面でありオモロそうだと聞きつけて来てくださったようだが、こっちは商売より彼のオモロさがどこにあるのかが大事だ。それがなければそんなカネが作れるはずがないからだ。

深く井戸を掘りました。頭悪いんであれこれできなかったんで」

「いや50億作った人が頭いいのが資本主義だよ」

そんなことを2時間話し込んで、ビジネスについてはよくわからなかったがオモロい人だった。株の話はほとんどせず、ゴルフのベスグロ75で同じだね、でもジョン・レノンの最高傑作はアイアム・ザ・ウォルラスじゃねえかなというところで意見が合致して終わった。

元ロッテのサブローこと大村三郎氏にはときどき最近のプロ野球界のもろもろを教えてもらう。彼は巨人もいたしオモロい。なーるほど、人間だからどこも一緒だよな。そういうの勉強したいって、じゃあ司馬遷の史記だねオモロいよ。彼は即決のスナイパーだ、すぐ読了するだろう。

たしかPWCのレポートに、2030年にAI革命が進んでいて、世界で最も危ない国は日本であり、62%の人が職を失うとあった。ブルーワーカーだけではない、銀行員や公認会計士もだ。でも人を感動させる職業は残るとある。要は「オモロいやっちゃ」になればいい、そういうことなんじゃないか?

 

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脳みそが「創造する快感」に支配されている人

2018 AUG 21 1:01:09 am by 東 賢太郎

今日は神山先生ご夫妻と夕食でした。もう14年になるね、僕は先生の漢方を一番長く飲んでる日本人だね、効いてる?わかんないね、まあ、毒じゃないってことだけは確かだね、なんて龍門派気功第十九代伝人にジョークをかませる仲です。14年は長い。野村を辞めて以来ということであり、お互いがいばらの道で辛いときに悲喜こもごも助け助けられで、ほんとうに色々ありました。家族ぐるみで切っても切れない仲で、僕は彼の上海の仲間に「日本の兄弟」と紹介されています。

2004年に風邪をこじらせて熱がさがらず、騙されたと思って行けと紹介されて池袋の診療所を訪ねました。とても苦い煎じ薬を飲まされ、一日ですきっと治った。この時の台風一過の如き清涼感は忘れません。漢方の知識は皆無でしたし、今だってほぼゼロですが、それ以来彼の調合する薬草を信じて朝晩欠かさず煎じて飲んで、まさに医者いらず薬いらずの体になってしまいました。後で知りますがこれが彼のファミリー6代に伝わる、免疫力を高める「未病」の秘法で、ちなみにお父上は鄧小平を診た国医です。

上海交通大学の気功の教授だったところ、事情あって来日し山梨大学で教えることになってから28年、このたび母国の医師免許が授与される見込みという嬉しいニュースが入りました。中国の医師は西洋医学をする西医と中国伝統医学(日本人が呼ぶ漢方)をする中医に分かれていますが、習近平は中国医学発展計画により中医学の標準化と輸出、中医師免許の拡大政策などを推進し「一帯一路」プロジェクトにも中国医学グローバル化が含まれました。この追い風の中で、国外頭脳流出していた龍門派気功第十九代伝人・神山道元先生(中国名・屠文毅)に国のスポットライトが当たったようです。

先生の奥様は西医で英語も堪能、上海の病院の麻酔科教授で心理学博士でもある超インテリの彼女がセクレタリーというのは強力で、国家予算がつくようだからそう遠くない先に先生は父君のように本国で中医を代表する存在に返り咲くでしょう。そうすると僕は先生の国外流出期に14年と最長の投薬・施療実験台(笑)だった人になるらしく「中国政府に提出するレジュメに東さんの名前を書いていいですか」ときかれました。政府のインタビューに同席もしてくださいと。「もちろんオッケーだよ。当然でしょ。人生最高の医師だというよ」と答えると奥様があなたは**だという。中国語でわからないので手帳に漢字を書いてもらったら「劉備」でした。

こうなったのも、僕の新しいもの好き+経験主義(ホントに一発で治った)+良いものは良い、いらんものはいらんの割り切り主義からでしょう。薬は治ればいい、誰が作ったか何が入ってるかなんて効けばどうでもいい、いくら権威ある大教授の御託が立派でも効かない薬なんて捨ててしまえ。そういう処で先生と性格が合うのです。一度心から信じたらとことん信じるのもいっしょ。完璧な一致と言っていいですね、こういう人はこれまで会った人にはほとんどいませんし、日本に染まっているとどうもチマチマセコセコになってしまう。

彼はドツボの時も明るい未来しか考えない。半端ないポジティブ・シンカー。構想が大陸的であってでかい。弱音を吐かない。へこたれない。やめない。何かをゼロから生むのが飯より好き。これは僕とまったく同じ種族の人間ということで、脳みそが「創造する快感」に支配されているのです。人生クリエイトしてなんぼ。この事実の前にして彼が中国人であるということはそれこそ僕にはかけらの関係もなし、国籍、宗教、性別、歴史、血縁なんてものは脳みその型で分類した人間の種族にはずっと劣後します。地球上のどこにも、自分と種族が同じ人と違う人という2つの人種がいます。

事業というのは、大企業のパーツならともかく自分で起業というのは自分が車のエンジンにならなくては絶対に無理です。そして「エンジンになる」とは「創造する快感に支配されている状態」のことなのです。創造とは非常識な処から生まれる、まだ世に存在しない発想のことであって、そこにつまらない常識的な人が出てきて「そんなの無理でしょ」なんて言ったら車は1メートルも進みません。そうなると会社はつぶれるし、世の中の99%は常識人だから、僕はそういう人と接しない時期が年に何回かは必要です。1%に属する先生は話していて無限に面白い、何時間でもいっしょにいたい貴重な兄弟なのです。

 

(ご参考です)

勤め人時代にできなかった二つのこと

 

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楽しかった「かむゐ」の20周年記念公演

2018 AUG 20 0:00:40 am by 東 賢太郎

先だって島口哲朗さんにディナーにの席でお招きにあずかったかむゐの20周年記念公演に行ってきました。

サムライとアニメは日本の宝である

そもそも20年続くものは何であれ本物でしょう。まがいものは時の波に飲まれて消えます。本公演に梅沢富美男さん、中村玉緒さんが届けていた熱い祝賀メッセージもお義理でなく本物でした。日本を愛する人は、一度ご覧になれば好きになると思います。ちなみに、かむゐが外国でどれだけ注目されているかはこちらのHPをご覧になればわかります。

http://www.k-kamui.jp/jp/homepage.php

多くのみなさん和牛は日本のブランド牛肉と思っておられるでしょう。しかしWAGYUと横文字で綴られるとそうとも限らないのです。「オーストラリアWAGYU協会」が1990年にでき、今は米国WAGYU協会(本部アイダホ州)まであるのをご存知ですか?WAGYUの高級ブランドイメージだけは日本が作ってあげて、それのナンチャッテ版である米国産、オーストラリア産が世界を席巻してしまうかもしれません。

同じように、は今のところ日本人だということで世界にブームが広がりつつありますが、SAMURAIと横文字になるとだんだん国籍不明になるのは和牛と同じではないかと危惧するのです。ただ刀を振り回せば格好いいという若者が欧米に増えてます。それが独り歩きすると、そのうち中国や韓国がルーツだぐらいの法螺吹きが平気で始まるだろうし、そのスピリットである武士道とかけ離れたものになるかもしれません。

百歩譲って食べ物は構わないのです。しかし侍は武士道と関わり、武士道は決して殺戮のための教えではなく、武士階級の倫理・道徳規範であって支配階級である武士に文武両道の鍛錬と徹底責任を取るべきことを求めたもの、いわばノブレス・オブリージュに相当するものです。昨今のわが国の政治家、官僚、経営者、指導者においていかにそれが希薄化してしまったかは皆さんお感じになっているでしょう。

経済大国になることで一流国の地位を得たわが国が、金満国家としての下衆な扱いではなく一定の敬意も得ていたことを僕は16年の海外生活でどんなにありがたいと思ったことか。それはなぜか?日本人が心の底流に持っている和の精神への敬意があったからです。

住んだ5か国どこでも外国人の部下たちが仕事の中で「日本人はわからない」「どうしてそうするのか」といろいろなことで言ってきました。良い方にも悪い方にも言われましたが、僕はいつもこう答えたのです。「それは英語になりません。日本にしかないものは日本語で覚えてください」。そうして「WA」と「BUSHIDO」を教えました。

僕は日本人の奥ゆかしい精神の底流にある武士道だけはナンチャッテは勘弁してほしいと思っています。だからかむゐに出会った時も、実はやや疑いの目で見ていたのです。しかし彼らはそうではなかった。僕が消えないで欲しいと願っている、まさにその精神を殺陣という見栄えのするパフォーマンスで万人に分かり易く体感させるものだと知り、応援しようと決めました。KAMUIとしてあえて横文字で、チャンバラ劇ではなく武士道というスピリットとセットで日本文化を体感していただく場として世界に広まればいいなと思います。

10月31日にイタリアのフィレンツェでかむゐリーダーの島口哲朗氏の日本人初の「文化芸術賞」授賞式があります。式場は現存する世界最古の薬局であるサンタ・マリア・ノヴェッラ本店です。これは欧州文化に深く根差す「クラシックなもの」とサムライ・アートの融和の起点となるでしょう。個人的なことを言えば、伊賀の影丸で字を覚え、三匹の侍やクロサワ映画で育った僕としても自然な感じをいだいております。

本日の公演でも第1部は邦楽(尺八、横笛、太鼓・鐘、胡弓)が背景の音作りをして、素晴らしい幽玄で静寂な空間を演出。音楽的にも見事でした。これは完全にクラシック音楽と言ってよく、殺陣は命のやり取りをイメージしたものですからシリアスな題材でありそれがよく似合います。第2部の背景は小林未郁さんのオリジナル曲のピアノ弾き語り、和太鼓、津軽三味線と、これがまた大変な水準の演奏であり、音だけでも十分に僕を満足させるものでした。

殺陣は演劇やダンスの要素もありますが、音楽が必ず背景にある演出はKAMUIの強みですね。オペラにもミュージカルにもなる。これが西洋人にアピールするのは僕の経験から思うに必然です。そうなるとナンチャッテ・サムライの跋扈が心配でなりません。ぜひ日本人の皆様が一度ご覧になって、灯台下暗しにだけはなりませんよう願っております。

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一軍と二軍の差はどこにあるのか?

2018 AUG 16 18:18:55 pm by 東 賢太郎

イースタンリーグの巨人・楽天戦を東京ドームで観ました。約2万人と一軍なみの入りで、ネット裏3千円のチケットが完売なのだからこれはこれで興業にはなるイメージですね。

二軍とはいえここにいるのはいま熱戦たけなわの甲子園を沸かせたり、大学、ノンプロで図抜けてドラフトにかかったツワモノばかり。先発は安楽と鍬原。安楽は甲子園歴代最速の155キロを記録した投手ですね。打者もなんでここにいるのというゲレーロが2本、ペゲーロが1本ホームランを叩き込み、クローザーのカミネロの157キロのど迫力の豪速球がうなるなど、この辺は一軍そのままの野球でした。

にもかかわらず、電光掲示板に選手の成績が出ません。「ペゲーロ選手、第4号のホームランです」とアナウンスされると、えっ、そんなに二軍にいたのか!となるからそりゃその方がいいかもしれませんが、何のためこの試合でがんばってるの?といえば首脳陣に認めてもらうためです。放っておいてもエースで4番で認められまくって人生を送って来た人たちだ、辛いし悔しいし、たぶんそれが原動力でやっている、でもここでの数字は報酬にカウントはほとんどない。報われなければ永久トライアウトのようなもので、過酷、残酷な場でもあります。

年俸4億円のゲレーロがここにいて530万円のマルチネスが一軍でレギュラーというのは劇的な下剋上でしょう。一時的にせよ、時間差はあるにせよ、フロントと現場首脳陣の意見が割れているということになります。サラリーマンなら人事発令で異動してきた部下を現場が干せば人事部にケンカを売るようなものです。当然社長への忖度前提だからきっと根回し済みで部下が悪かったで終わるでしょうが、この日の会心の2ホーマーは場外乱闘を面白くしますね。

一軍と二軍の差は何か?

この試合を見る限りですが、明らかに「ミスの差」でした。あまりに月並みですが投球、打撃、守備、走塁のですね、巨人より楽天の方がミスがずっと多かった。だから7-2で巨人が勝った、そういうことでした。おそらく、一軍に上がれる人はここにいるすべての人よりもミスが少ないのです。いくら頑張ってもミスする人は一流半で終わるし、ミスを減らすには基本を地道に練習するしかないのでしょう。基本の練習は誰でもできますから「やればできた」というのはなく、単に「やってない」のです。

僕の人生経験に照らした結論

つまり、ファインプレーをした方が勝つのではなくミスをした方が負けるのです。場外ホームランを打てる人は打てばいいですが、それができなくても負けなければ勝ちます。楽天のミスといってもエラーばかりではなく送球のタイミングとか野手のカバリングの位置とか、それもイージーなものから詳しい人がよく見てないと気がつかないようなものまでありました。実は、おそらく、どんなジャンルでも、最高水準の人達の戦いはそういう鼻の差の細部で勝敗が決まっているのだろうということを思い知りました。ということは、練習の段階でその細部まで神経が通っているかどうかが決定的な差をもたらすということではないでしょうか。コーチングも大事ですが、やっぱり最後は細部への注意深い気づきと、それに対する自分の意識の問題ですね。

仕事の教訓にいたしましょう。

 

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小林未郁「進撃の巨人」と「Mika Type ろ」

2018 AUG 11 13:13:21 pm by 東 賢太郎

女の人と一対一で話すのが生来苦手であり、これは相手が好みのタイプかとかそういうこととはあまり関係なく、おそらく高校までは3分と続いたケースはなかったように思う。硬派とか奥手だったとかでもなく、まあひとことでいえば、つまらないからすぐ終わってしまうのだ。

いまや変わったといえば変わったろうが、それは年を取って丸くなったのではなく、仕事なりなんなりの処世でそれも必要だということであって、実はあまり変わってないように思う。こんなことをここで公言してしまうとただでさえ女性に理解されないのがさらに危くなるが、ウソの自分で生きるのはやめたのだ。

ところが先日、シンガーソングライターの小林未郁さんとお食事で、僕はユーミンさんのファンなんで、まあ荒井さんの頃だけど、そう、中央フリーウェイってね、Fで始まって5小節でFmになっちゃうでしょ、あれ考えられんね、お会いしてどうしてってきいてみたいね、なんて話になったらなんだかんだで、ウチのスタジオ?音いいよ、ピアノ3台あるよ、録音?できますよ、たぶん、みたいなことになった。こういうこともたまにはある。

いただいたCDをさっき聴いた。僕がここでどうほめてもお世辞でしょとなるが、事実として記しておくと、2枚組ぜんぶ聴いた。ベルリンフィルでもピッチが悪いと1分で捨てるのでクレジットのつもり、一般的な言い方なら歌がすごくうまいねって、つまんないことになってしまうが。ちょっとダークでアトモスフェリック、女の子の歌なんだろうけどいまやJ-popでは貴重な大人の歌ですね、オンリーワンの世界が確立している。「EGO」「献血」が好みだ。和音よりメロディーが先に来るタイプとおっしゃったがこれだけきれいなメロディーが出てくればうらやましい。和音もオシャレ。ピアノ弾き語りっていいね、その昔はシューベルトがやってた。自分がやるなら?なんたってロング・アンド・ワインディング・ロードさ。

小林さんといえばこれが有名な「進撃の巨人」。

音楽というのはメディアの進化につれてあり方が変わってくる。20世紀初頭に映画ができると、最初はサイレント・ムービーだったが、やがて音が入る。すると「映画音楽」というものが出てくる。それが現代ではアニメのテーマや挿入曲、ゲームのBGMに進化してきているわけだ。音大の作曲科を出てゲームミュージックを書く時代なのだ。

この世界的にはやったアニメについて、彼女はこう語っている。

お食事しても自分の人生を訥々と語られる姿はこういう感じで、ああこの人はアーティストである以前から自分のやりたいものを探してたんだなと思った。

彼女の生き方は「やめないこと」。まったく同感である。僕も63年の人生で、野球、受験、仕事で3回も大きな挫折をしたが「挑戦をやめない」だけでなんとか生きてきた。

自分は空洞の状態で生まれて何もなかったが、それを忘れずに来て、見いだされて今がある。自分にはないもない、何ができるのか?どうしよう?迷っている人は、そう語る彼女に力をもらえるのではないか。

フィレンツェのドゥオモに昇ってインスパイアされて書いたという「迷宮入り」という曲は面白い。

こんど、ウチでこれを弾き語りしてもらおう。

 

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プレゼンの極意とモーツァルト

2018 JUL 25 23:23:14 pm by 東 賢太郎

僕がスピーチのとき原稿を書かないというと誰も信じない。しかし野村證券でもみずほコーポレート銀行でも、僕は部店長会議の演壇でスピーチをさせて頂いたが原稿はなかった。そういう場でも書かないのだから、他ではまして書かない。

理由は二つある。一、読むスピーチは例外なくつまらない。二、時間にぴったり収まらない。つまり、つまんねえ話だな早く終われよなんてのが途中で「時間オーバーです」なんて、NHKのど自慢のカ~ン!状態なのである。そんなみっともない姿で記憶されるなんて耐えがたい。

プレゼンも似たところがある。部下に同伴した営業現場で、百ページの資料を生真面目な担当者が一言一句読みあげているうち、耐えきれなくなったお客さんが舟を漕ぎ始めた。資料とにらめっこしたままの彼は気づかず百ページの朗読を見事にやりとげたが、商売は迅速に逃げた。

僕はビジネスというのは、もしコネで決まらないのならばプレゼン能力で決まると思っている。職人技や企画力というのはモノが売れてから追認される能力である。お金が入ればどこからも文句は出ない。置いておけば勝手に売れるものを例外として、売る能力はその他すべてを「結果オーライ」に導くだろう。

そして僕の定義では、プレゼン能力は「読まないスピーチ」力である。少なくとも棒読みよりは面白いし、時間ぴったりに終るから後味が良いのだ。後味の印象がプレゼン全体の印象を決める度合いは意外に大きくて、人間は去り際が大事であり、クラシック音楽がエンディングの是非で拍手の量が決まるのと似る。

「読まないスピーチ」の極意をお教えする。二つのことが必要だ。一、聴衆のノリを見る。二、複数の引き出しを用意する。ノリによって適当に引き出しからネタを出す。そこでまたノリを見る。また、出す。それを繰り返して、そろそろ時間だなというところでとっておきの大ネタを出して終わる。それで成功する。

僕のイメージだが、モーツァルトはそうやって曲を設計していたと思う。まずは即興があり、彼の天性の時間に対するバランス感覚で主題の出し入れや展開やコーダの出番が決まる。彼の時代、強弱、緩急の味付けは限定的だから、感動はプロポーションの設計によるところが大きいのである。

彼は何でも書けたが、形式に縛られる音楽よりはオペラに力を発揮したし、本人も意欲を持っていた。時間制限のない音楽だからだ。彼は複数の引き出しがあり、聴衆のノリを見て即興演奏で絶賛を浴びたが、ノリなど無視して、記譜した音楽で感動させられる絶対の自信があった。

それには制限時間のない音楽が望ましかった。だから、コロレド大司教が出した「ミサ全体で45分を超えるな」というお触れに大反発したのだと僕は思う。ハイドンセット作曲には珍しい苦労の痕跡があるが、ソナタ形式の曲はおのずと45分は越えず、プロポーションの設計の妙はそこで開発された。

そう考えると、スポーツにも制限時間の有無があることに気づくだろう。サッカー、ラグビー、ボクシングなどは有り組、テニス、卓球、野球などは無し組だ。テニスのラリーが1時間続くことはないだろうが、野球は27アウト献上するまで何日打っていてもいいし、元祖のクリケットは4日も続いたりする。

僕もプレゼンは無制限派だ。オペラのように時間をかければ部下の腑に落ちて心から共感してもらえる自信がある。しかしそんな場はないし、会議室でやればみんな寝るだろう。そこで「飲みニュケーション」になってしまうのだ。おネエさんがいるのに仕事話になるのだから、部下にも店にも迷惑だったろうが。

 

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正しい人脈の作り方(その3)

2018 JUL 21 14:14:09 pm by 東 賢太郎

「ヒキ」だ「コネ」だなんていらん、頼りたくないという人はいるだろう。そういう人は海外へ行けばいいし、それで成功した人も多くいる。しかし国内でだめだから外でというほどその道は甘くないし、それに頼らないということは実力一本勝負ということで、スポーツ選手と同じなのだ。野球やサッカーでどれだけの人が海外で通用しているか見れば、その現実はわかるだろう。

とすると必然的に、他人の人脈のレバレッジなしに国内でやることになる。サラリーマンをするならそれもまことに結構だ。しかしどこの会社にも「ヒキ・コネ族」は必ずいる。閨閥、学閥がそうだし、仮にそれがなくても「愛(う)い奴」だけ目をかける上司はどこでもいる。ウチは実力主義です、なんてのはウソなのだ。その連中に実力だけで勝つのは至難だし、そんな実力があるならあなたも「ヒキ」「コネ」を作ればいいのである。

愛い奴ばかり使う上司は自分より優秀な部下は切る。つまり能力などあると危険であり、無能だが忠実な者だけ出世させるわけであり、自分が優秀でなく部下もバカなのだからやがて馬脚が現れて消える。それが何かの拍子で社長になると会社が消える。いずれにせよ、それに可愛がられたあなたも消える。だから深入りせず適当にいなして「鉱脈の深い年長者」の「ヒキ」「コネ」を得ることであり、もしも会社ごと危なければさっさと辞めることだ。

サラリーマンが嫌なら起業するしかないが、この場合は「ヒキ」「コネ」なしだとさらに大変だ。個人商店レベルでいいならともかく、億円単位の商売をするとなるとホールセール(企業相手)になる。ところが、どこの馬の骨かわからん者の商品やサービスをクオリティだけ見て買ってくれる企業は、実は日本には極めて少ない。それを知るには以下のことを認識することだ。日本人はまじめで器用でよく働くが、日本企業の生産性は国際的に理不尽に見えるほど低い。なぜか?社内に膨大な非効率を抱えているからだ。それは何か?余剰人員だ。

大方の大企業は終身雇用制で年齢構成ピラミッドは40才台が中ぶくれした「釣鐘型」だ。出世競争は40才でほぼカタがつくので、釣り鐘の上半分は高給を食みながらもインセンティブはなくした正社員である。中小企業への貴重な人材リソースではあるが、就職ではなく就社しているから移籍は起こらず大量の余剰人員となるのである。労働生産性はここにトラップされているのだ。

彼らは会社の成長と人生の幸福が必ずしもリンクしない。あなたの作った企業が安価で良いものをいくら売りこんでも、彼らにとっては無名企業との新規取引だ。あなたの商品を購入して収益貢献を図っても、ルーティーンをあえて変更する説明責任やリスクだけあって評価はされない。そうであれば既存の取引先と人間関係を作ってそっちを温存し、定年まで無難な人生を送ることにインセンティブを持つことになる。こういうことが各所でおき、ウルトラ保守的、硬直的な組織になるのが大企業病だ。それはそれで非難されるべきでもない、そういう立場の従業員にとっては合理的な行動なのだ。

安倍内閣が失業率を下げるのに成功したというが、生産性は上がっていない。ということは余剰人員を抱える年齢構成ピラミッドを切り崩そうという試みはさらに後退したことを意味するだろう。若年層の働き方改革よりそちらの方が日本経済の競争力拡大にはずっと核心的な問題にもかかわらず、政府にはそこにメスを入れる気などさらさらなく、むしろ年金、健保の負担を減らすため年寄りをもっと企業が面倒みてくれということなのである。ちなみに、だから日本株のPERは上がらないのだ。

サラリーマンが嫌な若者が起業して「ヒキ」「コネ」なしで食っていくには日本は非常にアンフレンドリーな国であることはおわかりだろう。しかもベンチャー企業への投資インフラは先進国とは思えぬほど脆弱であり、銀行は担保がないとカネを貸さない。誠に憂慮すべきことであり、それを何とか変えてみたいと思い立ったこともあったが、それはMBAを取って海外赴任したころ「いずれ日本企業はみなグローバルカンパニーになる」と信じた、そのことと同じほどありえないことであった。残念ながら日本は変わらないし、その方が未来の日本人の幸せにはよろしいのだと得心した。

だからみなさん、「ヒキ」「コネ」はあったほうがいいし、それを得る方法が前回までに書いたことだ。

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正しい人脈の作り方(その2)

2018 JUL 20 19:19:42 pm by 東 賢太郎

人脈というのは「開かれた人」を取り込むことで威力が倍加することは前回説明した。しかしまだ人を見る目がない若い人にはなかなか難しいことで、やみくもに知りあいを増やすことになりがちだ。僕だって大そうじをすると、もう名前さえ忘れてる人の名刺や年賀状がわんさかあって苦笑する。

秘策を教えよう。80人の「開かれた人」を友達に持っていそうなオトナを友達にすればいいのだ。その人に可愛がられればその人脈とあなたは濃厚な接点ができるのである。これを別名「ヒキ」とか「コネ」という。80人の年賀状だけの交友は楽しめばいいが、年に一度しか思い出さない人が人脈の有力な一部になることは隕石に当たるぐらい稀だ。オトナをどう落とすかに集中することだ。

皆さんにとって相手は我々前後のオヤジというところだ。この世代の生態は知った方がいい。長髪でエレキを弾いたりゲバ棒を振ったりジュリアナでナンパしたりで目いっぱいバブって遊んでおり、会社では24時間戦ったと思い込んでるがその実は社畜に徹して滅私奉公ぶりを競って交際費を正当化していた。公務員にそれはないが、だからこそノーパンしゃぶしゃぶが歴史に名を刻んだのだ。そんな世代なので、高度成長は俺たちが成し遂げたという、それほどいわれのないプライドがバカの壁となって立ちはだかっている。

その世代も当時のオトナに取り入った奴がうまくやっている。相手は戦中派であって、硬派でごりごりの右翼か共産原理主義の左翼かマッカーサー洗脳プログラムの申し子のえせ左翼か風見鶏の無責任野郎かパンパンの男版の軽薄なアメリカかぶれだった。僕は大阪で個人営業を2年半やって1日100 枚の名刺集めをしながら、オトナには色んな人種があると知った。

二度と来るなと塩をまかれた相手、名刺を破られた相手を何十回目かの訪問で落としたし、64回電話して断られた上場企業社長を65回目にお客にしたが、同期の半分以上は2~3年内に脱落して会社を辞めた。ゲーム感覚だったし野球のおかげで真夏の炎天下には強かったが、なにより野村流が大金持ちのオトナに気に入られるベストプラクティス集だったのが大きかった。

開かれたオトナは頼りにはなるが、酸いも甘いも知った手練れである。下手な小細工など弄さないことだ。礼儀正しく、誠意を持って、正々堂々と正直に当たるのが若者の王道である。ちなみに僕はそれができない子は一切相手にしない。何故なら、よほどの天才か傑物でもなければ、僕の世代の成功者には好かれないから大成しないか道を誤る。残り少ない時間である、あえてそういう人に目をかけてやろうというインセンティブは湧くはずもない。

正しい人脈の作り方(その3)

 

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