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カテゴリー: 若者に教えたいこと

8千メートル級14座に登頂の渡邊直子さん

2026 APR 15 1:01:55 am by 東 賢太郎

前回に丹沢大山のことを書いたのでその先です。実はなんにもありません。歩いて登って1番きつかったのは屋久島の縄文杉の1300mです。富士山は未踏。軽いタッチで両方登った次女が縄文杉のがキツイよと言ってたのでまあいいかになってます。チリのサンチャゴからアンデスを3000mぐらい、ハワイ島ではすばる望遠鏡のある天文台の4200m。歩いたと言いたい所だが残念ながらどっちも車です。ということで山について語る資格は全くございません。

日本人女性として初めて8000メートル峰14座全てに登頂された渡邊直子さん、名前は知ってましたがユーチューブは知りませんでした。4200mで目の前にチカチカと星が出ましたからね、エベレストはその2倍。想像を絶します。渡邊さん、火星に行って帰ってきたみたいなもんです。そんな方のお話を聞けるなんていい時代になりましたね。

僕はどなたであれ、どんなジャンルであれ、自分ができないことをできる方は例外なく尊敬します。渡邊さんの場合、やったことも破格だけど自然体で語る姿も破格です。高校のバトミントン部で全国大会は立派です。一生もんの思い出です。ところがそうじゃない。彼女の言葉の重みで分かります。そのレベルでは出ない重みを感じるんです。それが「居酒屋に行く感じ」。これ、謙遜でも奇をてらったのでもなく、本当の自分を取り戻したり新たに発見したりできる大事な場だから、個人的に本当にそうだからどうしてもわかってもらいたい、だからそのぐらい嚙み砕かないと伝わらないというギリギリの表現でしょう。もし自分を取り戻したり発見したりできるなら火星だって居酒屋になる方でしょう。実は僕も似たところがあります。人としてとても魅かれるものがあります。

重いだけでなく衝撃なのは、「登頂を目的としてないのであと150mで下山しても平気なんです。それで命を落とさず来られたんでしょう」とあっさりおっしゃること。このくだりは僕の人生観に大転換を迫るメッセージであります。

なぜなら僕は「何事もやり遂げてナンボ」が憲法第1条の人間だからです。伊賀の影丸、ジェームズボンド、ゴルゴ13で育ったスナイパー派。敵前で「すいません、取り逃がしました」なんて頭かいて帰ってくる奴は豆腐の角に頭ぶつけて死ねで終わりです。人生初の「やり遂げ体験」だった丹沢大山登頂に発してますから根深いです。長じて映画は任侠物で高倉健、鶴田浩二。洋物はゴッドファーザーのマーロン・ブランド。小説はハードボイルドのサム・スペード、フィリップ・マーロウあたりがカッコいい男のモデルになりました。野球も喧嘩だったし、同期の8割が脱落した野村証券のノルマなんか屁のカッパだったんです。僕の大学にこういう人間はレアでしょう。

渡邊さんが語られているのは死と隣り合わせの世界です。僕のような人間は最後まで登ってきっとどこかで命を落とすんでしょう。エベレストは誰でも登れますよとおっしゃってるのでアラブの富豪チームにでも加わってシェルパ百人も雇って至れり尽くせり状態ならいけるかなと思わないでもありません。まだいたって足腰元気だしそこまで行っちゃえば高所恐怖症も忘れてもう死んでもいいと思えるかもしれない。でもダメですね、あと150mで引き返す勇気がありません。「すいません、取り逃がしました」を認めちゃう方ではきっとないと思います、だったらそもそも8000mなんか登れませんからね。でも執着はしてない。ある意味の緩さもある。見たことない人です。剣道や合気道の達人の域に思います。

感想。何事も巨大な事を成し遂げた方は偉大です。男も女もありません。そして看護師をされている。優しいのです。自分より強くて優しい、もう仏様のような方と申し上げるしかありません。高校の後輩たちに語っている言葉、これがまた心に響きます。聞いてる生徒達の目の輝きを見てください。これですよ、渡邊さんのような方の存在が日本の若者の未来を思いっきり明るくすると僕は確信しました。この目を持った若者がたくさんいれば日本国は間違いなく繁栄します。優しくて強い日本に世界は敬意を表すると思います。経済も成長するし世界の大国と難なく伍していけます。ぜひ多くの若者に見て欲しいと願います。

 

「努力は人を裏切らない」という先生の言葉をタオルにしてもらい、 2年生の時パキスタンの登山の企画があってどうしても行きたいと思った。これがスタートですね。いくら強調してもしたりないのですが、この『どうしても』ってのがいいんです。だって自分の心の声でしょ、若者の皆さん、それが聞こえたら絶対に従った方がいいです。どうしてもやりたいもの以上に自分がうまくできるものはありません。他人のアドバイスなんかいりません。そんなものに従ったって自分の声じゃないんだからいずれこんなはずじゃないってなります。そして、そうこう迷っているうちに年取ってくる。すると誰しも世の中のしがらみにがんじがらめにされていきます。生活の為に自由はなくなります。そうやって多くの人は「しがらみ人生」で一生を終えるんです。僕は親にわがまま言って浪人させてもらい2回アメリカ行って合計2か月も遊び回ったり、「どうしても」っていう本能あるがままにティーンエイジャー時代を送らせてもらいました。同じ年頃でそれが出来なかった両親のおかげでです。

その結末が今です。人として大事にするしかないじゃないですか。ここに至るすべての物事、袖振り合ったすべての皆様に感謝の気持ちあるのみです。もしこれをお読みになっておられたら是非ソナーのホームページの番号に連絡ください。大歓迎です。後悔、不愉快、失敗、絶望、たくさんありましたが、それもなかったら今はないんです。渡邊さん、益々のご活躍を楽しみにしております。

丹沢大山で父に仕込まれた向上心と闘争本能

2026 APR 13 9:09:43 am by 東 賢太郎

小学生のころ、父に連れられて丹沢の大山に登りました。ピクニックではありません、生まれて初めての山登りです。それも子供連れがいるような安全な道ではなく、頂上まで至る斜面は今思えば岩がゴロゴロする本格的な登山道でした。大山は標高1252メートルあって、ケーブルカーで着く神社は725m地点にあるのでさらに527mも登ることになります。かすかな記憶ですが、父に「てっぺんまで登ってみるかい?」と尋ねられ、高い所は苦手だし怖気づいていたのですが、強がって「うん」と答えたような気がします。

失敗でした。どなたかの写真ですが、こんな感じだった。

山岳信仰」の聖地! 初詣から年末詣まで1年中楽しめる「大山登山 ...

なんとかてっぺんまで登りつくと視界が開けて下界を一望します。ひと仕事終えたご褒美のような美しい景色は何となく覚えてはいますが、とにかく険しい道中は恐ろしく、体力の限界で足が震えていたのではないか。そして、めったに褒められたことのない父がよくがんばったねと言ってくれた。これが嬉しかったんです。この初登山はそれだけの思い出として心にひっそりとしまってありました。いや、というよりも、怖い記憶は脳が消去していた可能性もあります。

はてそれはいつのことだったのかなと思い立って調べると、大山ケーブルカーは1944年に軍が戦時物資に窮して線路撤去のため休止され、復活開業は1965年(昭和40年)7月11日とあります。父はこの手のことを詳しく調べている人で納得です。従軍した父にとって思いのあるニュースだったろうし、夏休みでもある。ひ弱だった息子を鍛えようと連れ出した。しかし、電車マニアだった僕は駅名をぜんぶ空んじていた小田急線の、それも小田原寄りの佳境に入る伊勢原、鶴巻温泉、大秦野、渋沢、新松田あたりにえも言えぬ「秘境感」を抱いており、初めてそのあたりに降り立てるということでわくわくしていた、それだけでした。おそらく伊勢原で下車し、ケーブルに乗ったと思われますが、僕の基準では線路がしょぼく興味の対象外だからでしょう、そのあたりのことはまったく覚えてません。その終点の阿夫利神社から山頂はChatGPTによると約 90〜120分(本格的な登山道)とあり、ここを踏破して頂上に登ったと思われます。

wikipediaにこうあります。

阿夫利神社は江戸時代に当社に参詣する「大山講」が関東各地に組織され、多くの庶民が参詣した。大山詣は6月27日から7月17日に行われる女人禁制の参詣で、特に鳶や職人の間で人気があった。(中略)。大山祇大神は、富士山に鎮まるとされる木花咲耶姫の父であるため、大山と富士山の「両詣り」も盛んとなり、「富士に登らば大山に登るべし、大山に登らば富士に登るべし」といわれた。なお、一部の地域には、大山に登ると一人前として認められるという伝承があり、大山の神霊が立身出世の神とされていたことがうかがえる。

これで合点がいきます。信心深い父は息子を連れて立身出世の祈願に行ったのです。とすれば、父の性格からして「大山詣は6月27日から7月17日に行われる女人禁制の参詣」という情報は重要だったに違いない。復活開業は1965年(昭和40年)7月11日です。サラリーマンだから土日でなくてはならない。以上の条件を満たすのは7月11日(日)か7月17日(土)しかありません。開業セレモニーの記憶はなく、10歳の息子を連れて片道2時間の本格的な登山道の踏破を慎重な父が日曜日に試みるとは思えません。よって、あれは、1965年7月17日土曜日のことだったという結論に至ります。小学校4年生の10歳。日本人として男児の育て方に古風であった父は元服まで意識していたし、年齢が2桁になったし、ひ弱で体が小さく何事も自信の無い息子がこのままではいけないと思いたったとして不思議はありません。

阿夫利神社のことは、それが目的なのだったらお参りをしてないはずがなく覚えていそうなものですがまったく記憶がありません。あるのはこんな感じの景色だけです。てっぺんまで登ったという達成感が残っているので山頂まで来たことはたしかでそれ以外のことはつい先ほどまでほとんど忘れていたのです。

お参りで終わらなかったことを父に感謝します。阿夫利神社までも長い階段を昇りますし、普通はそれで願掛けしてお昼でも食べて帰るところです。でも普通の親ではなかった。もう1つ目的があったんです。息子に人生初めてのきつい山登りをさせ、大山の頂上に立たせることです。父がどんどん先に登り、必死について行く。虚弱の身には過酷で神社の記憶など吹っ飛んでしまった、さもなくば、さっきネットで調べて神社があったことを知った説明がつきません。

何事も自信がありませんでした。万事に渡って適当に父の目をごまかし、その場その場をやり過ごして生きてました。生活態度や勉強に情け容赦ない父の風圧にさらせばもっと自信をなくしてしまう。そう懸念した母が風よけになり、僕は守られてぬくぬくと育ちました。それを父は見抜いていた。男はそれじゃダメなんだよ。どうしてお前はそんな所で満足するんだ。目を見開いて前を見ろ。まだまだ山には高い所があるだろう。そこを目指せ。途中で弱音をはくな。頂上に行けばいい景色が見えるぞと父の声が聞こえます。山で息子の向上心と闘争本能に火をつけたかったに相違ない。 10歳の子供です。叱っても、口酸っぱく諭しても逆効果ですから何か一生忘れないぐらいのイベントでもって「体感」させなくてはいけない。それが1965年7月17日土曜日だったと思います。余談ですが、サウンド・オブ・ミュージックのクライム・エヴリ・マウンテン、僕はあの歌の歌詞も音楽も大好きです。

徐々に息子は父の思い描いた通りに成長し、戦争で思うようにならなかった人生の仇討ちをしてやろうというもう1つのモチベーションまで加わった。向上心と闘争本能。大事なものだと問答無用で思っています。平和平和と呪文を唱える方々はお好きでないかもしれないが、向上心が無い人生というのは日々餌が出ればいいという動物と変わらず、万民がそうなればその国はいずれ征服され奴隷にされる。それが人類という動物の歴史です。平和にはコストがかかるのであり、国家財政だけではなく、国民が向上心を持ち元気であることもそのうちです。しかし向上心だけあっても人生はあまりうまく行かないということにもご同意いただかなくてはならないでしょう。

向上は自己満足ではありません。「わたしはわたし、自分なりに毎日向上してるから他人はどうでもいいの」というわけにはいきません。近頃そういう人が出てきてますね。大学を除名処分になっていても自分が卒業したと信じていれば卒業証書が出てきてしまう。ありえません、厳罰に処すべきです。向上してゆく場所は社会です。社会で認めてもらうことでグレードアップした自分が客観的に確認でき、自信を得ることでさらにステップアップできる。そのプロセスの繰り返しこそが「向上」です。山登りと同じです。頑張ったつもりになっても標高という客観的な数字が増えなければ登山にはなりません。社会で認めてもらうにはそれを示す何らかのポジションを得る必要があり、そのためには闘争をくぐり抜けなくてはなりません。仲良しサークルで傷をなめ合ってもだめなのであって、そのツケを政府に回して政治を批判しても何も起きません。

闘争本能とは決してフィジカルに戦うことではなく、負けたくないという本能を心の中で磨くことです。好戦的になることでも危険な企みをすることでもありません、犬でも猫でもどんな動物でも、この本能を持っていない生き物はないのです。登山なら訓練に耐えて足腰を鍛えるということで、進歩の成果は他人と比べないと分かりませんからあえて闘争と呼びます。ルール、社会性のある競争ではありません。動物は競争しません。もっと本質的に生存に根ざした原始的な本能で、生きるために本来、誰でも持っていなくてはいけないものです。受験や出世は競争であり人間の闘争の一部です。生きていける山はたくさんあります。何もエベレストに登る必要はない、幸福は人によって違うのです。自分が幸福な人生を送れると感じる山に他人よりも高く登れば楽しく生きていける、それだけのシンプルなことです。

日本が高福祉社会か否かは議論もありますが、平均年収が減ってくれば相対的にそういうことになっていきます。それでも、もっとひどい国はいくらもあり国際水準からすれば日本は天国ですから移民が押しかけ日本人が失業する。おかしな話ですが嫌なら生活水準を移民並みに下げなさいということになってしまう。そしてもっと過酷な現実は、24時間文句を言わずに低コスト高パフォーマンスで働くAIと競争して勝ち抜かないと失業することです。現にアメリカではAIの導入を理由とした解雇が加速し、アマゾンは全世界で1万6000人の削減を発表しました。日本でもみずほ銀行がAIによる代替で今後10年で全国に約1万5000人いる事務職の業務を最大5000人分減らすと発表してます。みずほFGでそれが起きるということは学歴エリートの価値が崩壊しつつある証拠で、これまで相応の年収を保証してきた士業などの「定型的な知的作業」は確実にAIに奪われていきます。

怖かった父の祈願と指南の甲斐あって僕は移民にもAIにも奪われない仕事の腕を磨くことができました。これからは僕が次世代、次々世代にそれを伝授していく役目になるでしょう。だから思い出す必要があるのです。守ってくれてた母への感謝があると同時に、やがて長じて男としての自覚が出てくると、殻は破らないかんという厳しい現実に気がついてきた。高校生あたりのことです。そこからの僕を導いたのは親ではなく、学業でも学歴でもなく、「向上心と闘争本能」。それだけです。でもそれを作ってくれたのは親だったのです。

 

3iアトラスの置き土産(赤は人の数だけある)

2026 APR 8 6:06:49 am by 東 賢太郎

思いおこせば、観測史上3つめである恒星間天体「3iアトラス」につき拙文を上梓したのは去年の11月5日未明だった。それがWOWシグナルの発信源ならば、大学生だった1977年から隠居も近い2026年まで半世紀のご縁があったことになる。 100億年前に生まれた天体にとって50年は0.0000005%と、まさしく天文学的に微細な数字であってなにやら光栄な心持ちすらある。そうした気分から万感の思いを込めて文章を綴ったものだが、その2日後に愛猫フクが天に旅立って全ての気力が失せるほど動転する羽目となり、そして天体は二度と戻ることない虚空の彼方に去っていった。

3iアトラスの正体は誰も知らないことになっている。最も観測情報を持っているアメリカ航空宇宙局(NASA)が公式見解として「普通の彗星でした」で幕引きしたからだ。それはないだろうと情報を追い、特に、ハーバード大学宇宙物理学教授アヴィ・ローブ氏のユーチューブ発信は全部チェックした。そして確信した。

NASAは嘘をついている

証拠はない、直感だ。僕は「3iアトラスは宇宙の果てでも成り立っているはずの物理法則を破って学者に衝撃を与えた」と理解している物理学の素人のひとりである。そのことに対し、「ブラックスワン(黒い白鳥)を見た」とリアクトできるほど物理学の絶対普遍性を信奉している人間は地球全人口の1%もいないのではなかろうかと孤独感を覚える程度には、僕はその一員であると自負している。

アヴィ・ローブ教授はブラックスワン、インターセプト(迎撃)なる異例な言葉を含む論文を発表した(迎撃ドローンをinterceptor droneという)。そして、トランプ大統領が99%の側の米国民に向けて事実上のイラン撤退を宣言するや、1%の側から「アルテミス計画」が発表される。 1972年に休止した月への有人飛行の再開だ。これを報道するとこの様にユルいお花畑チックになってしまう我が国において、1%側が何%いるのかはとてもおぼつかない。

目的はNASA職員の女性が語っている。宇宙の通信管理(その真相は冒頭動画から推察できる)および火星有人飛行への中継基地設営だ(冒頭動画は2026/02/18付で、その時点でアルテミス計画に付言している点で価値がある)。

2025/11/5に書いた稿はこれだ。

「3I アトラス」に懐いてしまう親近感の正体

そしてアヴィ・ローブ教授も2025年の論考やインタビューで、次のように述べている。

・1977年のWOWシグナルの方向と3iアトラスの位置が近かった可能性がある

・この一致は偶然としては「確率0.6%程度」と計算される

・つまり「3iアトラスがシグナルの発信源だった可能性」を検討すべき

しかしローブの見解は学界で主流でなく、

 ・「刺激的な仮説の一つ」ではあるが

 ・検証されておらず、かなり推測的(speculative)

とされる。これには違和感しかない。検証されていないから仮説を立てるのであり、それをスペキュレーションと批判する者は17世紀にフランシス・ベーコンが説いた「正しい知識を獲得する方法としての帰納法」を勉強すべきだ。

この一致は偶然としては「確率0.6%程度」

これは恣意でなく計算で導かれた数字であり、「確率0.6%」とは「167回に1回」であり、自然現象なら「人が1年のうちに雷に打たれる確率」ほどだ。社会通念として低い値ではあるが、といって絶対起きないということはなく、たまたま今回起きたのだと言われれば反論はできない。しかし、コップ半分の水を「まだ」か「もう」か論争してもそこから科学は発生しない。色彩は電磁波である光の周波数で決まる。「赤色」に見えるのは約400〜480テラヘルツと幅があり、 400の人と480の人の赤は異なることを意味する。「そのゾーンが赤である」と決めれば「まだ」か「もう」か問題が発生するのは400、480のしきい値(閾値)の2ケースのみであり、確率0.6%がぴったり閾値でないならば、ローブの「かなり低い」という意図を含んだ例示に対し、他の学者が「0.6もある」と言ったに等しい拒絶を見せることは科学的な態度ではないという批判は許されるだろう。

これに対し、帰納法の利用に自由度の高いローブ教授が「ブラックスワン」に言及した点は興味深い。

出版時に話題となったこの書を読まれた方は多いだろう。人間が予期せぬ出来事を理解しようとする方法を分析し、社会で何が起きるかを説く(①予測不能②インパクト甚大③後付けの既知感の発現)。ローブ教授にとって3iアトラスは①②を満たす黒い白鳥であり、③が「普通の彗星でした」であり、偶然としては低確率で出現した太陽系外天体への対応に防衛上の危機感を覚え、著者ナシーム・ニコラス・タレブの「アンチフラジャイル」の哲学を用いて人類に警鐘を鳴らしたのではないか。レバノン人のタレブはウォートンMBA、数学・統計学者で、ウォールストリートのデリバティブトレーダーでもある。確率、ランダム性、複雑性、不確実性の観点から現象を検証し、ここが多くの日本の学者と決定的に違う点だが、 自身がヘッジファンド運用で億万長者になることで自説の正しさを証明している。ちなみに、これは偶然だが、ソナーも彼と同類の哲学による運用によって16年に渡って定常的な利益を積み上げている。現実世界へのアプリケーションが可能な哲学や理論の場合は、結果を数字で証明することが社会へのインパクトを最も明らかにする方法である。

タレブを気に入ったのはそれを行ったからで、一部に異論もあるが、批判者が何万人現れようが我関せずで数字による証明を果たした勇猛果敢ぶりが誠に清々しいからだ。彼が金を儲けたということは、その分、損したした人がいるわけで、では何が大きく損させたかというと黒い白鳥への対応なのだ。株価は波動であるがスーパーコンピューターで分析しても規則性は見つかっていない。あるのは売買によってそれを動かす人間の脳が産む波動である。ブラックスワンに驚いてパニック売りする人が勝つ可能性は低い。ではその逆張りをすれば儲かるかというと実はそれもないから脳を研究しても答えは出ないだろう。発想を逆転した解決法が2つある。 1つはアルゴリズム取引。もう1つは答えは出ないことを正答とし、あるのは確率、ランダム性、複雑性、不確実性だけであると仮定することだ。僕は後者に属する。それでも絶対的な勝利の方程式は存在しないが、勝敗は確率であり、無防備ゆえに負ける愚を減らして相対的に勝率を上げることはできる。アルゴリズム取引は装置産業で膨大なコストがかかるが、そちらは紙と鉛筆だけでできる。

そう考えるようになった理由は独特だろう。僕は自分の色覚の特性から「赤色」は十人十色であって、絶対的な赤は存在しないという考えを持つに至った。「赤く見える」というのは主観であり議論の余地がある(debatable)。赤かどうかは既述のように絶対普遍である数字(周波数帯約400〜480テラヘルツ)によってのみ定義され、そこに属する証明がなければ科学者が言おうがピカソが言おうが僕は赤とみなさない。自分の感覚の上に築かれているという点において他者に影響されず、前提は「数字のみが絶対」の宇宙観であり、既存の類型に当てはめるならば自分は唯物論者、実証主義者であって、リスクをミニマイズしたい演繹的な人間である。これがまずワタクシの第1の特色だ。

ところが第2に、自分の中には別人がおり、時に真逆の主張をする。数字も論理もない仮説を前ぶれもなく思いつき、証拠を出せと否定する自分を説き伏せてしまう。例えば、直感でこの株が上がると思うようなケースだ。もちろん証明は不可能だ。そこで業績が伸びるという仮説を立てられるかどうか検証する。できなければそのアイデアは捨てる。できるなら業績と株価は演繹的な相関性が証明できるので三段論法が成立し、第1のワタクシは納得するのだ。演繹で株価が予測できる場合を業界用語で「おり込み済み」と呼び、誰でも同じ予測が可能だから利益は出ない。帰納的推論は必ずしも同じ予測を導かない。だから先回りして買う機会がそこそこの確率で期待でき、万人がそれを知って買いに来た時に売れば高い確率で利益が出るのである。

ニコラ・テスラが交流電力を発見した発端は既存の電磁気の知識から得た直感(帰納法的推論)であった。コペルニクスの地動説もニュートンのリンゴもそうであり、ケプラーは火星の逆行運動を円の組み合わせで演繹的に解こうとして行き詰まり、「万物は神の意志で円運動する」という当時絶対であった神学的前提を捨てるという帰納法により楕円運動という真相にたどり着いた。思えばシャーロック・ホームズもエラリー・クイーンもコロンボも古畑任三郎も推理(帰納)と捜査(演繹)の両方を用いている。数学の難問を解くのもまた同様であり、機械的な計算問題で演繹力を鍛えるのは誰でもすることだが、ベクトルを使った方が速いのでは?のごとき直感力(帰納)を訓練すれば有益だ。両方を高度なレベルで用いることができる人は世界人口の1%はおろかほとんどいないと思われる。だからそれをインテリジェンスと称し、戦争で知的な武器として使う有用性が担保されるのだ(CIAのIだ)。

アヴィ・ローブ教授

僕がアヴィ・ローブ教授の指摘した可能性(帰納法)に大いなる共感を抱いたことを共感いただけただろうか。とはいえ、地動説も万有引力も交流電力も楕円軌道もそうであったからローブ説も正しいとは言えないのは『「a1はPを満たす」かつ「a2もPを満たす」から「全てのaはPを満たす」という結論の正しさは保証されない』という命題は真だからだ。真なる命題は『データをすべて持っているNASAが「検証したが普通の彗星であった」と反証を提示したのでローブの帰納法は “論理的に” 破綻した』でなくてはいけない。

いまや「科学の進歩や国威発揚のため人類を月に」のような目的はインテリジェンスの進化に貢献するどころか無意味な贅沢でしかなく、AI時代に本社社屋の巨大さや従業員の多さを誇る愚かな経営者のようである。約930億ドル(約14兆円)もそれに予算をつけられるほどアメリカの財政は健全でもない。史上最大のIPOを発表したイーロン・マスクのSpaceX社が共同事業者になったとはいえ、国家予算を議会が承認したアルテミス計画はれっきとした公共事業であることを考えると、 その目的が3iアトラスの素性に対するNASAの平平凡凡たる見解によって論理的に破綻したはずのローブ仮説へのNASAの対応であるなら、それこそが国家運営の論理破綻と痛烈に批判されうるだろう。今のところそれは耳にしていないので、アメリカ国民はまじめに火星へ行きたがっているのか、ことの次第をきちんと理解できるインテリジェンスのある者は人口の1%の、そのまた1%しかいない証左なのかもしれない。

では、アルテミス計画の真の目的とは何だろう?

100億年前に3iアトラスを発射した地球外生命体が実在し、彗星を装って太陽系に宇宙船を送り込み何らかの計略を試みた。これがアヴィ・ローブの仮説の本筋である。科学者としての慎重さを担保するため彼はそうは言わないし、言えば国民を不安に陥れるためNASAは政治的意図を持って否定するだろう。1977年に地球に膨大なエネルギーを要する電波(WOWシグナル)をピンポイントで浴びせたのがローブの主張するように3iアトラスであったなら、冒頭動画が開示しているように人類の宇宙空間通信網にサイバー攻撃を仕掛け、ブラックアウトを起こして人類の脅威になる可能性を100%は否定できない。つまり「地球外からの地球防衛」が月面基地建設の本来の目的なら理が通るのである。

100億年前に作られた物体ということは46億年前に誕生した太陽の2倍以上の年齢で、 138億年前にできた宇宙の創世記にほど近い。金属の無い場所で生まれたのにニッケルで表面ができており、自らの作用で軌道も色も変え、太陽と反対方向に出る尾っぽが太陽に向き、微量の有機化合物を撒き散らし、作為でないならあまりに確率の低いフライバイを木星で行った(太陽系への入射角も低確率)。以上は複数のソースで確認されるので事実と思われ、物理学が覆り、未だ仮説であったことが以上の「反証」で証明された。眠れぬ夜を過ごした物理学者が続出したと想像する。そこまで奇妙な、マンハッタン島とほぼ同じという巨大さの、二度と出会うことのない物体がすぐそこを通っているのに血眼で観測しないような人間が天文学者になるとは思えない。世界中のアマチュア天文家までが夜を徹して望遠鏡を向けあらゆる角度からデータをとり、全てをNASAは入手し、真っ赤なウソをついた。ローブは証明できぬ自説を強弁せず、それを暗に指摘する戦略を選択した。

3iアトラスという物体は明らかに異様であり、僕はそのことを多くの人に語った。そして発見した。自分ほど興味を持つ人は周囲にはいないことを。

僕が異様と反応するのは数学、物理学の普遍性、頑強性を信じる強度(レジリアンス)が高く、だから「数字のみが絶対の宇宙観」に起因する哲学で世の中の諸事情を眺めている証拠なのだ。したがって、僕の中でそれが変わることは1+1が2でなくなるぐらいにない。その宇宙観で生きたと思われる人々の中で最も優秀な人はアインシュタインだろう。だからその人が「不気味な遠隔作用」と疑念を呈し、隠れた変数があるとして否定した「量子もつれ」がベルの不等式によって正しいと証明されたことは、僕は宇宙観の転換を迫られていることを意味する。アインシュタインにとって「量子もつれ」はブラックスワンであり、僕にとってはそのことがブラックスワンであった。

つまり、赤色が人の数だけ存在するように、数学、物理学の普遍性、頑強性を信じる強度(レジリアンス)も十人十色なのだ。ない人は強度がほぼゼロであり、黒い白鳥に出会っても黒猫が出たぐらいの反応しかなく、僕の観察によれば、こと天文現象に関する限りそういう人は日本人の大多数と断言してもいい。これも観察からして、西洋人の方が日本人よりレジリアンスが高いように思われるが、彼らは一神教の神を信じ、聖書に書かれた通りに世の中は動くはずだと教育されるからだろう。神の意志は1つしかなく、万物はそれで動き、それを記述したのが数学・物理学であるという信念にこそレジリアンスの源があるということだ。多神教の日本にはそれが育つ余地がなく、実は一神教の理屈という背景がある西欧型の学校教育はストレスであり、「世の中、理屈じゃないよね」といえば「そうだそうだ」と宴席が盛り上がる。子供に宴席はなかったが、群れると漂う同種の空気がどれほど少年時代の僕を孤独にしたことか。

ブラックスワンの著者はレジリアンスが非常に高い人で、予想を裏切る株価の動きは普通の白鳥にすぎないことをランダム性、複雑性、不確実性の理論をもって俯瞰し、自説を大胆に断言しきっているところに小気味の良い面白みがある。驚くのでなく征服する。戦いに勝ち相場でお金を失わないためには戦略からフラジャイルなもの(脆弱性)を消すこと。全く同感である。アヴィ・ローブも多分そうだろう。

トランプの米国民向けスピーチ

2026 APR 2 13:13:21 pm by 東 賢太郎

トイレで目が覚めた。困ったもんで最近2、3回はおきる。時計は午前4時過ぎだ。そういえば10時にトランプが国民に向けスピーチするんだっけと目がさえてしまった。そこでたまたま開いていた「イリアーヌ・イリアス」のコメント欄に書いた。

『NATOにブチ切れているトランプは明日、米軍は 2~3週間で軍事施設を徹底破壊して引き上げる、核開発は潰したからもうアメリカは関係ねぇぐらいぶつんだろうか。ホルムズ海峡は狭い箇所の幅が33kmで瀬戸内海なら今治と本州の間ぐらいだ。海賊が残ったら安全運航は無理、イランは通行料3億円ぐらい取ると放言する。ホルムズ海峡が重要である中国が出てくる。中間選挙で農家が重要な票田であるトランプは「好きにさせてやるから米国産大豆を2500万トン買え」ぐらい習近平とディールしてもドンロー主義に矛盾なしだ。これは日本にとってやばい結末で、米イ共に手を貸せず、切り札のディール材料もなく、安保理常任理事国の立場でうまく収めれば米国は西半球、東半球は中国の棲み分けが現実になるかもしれない。

軍事の話になれば憲法を奉って平和だけ祈っていれば安全ということにはならない。ウクライナを見れば世界がそんなお花畑でないことは一目瞭然である。原油を断たれて経済力が落ちればますます安全が脅かされる経験を我が国は80数年前にしている。少なくとも憲法9条改正だけはしておくべきだったが現行憲法下でできるのは専守防衛だけだ。防衛予算はGDPの何パーセントが適切という机上の議論も大事だが、何を持っておれば国民の命が守れるかというギリギリの現実から積み上げた数字がそれを決めると考えるべきだろう。私見では核保有がベストであるが、できない以上トランプと交渉して原潜を買うか貸与を受けること、及び防衛装備品の質量の拡充がセカンドベストではないか。NATOは英仏が核保有国であることがトランプに何を言われようが屈しないカードである。』

スピーチを聞いた。こともあろうに・・。

 

 

イリアーヌ・イリアス 『夢そよぐ風』

2026 MAR 31 7:07:27 am by 東 賢太郎

たった一度しか行ってないのに脳髄に衝撃を受けて人格まで変えたかと思われる国があります。ブラジルです。 いちぶ始終はといわれても夢のようで細かいことはあんまり覚えてません(2016年のブログにある程度書いてます)。

リオデジャネイロまでバンクーバー経由で24時間。タクシーで着いた宿はシーザーパレスと書いてますが、AIで調べるとCaesar Park Rio de Janeiroだったようで、あの「イパネマの娘」のイパネマビーチに面してる高層のホテルでした。

ビーチに出るとトップレスの女の子が100人か200人かどわーっといて目が点になります。きいてみるとカー二バルの前の週だったんですね、国中から女の子が集まってたらしく、あんな絶景、人生でそう拝めるもんじゃない。今となるとあれはコパカバーナビーチだったかな、どっちかな、まだ36歳でしたからね、僕も連れの後輩も絶句してしまいましてね、ホワンとした記憶しかないんです。

このホワンは「イパネマの娘」のサビのふわふわ感みたいです。ちょっといかれてるけどセクシーな、心のもやもやを優しく癒してくれるボサノバのあの魅惑的なコードはこういう土地からじゃないと出てこない。なんせ2月でしたからね、前の日までスーツで底冷えのする大手町歩いてたんですから目が覚めたら乙姫様の真夏の極楽にいましたってなもんで、同じ惑星の出来事とは思えません。地球の裏側まで一気に飛んでこういう経験された方はわかって頂けるでしょう。

こっちが接待されたんですね、ディナーの後はナイトクラブに連れていかれて、ブラジルの夜は長いことを知りました。当時インフレは300%と経済はボロボロで、アメリカ人が「ブラジルの経済は夜成長する」とジョークネタにしてましたからね。食事は何だったか覚えてませんからいまいちだったんでしょう。ナイトクラブのブラスとパーカッションがバリバリのラテンバンドは迫力満点で、音楽がどうのというより空気を変えちまう。 音楽は耳じゃなく体で味わう。直撃する心地よさというか、いやあいいな、ずっと浸っていたいなという快感です。

そこがどんな感じだったか、どこかに書いたなと思ってましたが意外なところにありました。

R・シュトラウス 歌劇「サロメ」より「7つのヴェールの踊り」

酒が弱いのは損ですね、綺麗な子に囲まれてたのにすっかり酔っぱらっちまってぷっつんです。そうそう、彼女たちはポルトガル語オンリーで英語も通じないんでどうにもなりませんわね。とにかく竜宮城の浦島太郎状態。ブラジルの男を嫉妬しましたね、同じ人生なら金も名誉もいらねえや、こっちの方が断然いいなと確信したものです。まあニューヨークもパリもこういうとこはありますからね、日本の男は残業は減ったかもしれないけどド真面目に生きてますよね、ホント、小学校から塾通って受験受験で遊びを知らず、社会に出たからって生き様はそう変わりませんわね。僕は大いに遊んじゃった部類ですが、それでもブラジルで目が点でしたからね、若い男性の皆さんは30代までに世界の野郎どもを見て回って男を磨いた方がいいですね。

サンパウロはまあまあ、ブラジリアはいまいちでしたね。まあ役所はそっちなんで仕事だから仕方ないんですが普通の真面目な都市でした。カーニバル直前のリオのど迫力は格別に凄まじく、そこで自分のラテン的な気質に目覚めたんです。革命でしたね。この翌年にドイツに赴任することになりましたが、ヨーロッパではフランスも好きだけどイタリア、スペイン、ポルトガルはもっとラテンが濃いんで惹かれてまして、欧州滞在中に何回も行きましたしね、女性もブリュンヒルデよりもカルメンやヴィオレッタみたいなほうがいいですね。

以前にも書きましたがイリアーヌ・イリアスさんが好きなんで、疲れたとき癒しにきいてます。これはボサノバなのかジャズなのか知りませんが、ボサノバテーストはありますね。特に変わったことは起きないんですが、おしゃれで品格があって心のひだに寄り添って心地よい、誠に上質なエンターテインメントですね、浸っていると本当に自分はボサノバが好きなんだなあと思い知ります。脳髄に衝撃を受けてますからね。

アルバム『夢そよぐ風』(Dreamer)です。

この人の声、なんとなく母に似てる気がします。何度きいても素敵です。

誰の文章を読むかで人生が決まる

2026 MAR 28 0:00:56 am by 東 賢太郎

この業界に入って長いせいかいろいろなリレーションが折り重なって、ディズニーやネトフリに繋がるアメリカの連中とパートナー契約を結んでいる。ソナーは米国の売れっ子IPを単独で日本に持ってこれる。どこにお話しするかは僕の勝手だ。もちろん売上げ兆円単位の企業様にである。

証券マンというのは黒子であってどの業界の専門家でもない。しかし33業種おしなべて知ってるというのはけっこう利点だ。あとは英語だ。英語ができる人はごまんといるが、英語で株を売ったことがある人はまずいない。何語であれ株が売れれば売れないものはない。

それは未来を売ることである。先のことは誰も知らない。当の会社の社長だって知らない。だから「仮説」を売ることに他ならない。為替やゴールドと違って上場企業には会計監査を経て信頼できる内在的な価値を示すデータがあり、開示義務があるので一定範囲はほぼ入手できる。だから仮説構築力の勝負になる。

仮説構築は科学だ。例えば太陽に黒点が出る。長年観測して「その増減は11年周期」と仮説が立つ(なぜ仮説かというと理由がわからない)。来年はこうだろうと一応の根拠ある予測はできる。数学でいう帰納法である。しかし日本人で株式投資をそう理解している人は極めて少ないと思われる。

まず日本人は帰納法の使い手が少ない。だから大胆なイノベーションが起きにくいのかもしれない。使い手かどうかは仮説の矛盾(ハズレ)が出た時の反応でわかる。信者には事件だがそうでない人には「世の中そんなもん」で終わり。そういう人は万事にそんなもんで終わるから思考の経験値が累積しない。

投資で勝つ鉄則はないが負けないそれはある。ゼロにはできないから減らす。数は減らずとも度合いは減らせる。しかし「この方法」の欠点はいつ勝つか不明なことだ。だから運用者に「期間」の縛りをつける(IRRという)。 一部の運用者は経営者に対する株主権行使で期間を短縮する(アクティビストという)。

「この方法」のことをバリュー投資という。上場企業のデータ開示義務は100%ではない。その比率が低い企業の株はリスクが高い(仮説と結果の誤差の絶対値をリスクという)。経営者の能力は外部からは不明だ。不明なものは仮説値の計算には入れない。ということは0(ゼロ)と置くことになる。

能力0の人が経営すれば会社は潰れる。その結果の1株当たり資産(解散価値という)が高い株を買えば最も安全である。それより株価が安ければ全部買う(M&Aという)。経営力(グロースという)より資産(バリューという)を信じる。その優劣は定かではない。宗教とは呼べないので業界では投資哲学と呼ぶ。

大勝を狙うか不敗を狙うか。僕は後者である。本塁打を狙うと三振も増える。10対0でも1対0でも1勝。意味のない余分の9点を取る練習でアラを増やすのは愚者だ。0に抑える練習はアラを生まず1点取る確率は高い。受験も合格最低点を取ればいい。キープするには結果の誤差の少ない得意科目を磨く方が確率は高い。

皆さんの人生における所得の意味は何か。最低限、死ぬまで食うことだろう。労働はAIに任せて人類は遊んで暮らせると思い進化させたら逆にAIの奴隷、肥料になってしまった。映画MATRIXだ。そこで救世主が出てくる。いや出るはずだがそれは誰だとなる。聖書を信じると帰納法になる。

GAFA創業者全員が「大事なのは数学と哲学」とダボス会議で語った。日本の大卒でこの両方が得意と胸を張れる人が何%いるか。日本には数学者も哲学者も数は多いだろうが「1人で両方」のコンビネーションこそに何らかの価値がある。だから彼らはGAFAを生んだ。そう考えるのも仮説構築である。

それができる人はダボス会議にはたくさんいただろうが国民全体ではそうはいないだろう。「そういう思考回路を持ってるか否か」の差だ。そしてその回路のことを本稿では哲学と呼ぶのである(投資哲学のそれ)。「その有無」と、「ダボス会議出席者と国民との平均生涯年収の差」には高い相関関係があろう。

ではその回路を得るために何を勉強すればいいのだろう。数学と哲学だ。しかし日本にも微積ができてカントやヘーゲルを読んだ人はいくらもいるがGAFAは日本にない。だからコンビネーション仮説が重要だ。僕の理解ではブリッジをかけるのは経験とインテリジェンスだ。それを得るにはどうしたらいいか?

読書だ。文章を読まなくてはいけない。動画の時代になったが視覚情報はインテリジェンスの構築にはあまり影響しない。文章はロジックであり骨の髄まで入り込む。ショーペンハウエルは読書をすると馬鹿になると否定し、他人のロジックの模倣を戒めている。しかしそれは彼の頭脳が他人より高性能であるゆえだ。

僕が速いと思っているのはできる人の文章をたくさん読むことだ。その人の思考を模倣でなくシミュレートするのである。僕は例えば清少納言、夏目漱石、三島由紀夫、ラロシュフコー(翻訳)がシミュレーターになって成長したと思っている。あくまで思考回路でコンテンツでなく、それはより文体になって現れる。

教育はある意味恐ろしいと思うが自分は法学部的人間で文体もそうだ。同門の三島のくっきりした文体に同じ臭いを感じる。ああいう人生にならないように清少納言姉さんが中和してくれてる。春とくればふつう桜だが、あけぼのとくる。それもロシュフコーのキレのいい辛口も、自分の哲学を育む経験値となってくる。

法学部的合理主義者なのに「春はあけぼの」が平気。ロジックはゼロ。なぜときかれても説明できない。ひらめきでもない。そう生まれついてるとしか思えない。春はあけぼの的人間なのであり、清少納言さんもそうだったということに過ぎないのだ。クラシックで好きな曲を探すのも同じ事をしている感じがする。

証券マンに戻ると、法学部的合理主義者には最もお勧めしない職業だ。朝に買った銘柄を午後売れということもあるのは相場というあばれ馬を乗りこなす術で、これは春はあけぼの的人間でないとできない。でも嘘を言ったわけでなく、正真正銘そういう人間だからだろう、お客様はみな分かって下さった。

ディズニーやネトフリという大型エンタメコンテンツの価値は理屈ではじけない。かつて扱ったこともないからこの仕事は老境に至ってのチャレンジだ。しかし春はあけぼのは僕の本来の姿かも知れず、いよいよそっちの本能全開で勝負できるときが来た。こう考えられるのが実は春はあけぼの人間の定義なのだろう。

今日健康診断でカルテの「71歳」を眺め、「先生これ誰のですかね」ときいてしまったが、理由はそこにあるかなと苦笑した。

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『黒猫フクの人生観』 (第十二話)

2026 MAR 23 22:22:04 pm by 東 賢太郎

僕が天国に来てから5ヶ月近くなったよ。ずいぶん慣れたし勉強もたくさんしちゃったよ。だってここには世界的に有名だった人がたくさんいるんだ。アインシュタインさんもホーキングさんもしばらくいたし、この前はポリーニさんとブレンデルさんのピアノリサイタルがあったんだ、すごいでしょ、主人が悔しがるだろうね。みんな昼間は大きなホールにきてお喋りしたり外に出たりしてくつろげるんだ。エレベーターで上にあがると100階まであってそこが魂さんたちの住居になってるんだよ。僕もそこにいるんだ。衣食住が足りて居心地いいから皆さんなかなか生まれかわらないらしくて、最近ちょっと天国の幹部の神様の間で問題になってる。でも、前世はすごく偉かった人たちが仕事しなくていいし、暇だからいつでも勉強や仕事のことを教えてくれるんで僕にとっては最高なんだ。なんかずっといたくなっちゃうね。

魂になると地球はいつでもどこでも自由に見れるんだ。ドラえもんより便利だよ、だってあそこが見たいって頭の中で考えるだけでその場面が出てくるから「どこでもドア」も要らないんだ。毎日主人を見てるんだけど高市さんがトランプに会ったのも見てたよ。うまくやったよね、女性からハグされて嬉しくないオスなんて猫界だっていないからね。主人はトランプ支持者ってことになってるけど人としてあまり好きなタイプじゃない。なぜ支持かというと、分かりやすい人間のタイプなので相場を張ってる主人には有利だからなんだ。悪党だったベネズエラの大統領には同情しないけど国民にはしててね、だからWBC世界一は感激してたよ。イランもね、大学の夏休みに1ヶ月アメリカに短期留学した時にイラン人の女の子がいたんだ。まだ片言だった英語で話したりして楽しかったんだね、だからイランは好きなんで彼女どこでどうしてるかなってちょっと悲しい思いしてたんじゃないかな。中国、韓国だって大好きだよ。どっちも仕事で行ってるし知り合いもたくさんいるし、嫌な思いした事は一度もないって言ってる。持ってる名刺のせいもあったと思うけどそういう日本人もあまりいないかもしれないね。逆にアメリカは2年いてお世話になったけど不愉快なことも山ほどあって、いい人もクソみたいのもいたって言ってたよ。

でもね政治は別なんだ。オバマが世界の警察やめますって言ってからNATOのヘタレがバレてロシアが動き出してね。トランプ支持のキリスト教福音派は終末論を信じる人たちでユダヤ人の国イスラエルのシンパだから中露がくっつくとトランプは都合悪いんだ。だって中は露の油買って元で払って油のドル決済システムを崩そうとしてる。露は元をドバイでドル転してるしイランは中露派だからね、だからペルシャ湾はキモイっていう背景もあるんだ。ベネちゃんを襲った口実はギャングと麻薬だけど本音は油を元で売ってたからさ。ドル覇権の保全だよ、だって金本位制やめてから油はゴールドの代わりなんだ、それが崩れればドルなんてただの紙っぺらでアメリカ合衆国もおしまいさ。イスラム教シーア派のイランとは宗教戦争だからイスラエルは全員殺すまでやる気満々でとてもややこしいけど、アメリカにとっては覇権戦争でもあるからもっと根深いよ。でもそれで長引くとアメリカ経済はインフレで破綻してトランプ人気はボロボロになるから本音じゃ早くやめたい。でもネタニエフに逆らえない、エプスタインで脅されてる、まあ色々あるけど怖いのは福音派さ。選挙落ちたら終わりだからね。普通の人なら気が狂うね、さすがのトランプだって死に物狂いだよ。

まあね、日本人としていい悪いはあるけど高市さんの登場はトランプにとって一服の清涼剤にはなってる。それをわざわざ悪い方にとって媚び外交とか批判してる連中の顔見ると、そんな芸当できっこない幸の薄い嫉妬女やもの悲しい無能男の「あぶり出し」大会だ。日本人の美徳である「恥」って感性ないのかね。外交は誇り高くやっても結果が出なきゃ何の意味もないんだよ。トランプは荒っぽい男だけどしっかり石破の無能につけこんで80兆円も金せしめたよね。アメリカ人がそれ下品だって批判してるか?逆にそれをちらつかせてコチョコチョくすぐってトランプうまくころがしてる高市姉さんが一枚上手っていう賞賛の声が韓国ですらあがってるし、天国じゃ姉さん大人気さ、だって老齢まで生きて人生の酸いも甘いも知り尽くしてるツワモノの魂さんがわんさかいるんだからねここには。

ところが、僕も仰天だ、ホワイトハウスでそれをぶちこわしてトランプに馬鹿丸出しの質問したあのアホ、あれはさすがに猫でも最下層のアホだ。主人はネットで見てそりゃあトランプもムッとするわなって激怒したんだ。テレ朝の記者だかなんだか知らねえけどよそんなもん、誰なんだあいつはってさ、凄い剣幕だ。

『なぜ事前に教えてくれなかったのか、私たち日本人は非常に困惑している』?ぜんぜんしてねえよ、おめえだけだよそんなのは。日本中が困惑したのはおめえのオツムのほうだよ。「ちょっとあの人最悪ね、みえみえで高市さんの足ひっぱってるじゃない」。怒ってる。女性は鋭い。でも主人の奥さんふだんは温厚なんだ。ほんとだね。主人があいずちをうった。戦争に死に物狂いのトランプが日本人の困惑なんて気にしてるわけねーだろ、そんなの世界どころか宇宙の常識なんだよ。そもそもスパイ防止法もない情報ダダ漏れの日本に「明日爆撃だ」なんて言うわけねーじゃんかアメリカの議会にすら言ってねえのに。ここまで壮大な馬鹿みたの50年ぶりだよ。歴史的だよ。総理大臣が横にいるのにアメリカ大統領の前で「私たち日本人」?記者の分際で何様なんだお前、いつから俺たち日本人の代表になったんだ言ってみろよ。そもそもこういう地頭の弱いやつをよりによって国運をかけた場に出すなよ。日本の転覆を図ってんのかよ。出したやつ誰だよ、テレビにツラさらせや覚えとくから。へたしたら日本の若者の命がかかってくるんだよ、責任取れや。お前ら同罪だオールドメディア。

おもいだしたよ、普段はやさしい主人はね、そういえば東映の任侠映画ファンだったんだ。かつてない激怒だこれ、くわばらくわばら。まあ僕は日本人じゃないけど日本猫だからさ、わかる気はしちゃうんだよね。

アレは不意打ちが成功したことにすべてがあるんだ。それで一気に乗りこんでディスコムボビュレーターぶっぱなすと護衛兵が目と鼻から血をふいてバタバタ死んだ。映画MATRIXの世界だね。それで世界の悪党の親玉がビビって次は俺かとおとなしくなって、核抑止力にもなってるんだ。だから日本にはありがたい。こんなの世界のインテリの常識だよ。だからロシアも中国も大っぴらにイランを助けないんだよ。じゃあトランプが世界の大王でいいかって、それは分からないさ、アメリカに特効薬打っただけだからね。でも福音派は真剣に救世主を待ち望んでるからね。トランプがそれってのはありだし、そのためにはトランプは実績で目にものを見せなくちゃいけないんだ。高市さんは核保有は許さねえってイランをぶっ叩いたトランプに「あなたしかできない」って言っちゃったからね、とすると日本にそれ許しちゃう理屈が立たないねしばらくは。何兆円かけてもいいから原潜2隻ぐらい欲しかったけど、それよりも訪中の前にうたなきゃいけない手はうったってことだね。ならばこれで十分。大成功だよ。クソくだらない参議院の質問で睡眠時間削られちゃったのかな、主人は参議院なんか丸ごといらないって言ってるけどね、僕もそう思ったよ。とにかくお体にはくれぐれも気をつけてご活躍ください、猫ながら健康を祈念しております。

高市首相とトランプ大統領の首脳会談を全体として「評価する」は69%で、「評価しない」の19%を大きく上回った。高市内閣の支持率は71%(前回2月18〜19日調査73%)で高い水準を維持した。不支持率は20%(同17%)。これをストレートに報じた読売新聞は、まあ、朝日よりまともだね。

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WBCで日本を席巻したネトフリという黒船

2026 MAR 10 13:13:32 pm by 東 賢太郎

野球の面白い所というか、怖いところでもあるが、WBCの日本対オーストラリア戦のことだ。吉田が7回裏に2ランホームランを打ってひっくり返して勝ったが、 天覧試合で1-0で負けるんじゃないかとはらはらしていた。やっている方はプレッシャーがあっただろう。

1~7番に大谷、鈴木、近藤、吉田、岡本、村上、牧とメジャー5人が並ぶ打線。オーストラリア先発投手のマクドナルドは2m近い長身だが、30歳で3年前に投手転向した地元球団の人で、投球練習を見てもスピードもコントロールもたいしたことないように見えた。すぐ5点取れると思った。ところが蓋を開けると3回1安打、しかも9アウト中6つがフライと詰まらされたのだ。

発端は1回裏、先頭の大谷翔平が2、3回バットを振ったが前へ飛ばず、最後はインコースやや高めを詰まったセカンドゴロだったことだ。あれ、意外にタマ来てるのかなと思った。鈴木は歩くが、近藤が低めのスプリットを空振り三振。ふだん三振しない人だ。これもあれっとなる。吉田は歩くが、岡本が中飛でチェンジ。おかしいな、なんとなく大谷のアレが伝染しちゃったかなという感じがした。

よく言われることだが、知らないピッチャーとの出会い頭で味方の強打者があっけなく三振とかすると空気が「伝染」する。すると次の人も力が入って打てない。それだったのかどうか、結局いやな予感があたってしまい、 2、3回は村上、牧、大谷、鈴木、近藤の5人がフライアウトでヒットは若月の1本だけということになった。おそらく「差し込まれる」というやつで、振ったら球が「来ちゃってた」感じの凡打だろう。フライということは、遅く見えるが振りだしたら手元にピュッと伸びてきて遅れ目に押され気味にボールの下を叩いてるという理屈だ。日本戦に先発させるだけあって実はいいピッチャーだったんだ、おみそれしました。

吉田が打ったケネディというピッチャーは 2mぐらいとでかいのに左のサイドでテークバックがほぼなし。少なくとも僕はこんな投げ方は見た試しがない。だからインローのストレートを振り抜いたホームランは、そんなのが出てきてもびっくりしないほど条件反射化された技術の賜物としか考えられない。オールスターのホームラン競争で、スイングしたら全部ライトスタンドに打ち込んでた、あれの再現を見たようだった。才能のある若者は問題なくワールドクラスで通用する。これが日本の宝物であり、のびのびと力を発揮させてあげることこそ日本が持続的に成長していく道筋であると僕は確信している。

それにしても大谷さんが出るWBCは日本人なら誰でも見たい。つい先日までたくさんの興奮と感動をお茶の間にとどけてくれたミラノ・コルティナ五輪が脳裏に浮かぶ。ところがだ。こっちは東京ドームでやってるのに日本のテレビでやってない!NHKは公共放送なんだろ?公共の福祉になってないじゃないか。民放テレビ局は何をやってるんだ!しかも天皇陛下御一家が観戦に来られている。それを日本人が見られないなんて陛下を国民と分断してるじゃないか!国辱ものじゃないかこれは、どうなってるんだ!

そんな感じで全国の高齢者家庭はてんやわんやだろう。長嶋茂雄は天覧試合のホームランで歴史に名を残したが、「全日本人がアメリカのストリーミングサービス会社を通してしか天覧試合が観られない」この非常事態も空前の出来事として歴史に残るだろう。誇り高いテレビも新聞も、放映できない赤恥など認めたくない。みっともない汚点だから事実の背景は絶対に報道しない。みなさんじっくりと観察していてごらんなさい、彼らは試合のハイライトを報道番組やワイドショーネタっぽく仕立ててお茶を濁し、なかったことにする作戦をとるだろう。そこでもうひとこと言っておこう。そんなことをやってるから日本のメディアは「予定調和的に」これから没落していくのである。今や僕のように海外経験の長い国民はいくらでもいる。いくら隠してもその馬鹿さ加減は舞台裏まで見えてしまい、真相はこうやってネット情報としてばらまかれる。もう何を逆立ちして頑張ってもこの潮流は止まらないのである。そんな茶番には関わりなく、水面下では静かに冷徹に事は次のステージに向けて進行している。大谷さんが見たい多くの高齢者が、聞いたこともないネットフリックス(ネトフリ)という ”チャンネル” なら自宅のテレビ受像機で見られることを知ってしまい、料金なんか二の次で子供や孫に頼んでアカウントを作ったに違いないのである。

勘違いしてはいけない。これは誰かが売国行為で日本の資産をアメリカに売ったわけではない。アメリカにあるメジャーリーグという舞台に日本の有能な若手選手が憧れ、ワールドクラスの才能はこぞって流出してしまい、これはどこかの悪い組織がやってることではなく、憲法が個人に保障している職業選択の自由という権利行使であるから、いかなる組織も日本という国家といえども止めようがない。当然ながらそこで手にできるかもしれない1,000億円という夢のようなお金がひとつの誘因になっていることを否定したところで何の意味もない。世の中お金ばかりではないだろう?そうかもしれないが、才能のある若者が才能に見合った生活がしたい、そういう人生を送りたいと望むことを否定する権利は誰にもない。それが自由主義国家というものであり、アメリカは徹頭徹尾それを守る国家であることは、アメリカに住んだことのある者は誰もが知っている。だから「イーロンマスクの報酬が最大で150兆円」というニュースは、一応は人々を驚かせはするだろうが、誰も否定はできない。羨ましければあなたもやったらどうですか?アメリカという国家は誰が大統領になろうと不平等だと言ってそれを剥奪したりはしませんよ、という国であり、それがアメリカをアメリカたらしめているのだ。

NPBイベントは、これまでは巨人軍を持つ読売新聞が仕切っていたが、今回はニューヨークにある大会主催団体のWBCIが読売をすっとばして米国-米国で(すなわちオフショア・ディールで)直接ネトフリと契約してしまったのだ。いくら日本が文句を言おうが、「なら5倍の150億円払え」で1秒でおしまいだ。なら日本の選手は出さないぞという脅しもきかない。大谷さんはもうアメリカの選手だし、鎖国をすれば有能な高校生が大学からアメリカに逃げる仕組みができるだけだ。ワーナーブラザースを11兆円で買収しようとしたネトフリにとって円安下での150億円などピーナッツ(はしたがね)であり、「これからドル箱になる日本市場でネトフリのアカウント数を激増させる投資として、『大谷翔平主演の映画』のつもりでWBCの興行権を買う。プライスは大谷個人の年間広告収入(やはり150億円だ)と同じ額でメークセンスだ。数年で回収してみせる」とでも株主総会でCEOがぶちあげれば全然オッケーだろう。

収入が激減しつつある日本のメディア業界は150億も払ったらテレビ広告でペイなどしない。なぜなら広告主がそんな効果をテレビにもう認めない。なぜなら年々伸びてきている「ネット広告料収入」がついに総広告料の50%を超えたからである。この潮流の中では、民放テレビ局の株主総会の収支計画は財務省お得意の「単年度プライマリーバランス主義」で見せないと株主の納得は得られない。そこで『大谷翔平主演の映画』に投資するぞ!と大見栄を切れるサラリーマン社長などいるはずがない。皆さん、高市総理の掲げる「投資」という概念が企業にも国にも成長にとっていかに大事かということが、このケーススタディで如実にわかるだろう。資本主義の憲法第1条に当たるコモンセンスがアッパークラスに欠落している国は実は国民を豊かにしてあげる事もできないのである。「そうでしょう?だから共産主義的国家にしましょうよ」という更に大きく間違った声が上がり、ここぞとばかりに左翼が元気になるのが悲しい日本なのである。国ごとそれに毒された発想になって、ダイエットし過ぎで骨粗しょう症になってしまい、「骨を折らないことこそが国家的な一大事でござる」みたいにトンチンカンな政治をしてきたのが高市前の日本だったのだ。だから、そんなことを続けていればオールドメディアと同様に、つまりはそこを牛耳ってる無能な老人たちと一緒に「予定調和的に」国力は低下していき、ワールドクラスの才能は大谷さんのように最高の人生を送らせてくれる外国へ出て行ってしまうのである。あまりに当たり前の事だろう。

「イーロンマスクの報酬が最大で150兆円」というニュースは、そういう縮み思考の空気を30年も吸って脳がその色に染まってしまっている日本人には火星の話にしか聞こえない。報酬が高いといってもせいぜい何億円程度の日本のサラリーマン経営者にも実感など湧かない。江戸時代のかわら版感覚でやってる日本のメディアはせいぜい「いかがなものか」と騒ぐだけだ。それを使ってる政治家もほとんどがわかってない。学者や先生はのっけから理解しようとしないから大学で教えてくれるはずもない。かろうじて一部の歴史学者が「歴史の真相はフォロー・ザ・マネーでわかる」と説いており、それは実に正しいのだが、現代の真相の方が国民の生活には大事でしょ、じゃあそれも読み解いて国民にわかりやすく教えてよと言いたい。とても卑近な言い方にはなるが、そのことはマネーをフォローして株で儲けるという作業にとても近い。というかほぼ同じと言ってもいい。もちろん儲けたくなければ儲ける必要はないが、そういうことに興味はないという人は現代の真相を読み解くことにも興味を持たないのである。

ドジャースとチェルシーを持ってる連中、ディズニーとネトフリに近い連中である我々の相方だって黒船の有力候補だ。安政の時代には国ごと黒船だったアメリカ合衆国の唯一の同盟国として生きて行く運命にある日本国が、しかし、ではこの点において、どうすれば国民が幸せになれるのか。これは奴らと深く付き合ってる僕にもわからない。たぶん全員は船に乗れないし、共産主義でないから全員が平等ということは政治も追求しない。だからその問いに実は解はない。だったらお年寄りはともかく、若い人は徹底的にインテリジェンスを磨いて、まずは、いち船員でもいいから黒船に乗っけてもらうしかない。それにはどういう勉強をすればいいか?それは2700本ある僕のブログのあちこちに散りばめて書いてはあるが、そういう気持ちで読まない人には何を言ってるかはわからないだろう。投票所に行く政治参加は大事だが、参加しても自民党がやってる限りあなたが食べられるような政治にはならないかもしれないし、政治家はその責任は取らない。やっぱり答えは自助努力しかない。

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ロンドンのニワトリ女

2026 MAR 5 13:13:57 pm by 東 賢太郎

ロンドンに赴任したころだから1984年のこと。ピカデリーサーカスあたりの繁華街にトサカみたいな頭してつっぱった女がうようよいてね、裏路地でたむろして夜中までタバコだかクスリだかやって危い感じだから道で避けて歩いてたら会社にもいたんだ(笑)。偏見はいけないね。でも、これがロンドンか、あれがパンクか、何でもいいけどすごいとこ来ちゃったなと思ったね(写真は関係ありません)。

僕はビートルズにはズブズブで、アメリカでギター弾いて歌ってたぐらいで、それが解散しちゃって仕方なしにいろんなバンドきいたけどビートルズがスゴすぎてだめ。クラシックに行っちゃってそこでおしまいだったんだよね。だからパンクは一度もきいたためしがないけど「ロック」ってきくと思い出すのはニワトリなんだ。あとは岩って言葉のイメージでローリングストーンズ(石)でね、ファンには申し訳ありませんが全然趣味に合わないんでロックはあの手のつまんないやつってずっと思いこんでた。だからずっと後になって、皆が「ビートルズは最高のロックバンドだ」というんで、最高は結構だけどロックじゃねえだろって反論しちゃったりしてね、ニワトリでも岩でもないっていう意味だったんだけど。

セラピストのYさんに施術して頂きながらそんなアホなことを言ってしまうのは失礼千万だろう。彼女はちょうどその1980年代の人気番組「夜のヒットスタジオ」で常連のハードロックバンドのリードボーカルだったからだ。今も根強いファンがいてライブハウスはいつも満員というから猫に小判とはこのことで、ロックンロール、ハードロック、ヘビメタ、パンクの区別すらついてない僕は勉強させていただくしかない。

「ヘビメタって何ですか?」「とんがった反体制ロックなんです。日本のメッカは神戸です。有名なガールズバンドもあったりで、業界では東京も関西弁がハバきかしてましたよ」「じゃあ高市さん神戸大学だし」「バリバリ世代ですよ、ドラムスだから鋲(びょう)の革ジャンで演奏はド迫力。バイク乗り回すなんて当たり前なぐらい」。そうか、世界中がビックリしたのは女性だドラマーだばかりじゃなかったんだ。反体制が体制の頂点に登ったんだね、そうやって批判したら面白いのに何というか、芸がないというか、左は人間に深みが無いね。

そういやあ思い出しますよ、東大のキャンパスに革靴でベルボトムのジーパンっていうのがいっぱいいてね、まあだいたい田舎の高校の奴なんだけど、お前、気持ちはわかるけどさ、それやめたほうがいいぜって言ってやったもんだ。女性もね、ズタぶくろみたいなカバンぶら下げて教室来てる感じだったしね、ヘビメタのロッカーからすると自民党の田舎大名みたいなデブのおっちゃんとかね、東大生のなれの果ての官僚とかね、まあ、ダサっ!て思ってるんだろうね高市さん、わかりますよ、今流の文武両道カッコいいね。

ちなみに僕はシュープリームズのファンで、あのノリと迫力はロックであって全然いいと思うけどそういう問題じゃないんだね、ギター抱えてドラムスがあるバンドじゃないとそう言わないから形式要件満たしてない、勉強になりました。でもダイアナ・ロスいいですねえ、深夜放送で聴いてたのはおそらくこれでしょう。

この曲、まずドラムが両手スネアと思われる4拍子の軍隊調ド迫力の頭打ちを1・2・3・4と打ちっぱなし、歌とタンバリンは裏打ち*・2・*・4でスイング感が爆烈。高いミ♭で16ビートのタタッタッタタッタタッタタッタと耳鳴りみたいにずっと響いてるギターリフは「太陽にほえろ」のテーマ曲がパクるほど革命的。そして、そこまでワンパターンに聞こえるだけにサビの転調がビックリするんですね、メインが変イ長調(A♭)なのにホ長調(E)の、しかもサブドミナント(A)のmajor7から入るという、こんなの未だ聴いたことなし!キープ・ミー・ハンギング・オン、永遠に新鮮でカッコいい曲だぜ。ライブはこうなってます。なつかしいね。

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