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クラシック徒然草-ワーグナー大好き(2)-

2013 JAN 11 15:15:55 pm by 東 賢太郎

歌劇「タンホイザー」より第2幕の大行進曲  「歌の殿堂をたたえよう」 です。あらゆるオペラのなかでも最も有名な合唱曲の一つですね。卒業式や運動会などで聴いたことがある方も多いのではないでしょうか。最高に元気が出ます。演奏はいろいろありますが、ワーグナーとJSバッハだけはちゃんと演奏されていれば一応納得してしまいます。音楽パワーが強いのかな?不思議ですね。

 

 

 

http://youtu.be/-YOwqjmuXVg

クラシック徒然草ーワーグナー大好き(1)-

2013 JAN 10 17:17:15 pm by 東 賢太郎

僕にとって「毒」になっているものをご紹介します。

「神々の黄昏(たそがれ)第一幕への間奏曲」の一部、「夜明けとジークフリートのラインへの旅立ち」です.

夜が明けていきます。ジークフリートは「指環」をブリュンヒルデに愛の証として預け、ブリュンヒルデに贈られた愛馬グラーネにまたがり新たな勲を求めてライン川に向けて旅立っていく場面の音楽です。ピアノスコアですが下の楽譜をご覧ください。1段目のTagesgrauen とあるところからが「夜明け」です。

青い部分、ヘ長調でクラリネットが、緑の部分、変ロ長調で弦が神のように素晴らしい動機の誕生をひっそりと告げます。もう全身が金縛りになるしかないポエティック、マジカルな瞬間です。ここからこの動機が発展していく神々しいさまは僕などの下郎はひれ伏して拝むしかございません!ワーグナー様のしもべにでも何にでもしてください!!こうして毒が回ってワグネリアンになっていくのですね。

この音楽は、恐れを知らない若者の、とてつもなく大きい希望と夢に充ちた旅立ちの気分です。それ以外の何物でもありません。苦しみから立ち直って運命に勝利したり、愛や自然を賛美したりという感動をくれる音楽はクラシックのいわばメインストリートですが、こんな音楽はほかに知りません。

突然ですが、吉永小百合と橋幸雄のデュエット「いつでも夢を」という曲が僕は大好きです。小学生のころ、よく母と買い物した幸花堂という和泉多摩川のパン屋さんで流れていたこの曲。今でも聴くと明るい陽だまりとパンを焼くいい香りまで思い出します。小さかった僕に明るい夢をくれたこれは僕の「多摩川への旅立ち」でした(スケール小さいっすね・・・・)。

初めてリングを4日間かけてチクルス(全曲通して)で聴いたのはドイツ滞在中のこと、ヴィースバーデンのヘッセン州立歌劇場(右)です。まさにジークフリートが旅立って行ったライン川のほとりの街でのことでした。会社で初めて拠点長をまかされ、まさに意気揚々だった39歳のあの頃。今もときどきこれを聴いては気持ちだけ若返り、その勢いでジョギングしては筋肉痛で後悔しております。

 

ルロイ・アンダーソン 「そりすべり」 (Sleigh Ride)

2012 NOV 16 11:11:48 am by 東 賢太郎

クリスマスがやってくるとそこいら中でこれが聴こえてくる。

この「そりすべり」(Sleigh Ride) を知らない人は少ないだろう。そして聴いたことがあるのに作曲者の名前が出てこない筆頭がルロイ・アンダーソンだそうである。

子供のころこれが家でかかっていた。昭和23年にできた曲だから当時「現代音楽」だったはず。どうしてそんなレコードがあったのかわからないが、今も僕は大好きである。古き良きアメリカがどんなものか知らないが、僕はこの音楽を通してこんなものかなあと想像している。心の底から明るく、楽しく、幸せにしてくれる。それがルロイ・アンダーソンの名曲たちである。

米国作曲家作詞家出版社協会(ASCAP)は2009と2010年の「最も人気のあるクリスマスソング」にこの「そりすべり」を選んでいる。Mediaguide社によると、「そりすべり」の自作自演盤は米国で2009年に118,918回、2010年に174,758回ラジオでオンエアされ、ホリデーソングとして2年連続最多放送記録を誇る。1日平均478回アメリカのどこかで鳴っていたというのだからもう国歌といって過言でない。アンダーソンは「アメリカのヨハン・シュトラウス」と言われるが「美しく青きドナウ」もここまでは演奏されないだろう。

その演奏がこの写真のi-tune(1050円)に入っている。それ以外の有名曲を含めで25曲入っているので特用盤といえると思う。だいたい代表作はそろっており、この2曲以外にもご存知のメロディーがめじろ押しだろう。1曲の演奏時間は3分前後でほぼポップスなみであり、ライトクラシックスと呼ばれるジャンルに入る。ちなみに「そりすべり」はクリスマス用に作ったものでも真冬に作ったものでもない。7月のコネチカットで作曲されている。

ルロイ・アンダーソンはハーバード大学の言語学博士で、音楽でも修士号を取っている。タイプライターやら紙やすりやら、「そりすべり」の最後には馬のいななきまで出てくるが、それらが下品にならず、一方でクラシックにつきものの深刻さはかけらもない。だいたいA-B-Aの3部形式で書かれているのもポップスだが、B(サビ)の部分に実におしゃれな和声変化があったりしてただ者ではない。

たとえば「そりすべり」はA-B-A-C-A-B-Aという複合3部形式なっていて主調(A)が変ロ長調だがBは突然にバスが遠い増4度下のホ短調に予想外の転調をする。ギターのコードで示すとB♭→Em7→A→Dmaj7となる。これがまた全音下がって同じ道をたどり、Dm7→G→Cmaj7ときてE♭→Fを経て主調B♭へ戻る。これはビートルズの If I fell なみの強引さなのだがいささかも不自然に聞こえない。それどころかチェロの内声部の動きなど実に実に魅力的であり、ほかの作曲家に聴いたことのない独特の味をもっている。こういう隠し味がふんだんに盛り込まれているので永遠のヒット曲になっていると思う。3分で終わってしまう音楽が「クラシック音楽」になるにはそれなりの秘密がある。

書きだすときりがないが、「トランペット吹きの休日」(Bugler’s Holiday)もほとんどの方がご存じだろう。これは昭和29年の作である。運動会の曲だと思っていた方もおられるかもしれない。たしか昭和30-40年のころ車のCMに使われていた記憶がうっすらあるが何社か忘れてしまった(ご存知の方、ご教示ください)。

さて演奏だが、今もってこのルロイ・アンダーソン自身の指揮を上回るものがない。この確信に満ちた弾むようなテンポとフレージングを知ってしまうとほかの指揮者のものは(録音もオケの腕前もベターなのだが)全然物足りない。作曲家の自演がいつもいいとは限らない。むしろ逆のほうが多いからこれは例外的ともいえる。しかし耳を肥やすためにこれと比較して聴いていただきたい秀演盤をあげておく。

モーリス・アブラヴァネル/ユタ交響楽団

「そりすべり」のテンポが遅い。自演盤の活気あるドライブ感はかけらもなくなっているがよりクラシック的な完成度は高い。大交響楽団による正攻法の名演。名曲というのはいろいろなアプローチを許容してしまうのである。オケはうまいしツボを心得ているのでセカンドアルバムとして持っていてもいい。

フレデリック・フェネル/イーストマン=ロチェスター・ポップス・オーケストラ

「そりすべり」のテンポは自演盤に近く録音はとてもいい。フェネルはウインド・アンサンブル指揮の第一人者でありこの演奏も管楽器の「句読点」の明確さがすばらしい。ちょっとNHKのアナウンサーの発音を聞いているような感じで、曲によってはあざとさが耳につくが、初めての人、クラシック入門者が曲の輪郭をつかむには好適。2枚でだいたいの名曲はそろう。キャロルの組曲なども入っていて、アメリカのクリスマスの雰囲気も味わえるからおすすめである。

 

 

 

 

こちらもどうぞ

ルロイ・アンダーソン「タイプライター」

ルロイ・アンダーソン「そりすべり」 (Sleigh Ride)(その2)

ルロイ・アンダーソン 「そりすべり」 (Sleigh Ride)(その3)

ルロイ・アンダーソン 「トランペット吹きの休日」 (Leroy Anderson: Bugler’s Holiday)

 

 

 

 

 

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クラシック徒然草-タンホイザー(東版)-

2012 SEP 27 14:14:59 pm by 東 賢太郎

作曲:リヒャルト・ワーグナー (パリ版)
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
演出:オットー・シェンク
演奏:メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
出演:タンホイザー…リチャード・キャシリー(テノール)
エリーザベト…エヴァ・マルトン(ソプラノ)
ヴェーヌス…タティアーナ・トロヤノス(メゾ・ソプラノ)
ヴォルフラム…ベルント・ヴァイクル(バリトン)
ヘルマン…ジョン・マカーディ(バス)
収録場所:メトロポリタン歌劇場《1982年収録》 収録時間:約3時間9分(2枚組)

写真はディアゴスティーニから出ているDVDオペラ・コレクションで、1990円と非常に安価です。まだ市販されているかどうか知りませんが、見つけたら迷わずご購入をお奨めします。

このDVDになっている公演が僕の人生初オペラです。留学中の1983年、妻とこのメトロポリタン歌劇場でした。当時オペラなどというものに縁がなく、ニューヨークの先輩の家に遊びに行ったおりに何気なく買ったチケットでした。度肝を抜かれました。これをごらんになればわかっていただけると思います。

ワーグナーの歌劇ではナイフで刺されたりもしないのに人が平気で死んでしまいます。歌合戦(今ならカラオケの得点?)で娘の婿を選ぶ親というのも常軌を逸している。サラリーマンのくせに愛欲の日々を過ごしていたタンホイザーがクビにもならずにその歌合戦に堂々と出場してしまうところなど、まじめに取り合うと発狂しかねないストーリー満載です。

にもかかわらずこれをお奨めするのは、いい音楽、いい演出だからです。初めから終わりまで文句なしの大名曲。第2幕の大行進曲の合唱など一度覚えたら一生病みつきになることうけ合い。第3幕の巡礼の場面は今でも覚えているぐらいの衝撃シーンでした。第1幕、シルエットだけのビーナスのエロチックな踊りも見たら忘れませんよ。

ワーグナーのオペラ(彼は楽劇と呼べと言ってますが)で誰が聞いてもわかりやすく、覚えやすいのはタンホイザーで決まりです。これを聴いてどこかひとつでも「いいね」と思った方は、全部で16時間かかるニーベルンゲンの指輪という魔界の森にいずれお入りになることでしょう。

 

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