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デフレは毒キノコをはやす

2015 JAN 15 13:13:36 pm by 東 賢太郎

日本の新発国債利回りが過去最低の0.255%、5年債は過去初めて一時ゼロ%となった。大変異常なことであり、前から指摘していることだがアベノミクスの成果が乗数効果で増幅されない傾向はさらに顕著になっている。

14日の日経の一面トップ、「金利低下 原油安で拍車」という見出しに釈然としないものを感じた方も多いのではないか。原油安でガソリンや暖房費が安くなればその分消費に回せる。GDPの6割は個人消費だ。むしろ景気にはプラスで金利は上がることはあっても下がることはないのでは、という素朴な疑問だ。

しかし現実には日本だけでなくドイツも10年債が0.4%台(過去最低)、利上げ観測のある米国すら2%を下回っている。そしてこのグラフを見せられると日経のタイトルに反論は難しくなってくる。

gennyuこれの理屈がよくわからない。昨日発表された米地区連銀経済報告でダラス、カンザスシティ、クリーブランド、アトランタ、シカゴなどで原油安による景気への悪影響が報告されたそうで、原油安は景気悪化要因との認知が行われたようだ。現実なのだからそれを合理的に説明する理屈があるはずだ。

このグラフだけで考えてもわからないのではないか?それは大いに考えられる。プロ野球選手がゴルフがうまい、だから野球とゴルフは似たスポーツかどうかと考えてもあまり意味がない。相撲取りもシングルの人がけっこういる。そういう時はもっと大きな原因(共通項)があると推論した方がいい。この場合、「運動神経がいい」というのがそれだ。

それにあたる僕の仮説は「世界経済の需給ギャップが拡大途上にあり、原油価格低下も金利低下もサプライサイドのコスト低下であり、需要と均衡するまで下がる」というものだ。いま僕らが目にしている世界的な消費者物価低下傾向が「日本化」、つまりデフレマインドの長期的醸成を世界中に蔓延させつつあるのではないかということだ。

原油価格は米国のロシアいじめだOPECのシェールガス潰しだと「犯人捜し」をやっているうちはまだかわいい。コップ半分の水が「もう」か「まだ」かのゲームになるからだ。

しかし、米国やOPEC犯人説が事実であろうがなかろうが、この状態が続くと市場はだんだんもっと恐ろしい真犯人の噂をし始める。デフレである。デフレは心理現象である。日経が「拍車」と書いた現象。下がるものは全部ネガティブに見てしまう現象が蔓延中なことを示唆していないか。「飛ぶ鳥の音に驚く」ではないのか。

これは  中国ビッグバン仮説 の延長、現在進行形であると考えると平仄が合ってしまうのは我ながら気味が悪い。これも何度も書いてきたことだが、デフレは人間の心も蝕む。社会を腐蝕させ、その土壌にはインフレしか知らない現代人が想像もできなかったような毒キノコが生える。

米国でイエレン議長が「金利を上げますよ」と警鐘をならすのは毒キノコが生える土にはなってないと見せる高等な逆心理作戦ではないか。ひょっとするとあちこちでテロや過激な民族主義が台頭しているのは毒キノコの一部ではないのか。

これが今年の株式市場を覆っている最大のリスクであることは間違いないと思うが、僕の「飛ぶ鳥の音に驚く」であることを祈りたい気持でもある。

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Categories:______グローバル経済, ______株式道場, 経済

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