カーペンターズ「オンリー・イエスタデイ」の和声
2015 NOV 9 23:23:56 pm by 東 賢太郎
大学のころよくきいたポップスがカーペンターズで、大きなインパクトがありました。まずアメリカへの憧れをかきたてたこと、そして男がピアノを弾くのもカッコいいなと思ったことです。
日経に記事があって、男が楽器をやる動機はだいたい女にもてたいからだとありましたが、僕の場合はギターもピアノもチェロも邪心はなく純粋にやりたかっただけです。当時はピアノが弾けたわけではなく、ロンドンに行ってからだから27才ぐらいで始めました。
音感はギターでつきました。メインの楽器はギターだったのです。でも和音が単純なのしか弾けませんからどうしても耳を満足させるにはピアノが必要になりました。カーペンターズはギターじゃダメなんです。
リチャード・カーペンターはかなりピアノがうまく、曲の和声的ボキャブラリーは実にクラシカルでピアノ的であります。僕の趣味ですがポップスはリズムや速度に変化がなく何か和声的に「事件」が起きてほしい。ビートルズはそれが豊富です。そしてカーペンターズにもそれが有るのです。
「オンリー・イエスタデイ」は変ホ長調(E♭)ではじまりますが、突然に変ニ長調に転調(Baby, baby, feels like baby)。これは大事件ですね。それがB♭7sus4を経て見事にE♭に戻ります。Tomorrow maybe even brighter than todayの下線部、リチャードのハモリ(ドードレードレ~~ド)のレ~~と2拍伸ばすところ、Cmのgとバス(a♭)が長7度でぶつかりつつレ(d)とも増4度の不協和でぶつかって!CmからCに解決するセンスなど凄い!めちゃくちゃカッコいい。これはクラシックの対位法を彼が良く知っているということでしょう。
ということで大いに気に入ってしまい、よくピアノで弾いていたのを子供たちが聴いてやっぱりこれが好きになったかもしれません。耳コピで簡単に弾けたのはバスが覚えやすいからで、そこに乗る和声はクラシック法則にかなっていて実に心地よい推移ですね。だからこそ上記「和声的事件」の想定外の衝撃が大きいのです。
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西室 建
11/10/2015 | 7:17 PM Permalink
今から40年前にアメリカをウロウロして、ラスベガスに行った。スロットとルーレットで負けまくって不貞腐れたあと、カーペンターズがショウをやってたのに気が付いた。こんなことしてちゃイカンと友達と見た。
いやもう美しいヒット曲のオン・パレードに感動したね。
まだ痩せる前の元気なカレンが10分くらいのドラム・ソロをやったのに痺れた。
その後何かの曲の歌詞を『フレンチだったら』『ジャーマンだったら』と言語で歌い、かの地の観光客から拍手を浴び、最後に『ライク・ジャパニーズ』とやった。ところが何と言ったのか分からずポカンとしていると、隣のテーブルの品のいいアメリカ人夫婦から『今言った言葉を教えてくれ』とお愛想を言われ実に困った思い出がある。
面白かったな。
ルーレットはそれ以来やってないな。
東 賢太郎
11/10/2015 | 11:47 PM Permalink
カレンが10分くらいのドラム・ソロ
見たかったね。あれだけ歌の上手い彼女がなんでドラムスなのか謎だった。僕が留学中のたしか83年に亡くなった。
美しいヒット曲のオン・パレード
美しい、たしかに。そうとしか書けないな。ライブを聴けなかったから羨ましいかぎりだ。