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「人生の軌跡」をどうビジネスにするか

2023 AUG 6 9:09:54 am by 東 賢太郎

案件をひとつ終えた。今回はドローン会社に投資した。次いで2社の投資候補が現れておりこれから調査にはいる。数年後の価値を計算してそれより安いと考えれば投資し、上場か買収でエグジット(売却)するというシンプルなビジネスである。したがって成否は「仕入れ」(ソーシングという)が命だが、なぜこれがビジネスになるかというと勝算のある案件を見つけるコネクション(ソース)があるからだ。何故それがあるかはブログに縷々書いてきた人生の軌跡があるからとしか言えず、ご興味ある方はお読みいただくしかない。僕と同じ経験をした人は誰もいないからソースは誰とも同じでなく個人的なものだ。つまり誰とも衝突しないし誰も参入はできない。一般にこの仕事は皆が欲しがる案件を奪い合いするソーシングとなり、仕入れコストが高くなって売却時のリスクがあがる。イメージだがオークションにかかって値段が競り上がった絵画であり、僕はかける前に所有者と談判する。

これを始めたのは若い頃から上がる株を探すのが趣味だったからだ。具体的に何をするかというと、興味がある会社の2~3年さきの業績予想(仮説)を立てて、時々刻々変化するその予想値を再計算(検証)する作業だ。これは特別なことではなくウォートンのようなファイナンス専攻のビジネススクールで投資分析(Security Analysis)という科目にもなっており、僕もそこで技術を修得した。ただそれは学問ではなく、それをベースとした分析の考え方と手法は様々で試行錯誤が必要でもあり、20年以上も継続的にうまくいっているソナーの実績(トラックレコード)は統計的に特異な方に属するだろう。分析から出てきた予想のとおりにいけば株価は上がるはずだが、ビギナーズ・ラック(一発屋の成功)では来年もうまくいくかどうかさえわからない。20年にわたるサステナブルな成功が偶然の産物である確率は非常に低く、我々の考え方と手法が有効であることが根拠であり、今後もサステナブルである可能性はビギナーズ・ラック狙いの投資よりも高いといって間違いではないだろう。

実際に株式を購入しなくても(紙の上だけでも)仮説が実証されれば趣味としての満足感は得られるが、購入して初めて利益という「賞金」がもらえるようになるわけだ。そのポジションに就くことを世間では「投資」と呼ぶわけである。上場企業は重要なニュースや業績の発表が義務づけられているので検証がしやすいが未上場企業はそれがなく、経営者との良好なコネクションがないと困難でリスクが高い。だからそれを築ける人的資源をたくさん持ち、良い条件で投資をさせてもらう交渉の余地を作れるだけの「人生の軌跡」がキーになってくるのである。以上から、株式投資というものはFXや暗号資産の売買やあらゆるバクチと異なり、合理的に勝てる蓋然性が高い、より正確に書けば、その蓋然性は投資家が合理的思考ができるか否かへの依存度が高いことがご理解いただけるだろう。

また、投資ではなく経営になるが、本草学(いわゆる漢方)を活かした健康サポート事業を計画している。68才の僕は日本人男性の平均寿命まであと13年しかない。やるべきことはまだたくさんあるので神山先生に頼ることになる。徳川家康は学者並みの本草学の知識があり、家来に処方もし、自身も当時としては長命の75まで生きた。2千年の歴史がある本草学だが中国では文革による下放で技術の正統な伝承者は10人もおらず、むしろ欧米で評価の機運が高まっている。そのひとりである先生(本名は屠文毅)が日本に帰化しておられ、僕が20年来の友人であることはこれまた「人生の軌跡」である。ご関心ある方に体験の機会を提供すること、それによって伝統技術を日本人に継承することを先生は強く望まれており、それに貢献をしたい。

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