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日本という国に本気で自信がなくなってきた

2024 MAY 2 1:01:19 am by 東 賢太郎

モーツァルトはインフレを知っていたと確信している。借金は得だということをである。インフレ率10%としよう。彼は2000万円ぐらい稼いでいたが2000万円借りる。2000万ぱ~っと使っても翌年の借金は実質1800万に減っており、同じ仕事をすれば2200万もらえる。カネは回りさえすればよく、借金を減らす努力はしなくても減るのだからインフレが予測さえできれば借りまくるべきだ。彼は予測できた。当時の貨幣グルデンは金含有で信用がなかったから価値が下がることをだ。カネに博識の父親をもちフリーメーソンで他国通貨の情報も得ていた。彼の知性をして予測できないはずがない。物乞いの手紙を書き借金にあえぐモーツァルト。贅沢と博打に浮かれ財産を残したモーツァルト。この二者をひとつにする理屈はそれしかない。

恥をさらすが僕もサラリーマンの最後の方で1億5千万ぐらい借りてぱ~っと使った。モーツァルトとは真逆でデフレの中だから大馬鹿の大損であり、一時は家を売るかという所まで追いつめられた。やっちまったことだ、何も考えずにまじめに働き、会社を作って10年かけてやっとこさで返済した。今はさあいよいよ増やすぞという段取りになってはいるのだが、このところ、だんだん日本という国に本気で自信がなくなってきた。特にこの2年の政治はあまりにひどい。先日の訪米で嬉々として見せた「バイデン閣下の靴でもケツでもなめます」アピール。こんな恥ずかしい男を評価するまともな男は世界のどこにもいない(アメリカにもだ)。彼は首相公邸で浮かれたあの息子が還暦を過ぎたらなるこうなるだろうという、まさにそういう人だったんだなと思った。「恥を知る」という日本国民のゆかしきプライドまでずたずたにしているのは不快この上なく、看過できない。

彼は政策も政略さえもなんにも自分で決められず、議会演説までバイデンに書いてもらったアメリカのパペットだ。何をしでかすかわからない人だと永田町ではいわれているらしいが、アメリカが決めてるからわからないだけだ。日本の税金を搾り取るのが仕事だから日本人に嫌われるのは当然であり覚悟の上だ。だから支持率暴落、補選全敗は想定内で屁のカッパでGWは海外に遊びに行ける。国内で叩かれれば叩かれるほどバイデンが「よくやった!」と守ってくれるこの悪魔の図式を日本国民はいよいよ見抜きだした。自民党のお歴々も野党もアメリカが怖くて打つ手はない。このことをマスコミは見事にどこも書かないが、同じく全社が完全無視の案件はみな背景が同じである。だから岸田政権は墜落寸前の支持率のまま、地上すれすれを滑空するジャンボ機みたいに飛び続けるだろう。

島根県はいろいろあって松江、出雲に何度か行っている。県知事、市長、町長さんらにお会いしたし竹下さんの立派なダムも拝見した。地方財政は楽でない。だからどこも公共工事と政府の交付金が大事なのは昭和からの歴史であって、財務省とのパイプは何より大事である。その大黒柱である中国財務局長が候補者になったのだからいくらなんでも勝つと思っていたが常識があっさり覆った。立憲に共産も組んでるのだからリベラルの支持だけでなく自民忌避がなくては日本一の保守大国でこういうことはおきない。

2009年に民主党が政権を取った時のことは当選した友人の議員から内情を聞いてよく覚えている。あの時は密室で国民には意味不明のまま誕生し、何をやってもさらに意味不明だった森政権以来の自民の党首の無能、無策と政治とカネ問題から民主党が政権交代を強く訴えたことが「自民にお灸を」の流れになった。お灸だから病が治ればよく、3年で安倍政権に戻った。しかし今回はどうか。自民が左翼化し保守の戻るところがなくなった。2009年のGDPは世界2位だったがもう4位で経済力は見る影もない。当時より著しくアメリカの属国化が進み、パイプのない野党は財務省を通してしか認知されず本気で政権をとる気も実力もない。だから当時とは全然違う。それでも常識は覆っているのである。

思い浮かぶのはフランス革命前のブルボン朝を風刺した左の絵だ(下層民が聖職者と貴族を背負っている)。このころフランス財政は火の車だった。下層民(第三身分)からはこれ以上増税しようがないほど税を徴収していたにも関わらず聖職者と貴族には年金支給と免税特権が与えられ、下層民がどれだけ頑張って立ち上がっても権力側の反対勢力に潰された。マグマがたまる。追い打ちをかけたのが農作物の凶作だ。食えなくなった第三身分がバスティーユ牢獄を襲撃して革命ののろしが上がる。この凶作は1783年、アイスランドのラキ山大噴火による噴煙で全ヨーロッパが昼間も暗くなってしまったのが原因であってフランス政府に落ち度があったわけではない。しかし怒った民には関係なくみんなギロチンで斬首してしまった。

ラキ山の噴火と同じ1783年に日本でも岩木山、次いで浅間山が噴火して各地に火山灰を降らせ、天明の大飢饉がおきた。農村部は死人の肉を食うほど飢え、逃げ出した農民は各都市部へ流入し治安が悪化した。江戸や大坂で米屋への打ちこわしが起こり、江戸では千軒の米屋と8千軒以上の商家が襲われ、無法状態が3日間続いた。これが1787年のことで、奇しくも日本とフランスは “同期” していたわけだが日本で革命はおきなかった。ここで老中である松平定信による「寛政の改革」なる、いわば首相官邸の強権発動が為される。これが江戸幕府の崩壊を50年ほど引き延ばしたという人もいるが、ともあれ幕府はつぶれた。

貧困と飢饉。日本はだんだんこれに向かっていないだろうか。一応まだ一流国だからアニメみたいなことはないが、いちど世界でちやほやされ贅沢を覚えてしまった我々が既に平均年収がシンガポールの半分以下で韓国にも抜かれそうだ。訪日外国人に「日本は最高、なんでも安い!」と喜ばれるが、それは我々が海外で言ってたセリフだ。ハワイの入国審査では単身の日本女性の追い返しがおきている。アレの出稼ぎを疑われるらしく、そこまできたかと衝撃を覚えるばかりだ。さように低所得者層の貧困はすでにある。そこを襲ったのが急激な円安だ。この2年の岸田政権下で国の経済力も威信もプライドもつるべ落としなのだから円高に戻る理由は何も見当たらない。この為替レートだと夏から秋にかけて生活物資や食品の値段が大幅に上がる。商品はスーパーに並んでいても高くて買えなければ飢饉になる。いまの物価高はコスト増で見かけだけのインフレだ。そもそも30年も緊縮財政をやって景気回復のチャンスをことごとく潰してきた日本はインフレなんかにならない。

ということは、冒頭のモーツァルトの話を思い出していただきたいが、日本は借金をするのは馬鹿者だという国であり、これからもそのままなのである。そういう中だから世界を驚かす発明をしたり技術革新をしたり会社を興そうという人は減るし、いてもアメリカに行ってしまう。日本をまだ一流国と勘違いした若者は海外留学に行かなくなっており、そのうち自分は国以上に一流でなかったことに気づくだろう。地元の公務員が新卒の第一志望になる。国は賢明なのだから正しい国家計画をしておりそのコマになるのが安心安全という考えだろう。賢明で正しければこういうことになっていないのだが、文科省という国家のもとでは大学はそう教えないので純ドメ真理教の信者みたいな使い物にならない学生ばかりが出てくる。だからだろう、今どきの商社には海外赴任はしたくないという人が入社し、自分は絶対借りませんという人が銀行の融資担当になり、株だけは買ってはいけないと親に教えられた人が証券会社の営業デスクに並んでいる。

前稿でこう書いた。

① 明日が今日より良い日と思いたい

② 他人に干渉されずに生きたい

③ そうできるような社会を保ってもらいたい

僕は保守でもリベラルでも何でもない。右だ左だのというくだらない区分けだの政局だのなんてものに興味もないし、そんな議論に参加していると思われるだけでも不快だ。政治家はコストセンターとしか考えてない広義のアナキストだから政治に望むのはその3つだけなのである。国家計画経済のコマになれ、それがエリートだなんて考えを生む環境を作るのは自由主義社会では思想的干渉以外の何物でもなく、そんな国で明日が今日より良い日と思えるのは税金チューチューの連中だけであり、中抜きはGDPにも貢献しない。そういう政治家はダニとはいわない。ダニに失礼だからだが、税金をドブに捨てるのを納税者として排除したい。賢明でないはずの庶民が借金して繫栄する図をどうやら国家は見たくないようだ。彼らが本当に賢明でコストに値するなら百歩譲ってそれでいい。しかし、どう見ても頭がいいと思えない人や、学歴詐称している社会人として論外の人までが国家をやっているとなるとそうはいかない。

10年借金をした大馬鹿者の肌感覚だ。日本はデフレである。30年の下げ相場で、日本人の古来よりの気質である「貯めこみ好き」が全開になってしまった。物価が上がったから起業しようなんて酔狂な人はおらず、ますます貯めこまなくちゃとなるだけだ。これは国民性だから根深い。高利でカネを借りてまで使いまくる「消費大好き」のアメリカ人や中国人とは完璧に別種の人間だ。景気過熱を案じるアメリカの金利と、ゼロでも借りない日本の金利を同次元で数字だけ比べること自体がナンセンスなのだ。そこでおこった大幅、急激な円安だ。金利を上げれば経済を殺す。賃上げは消える。住宅ローン金利は上がる。大量に出した国債の金利もかさむ。といって、ドル売り介入は経常黒字分だけじゃあ弱っちい。米国債を売りたいがバイデンの犬っぷりをさらした岸田がそんなことをできるはずがないと金融界にナメ切られている。こういうのを王手飛車取りという。だから売られるのである。

金利差だけの問題ならいずれ片づくが、僕はもしかしてそうでないかもしれないと感じ始めた。国債を出して国がどんどんでかくなる予算を使えばカネは増えるが貯めこみで次に回らず税収は増えない。増えただけカネ(円)の価値は下がる。実質金利は日銀総裁がどう否定しようがマイナスだから企業は借りず成長もしない。通貨価値の後ろ盾は徴税権の価値だが、日本国はそこが大丈夫だろうかという疑念がないか。「日本弱体化」を売っているのではないか。日銀は投機筋と戦うなどと言ってるがそれは金利差のさや抜きだけが行われている場合の話だ。日本売りの場合は投機筋なんてものはどこにも存在しない。それは裏金問題で国民が自民党政治を見限りつつあるのと同様に「質の劣化」を売っている可能性がある。僕が留学していた時のドルは240円だったがジャパン・アズ・ナンバーワンの本がアメリカで売れた時代を経て100円になった。我々はそれに目が慣れ、当たり前と思って円安と騒いでる。ジャパンはもう落ち目のナンバー4なのに。

とすると、インフレにならないのだから、モーツァルトに学んで借金して増やすチャンスは知れてる。残りの健康人生5年あるかどうか。4年がんばって成功して使おうと思ったらあと1年?そんな大馬鹿をまたこいたら何のために生まれてきたのか親に申しわけない。ならば資産を現金にして家内とぱ~っと使っちまうかという気が俄かに出てくるのは仕方ない。子供たちの分は残すが、いいか、もうこの政治じゃあ日本は20年後に国があるかどうかさえわからない、だからやばいと思ったら田畑売って金持ってオーストラリアかどっかに移住して幸せに暮らせ、といってる。一介の町人にできるのはそれぐらいだ。

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