Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band
2012 OCT 6 7:07:08 am by 東 賢太郎
英ダルハウジー大学[数学・統計学部]のJason Brown教授が、半年という時間と、高度な数理解析技術を費やしてついに解明した。音楽史上屈指の謎――ビートルズの楽曲『A Hard Day’s Night』の冒頭で鳴るあの「ジャーン」という音――のコードを解明したのだ(右、スコア)。
(日本語版:ガリレオ-矢倉美登里/高橋朋子より引用させていただきました)
僕はこのコードを耳コピでギターの低い方からf-a-d-g-c-g と弾いていました。おさえやすいし、スコアを見ると不正解答案ではありませんでした。
ビートルズの曲は数学者が半年もかけてフーリエ解析やってしまうほど謎と魅力に満ちているんですね。
「僕の音楽史」に書きましたが、ベンチャーズからクラシックに一気にワープした僕にとってビートルズはエアポケットでした。はまったのは大学のころですから若い人がCDで覚えたのと変わりません。クラシックとして、クラシックを聴く耳で、クラシックと同じレベルの感銘をうけました。
書きだすときりがないのでひとつだけ。サージャント・ペパーズ・ロンリーハーツクラブバンド。この曲、いきなりイ長調属7(A7)で開始して、クラシック的にはD(ニ長調)へ行くと思わせておいて裏切って短3度上のC7(このジャンプはマジカル・ミステリー・ツアーのEからGと同じ)。そして次に、またまたFではなくGへ。この2度の裏切り効果はベートーベン交響曲第1番の出だしを思い出します。
さて、そこからあたかもG (ト長調)のような音楽になりますが、出てくるコードはG、A、B♭、C、D、Fです。ト短調の音列です。Dの部分にはDmが重なっているので(つまりf#とfがケンカしていて)、どうもト長調、ト短調というよりヘ長調に聴こえる(ホルン重奏の部分はまさにヘ長調です)。僕はブルースコードに詳しくないので、G以外は7thコードというクラシックではありえないプログレッションの領域では不思議でないのかもしれません。僕の不勉強であればどなたかご教示ください。
これをト長調と見てもト短調と見てもヘ長調と見ても、ひとつだけ欠落している音があります。Eです。そして、この曲はビーーーリーーーと架空の人物を呼び出しつつ、C、Dと上がって、シ―――ズでなんとそのEがティンパニのロールにのって颯爽と初登場するのです!!ウイズ・ア・リトル・ヘルプ・オブ・マイフレンド。このホ長調の曲とリンゴの声。ドラえもんのどこでもドアで急に別世界に出たみたいな場面転換。この充足感には深い深い理由があるのです。
この奇跡的なアルバムをこの調子で書いていくとブログは10回分では足りません。やめます。
(こちらへどうぞ)
Categories:______ビートルズ, クラシック音楽
中島
10/9/2012 | 5:12 PM Permalink
メンバーになると同時にビートルズの話で喜んでいます。
東さんの音感と音楽の理論に感心しています。私の場合、聴いて楽しければいいという考え方で、「A Hard Day’s Night]の最初のギター音のコードは、どうやって出すのか、正解を見つけることなく、楽譜を買って終わっていました。
再度、20歳に戻ってビートルズをやり直すにあたり、コード進行や特殊なコードなど、ビートルズの面白さの部分を追いかけ行きたいと思います。
「Sgt.PEPPER’S Lonly Hearts Club Band」については、その分析に感心するばかりです。ただ、ブルース・コードについては、コードはセブンコードを3つだけ使う、12小節でワンコーラス」などの特徴があるとのこと、曲目では、ビートルズではありませんが、エリック・クラプトンの
「クロス・ロード」がぴったりかとおもいます。
ビートルズもそれを基本に新しいものを作ったのですね。
東 賢太郎
10/9/2012 | 9:45 PM Permalink
ありがとうございます。意外とシンプルなんですね。クロス・ロード聴いてみます。ビートルズで気になっていることはまた書きますので教えてください。
中島 龍之
10/10/2012 | 1:19 PM Permalink
こちらからも書きますのでよろしく。