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石川さゆり 津軽海峡冬景色(今月のテーマ・英国)

2015 OCT 31 23:23:50 pm by 東 賢太郎

なぜこれが「英国」なのかというと、ノムラ・ロンドン勤務の頃にさかのぼりますが、株式営業課の大先輩Aさんのオハコでありまして、カラオケでだんだん「お前らも全員でやるぞ~!」となってきて、酔っぱらい十何人が振付けいりで熱唱して夜中におひらきというパターンが定着したなんてことがあったからです。

さらに、それが当時ロンドン社長であられたT副社長のお目に留まることとなり、鶴の一声でロンドン社歌にまで昇格してしまったという大変な曲なのです。

先輩の振り付けは、このビデオがもっと派手になったものでございました。デビューの年の石川さゆりさん、昭和52年(1977年)、19才でしょうか。

素晴らしい曲です。「ゆき~のなか~」がB7(ドッペル・ドミナント)という効果的な和音になるうえ、「の」がd#でなくdの不協和音で長調に短調がぶつかるなんてビートルズですね(サージェント・ペパーズ)。

こちらがオリジナルのレコードのようです。安いですね、600円です。同年1月1日発売。エンディングはフェードアウト。

このTVテイクは何年のものでしょうか。エンディングがちがいます。

僕はこのテイクを最高傑作に認定させていただきます。「さ~よなら、あなた」の情感はオリジナルより円熟味がまし、「あああ、あ~~」の「あ~~」(c)と「津軽海峡」の「い」(最高音d)が裏声になりますが、前者のヴィヴラートの奥深い色香!後者の絶妙のピッチ!もう名人芸と絶賛するしかございません。他の歌手さんのビデオもありますが、これをコピーできている人は皆無です。裏声にしないせいでしょうか、イ短調を半音下げている人もいます。

プロ中のプロであるのは、3回出る「ふ~ゆげ~しき~」の「し」(g#)を、1回目は高めにとって終止感をあえて希薄にし、3回目はしっかりg#にとってドミナントをだして、これでおしまいという盤石の終結感で曲を閉じることですね。ヴァイオリンやチェロの大家がかくし味でやることを自然にやっている。ピッチが良いからできるのであって、天才的な歌であり素人がカラオケでまねできる域には到底ございません。

石川さゆりさんの声質は極上の弦楽器、ピッチに対する感性の良さはユリア・フィッシャー並み。世界中のどこへ出しても一流。この歌は日本リートの名曲であり、海外でも広く聴いていただきたいと思います。

 
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