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入試の現代国語と音楽評論の関係

2026 JUL 29 19:19:39 pm by 東 賢太郎

ダイナミックオーディオのSさんは立派なクラシック愛好家です。話のなりゆきで「ブログ読んでますよ」となり、それはそれはということで「ご感想は」と尋ねると、「他の人のと決定的に違うのはですね」と前置きの上で、「知らない曲なのに読み終わると知った気になってるんです。そこでCDを買って聴くと不思議と曲を覚えてしまいます。それは、東さんのは文章がぜんぜん違うからだと思います」「文章?」「はい、文章です」とおっしゃった。

これは大変なことでした。かつて作文をほめられたことがないからです。「こんなの問題作った奴しかわかんねえ」と答案用紙やぶって捨てたのが現国。漢文にいたっては猿が鳴いてどうのとかいう授業で「猿は鳴かねえだろ」と集中力がきれて以来記憶なし。つまり国語で絶対の自信があったのは「1000回模試受けても偏差値は55だ」という法則性だったのです。Sさんがぜんぜん違うとされるのは文章がうまいでなく妙だ、変わってるだろうと解釈するのが穏当なところです。

ちなみに一度だけ法則が破れ70が出た。次からまた戻った。それがこれです。

国語、数学の論述式について

母校の受験において、中高一貫校の秀才たちに比べれば野球で遊んでた都立高の僕などドンキホーテみたいなもん。そこで「檸檬」の教訓から国語の全軍撤退を決意し、ひよどり越えで勝利した冷や冷やの戦争でした。法則が破れたことを重視した。これは思いつきでなく科学的態度です。そして本稿はまた法則を破って下さったSさんの言葉に発しています。

僕の音楽ブログの “思想的モデル” はレナード・バーンスタイルのヤングピープルズ・コンサートです。

中身も英語もご覧のように子供向けで平易。学生さんは夏休みに全部見ることを強くおすすめします。わからなければ繰り返し聴いてください。わかるようになれば英語は楽勝。クラシックは優に中級者。宝物のビデオなんです。客席はほぼ全員が白人の富裕な家の子ですね。小学生からこんな話が聞けるなら大差つきますよね、で、この子たちもまた金持ちになる。教育の差はいかんともし難いですが、そのむかし小遣い何万円もはたいて買った52枚がユーチューブでタダ!やる気になれば克服できる時代にもなってることに皆さん気づきましょう。

会ったことがある人で尊敬する人物は、ダントツぶっちぎりの1位でレナード・バーンスタインです。頭の冴え冴えした良さと歩く音楽みたいな稀有のコンビネーション、泉のように湧き出て先が予想もつかぬインスピレーション、老若男女のハートにインフルエンスする強烈なパワー。真の天才です。ビデオ1のチャイコフスキーはここに引用させてもらってます。

チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調 作品36

この部分だけは何しても先生のピアノにかなわない。それ以外は誠に僭越ながらわたくし流儀で楽譜と文字でやらせていただいてます。

日本の多くのクラシック好きはこのやり方はあんまり好きじゃないと思う。マグロとハマチのおいしさを寿司屋の親父が食品成分表で比較して語るみたいなもんですからね、うざってえな、寿司はうまきゃいいんだ早く握ってくれってなもんでしょう。そもそも日本人は神を感じるものの裏側をのぞくみたいなことはしないんです。神社の神殿にはお姿も経典もありませんしね。

でも西洋の源流であるギリシャ、ローマは全部丸裸にして法則を見つけて、サイエンスと呼ぶその原理で巨大なものを構築する。それを言葉でやって哲学にする。その世界でうざってえは通用しないんです。僕は子供の時から分解ぐせがあって何でもバラしてました。西洋音楽のスコアがバラしがいのある美味しそうな対象だったことがのめり込む原因の1つになったことは間違いありません。

バラしてから組み立て直して設計の原理を探ることをリバースエンジニアリングといいます。高校時代に春の祭典のスコアでそれをやった。ヤングピープルズ見てなかったら発想なかったです。謎の音の正体が次々と明らかになる。まるで推理小説の謎解きみたいな快感。このゾクゾクで僕はクラシック音楽の世界に入ったんです。食品成分表の寿司屋みたいに変でしょ。つまり人間がそっち系だから理屈っぽい。これが数学に向いてたんですけどね。

受験生に重要なヒントを差しあげます。数学の文章題が解ける解けないの差は何だかわかりますか?計算力ではなく文章力です。手を動かす前にゴールへの道筋を言葉で正確に言えるなら確実に解けます。だめなら確実に解けません。その言葉がコマンドで計算はエグゼキューションです。計算はしもべなのでソロバンの名人になっても数学の偏差値はあがりません。

つまり僕のブログの文章はきっと数学の文章題を解くコマンドみたいなものなんです。音楽評論家の先生方は音楽の通信簿は当然みんな5でしょ。僕は2なんです。教科書の恐ろしくダサい歌や教室中が半音の1/ 4ぐらいずれたおぞましい音響に満ちる拷問のような笛は鳥肌が立つばかりで文科省指導要領に則った授業に絶対に収まらない。そういうスタンスの先生は尊敬できないから向こうもそんな生徒は嫌いますよね。

ただ九段高校の坂本先生は3年の最後の最後で作曲の自由課題で提出した僕の曲をピアノで弾いてコンクールに出したいぐらいだとほめてくださり授業で合唱指揮もさせてくれた。これは嬉しかったですね、通信簿がどうなったかは忘れましたが。Sさんがふだん読まれている評論は通信簿5の人のです。文芸的なセンスに優れた方のものです。リバースエンジニアリングが面白くて書いてる僕は人間が異性人ぐらい違うので文章がぜんぜん違う。ロジックは終点まで持っていきますから読み終わるとわかった気になってる、ということじゃないでしょうか。

特にそう思うのを3つあげます。これです。

モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」(K.618)

ブラームス4番とマタイ受難曲

「エロイカを全曲弾く」

教育者でもあるバーンスタインの選曲は子供に論旨をわからせるのが目的です。僕のは教育はおそれ多いので単に面白いと自分が夢中になれる曲です。このヴィオラの音、あそこの突然の三度上の転調、すごいですね、ユルめのバスドラ、裏打ちリズムの切れ上がり、いいですよねえ、ここはあの曲から引っ張ってますね云々なんてのがいちいち気になってちょっと聞き方も変なのかもしれません。

それが僕の面白いなんです。それでいいと思ってます。教科書の名曲解説みたいな毒にも薬にもならないのブログにしたって面白くもなんともないでしょ。面白いという感情はポジティブです。言葉しらない幼児の頃から人間は遊びます。やがて友達ができ、面白そうだねとみんなが寄ってくる。書いてる僕は幼児と一緒で全身で面白いと思っていますから多分それが皆様に伝わるんだと思います。

バーンスタインさんピアノでシンフォニーからジャズからポップスまでスイスイって弾けてますよね、あれはリサイタル用に練習したんじゃなくて普段着で好きで面白いんでやってると思いますよ。そういう感じの人でしたよ。音楽はポジティブな感情からしか出てこないです、悲しい曲だってそうです。悲しくて自殺しようって人は曲なんか書きませんからね。

僕は仕事はアップダウンがあっていろいろ落ち込むこともあるから音楽してる時だけは面白いなとポジティブでありたいんです。そこから出てくる気をブログに封じ込めて、読んで下さる方もポジティブになっていただきたい。僕がそうするんじゃなくて書いている曲が面白いからそうなれるんです。Sさんのようにそれがひとつ増えましたと言って下さると心の底からうれしいです。

Categories:SMCについて, クラシック音楽

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