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アリと星(または観察と分類)

2019 DEC 25 0:00:27 am by 東 賢太郎

ファーブル昆虫記の内容はあまり覚えてないが、ハチとかサソリとかクモとかの弱肉強食物語だった。興味が出て裏庭で丸一日アリの観察をするようになった。土蜘蛛がエサを運ぶアリを捕らえて食おうとして、かわいそうだと踏んずけて殺してしまったことがある。実は蜘蛛の方がかわいそうだったりと子供は残酷だった。

自然とアリの「追っかけ」になった。小さいが動きはす速く、巣から出ると思いがけず遠くまですいすい行く。アリ地獄に飲まれるのも見た。黒オオアリ、羽アリ、赤アリなどいろんなのがいてのバッタの死骸の奪い合いのシーンは昆虫記の通りだった。ファーブルの尋常でなく微細な観察はなんとなく琴線に触れた。小学校にあがったころだ。

夜になると全天恒星図、天文年鑑、天文図鑑を手に星を見た。ぎょしゃ座エプシロンの伴星が太陽の2700倍大きい、クジラ座オミクロン星ミラは脈動変光星など尋常ならぬ事が書いてある星に興奮し目を凝らした。1等星20個の大きさや距離やスペクトル型などスペックを覚えて、あの星に行ったらこんなだろうと想像した。

長じて仕事にした証券価値の分析は、アリと星が株式になっただけだ。冷めた目で観察、スペックによる分類。まったくおんなじだ。日本だけで3800社も上場してるからやり甲斐がある。必ず上がる株はないが、尋常ならぬ事態からあまり下がらなくてどこかで大きく上がるかもしれない株はいくらもある。どれがいつ上がるかはわからないのでまとめて買って置いておく。

道楽になった野球観戦はNPB800人ほどの選手のスペック(従来の成績)からの乖離(尋常ならぬプレーや成績)の観察と分類だ。もう一つの道楽になった音楽は尋常ならぬ和声進行、対位法、音列の通常スペックからの乖離の観察と分類だ。どちらもアリと星がそれになった。

ということで、僕は観察と分類をして64年生きてきた。それ以外のことをまじめにやろうと思ったことは一度もない。今後もない。

 

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