昨今の野球を取り巻く不思議な現象
2026 SEP 4 2:02:20 am by 東 賢太郎
還暦になろうかという税理士のN氏が、テニスでどっかの県の中学生チャンピオンにシングルで勝ったという。うまいのは聞いていたが、これは大変なことだ。同時に思ったのは、そういうことが起こり得るテニスはいいなということだ。野球はせいぜい40までだ。還暦じいちゃんズが中学のチャンピオンチームに勝つことは、もとプロのオールスターチームだったとしてもまずないだろう。
10年ぐらい前、そのN氏とグアムでゴルフのマッチプレイをやった。ドライバーは20ヤード置いていかれ、白旗状態の9番で5打負け。そのグリーン上で何だったかひとこと言われて火がついて、5mの下りフックラインを気合でねじ込んで俄然優勢になり、後半でひっくり返した。彼はよほど悔しかったとみえ、いまだにその話が出る。それだ。それで彼はいまビジネスで成功しつつあるのだ。
男であれ女であれ、何事かでいっぱしになろうと思ったら、 いちばん大事なのは「負けず嫌い」だ。才能は発射台にすぎない。生まれつきゴルフがシングルの人はいない。同じ「つとめる」でも「務める」「勤める」はパッシブである。努力の努の「努める」はアクティブに「力を尽くしてはげむ」の意味だ。尽くすには燃料が必要で、負けの悔しさほど火力抜群のものはない。
本当を言えばこうやって大人に諭されて出る火力は知れてる。本能的に、悔しい、ちくしょう!と悶絶してこそ最大の火力になる。昨日の阪神ヤクルト戦で、外角きわどい所をストライクコールされて三振した阪神の森下が主審にガンをたれて詰め寄り危うく退場になりかけた。勧められた態度じゃないが、よほど悔しかったんだろう。最近はおとなしくなってこういう選手がいなくなった。
その象徴が、昨今のエンタメ・オールスターだ。江夏の九者連続三振。打者と投手の究極の力勝負は三振で、あれは9人に恥辱を与えて悔しがらせたいサディストのショーだった。仲良し村の今の選手たちにそんな空気はない。紳士になったというか女性化したというか、僕には全く理解できない。サーカスで牙と爪のないライオンのショーを見てる感じ。あれのなにが面白いんだろう。
同じく昨日、信じがたいことだがカープのピッチャーが中日のバッターに4回ぶつけた。さすがに4つ目、中日ベンチがぞろぞろ出てきてカープ側もおうやったろうじゃねーか風情で応じ、乱闘やむなしかと思われた。ところが中日の選手にそんな気配はなく人ごとみたいに整列なんかしちゃってる。すると、井上監督が新井監督に歩みより、肩をポンポンして何やらささやいて終わりであった。
これはちょっと背景がある。鈴木投手の2つは120キロ台で痛くない。ターノックの2つは150キロ超えの危険球だが悪意はないただのノーコン。選手もわかってる。こんな奴マウンドに立たすなよが井上のひと言で、新井もやむなく替えたんじゃなかろうか。井上は入団時はピッチャーだ。中日ファンのためにあえてポーズだけの怒りさえも見せなかったとすれば大人と思う。新人監督だしその道での実力は知らないが、おそらく、企業経営者で偉くなるタイプであろう。
そこで思い出すのが、一昨日の解説者の権藤さんだ。ベンチの井上監督が画面でアップになると「見て下さいよ。勝負してる者の顔じゃないですよ」とボロカスだ。なにせ権藤、権藤、雨、権藤の球界レジェンドだ、言いたい放題である。「ピッチャーもうまく間を取ってますよね」「間じゃないんですよ、テンポが分かんなくなっちゃっただけですよ」とアナウンサーなど眼中にもなし。ピンチになると「あのねえ、水なんか持ってってる場合じゃないんですよ」とやることなすことこの調子だ。
いや権藤さんご立派です。僕もあの水とタオルはやめてほしいな。あれ、駅伝の給水の影響じゃないかな、みんなで支えてるよタスキを繋ごうぜっていうあれは確かにいいシーンだよね、駅伝はそういうものかもしれないが、ピンチのピッチャーがサービスしてもらって立ち直れるって、そんな甘いもんじゃないよどう考えても。持ってく投手コーチは当然わかってるけど、世の中そういうほんわかムードが「いいですね」なんてなっちゃって、これも1つのお仕事だ、こんなんで雇ってもらえるんならと割り切ってやってんじゃないかな。権藤さん、それも気に食わないんだろうね。
ついでだけど甲子園の7イニング制ね、誰が考えたか知らないがジョークは勘弁してほしい。そんなもん野球じゃないよ。暑さ対策ならベスト8決まるぐらいまでは京セラドームでやれよ。高野連に金がない?クラウドファンディングで簡単に集まるよ。株式会社化して資金調達すればもっと集まるよ。可能な道はあるのに、お偉いさんのポストと地位名誉のためにルールを壊す。野球の神様の冒涜だ、やったらバチが当たるよ。
もうひとつ。スポンサー側にうまくまとめるアナウンサーが評価されるんだろう、東京ドームのゲームでの巨人OB解説者とナアナアのビバ・ジャイアンツ節に辟易してテレビから離れた僕にとって、バンテリンドームでダメならダメで中日をボロカス言うなんてこれぞ中立のメディアだと座布団10枚贈りたい。スポンサー側にうまくまとめる姿勢は、よってたかって高市政権の足を引っ張るクズみたいな番組とまったく同じだ。やればやるほどテレビ消す人が増えていくが、テレビ局はそうしないとファンが怒る、スポンサーが逃げる。つまり全てカネである。カネにメディアの操を売っている。死球4つの背景を見定めて乱闘しなかったとすれば、井上は野球人の操を売っておらず立派だ。
すると対極なのが阪神の森下だ。しかし彼はカネのために審判の冒涜をしてない。単に「負けず嫌い」で悔しいと見える。昨今は3割打者が減っているが、投手の球速が増したからが通説だ。しかし腕を強くふるなら制球は甘くなるからノーコンが増えた。速いノーコンは打ちにくく打者は率を落とすということだろう。だから審判にストライクゾーンを厳格にとってもらわないと厳しい。そういうギリギリの心理の中で森下は三冠王を狙っているだろう。サトテルに負けたくない気持ちもあるだろう。それもこれも負けず嫌いのなせるわざ。 26歳として当然といえば当然。カープ戦で打って欲しくないが清々しい若者だ。
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