クラシック徒然草-世界のコンサートホール 勝手ベスト5-
2013 JUL 17 23:23:20 pm by 東 賢太郎
中村順一氏の私の好きな欧州の街、(1) 観光にお勧めの街、その2、ウィーンに刺激を受けました。ヒットラー、クリムト、マーラーから時代をさかのぼります。
ベートーベン存命当時のウィーンの劇場がどう響いたか、です。ムジーク・フェラインはまだありませんでしたしブルグ劇場はもうありません。改装されているアン・デア・ウィーン劇場ではメリーウイドウなどを聴きました。オペラを想定している劇場の常として言葉を聞き取りやすくする意味で残響は少な目ではありますが、見た目以上にはありました。交響曲3,5,6番が初演された時の音響もああいうものだったのかどうか非常に関心があります。運命を作曲したピアノの仮説を敷衍しますと、ベートーベンはホールの残響を重要なエレメントと考えていたということです。皆さんが彼の曲を聴く時に、どの指揮者がどのオケがだけではなく、どこのホールで録音されたかもこだわっていただければ鑑賞の楽しみが倍加するのではと思います。
僕がかつて実際に聴いたことのあるコンサートホール(オペラハウスは除く)で、残響という要因も含めてベスト5と信じるものをあげましょう。これこそすなわち、僕がベートーベンを聴いてみたいと思うホールということになります(あくまで実際に行って聴いたことのある範囲でのセレクションであり、僕の独断と偏見にすぎませんので悪しからず)。
ベスト5
- アムステルダム・コンセルトヘボウ
- ムジーク・フェライン(ウィーン楽友協会大ホール)
- カーネギー・ホール(改装前、ニューヨーク)
- ボストン・シンフォニー・ホール
- ルドルフィヌム(プラハ)
次点
- ウイグモア・ホール(ロンドン)
- ウィーン・コンツェルトハウス
- ヴィースバーデン・クアハウス
- ベルリン・フィルハーモニー
番外の上(かなり落ちる)
- ヴィクトリア・ホール(ジュネーヴ)
- チューリヒ・トーンハレ
- ヘラクレスザール(ミュンヘン)
- J・Fケネディ・センター(ワシントンDC)
- サレ・プレイエル(パリ)
- クイーン・エリザベス・ホール(ロンドン)
- 東京芸術劇場
- 香港文化中心
番外の下(さらに落ちる)
- アルテ・オーパー(フランクフルト)
- ロイヤル・フェスティバル・ホール(ロンドン)
- バービカン・センター(ロンドン)
- ロイヤル・アルバート・ホール(ロンドン)
- ザルツブルク祝祭大劇場
- シャンゼリゼ劇場(パリ)
- 東京文化会館大ホール
- サントリー・ホール(東京)
- NHKホール(東京)
- オペラ・シティ大ホール(東京)
- オーチャード・ホール(東京)
論外
- エイブリー・フィッシャー・ホール(ニューヨーク)
- アカデミー・オブ・ミュージック(フィラデルフィア)
- ヤーレ・フンダート・ハレ(フランクフルト)
Categories:______クラシック徒然草, クラシック音楽
花崎 洋 / 花崎 朋子
7/18/2013 | 10:49 AM Permalink
世界各国で様々なホールで様々な音楽をエンジョイされた東さんを、うらやましく思います。私は海外では改装前のカーネギーホールと、ロンドンのウィグモアホール、そして悪評高いNYのエイブリーフィッシャーホールしか、経験がありません。日本のホールにつきましては、「その通り」と思います。花崎洋
東 賢太郎
7/18/2013 | 3:24 PM Permalink
このトップ5ですが、ルドルフィヌムをはずしてエーテボリ コンサートホール(スエーデン)かコロン劇場(ブエノスアイレス)が入るのが世界の最も耳の肥えた人達の多数回答のようです。1-4位は衆目の一致するところでしょう(僕は上記2つは聴いていないので知りません)。日本は全滅です。ぜんぜんだめ。無個性の極みでありいいと思ったことはついぞ一度もありません。
花崎 洋 / 花崎 朋子
7/19/2013 | 9:00 AM Permalink
日本のホールの音響の悪さ、「とにかく箱だけ作りさえすれば」、という安易な発想が原因なのか? 私は理由は良く分かりませんが、もう少し、良いホールがあれば、若い人のクラシック・ファンが増えそうで、とても残念です。花崎洋
東 賢太郎
7/19/2013 | 10:19 AM Permalink
まったくおっしゃる通りと思います。僕は92年にNHKホールでがっくりきて以来、日本でウィーン・フィルを聴くのは金輪際やめました。16年海外で聴いてきて帰国してすぐ、オペラシティはSTペテルブルグ・フィル、サントリーホールはピッツバーグSOで決定的にダメという結論に至りました。あの音じゃあ弾く方だって出稼ぎのお仕事になるでしょう。ピアニッシモが痩せてしまう、減衰・拡散する、耳元に倍音が来ない、残響が足りない、音がブレンドしない、座席によって音が違う・・・ダメな要素のオンパレードですね。日本のオケはあれに合わせてやるしかないんでうまいのに国際的な評価が得られないのです。楽器をいいものにしても意味がないし。日本の聴衆の方もあれに耳が慣れているんで満足してしまうのです。僕ももう13年NHKホールでN響を聴いていると時々いい音だなと錯覚したりします(笑)。ホールをハコと呼んでしまう所にそもそも勘違いがありますね。もう作る側の文化レベルの差です。ホールは設計にカネをかけてもふたを開けてみないとわからないという話があります(AFホールがまさにそうです)から、わかる人がいてもどうだったか保証はありません。しかしこれだけ数があって全滅というのはやはり設計思想に問題があるのかと思ってしまいます。もしコンセルトヘボウが渋谷にあればN響はメジャーレーベルで録音するオケだったでしょう(今やDGに録音するソウル・フィルですらそうなのです!)。若者の聴衆も育つし僕も全公演チケットを買ったでしょう。罪は重いです。