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これから日本株はどうなるか?

2013 MAY 17 1:01:45 am by 東 賢太郎

日経平均株価が1万5千円を突破しました。アベノミクスが効いたことは間違いありません。どうしてこうなったのか?これからどうなるのか?少し書いてみましょう。

頭が良くて馬鹿 (ラ・ロシュフコー) とは? (2012年11月20日投稿)

なぜ自民党が勝つと円安、株高なの?(reprise) (2012年12月20日投稿)

に僕が書いた通りのシナリオ、つまり「日銀白川総裁を切った」ことこそ安倍さんの勝因です。そして彼の意を受けた黒田新総裁が2%のインフレターゲット(幸せの魔法の合言葉:2012年11月22日投稿を参照)を宣言したこと。これに尽きます。

間違わないでください。2%を目標値としたからではありません。「やる」とコミットしたこと、それをグローバル金融界が信じたこと、これが大事なのです。「頑張ります」じゃない。日銀総裁の首を吹っ飛ばしてまでやるんだ、逆らってみろお前ら大損するぞという凄味を世界のトレーダー、運用者が感じたからです。安倍総裁の眼(2012年12月17日 投稿)に僕が感じて書いたことを、世界の肉食系の金融界や投資家は見抜いているのです。しかも、「円安のためじゃないぞ、諸悪の根源、グローバル資本主義経済の敵であるデフレを潰すためだ、文句あるか!」です。これは米国も欧州もNOと言いにくく、TPP参加と引き換えにまあいいだろうという円安容認姿勢を引き出すことに成功しました。この筋書きさえ確定すれば日本のいにしえのブルーチップは主に輸出企業で円安になればもうかる、しかも株価はボロボロでしたから「株を買うしかないよね」という明白な結論に至るのです。正確に言えば、買うことのリスクは低くアップサイドは大きく、他人が株を持って自分が持っていないリスクは高いという状況になるのです。なぜ円安かというとデフレを発射台とした2%インフレターゲットというのはかなりハードルが高い。だから相当の流動性供給を日銀がしないと届かない。国債や株式まで買ってもお金(お札)をばらまくわけですからお金(円)の相対的価値はかなり下がるだろうと皆が予測します。だから円安になるのです。しかしそういう経済学が大事なんじゃありません。繰り返しますが、コイツら本気みたいだぜという凄味があるからたまたま経済学どおりに事が運んでいるのです。円安がどこまで行くか、日本株がどこまで上がるかは、このドスがどこまで効き続けるかということを最大の決定要因としています。目先の3月期業績発表なんかではありません。1-3月の実質GDPは年率換算で3.5%の成長でしたが、これはアベノミクスを受けて個人消費が意外に早めに好転している兆候と考えられなくもありません。ということは物価も意外に早めに上がってしまい、2%インフレは日銀がお札をばらまくまでもなく達成というシナリオも見えてくるのです。とすれば円安も減速ですからそれを理由とした株高も減速です。経済成長が鈍い、お金の需要が低いほうが株が上がるという「妙な上げ方」をしているのがこれまでの株式市場だと言って大きくははずれていません。だからロングショートストラテジーのヘッジファンドは苦戦しており、知名度の高い株を何も知らずに買っている一般個人投資家が大もうけという、これも妙なことになっているのです。つまりマネタリーストラテジーによる上げ相場は限界が来るということ、これは間違いありません。私見では参院選を契機として7-8月ごろに前述のドスの効用がチェックされ、4-6のGDP次第で本当の勝ち組企業にマネーがシフトするはずです。とすると9-12でまた株価は上がります。自民党が大敗することがリスクですが、現状を見る限りその可能性は低いでしょう。

 

Categories:______株式市場展望, ソナーの仕事について, 経済

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