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世界のうまいもの(その1)-貴州料理の酸湯魚-

2012 SEP 21 0:00:19 am by 東 賢太郎

野球がない日というのはいいものです。小春日和のやすらぎを感じます。こういう日はうまいものの話ですね。

僕は証券会社の海外現地法人社長というものを7年間で3つもやらせていただきました。認めます。サラリーマンとしては許されがたい果報者です。接待が日課でもありましたから、おかげさまでそれを境にりっぱなタヌキ腹になりました。

しかし神様は公平なもので、なぜか僕はB、C級グルメに生まれついており、何十万円のワインとか高級フレンチのような毎日は苦痛をこえて地獄の責め苦でした。スイスでお客さんが同時に2件来てしまい、やむなくディナーのハシゴをさせられたときなんぞはあまりの恐怖に拒食症の不安すらよぎりました(まあそれはなかったですけど)。

逆に、欧州の当時の日本食事情はこれまたおぞましいものです。国宝ローズという割とましなコメはあるものの、寿司、そば、すきやき等は「ようなもの」。似てる似てるで盛り上がれる食い物仮装大会だと思わないとバカらしくて金を払う気になりません。食の宝庫の香港ですら当時は「ウナギラーメン」などという面妖なものが出現する始末でした。

ただ、海外に16年もいればいろいろ面白いものも食べるわけで、うまい日本食と引き換えにこれはラッキーというものも多々ありました。これからそれをシリーズで取り上げようと思います。

まず初回は貴州料理です。一応は中華料理としておきましょう。貴州省はマオタイ酒で有名。最南端の少数民族地区です。僕はそこへ行ったことはなくいつも上海の「黔香閣」という貴州料理店で食べます。ぜんぜん高級店ではありません。 1人2千円で倒れるほど食べられます。

マストアイテムは「酸湯魚」という淡水魚の鍋です(上記写真は西遊旅行さん)。みかけ激辛ですがすごく辛くはない。名の通り酸っぱい。味の複雑さは表現不能。とにかく日本人が食べたことのないうまさだが、日本人で嫌いな人は少ないのではないかという不思議に懐かしい味。色はトマトだそうです。

あまりのうまさに僕はかつてないほどこれを大食い。もう今日からミヤオ族に弟子入りしようかというほどの満足感でした。さてそこで登場したのが、(名前は失念しましたが)恐らくデザートと想像される絶妙な一品。それはまず直径30cmほどの大皿の底部に平たくもち米を敷き、その表面は黒いアンコで一面が覆われている。そう、ここまでは正確に定義通りの「おはぎ」の味です。ところが、です。そのアンコの上になんとギトギトした豚肉の脂身が薄切りで乗っている!

ミヤオ族の名誉のため書きますが、これはイメージほどゲテモノではありません。いや、酸湯魚を大食いしていなければ皿の3分の1ぐらいはいけたでしょう。これを食べられたのはラッキーでした。こういうものはやはり現地の通に案内されないと注文すらできません。

このご時世でいきなり中華かよと言われそうですが、うまいものに国境なしといいます。だから領土問題もありません。皆さんぜひ一度お試しになることをおすすめします。

Categories:______世界のうまいもの, 食べ物

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