評価をダウンできる5つの法則
2014 APR 15 1:01:16 am by 東 賢太郎
先日のこと、友人と飲んでいて人材の使い方の話題となった。僕は最大で約500人の部下がいたことがある。そうなると直接の人事評価はおろか名前を覚えるのも記憶力が及ばず、評価は大部分を部長職にゆだねて自分は部長以上の評価をすることになる。直属の部下として自分が直接に人事評価を書いたのは120人ぐらいが最大で、それ以上はちょっと難しいというのが実感だ。
120人の評価を書くということは、書かれる側としては120分の1しか見てもらえないということでもある。だから、そういうことに敏感な部下はあれこれ手を打ってくる。しかし自分ではそういうことを上司にしなかった人間なので思うところもあり、そういう部下を見て人間というものを良く学ばせてもらった。結論としてわかったのは「良い人材」とは定義がないが「ダメな人材」はそれがあるということだ。
もっとわかりやすく言おう。就活などで「当社の求める人材」というのを目にすると思うが、あれは嘘だ。婚活に置きかえればわかる。「私の理想の相手」の条件を10個書いてみたらいい。そんな男性や女性がいますか?そうではなく、ほとんどの人は「これだけはダメだ」というのがあって、それが少ない相手を選んでいるだろう。ゴルフならOBラインがあって、フェアウエーならラッキー、その内側ならラフでもまあいいやというのが現実ではないか。
つまり「当社の求める人材」とは「当社が採用したくない人材」の裏返しなのだ。それが特定の会社の個性や好みではなく、どの会社でもだめだというところぐらいまでは最大公約数として定義ができるように思う。もしあなたが自分の世間での信用を下げたいと思うなら簡単だ。パンツ一丁で道を歩けばいい。会社という場にはそれと同じぐらい明確に「評価をダウンできる5つの法則」がある。若い方へのささやかな教訓としてそれを書いておきたい。
評価をダウンできる5つの法則
1. 逃げる(Dodge, evade)
2. いきなりNOと言う (Instantly say NO to any request)
3. 言い訳を探す (Find pausible reasons for your failure)
4. 窮地で相手を批判する (Criticize your partner in a predicament)
5. お世辞を言う(Flatter)
1、は最も効果的な方法だ。「やります」と言っておいて結局やらない。3日で「できませんでした」と言う。試みてみるができそうもないとああだこうだ言って逃げる。こうすれば上司から大事な仕事を任されてしまう心労を確実に回避することが可能である。この逆は簡単だ。やると言ったことは何があろうと最後までやりぬくことである。
2、上司やお客さんに何かを「できませんか?」と言われて「無理です」、「私の担当ではありません」と答えることだ。3回もやれば仕事が来なくなることに成功するだろう。いい答えは「やってみます」である。「やります」と言うと1.が問われる。全力でやってみて不首尾でも構わない。ただし「全力」が問われる。ふりだけだと1.と同じことになる。
3.「やりたくない」、「できそうもない」、「失敗した」という場合にあれこれ口実を探して言い訳することだ。友人によるとこれがうまい若手が増えているらしい。これに上達すればサラリーマンの達人にはなれるが、あなたの会社がまともならそれに正比例して仕事は減っていくだろう。
4.一般に逆切れとも呼ばれる。めったにないことだが緊迫した会議の場において散見される。自分が窮地にあると無用に知らしめた上に相手を怒らせるという2重の効果があるから必殺技でもある。うまくいけば仕事だけでなく失職にも成功するだろう。
5.これはちょっと判断が難しい。上司のタイプを見極める必要があるがその簡単な方法がある。その上司が自分の上司にそうしているかどうかを観察すればいい。ヨイショマンだった場合はヨイショしないこと。そうでない場合は歯の浮くようなお世辞を言うのが最も効果的だ。
上司というものになった人間で「1-5があれば是非その部下を登用したい」という人がいれば、その人がさらに登用される可能性は限りなく少ないので上司と思う必要はない。もしその上司が長く上司級のポストにいるなら、「評価をダウンできる5つの法則」が正しくあてはまる上司と考えてほぼ間違いない。従って、1-5のどれにも当てはまらないようなサラリーマンになれば、あなたは非常に高い確率で登用されるはずである。
(こちらもどうぞ)
Toya Earthman
4/15/2014 | 7:36 PM Permalink
Straight to the point and effectively written! Why can
東 賢太郎
4/16/2014 | 11:18 AM Permalink
Thanks.Did you read Japanese?
江崎 淳一
4/29/2014 | 7:56 AM Permalink
勉強になりました。ありがとうございます。
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