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Why not ? のすすめ

2014 OCT 25 10:10:27 am by 東 賢太郎

アメリカ人にビールやワインをついであげるとき、

Say when.

というと「そこでストップって言ってね」という意味になります。Say when you want me to stop. ということです。

そこでオッケーのところまでくると、That’s fine. もありますが、

When.

の人もいる。なんか妙ですが、whenと言えと命令されたので従っているわけです。英語人の思考回路というのは大変に面白いと思います。

先日、アメリカ人の元同僚と話した時に、ちょっとしたことを頼みました。すると、

Why not?

とくる。notにアクセントが来て語尾は下がる。ワイナァットとナァを強めにいえばいいですね。「どうしてだめなの?」という意味です。君の頼みを私が断るだろうと君が思っている根拠が仮にあるならば言ってみなさい、ということです。字義通りそう書くとケンカを売ってるみたいですがそうじゃなくて、「なんかだめな理由でもあるの?OKに決まってるじゃん」という感じ、一言に集約すれば 「いいとも!」ですね。

単にイエスやOKじゃない、もっと積極的にそれをやろうじゃないか、むしろやりたいですよぐらいのニュアンスがビシッと端的に伝わってくる。それも生返事じゃなくて、一度相手の依頼に応えられるかどうか自分で瞬時に考えてみて、できない理由はないと判断したが何か気がついてないことがありましたっけ?と形だけききかえしてる。頭の回転の速さ、即断力を相手に印象づけることになるのです。

もうひとつ、「僕がNoをいう人間に見えるかい?」というニュアンスがあります。僕はキミの頼みなら90%はイエスだ、10%はよっぽど都合が悪いときだけだろ、で、今回は何の悪い都合があるの?という感じがする。だから君のことを大事に思ってるよという意味合いが出るのです。

この Why not? は前向きな人間関係の構築やメンテナンスに大きな効果があるのです。言われればいい奴だなと感じますし、何ごともpositiveにとる前向きな人間だというイメージになります。アメリカ社会ではそれは重要なことでしょう。

日本語でそれを伝えるのは難しいですが、すぐできそうなことなら「もちろんです、喜んで」、やや難し目なら「やってみます」が近いでしょう。やってみます、は決意表明だから即断力を感じます。しかし、英語だと I’ll try it. ですが try ですからできない可能性も含んでいる。それでも挑んでみたいということだから何ごともpositiveにとる前向きな人間だというイメージは確実に伝わります。頼んだ方も、難しいんだな、できなくても仕方ないな、苦労してたら助けてやろうかなという気持ちになりますからプラスです。

ところがきく話だと、頼んだ上司がそういう気持ちにならない会社、つまり部下は使い倒すだけでそこに人間的な感情や痛みをもたないことという文化の会社があるようです。例えば非正規雇用だとそうなるとか。そういう人間を僕は「爬虫類」と呼んでいます。爬虫類はどこにもいますし、上司は選べませんが、会社全体が爬虫類的である場合、一般にブラック企業と呼ばれる傾向がある会社の可能性があります

もしあなたが本稿を読まれて、僕が書いたWhy not?や「やってみます」になるほどと共感できる感性がある方なら、あなたは人間関係を前向きに進展させる良いものをお持ちです。まちがいありません。そういう会社への就職は避けられた方がいい。入ってしまったなら辞めるというのも選択肢です。あなたの良さを認めてくれる組織にいたほうが人生幸せになると思います。

その裏返しになりますが、経営者が部下に何かチャレンジさせてほしいと訴えられた時はどうでしょう。有名なのが松下幸之助の「やってみなはれ」です。これはけっこうWhy not? に近いニュアンスを感じます。しかも経営者の言葉ですから大きな迫力があります。字義的 には Try it!  であり、 try なのですからできない可能性も含んでいる。そのリスクは経営者にあるのです。この言葉は部下を燃えたたせpositiveにしたことでしょう。頼んだ方も、経営者が難しい決断をしたんだな、失敗は許されないぞ、という気持ちになりますからプラスです。そうなれば会社はしめたものです。

ところがそうは問屋がおろしません。世の中うまくしたもので、部下にも爬虫類がいるのです。上司にリスクを押し付けながらうまくやる奴が。殿の仰せの通り!と言っておいてうまくいったら自分がやりました、失敗したら人のせいにして巧みに逃げる。どこの会社もこれだけで飯を食ってるサラリーマンの達人みたいなのがいます。

何ごともpositiveにとる前向きな経営者だというイメージは部下を常に勇気づけますが両刃の剣でもあります。自分で考え、結果責任を進んでとる有能な部下が育つ反面、爬虫類も増えます。だから冷徹な目で爬虫類は切らなくてはいけない。そういう企業は伸びます。松下幸之助はそういう方だったようです。

以上、何か頼まれた時に返すたった一言のお話です。そこに文化が投影されますし、人間性がにじみ出ますし、人をやる気にさせたりやる気を喪失させたり、会社ですとけっこう怖い人事評価にまでつながってくる可能性すらあります。人の印象や会社や仲間内、世間様での評価に大きく影響しているのは、自分で意識して作っているイメージよりもそういうちょっとしたことだと僕は思っています。

 

スープの冷めないうちに・・・

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