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ゴルフとビールと五十肩に教わる

2015 JUL 22 1:01:20 am by 東 賢太郎

ミクロネシアはユナイテッド航空でグァム経由でしか飛べません。そこでグァムで一泊の中継をすることになります。前2回もそうしましたが、今回は米国MRAと我々との橋渡しをしてくださったN先生がご一緒でした。

ついては考えたことがあります。かねてより後遺症が心配であった左肩(シャドーピッチングの無謀なやり過ぎで五十肩が悪化したもの)ですが一応腕を真上に上げても痛みはあまり感じなくなっています。ゴルフができるかどうかを確認したく、先生に無理をお願いして一緒にラウンドしてもらうことになりました。

五十肩というと経験ない方はおわかりにならないでしょうが、腕を振ると関節が脱臼しそうであり、可動域はすごく狭まってそこを超える動きをすると激痛が走るのです。高校時代に野球で痛めた肩の痛みと似ており、そのトラウマもあってゴルフはできませんでした。最後にしたのが一昨年の夏、ハワイ島での1ラウンドですから2年前です。それ以来、ゴルフクラブには触ってもいません。

さて、朝7時にヒルトンホテルを出発してレオパレスリゾートカントリークラブにてプレーという段取りでしたが、ロビーに下りてくるとメガネがないことに気づきます。あれがないと目が見えないのです。ところがどうしたことか、チューク島にいた2日前から裸眼がよく見えていて、不思議なことなのですがその日はメガネなしでもできそうだと思い至り、メガネなしで回れたのです。そのような記憶はありませんし、ミクロネシアで目が良くなったのだろうか?

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レオパレスでスタートしたのは8時半を回っていました。快晴です。ジャック・二クラウス設計のそこそこいいコースです。1番はフルスイングできるかが不安でドライバーをいきなりチョロしました。それでも肩に痛みはなく、なんとか行けるかもしれないと感じました。先生には4、5ホールでリタイアするかもしれませんと断わってありましたが、どうやらその恐れはなさそうです。

結局、最初の9ホール(ハイビスカス・コース)のスコアは57。2つのロングホールが9と11(なんせ飛ばない!)でしたが、とにかく痛みなく回れただけで大満足です。

ところが次の9ホール(オーキッド・コース)に入るところで先生がちょっと待ってとスパムとスポーツドリンクを買ってくれてそれがやけにうまかった。というのは、もう太陽は真上に登りつつあって、とてつもなく暑いのです。これね、香港のゴルフ思いだしちゃうんですよね、このぐらい暑くて湿度は90%もあって、パットの時なんかメガネに汗がたまって牛乳ビンの底みたいになって見えないんです、などと言いながら毎週末、土日とやっていたあの頃を思い出し、淡々とプレーします。

気がつくと6番をおわってまだ3オーバーでした。なんということか、ひょっとして2年ぶりの病み上がりで30台が出るかもしれない。決してやってはならないことなのですが、それを先生に口に出して言ってしまった。すると案の定、7番ロングのティーショットを左に曲げてOBです。ダボ、ボギー、ボギーでなんのことはない43でした。思えば香港ではシャングリラホテルが所有する西麗ゴルフカントリークラブでハンディはシングルの8でした。この気候が当時のスイングとリズムを呼び覚ましてくれたかもしれません。

スコアは水ものだからどうでもいいんですが、このあと、貴重な教訓を得ることとなった。それを書きます。

18ホール無事回ってランチの前に飲んだ生ビール、これがうまかったんです。人生かつてビールがこんなにうまかったことはない。暑さ、乾き、肩がもった安堵感。一気に飲み干して大声でうまい!その日本語を聞きつけてボーイさんがもう一杯もってきてくれたタイミングの良さ。

人間、飢えるってことが大事と知りました。期待値は低い方が人生は幸せかもしれません。たかがビール一杯、東京でそんなものに感動し、一生忘れないなんてことがあるでしょうか?先生は限界効用価値逓減の法則をもちだされ、なるほどと腑に落ちました。

あったねえ、6枚目のパンより5枚目がうまい。東京のは100枚目でしょうね。でも1枚目がこんなにうまいなんてことは教科書にはなかったね。僕はあのビール一杯に一万円払ってもいいぞ、なんてしょうもない話になっていきます。

旅先で何の準備もなく貸しクラブでゴルフする、2年もやってない、五十肩のリバウンドが怖い、気が狂いそうに暑い、こういう期待も何もない状況、そしてノドがカラカラで飢えた状況、これぞ人生のスパイスであって、求めてでもそういう状況を作り出した方がいいのかもしれません。

ホテルに戻って夕食はコンシェルジュのあけみさんのおすすめの中華料理店VIPに。これまた先生も僕も飢えと期待値の低さの相乗効果からか大満足で、あけみさんの評価は急上昇しました。うまいうまいとほめたからか、女将が帰りついでに車でヒルトンまで送ってくれました。

バーで先生と反省会を開きます。2年前に鳥取で対戦して僕が負けたのですが、今日は僭越ながらもタテ・ヨコ握って僅差で勝たせていただき、スイング等につき幾つか指摘もさせていただきました。先生ね、ラフ入ってねティーグラウンドの景色で覚えてないでしょ、それからあのショートで9番持って軽く振るって言ってたね、それどっちもダメですね、青いですね、シングルの人でそんな人は絶対いないんです、みたいなことを。

翌朝です。東さんのバック9を見て納得したんで、夜のあれ全部ノートに書きましたとのこと。これはまずい、酔った勢いで余計なことを教えてしまった。次回はやられそうです。なんせ280ヤードも飛ぶ人だし一回りも若いしこっちは200ちょいだし。でもその研究熱心な姿勢は好きですね。学ぶ人は何事も伸びるし、負けても悔いなしです。でもスコアはともかく僕は賭けは強いからね、いざというホールは今日みたいにまず負けないから大丈夫でしょう。

帰りの機内で、東さん最近欲が減ってきてますねと。彼はいろんな局面で見てくれていて、そういえばあるディールで海外で大勝負の会議は同席してくれてました。僕のああいう場面を目撃した人はあまりいません。そりゃ、ああいうことはもうないですよ、もういらないから、と言いつつも、たしかにそうだそれじゃいかんと思いました。ゴルフも自転車みたいなもんで体が覚えてますが、ディール、交渉もまあそうでモチベーションさえ出ればまだまだできます。

モチベーション、やっぱりそれですね、先生もそっち派だけど僕なんか完璧に燃えるものを求めてやってます。もう金じゃなくってね。仕事も人もね、燃えさせてくれるものが欲しいんです、老若男女誰でも。欲があるとしたらそれにですよ。もう行きたい国も食べてみたいものもやってみたいこともない。好きなミステリーなんか全部読んじゃって。ある意味、若い時に恵まれすぎてたんですが限界効用価値がもうかなり薄いのね。

しかし、そういいながら、ふと思ったのです。なんでそんな僕が一杯のビールに感動するんだろう?五十肩で特にもうやりたくもないゴルフをやってみようと思ったんだろう?

 

(こちらへどうぞ)

東京ビッグサイトにて

 

 

 

 

 

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