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「遊びのすすめ」(副題・学問はそこそこに)

2015 JUL 24 12:12:14 pm by 東 賢太郎

高校野球のことをを思いだしながら、スポーツは自分の経験したものしかわからないもんだ、サッカーやテニスを見ていても肌でわからないのは仕方ないなと思っています。野球ですら野手のことはよくわからないし、ゴルフだって僕の程度じゃプロのプレーを見て実感がわくことはありません。

それは仕事についても同じであって、僕にメーカーの人や科学者や俳優の実感は今だって持ちようがないのです。我が身を振り返ると、大学生は漠然ながらそれがわかっていて、就職を意識しだすとそこまでの人生の経験からなるべく自分に向いている仕事、会社で活躍したい。けれどそれは一体何であるのか、どこの会社なのか悩むものです。誰しも一度はご経験があるのではないでしょうか。

僕も一応は悩み、考えても仕方ないのでえいやで証券会社に就職しましたが、すぐ失敗だったと観念しました。辞表を書こうと思った。結局幸運が重なってそうせずに30年もやってしまって、それが正解だったかどうかは永遠に答えが出ませんが、他だったらまず今みたいな生活はできてなかったろうと即物的に自分を納得させられる程度には証券業界が自分に向いていたと思うのです。

誰しもそうやって仕事は経験がないまま、悩みながら始めるのが普通です。ということは石の上にも3年、向いていようがいまいが、まずはしがみついてやってみるしかないですね。僕は辞表を書かなくて良かった。というのはそれでどこへ転職しても「1年もたなかった奴」ということになったからです。それは日本で幹部社員になろうと思うなら不利です。どんな屁理屈をならべたってそのマイナスイメージは覆せなかったでしょう。その努力をするぐらいなら入った会社で3年は頑張った方がいいのです。

その先はいろいろあります。ずっと先に幹部になれるかどうかは性格や資質や経験がものをいうし運も左右します。最初の3年頑張ってどうなるものでもない。だからやっぱり「向いた会社、業界のほうがいいよ」というどうどうめぐりの不毛な議論になってしまうのです。それじゃあ仕方ないので、以下若い人にアドバイスしてみます。僕の書くことに価値があるとしたらひとつだけ、耳年増の知ったかぶりでなくてちゃんと経験したものであるということです。

僕のアドバイスの結論、それは「とにかく遊べ」「遊びまくれ」なのです。なぜって、将来仕事のベースになる経験を学生時代に全部積んでおくなど、なにをどうしたって不可能だからです。そう言うと、そうでしょう、たかが22才までの経験なんて知れていますからね、という知った顔の大人が出てくる。しかしそれは大間違いです。逆に、恐ろしい話ですが就職までに経験したことでほぼ先は決まります。

僕は理屈屋ですから、そこまで断言するからにはロジックがあります。ロジックというのは人智では覆りません。覆らないから価値があるのです。

22才までの時間は限られてます。だから「応用の効く経験」を積むことこそ命なのは自明です。では何が応用の効く経験なのか?遊んでこそ人生で応用の効く経験が得られるというのが僕の経験であり持論です。遊ぶというのはグレることでも放蕩することでもありません。僕のブログを読んでくださっているかたは、そうかとゲーセンに入り浸るようなレベルの人はいないという前提での「遊び」であって、僕の場合は野球、麻雀、アメリカ放浪でした。その3つのおかげで社会に出て困ることはなかった。いや、正確にいうなら、何度も困り果てましたが、そのたびになんとかなる悪知恵と根性をその3つが身につけてくれていました。

そういうのは教室で身につくことではありません。だってこてんこてんにやられて、ケツの毛までぬかれて、この野郎ぶち殺してやろうかってこと、教室やゼミでないでしょう?試験の点取り競争なんかかわいいもんです。負けたってそこまで思わないし、いくらでも言いわけがきくからです。言いわけは自分の逃げ場、逃げ道です。自分を都合よく「逃がしてあげられる」。そういう癖がついたらもう人生致命的と思ったほうがいい。スポーツやバクチは逃げ場がないのです。

遊びでこてんこてんに負けるといいことが三つあります。

一つ、分を知ること。あいつには絶対かなわない、こういう作戦は自滅する、これだけはやっちゃいけないみたいな「すべからず」集が経験で分かるようになる。負けるケンカはしないようになるから確実に成功率が上がります。つまり社会で応用がきくのです。

二つ、「負けに不思議の負けなし」で負けには法則性がある。野村克也監督の著書のとおり。勝つ方法なんか実はない。勝ちはいつも結果オーライだから、勝ち続けた奴は学ばない。だから絶対かなわないと思ってた奴に勝つチャンスは必ずやってくる。

三つ、「この野郎!」が強力なモチベーションになる。僕は子供の時、メンコで年上の強い子に自慢の「伊賀の影丸」をひっくりかえされて取られた。この野郎ですよね。死ぬほど悔しくて、取り返してやろうとスナップをきかせた投げ方を毎日猛特訓したんです。大変なモチベーションでした。

それでも勝てなくて、影丸はついに返ってこなかったんです。メンコではその子に完敗ですね。ところが面白いもんで、そのスナップの指の使い方がのちに野球でカーブのキレのいい投げ方になった。それでピッチャーになれました。彼は僕のタマにかすりもしませんでしたから結局は僕の勝ちでした。

つまり人間、負けると負けない方法を学んでインテリジェンス(=カーブの投げ方)ができる。しかも、それに強力なモチベーション(=この野郎!)がくっつくんです。インテリジェンス+モチベーション!最強の組合せじゃないですか。

だから負けたら、負けた原因の法則性を探して、それをひとつづつ潰していけばいいんです。その「法則性対応」に、仕事でもなんにでも応用が効く秘密があります。大事なのは、負けてメンコを取られたりプライドを粉々にされるのを厭うようじゃだめということです。そんなのは遊びと呼ばない。僕のいう遊びとは戦争のシミュレーションのイメージです。

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