Sonar Members Club No.1

since September 2012

セリーグはヤクルトが有利か-マウンドの秘密の巻-

2015 SEP 20 16:16:52 pm by 東 賢太郎

先日、神宮でヤクルト・DeNAをヤクルトのブルペン側からじっくり見てきました。見たというか、観察ですね。どうもこのまま優勝しそうだしCSも勝つように思うからです。長年いつも神宮球場で見てますから実はヤクルトの選手は最もよく見て細かいことも知ってます。東京なのに巨人と比べ人気が劣り不憫です。判官贔屓の僕としては巨人よりヤクルトに勝ってほしいという気持がありますね。まあ傘振りはしませんが・・・。

またどうでもいいんですが、神宮球場というのは僕の高校時代のまんまのレトロがよくって、便所も昭和から一切の進化がないしスタンドの造りも傾斜も一緒だし。個人的にもベンチもはいったし一塁側で場内整理のおにいさんのバイトまでしたこともあったりして、とっても思い出の場所です。これがオリンピックでなくなるらしいのでとにかく見ておきたいというのもあります。

ではヤクルトについてですが、まず今回はマウンドから。

マウンドとは球を放る小山のことで、近くで見ると古墳のミニチュアみたいです。登って見るとけっこう高いのですが、高いとはその頂上から球を投げるとなると踏み出した足は10-15センチだけ標高の低い山の中腹に着地するからであって、熟練と足腰の安定がないとストライクはまず行きません。野手が遊びでやってもたいがい高めに行ってしまうわけで、野手は全員が平地、平野で投げてるので同じ投げるといっても投げ方に互換性が低いのです。投手は別人種の山岳民族であるといって過言ではありません。

踏み出した足(右投手なら左足)が着地して、ぐいっと体をひねって体重を乗せるので、スパイクが回転して底の歯で掘れてだんだん深い穴ができていきます。場所は人によって違う。球を離すのはそっちに体重が乗ってからなので、そこが安定しないと流れの最後で肝心のコントロールが定まりません。これを気にしない投手はプロアマ問わずいないでしょう。ソフトバンクのサファテは広島時代に「日本は穴が深くてとても気になる」といっています。彼がクローザーであって、出てくるまでに何人もが踏み荒らして穴ぼこを開けてることは割り引いても、アメリカより日本の方が「穴が深くてできやすい」ということは多くのプロの投手が証言しています。

マウンドには高さが高い・低い、傾斜がきつい・なだらか、土が固い・柔らかい、によって個性というかバリエーションがあります。プロのマウンドの高さと傾斜は規定がありどこも同じということになっていますが、昔の神宮球場なんかはベンチから見るとマウンドまで全体がなだらかに傾斜してる感じでマウンドだけの高さってどこから測るんだろうと思ってました。それと、土の種類は決まりがなくて固い柔らかいは差があるようです。日本は米国より土が柔らかく、だから穴が掘れやすくてサファテが困ったんだろうと思われます。作った時に計測どおりでも毎日穴があいて土盛りが少なければ傾斜はきつくなっていきますし、傾斜のルールはけっこう甘い可能性があると僕は見ています。

神宮球場は今年から傾斜がついて土が固くなったのは有名で、ヤクルト石川みたいなコントロールが生命線の先発投手は柔らかすぎるとクレームしてたそうです。石川は先日初めてブルペンのすぐ横で見ました。彼の記事は小さな大投手路線の脚色があって、「身長167cmでスピードはないが」が枕詞ですがとんでもない、速いですよ。立ち投げでうわっ速いなと思わず声が出たぐらいで、135kmという数字に出ない威力があって、僕は怖くて捕れません。そのストレートがあって、あんまり速度の落ちない変化球が各種あって、絶妙の制球力があって、配給がうまくて、だから彼は大投手なんですが、彼のタイプで踏み出した足が固い土で固定しないと嫌だというのはよくわかります。

マウンドの斜面の傾斜角が大きいと身長があって投げ下ろす投手には有利で、神宮はいままでがのぺっとしてた分、普通になっただけでも外人投手にはプラスでしょう。すなわち単純に書けば、固くなった+傾斜がついた=米国に近い、であって、7-9回をロマン、オンドルセク、バーネットと並んだ外人3人の威力が増幅できるわけです。ホームのアドバンテージだから自由でありマウンド改築はそのためだったと僕は考えてます。先発の枚数が足りないのをそれで補う。強打線で6回までに1点勝っておいて、7-9回は外人の球威で封じるということです。

余談ですが、名古屋ドームは「固くて高い」が定説です。高さはいじれないので傾斜でしょう。ホームの中日投手が先に投げるので、先に穴をあけます。これは非常に有利。相手投手は土が固いと自分でそれを掘り返して修復する効果があまりなく嫌でしょう。三塁側ブルペンのマウンドはグラウンドのと具合が微妙に違うという指摘もあります(中日側は否定)。中日の吉見投手が今年5月に着地する足のかかとが土にひっかかって投げ損ねたという記事があり、自軍の投手ですら異変を感じています。カープが名古屋でぼろぼろにされましたが、メジャーに慣れた黒田が勝てず、外人で12勝のジョンソンも中日戦はマツダで3勝なのにナゴヤでは2敗です。なにかホームの地の利で計略を施したとしても最下位なんだからトータルには失敗ですね、ところが広島にだけはそれが局地的に凄く効能があったということなら不幸なことでした。

Yahoo、Googleからお入りの皆様

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

 

 

 

 

 

Categories:______プロ野球, 野球

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊