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読響定期・ショスタコーヴィチ:交響曲 第5番を聴く

2018 MAY 31 0:00:34 am by 東 賢太郎

指揮=イラン・ヴォルコフ
ピアノ=河村 尚子

プロコフィエフ:アメリカ序曲 変ロ長調 作品42
バーンスタイン:交響曲 第2番「不安の時代」
ショスタコーヴィチ:交響曲 第5番 ニ短調 作品47

あんまり気乗りしなかったこのコンサート、プロコフィエフのまず機会のないOp.42が聴けたのはありがたい。前衛的ではないままに尖ろうとした曲だ。「不安の時代」はバーンスタインの自演、N響定期に次いで3度目のライブだったが河村 尚子のピアノが音色がカラフルで印象に残った。こっちは無用の尖りがない、現代も調性音楽のいいシンフォニーが書ける好例。バーンスタインは1,3番はユダヤ教徒としての信条を見せており、交響曲と言うものはアイデンティティを問う場なのだなと納得だがこの2番はジャズのイディオムが米国民としてのそれを感じる。

ショスタコーヴィチ。席が5列目と近く、第3楽章の弦のオーケストレーションの見事さに改めて目を見張る。あの高度の洗練、知性の極みにしか存在しえない美の世界からアタッカで入る終楽章の野蛮、粗暴、無知。ここに作曲の意図があると考えれば聴ける。あとは調性設計。うまいなあと感服。ドタバタの終楽章もそれについては満点。ショスタコーヴィチの驚異的な天才を今更ながら確認してそれに深い感動を覚えた。演奏はたいそう立派なフルスロットルの力演といえ、これだけオケが鳴れば有無を言わせぬ快感が得られるというもの。最高の非日常体験として久々に5番を楽しめたのがうれしい。ヴォルコフという初めて聞く指揮者の力量は高いと思った。

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番ニ短調 作品47

 

 

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