小林未郁「進撃の巨人」と「Mika Type ろ」
2018 AUG 11 13:13:21 pm by 東 賢太郎

女の人と一対一で話すのが生来苦手であり、これは相手が好みのタイプかとかそういうこととはあまり関係なく、おそらく高校までは3分と続いたケースはなかったように思う。硬派とか奥手だったとかでもなく、まあひとことでいえば、つまらないからすぐ終わってしまうのだ。
いまや変わったといえば変わったろうが、それは年を取って丸くなったのではなく、仕事なりなんなりの処世でそれも必要だということであって、実はあまり変わってないように思う。こんなことをここで公言してしまうとただでさえ女性に理解されないのがさらに危くなるが、ウソの自分で生きるのはやめたのだ。
ところが先日、シンガーソングライターの小林未郁さんとお食事で、僕はユーミンさんのファンなんで、まあ荒井さんの頃だけど、そう、中央フリーウェイってね、Fで始まって5小節でFmになっちゃうでしょ、あれ考えられんね、お会いしてどうしてってきいてみたいね、なんて話になったらなんだかんだで、ウチのスタジオ?音いいよ、ピアノ3台あるよ、録音?できますよ、たぶん、みたいなことになった。こういうこともたまにはある。
いただいたCDをさっき聴いた。僕がここでどうほめてもお世辞でしょとなるが、事実として記しておくと、2枚組ぜんぶ聴いた。ベルリンフィルでもピッチが悪いと1分で捨てるのでクレジットのつもり、一般的な言い方なら歌がすごくうまいねって、つまんないことになってしまうが。ちょっとダークでアトモスフェリック、女の子の歌なんだろうけどいまやJ-popでは貴重な大人の歌ですね、オンリーワンの世界が確立している。「EGO」「献血」が好みだ。和音よりメロディーが先に来るタイプとおっしゃったがこれだけきれいなメロディーが出てくればうらやましい。和音もオシャレ。ピアノ弾き語りっていいね、その昔はシューベルトがやってた。自分がやるなら?なんたってロング・アンド・ワインディング・ロードさ。
小林さんといえばこれが有名な「進撃の巨人」。
音楽というのはメディアの進化につれてあり方が変わってくる。20世紀初頭に映画ができると、最初はサイレント・ムービーだったが、やがて音が入る。すると「映画音楽」というものが出てくる。それが現代ではアニメのテーマや挿入曲、ゲームのBGMに進化してきているわけだ。音大の作曲科を出てゲームミュージックを書く時代なのだ。
この世界的にはやったアニメについて、彼女はこう語っている。
お食事しても自分の人生を訥々と語られる姿はこういう感じで、ああこの人はアーティストである以前から自分のやりたいものを探してたんだなと思った。
彼女の生き方は「やめないこと」。まったく同感である。僕も63年の人生で、野球、受験、仕事で3回も大きな挫折をしたが「挑戦をやめない」だけでなんとか生きてきた。
自分は空洞の状態で生まれて何もなかったが、それを忘れずに来て、見いだされて今がある。自分にはないもない、何ができるのか?どうしよう?迷っている人は、そう語る彼女に力をもらえるのではないか。
フィレンツェのドゥオモに昇ってインスパイアされて書いたという「迷宮入り」という曲は面白い。
こんど、ウチでこれを弾き語りしてもらおう。
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